No.688265

【恋姫二次創作】死神の毒 拠点 裏③

オリキャラ祭り。
ごめんね。でも、拠点だから許して。

2014-05-21 14:17:26 投稿 / 全5ページ    総閲覧数:1265   閲覧ユーザー数:1214

劉協。

 

漢皇帝14代目の未だ幼き少女である。

 

彼女は悩んでいた。

 

反董卓連合によって成された董卓討伐。

 

風潮では散々悪人と扱われた董卓だったが、劉協の知る董卓は優しき少女である。

 

悪人などとは正反対に位置し、争いを好まない董卓を討ち、誇らしげとする袁紹。

 

自分があの時、董卓ではなく袁紹を頼り、傀儡となっていれば。

 

董卓は死なずに済んだのではないだろうか。

 

毎夜毎夜自分を襲う、後悔の念。

 

そして、目前にまで迫る漢王朝の崩壊。

 

反董卓連合に参加した者達は、多大な功績や多大な力を得た。

 

それは漢王朝を跳ね除け、国を作れるほどに。

 

先祖代々受け継がれた漢王朝を自分の代で滅ぼす事。

 

幼き劉協には恐怖でしかない。

 

更に、行動しようとして何処かに頼っても、傀儡となるのが恐ろしかった。

 

十常侍のように、欲にまみれた愚人に、神輿とされ皇帝の名を失落させたくなかった。

 

そんな窮地。

 

そこで気付く一筋の光。

 

劉協に対し、教鞭を振るい、漢王朝を支えた者。

 

賄賂や、脅しを巧みに使い、地位を保守し続け、皇帝を支えた男。

 

触覚のような髪、頬はこけているが肌は病的に白く、常にマントをするあの男。

 

劉協が筆を取ったのが数日前。

 

反董卓連合にて、洛陽の直ぐ傍に居た、劉備軍の一人の男に向けて、手紙を送る。

 

その姿は劉協にとって、救いの英雄(ヒーロー)であり、初恋の相手でもあった。

 

歳は祖父と孫所か、曽祖父と孫くらいの歳の離れの男。

 

当初はそんな事知らず、少し年上のお兄さんくらいの感覚であった。

 

常に宮廷に軟禁のような状態の劉協にとって、毎日部屋に通い学を教える彼に恋をしない方が可笑しいだろう。

 

宮廷で会うのは、強欲な者達。

 

自分のことしか考えず、自分の欲を満たすので必死な者共。

 

だが、彼は違った。

 

劉協の悩みを共に考え、まるで自分の事の様に真剣に協力する様は、夢見がちな少女に好意を持たせるくらいは容易かった。

 

そして、今劉協の前にやってきた男。

 

何年前から容姿はまるで変わらず、内心嬉しさを感じる劉協。

 

そう、その男こそ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『履中(リチュウ)』であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

が、もちろんそんなのは偽名。

 

装である。

 

履中というのは、流石に皇帝に対し、真名で喋りあう訳にも行かず、仕方無しに考えた偽名。

 

しかし、意外と目ざとい者は、偽名か本命かを見極める力量を持つ者が居る。

 

その為、装は不用意にこの名を使わない。

 

基本は真名。

 

皇帝の場などではこの名を使う。

 

そうして、履中こと装は何時ものように、飄々と皇帝の前に片膝を付いて頭を下げていた。

 

その姿を、無駄に装飾された椅子に座り、見下ろす劉協。

 

細かい刺繍の施されたその服は、装もできる限り高級な服を着てこの場に来たが、まったく敵わないほどの物だった。

 

逆に装の方が高級な服を着ても困るのだが、あまりに質が悪くとも失礼に当たる。

 

そんな堅苦しい決まりに縛られる履中を見る劉協は、心苦しかった。

 

自分の前で位は、ありのままの履中で居て欲しい。

 

だが、立場上どうしてもそれが叶わない。

 

こんな事なら、普通の民に生まれ、普通に恋がしたかった。

 

少女の夢である。

 

しかし、時代はそれを嘲笑うかのように進む。

 

何もせずにボーッとしていたならば、置いていかれるのは目に見えている。

 

だから、履中を使い、再び漢王朝の力を取り戻す。

 

そう決意した少女は、履中に向かって言う。

 

劉協「面を上げよ」

 

履中「はっ」

 

相変わらずの細目は、一体何を考えているのか分からない。

 

事前に用意し、この場は劉協と履中だけの二人きりである。

 

これから行うのは、戦の準備。

 

漢王朝が一つの軍として、諸侯を潰すのだ。

 

信用できる者でもない限り、この場には居させる訳には行かない。

 

装の地位の高さと、劉協の願いによって作られたこの場。

 

普段の劉協ならば、一生このままが良いと、初恋を引きずるが、今はそうも行かない。

 

劉協「いつも通りにしてくれないか、履中」

 

先ほどとは違い、優しく柔らかい声で言う劉協。

 

その姿を見て何を思うかは誰も推測できないであろう履中の心情。

 

周囲に人が居ないのは装も自身で確認しておいた。

 

事前に一対一で話し合いがしたいと、手紙には書かれ、刺客さえも入れないよう、外では屈強な兵が警備をしている。

 

壁は厚く、話が筒抜けになることなどない。

 

装は履中から装となり、昔のように接する事に応じる。

 

装「お久しぶりですねぇ、劉協様」

 

共に真名を知らない。

 

周りを真名で誤魔化す装ではあるが、劉協の前では履中。

 

これは二人きりでも変わらない。

 

それに対する劉協も、自分の真名を知っている者は自分の両親のみ。

 

自分の真名を曝け出し、装とより良い仲になりたいとも思うが、今まで詰め込まれた皇帝の学が、それを防ぐ。

 

劉協「……さっそく本題だが、漢王朝についてどう思う」

 

ここで何か懐かしき事に話を向けられない自分と、この無い時間が悔やましく思う。

 

装「ケケッ、はっきり申し上げますよ。もうまもなく、諸侯は力を溜まり次第、諸国となるでしょうねぇ」

 

つまり、漢王朝の崩壊。

 

一体皇帝の前で此処までハッキリ言える者は、大陸に何人居るだろうか。

 

劉協「そうか」

 

装「そうですよ」

 

俯く劉協は、自分の頭の上の冠を手に持ち眺める。

 

煌びやかに輝くそれの為に、その地位の為に今までの人生そして、これからの人生を使ったと思うと、馬鹿な人生の使い方だと思った。

 

先祖には悪いが、生まれた頃から周囲の欲に恐れ、そのままに育ってきた少女。

 

女として、人生を最も無駄にしていると感じた。

 

だが、それを無駄にしたくないとも考えた。

 

このまま死ぬまで皇帝ならば、皇帝としては最低限の有益な人生だっただろう。

 

その為に、初恋の男に頼る。

 

履中ならば。

 

そう考えて。

 

劉協「助けて……くれぬか」

 

幼きその瞳には涙が溜まる。

 

勝手に溜まる。

 

こうして対策を作り始めると、本当に危機なのだとより一層圧し掛かる。

 

その少女の軟い心では、それを受け止め悲鳴を上げる。

 

そこでも皇帝という看板を捨てて、助けて、私を何処かに連れていってと、言えないのが更に辛い。

 

安康が見たならば、喜びに顔が歪み、斧片手に振りかぶって来るだろうが、装はそんな事は無い。

 

やはり、根は優しき者。

 

少し意地悪な者なだけだ。

 

 

少し意地悪をして、自分の弟子を殺させるだけの。

 

 

装「わかりました」

 

装は優しげに微笑む。

 

劉協「ほ、本当か!!」

 

花が咲いたように明るくなるその笑顔や喜怒哀楽の激しさは、幼さを捨てきれない証だろう。

 

装「まず、董卓殿の生き残りの兵たちや、洛陽の戦える者を収集し、力を集める事が必須でもあります。皇帝という地位ならば、容易いでしょう」

 

劉協「ふむ、確かに力は必須であるな」

 

劉協はうんうんと頷く。

 

装「そして、手始めに曹操勢と袁紹勢に対し、降伏勧告。断るならば、攻め込むのです」

 

劉協「なるほどなるほど……ん?流石にそれは厳しいのではないのか」

 

劉協でもわかる。

 

反董卓連合の大将袁紹と、諸侯の中で有能な将と有能な兵を持つ曹操。

 

どちらか片方と敵対するだけでも危険だというのに、その両者と敵対など潰してくれといっているようなもの。

 

皇帝が相手という事で、大義名分を探すか、不完全な状態で建国するしかないが、やはり今では負けるだろう。

 

有能な将も居ない。

 

兵も董卓連合の生き残りや、漢の僅かに残る兵たち。

 

兵を纏める事ができる将は居るだろうが、上手く扱える者は居ない。

 

装「ケケッ、劉協様が心配なされるのは、将ですか?兵ですか?」

 

心を見透かしたような風だが、誰だってそんなのは分かる。

 

将だって、兵だって足りない。

 

劉協「両者じゃ」

 

装「でしたら、安心してください」

 

装は先ほどよりも大きく口を歪ませる。

 

両手を大きく振るい、大きな音で手を叩いて言う。

 

装「入って来なさい」

 

それと同時に天井から降りてくる者と、落ちてくる者。

 

スタッと軽やかな着地音と、ベタッというなんとも間抜けな落下音。

 

着地をきめた者は、劉協よりも背は低いが、その両手には大きな鉤爪を装備した真っ黒の服の少女。

 

落下した方は、全体的に緑の服で、落下した時に体を呈して守った、木のコップのようなものに生える植物を持つ、これまた幼き少女。

 

劉協「な、なんじゃ、お主達は!!」

 

流石にあわてる劉協だが、装は一歩進み言う。

 

装「これが、優秀な将と、屈強な兵を『造る』者ですよ」

 

両手を広げ、左右の少女へと目を向けさせる装。

 

彼女らは、鉤爪のほうが允恭で、植物のほうが雄略である。

 

一番最初に大陸に来た允恭と、反正と共に大陸にやってきた雄略である。

 

劉協「馬鹿な、そのような者達が」

 

劉協が何か反論を述べようとするも、装は更に劉協に歩み寄り、その体を優しく抱いた。

 

突然の行為に劉協は顔を真っ赤にする。

 

装の後ろでニヤニヤする允恭と、顔を植物で隠してモゾモゾ照れる雄略。

 

急な展開に、劉協は何がなにやら分からない。

 

装「僕を……信じてください。劉協」

 

耳元で放たれる優しき言は、劉協を頷かせるのには十分だった。

 

装「この二人を置いていきます。僕は暫しの間、劉備の下に居ますが、ちょくちょく会いに来ます」

 

何時もの陰湿な言い回しや、陰険な喋り方ではなく、優しき憧れの王子のように喋る。

 

 

 

 

 

 

 

 

漢王朝の奇行。

 

皇帝劉協によって行われたそれは、董卓軍の生き残りと、漢王朝全ての兵を使った大戦。

 

有力な袁紹と曹操を敵に回すという無謀な戦の幕が切って落とされた。

 

兵たちは、まるで痛覚を失ったかのように、攻撃を喰らっても、動かなくなるまで戦い、それを扱う謎の黒き少女は、劉協ではないかとの噂も立った。

 

皇帝自ら兵を率いて戦う、型破りすぎるその戦は大陸全土にあっという間に知れ渡った。

 

そして、ここ劉備勢も他人事ではなかった。

 

曹操勢、袁紹勢、そして洛陽に面するように位置した劉備勢は大忙しだった。

 

このまま、とどまり戦に巻き込まれては簡単に消し飛ぶ。

 

そこで、軍師諸葛亮と策士履中、新たな文官反正は、南西の劉璋を目指し、ゆっくりと進軍した。

 

切羽詰っていると言うほどではなく、反董卓連合にて蓄えたその力で、ゆっくりと南下し、劉璋の成都へと向かったのだった。

 

今や、漢王朝が乱れ、各国が建国せざるを得なくなったこの国。

 

全ては終わりへと向かっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ここでオリキャラについて簡単に紹介。

 

偽名  真名 特徴

 

履中  装  とっても腹黒くて、人の心を扱うのが上手い。触覚二本の実は老人。つぶあん嫌い。

 

反正  ?  女性。邪馬台国な服をきて、翡翠色の水晶をいつも持っている。水晶を磨くのが幸せだったりする。

 

安康  ?  初老の男性。装より年上に見えるが、年下。斧や弓と武は基本的に万能。狂気のロリコン。

 

允恭  ?  幼い少女。殺したい人の前では笑っちゃう厨ニ的な子。バルログのように身軽。お姉ちゃんが人肉好き。

 

雄略  ?  植物大好きアホ少女。いつも能天気だが、その手で扱う植物は装から教わった植物ばかり。

 

程遠志 ?  すっかり影の薄くなったオッサン。もう出ない。

 

劉協  ?  装に恋する皇帝。きっと曹操や袁紹にボコボコにされる。

 

 


 
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