No.683516

真・恋姫†無双 ~胡蝶天正~ 第三部 第07話

ogany666さん

ウル4PCで出てくれないかなぁ。
カプコンさんお願いします。

それでは第07話をお楽しみください。

2014-05-03 12:43:20 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:6977   閲覧ユーザー数:4855

 

 

 

 

 

 

この作品は、北郷一刀の性能が上方修正されています。はっきり申しましてチートです。

 

また、オリジナルキャラクターやパロディなどが含まれております。

 

その様なものが嫌いな方はご注意ください。

 

 

 

 

 

 

 

 

虎牢関へ向けて陣を出立してから数日。

汜水関で手柄を独り占めした為、予想通り諸侯から物凄い嫉妬攻撃を食らった俺達は、連合軍の後方に配置される形で行軍をしていた。

その気になれば麗羽たちが前線へ出るのに託けて指揮権を譲ってもらうくらいの事は出来たのだが、星たちと議論を重ねているうちに華雄との賭けを考えるとそれは得策ではないという結論に至った。

あえて何の役職にも付かない事でこちらへの注意を逸らし、戦の裏側を自由に動いた方が董卓たちの身柄を確保するのに適していると考えた為だ。

その結果、表向きは連合軍の後方支援という肩書きになっているが、事実上は戦から締め出されているといってもいい状態だった。

もっとも、その甲斐もあって情報戦に置いては他の追随を許さない程に諜報部隊が掌握している訳だが。

それにしても・・・・・。

「っつぅー、まだ華琳に引っ掻かれたところが痛むよ・・・・・」

余談ではあるが、あの後俺は華琳に耳を引き千切られるのではと思うほどの勢いで引っ張られて天幕を後にすると、人目の付かないところまで連行されて殴る蹴る引っ掻く極めるの暴行を受けた。

お抱えの医者に傷の手当てをしてもらった時に"仲達様、幾ら御多忙と言われましても戦でお怪我を負われた時くらいは真っ先に私めの所にお越しくださいませ。治りが悪くなってしまいます。"と勘違いをされたほどだった。

「鍛えてなければ戦線離脱していたな」

「鍛えていても普通なら戦場を離れています」

そう口にしたのは隣で全体指揮をしながら馬に跨り行軍している稟だった。

「風からあの後の顛末を聞きました。医者の話では数週間は安静にしていなければならないそうではないですか」

「まぁ、そこは上に立つ者が不足してるうちの内情によるんだけどね。稟こそ貧血の方は大丈夫かい?」

「ええ、問題ありません。それにしても不覚でした、まさかあの場に曹操様がお見えになるとは・・・・」

眼鏡の蔓を弄りながらあの時の事を思い出しているのか、稟はにやけた顔で鼻血をタラタラと垂らしながら呟いている。

前々から思っていたことではあるが、今の稟の妄想力は前の稟のそれを遥かに凌いでいる。

その上、鼻の耐久力は以前とは比べ物にならないほど脆くなっている様で、今となっては華琳と顔を合わせた途端に鼻血を噴いてしまうほどだ。

(恐らくこれは華琳の下に居ないのが原因だろうなぁ)

以前は華琳の下に居た分、仕事の関係上彼女とは毎日顔を合わせて居たが、今の稟は俺の下に居る事でその機会が極端に減っている。

その華琳に会えない鬱憤を妄想して補っている様で、結果としてその力が鍛えられてしまったらしい。

また、その虚しい力に体(特に鼻)の耐久力が付いていかず、それが鼻血の連発という形で表に出てきてしまっているようだ。

勿論、俺もその対処法を考えてみたのだが、以前はそれが原因で彼女の症状を悪化させてしまった経験がある。

これ以上稟の症状が悪化しては鼻血で憤死しかねない。

ならばいっそ、妄想する暇も無いぐらい仕事を振ろうかとも思ったのだが、それだと彼女を文字通り忙殺してしまう。

以上の事から導き出された答えが・・・・。

「稟、前にも言ったかもしれないけど、俺が華琳と同盟を組んでいる間は彼女の下で働いても良いんだよ」

華琳の近くで耐久値を上げてもらうと言うものだ。

「その話は前にもお断りしたはずです。確かに曹操様は私にとって憧れの存在ですが、今の主君はあなたです。離反以外で軍師が主君の傍を離れるのは戦場のみです」

だがこの様に俺の考えた方策も稟は頑なに拒否し続けている。

主君としては彼女の忠誠心はとても嬉しいのだが、稟自身のことを考えると複雑な心境だ。

 

 

 

 

「それに今一刀殿の下を離れては、今までの特訓の成果が水泡に帰してしまう」

「特訓?何の?」

俺は稟の言葉に気になる部分があり、思わず聞き返してしまった。

「はい、一刀殿もご存知だとは思いますが、私のこの鼻血を噴いてしまう特異体質を直すためにある方の師事を受けているのです」

驚いた、稟が自分なりに体質改善をしていた事にもだが、彼女が手解きを受けるほどの人物が俺の近くに居るとは・・・。

一体何者なのか気になってきたぞ。

「へぇ、稟が教えを請うほどの人って?」

「申し訳ありませんが、本人たっての希望で名前を明かすことは出来ません。ただ、その方が仰るには"先ずは思い描いただけで薄っすらとお姿が見えてくる様になる"事がこの体質改善には重要なのだそうです」

「!?Σ(゚Д゚;)」

ちょっ!何それ怖いっ!

完全ストーカーじゃんっ!

しかもそれがスタートラインなのっ!?

体質改善どころか悪化してるよ!

てか俺の近くにそんなのが居るのっ!?

内容を聞いた途端に俺は思わずドン引きしてしまった。

「で、でもさぁ・・・・そ、それって稟にとっては逆効果なんじゃないかなぁ・・・・。ほほら、それだと四六時中華琳がが近くに居るのと変わらなくなっちゃう訳だし・・・・。稟が鼻血を噴ききすぎて死んじゃうよ・・・・」

俺はそれとなく誰かは分からないその変態から稟を遠ざける算段に入る。

だが・・・。

「否、一刀殿!私はこの目で見ました!あの方の無駄の無い完璧な立ち振る舞いをっ!あれを体得したときこそ私はこの体質と向き合っていけるのです!」

「いや、それってもう体質改善じゃないよね!?現状維持どころか完璧に今の状況全肯定しちゃってるよね!?」

最早、華琳とは違った意味でその名も知らぬ変態を崇拝してしまっているよこの娘。

この状態ではここで幾ら俺がその変態から離れるように助言しても、彼女の中の信仰心が固まっていくばかりだろう。

ここは信仰の対象であるその変態から何とかするしかないな。

(あとでうちの諜報員にそれとなく調べさせるかな・・・・)

ガサガサ

ザッ

そんな事を考えていると、近くの樹木の上から何者かがこちらへ跳躍したことに気付き、近くに居る稟を庇う位置に移動していつでも迎撃出来る体制を取る。

だが、それが何者なのかを相手が空中に居る時点で確認したとき、良く見知った人物であったため俺は警戒心を解いた。

スタッ

「仲達様、火急の事態につきご報告に上がりました」

何故ならそれは俺が男で最も信を置いている人物、諜報部隊を纏め上げる部隊長だったからだ。

だが、最も信頼していると言うことは同時に最も重要な場所への諜報・工作をしているのと同義。

そんな彼が"火急の事態"と言うことは、よっぽどの事が起きているに他ならない。

そして、今回の戦で最も重要な場所とは・・・・。

「君自らが来るって事は相当拙い事態のようだね、洛陽で何か動きがあったの?」

敵の本拠地である洛陽の諜報活動、その統括だった。

「仲達様のご活躍によって汜水関が僅か一日で陥落したことで数日前から宦官どもが浮き足立っていたのですが、奴らの中核を為す十常侍が洛陽を捨てる動きを見せたので、急ぎご報告させていただきました」

「十常侍が洛陽から逃走!?天子様はどうした!?」

「城内の何処にもそのお姿を確認しておりません。ですが、奴らが警護している馬車にそれらしい物があるとの報告が」

「くッ!確かにこれは緊急事態だな・・・」

 

今回の戦の大義は暴政を振るう董卓の倒して献帝を救出する事。

もしここで十常侍を取り逃がし、奴らの手中に帝が居たとしたらこの連合自体の大義名分がなくなってしまう。

それどころか、漢王朝腐敗の象徴である十常侍自体が帝を救った救国の英雄となり、都の権威が失われたとしても奴らの影響力が今まで以上に強固なものになってしまう。

そうなれば、十常侍は自ら帝の勅命と銘打って今以上の暴政を振るおうとするだろう。

それこそ国庫の危機と称して今の地方の税を倍にし、自らの私腹を肥やすために弱者から搾取して飢え死にさせるような・・・・。

だが、俺のほうも華雄との賭けがあるためあまりそちらばかり気にかけても居られないのも確か。

「奴らの逃走を妨害するだけでもする必要があるな。それで一体何処へ逃走しようとしているんだい?」

「それなのですが・・・・。どうやら目的地は我らの本拠地である長安だと推測されます」

「なっ!?」

「以前、新平の刺史の一件で仲達様は十常侍どもに金塊を送った事が御座いましたが、どうやらその一件で奴らは仲達様を濁流派の一人と勘違いした為かと思われます」

部隊長の言っている事は概ねあっているだろう。

あの一手には新平の後任人事の他に、清流派の一員にして洛陽の法鬼と呼ばれ、司空にまで上り詰めた人物、北景が俺の実の父親だと十常侍に悟られないようにするという意味もあった。

"北景の息子が父親の敵である我らに賄賂など贈るはずが無い"

"汚職を最も嫌う清流派、その急先鋒だった北景の息子がこの男のわけが無い"

そう思い込ませる為に・・・。

もっとも、俺は濁流派では無いが清流派という訳でもない。

強いて言うなら灰色だ。

自分の意を通すのに賄賂などが必要な時は躊躇わず使うが、民に害を及ぼす者は容赦なく叩き潰す。

だが、今回はそれが悪い方に傾いてしまった。

「稟、奴らが長安に入ったとなれば俺達は董卓側と繋がっているのではと疑われるよね?」

「十中八九そうですね。華雄を生け捕りにしている事も加えると汜水関を一日で落としたのも董卓側と呼吸を合わせた只の演技、今の私達の状況も重要な位置から外れて情報を流すための策と思う者も出るかもしれません」

そうなれば連合軍の牙は虎牢関ではなくこちらに向く事になる。

そして、そんな仲間割れしている状況を見過ごすほど彼女は・・・霞は甘くは無い。

神速の用兵でこちらの息の根を止めに来るだろう。

今の状況を把握し、それを打開すべく算段を練る為に頭を捻ろうとした時、部隊長から更に悪い知らせが舞い込んでくる。

 

 

 

 

「仲達様、今話題に上がりました董卓についてなのですが、洛陽内の何処にもそれらしい人物を確認する事が出来ませんでした。宮廷内の兵達が騒ぎ出しているところを見るに、数日前から消息を絶っているものと思われます」

「ナ、ナンダッテーッ!」

董卓が行方不明。

部隊長からもたらされたこの報せに、俺は思わず何処かの調査班の様な叫び声を上げてしまった。

俺は董卓の報告を聞く前以上に頭をフル回転させ、この状況から想定される事態を稟と相談する。

「稟。十常侍の手によって董卓の身に何かがあったのと、十常侍の不穏な動きを見て董卓自身が洛陽から脱したの、どちらの事態が想定できる?」

「今の情報では五分五分といったところですね。董卓の傍には賈詡という優秀な軍師が傍に控えていますので、事前に十常侍の動きを察知したのならば洛陽から前線の虎牢関へ向かっていると思われます。ですが突発的に攫われたのであれば軍師である賈詡に抗うすべはありません」

「・・・どちらの事態も想定されるのならば、どちらの事態にも対応できる様に行動するしかないか」

「その通り。現状から察するに董卓が居ると思われる場所は洛陽の何処かと虎牢関、そして・・・」

「張譲の手の内・・・・」

「はい」

稟の見解を受けて俺はその三箇所に対してどういった対応を取るかを検討していると、部隊長が意を決したかの様に俺の前で膝を付いたまま力強く軍令をして進言する。

「仲達様・・・・ッ!恐れながら申し上げます・・・ッ!十常侍の中心に居るのは我らが仇敵である張譲、ご命令頂ければ今すぐにでも奴らの頸をこの場に揃えて御覧に入れましょう・・・ッ!董卓の身が奴らの下にあるのならば、その身柄も・・・ッ!」

声量自体は先ほどまでと変わらない。

だが、彼の声色からは言葉には出来ない程の張譲に対する憤怒の念がひしひしと伝わってくる。

奴らの頸を刈り取り、長安に逃走を計ったこと事態を無かったことにする。

そう命令して欲しいと言わんばかりの顔で俺を見上げている。

そんな彼に対する俺の答えは・・・。

「暗殺という形を取るのならば、君の提案を認める訳にはいかない」

彼の意にそぐわない内容だっただろう。

「な、何故ですかッ!!奴らを見過ごせば仲達様にまで害が及ぶのは必至ッ!!今ならばまだ洛陽を出て間もない程、奴らの画策事態なかった事に出来ますッ!!」

先ほどとは違って今度は声を張り上げて俺に進言する部隊長。

いつも冷静沈着な彼が、ここまでの激情を露わにする姿を俺は今まで見たことが無い。

当然だ。

張譲は俺が北郷であったときから使える者たちにとっては主君の仇。

そいつを討つ絶好の機会にも拘らず、それを止められているのだから。

「張譲は俺達の仇敵である以前に、漢王朝腐敗の象徴である十常侍筆頭だ。奴はその罪を天下に知らしめて処断されなければならない存在。暗殺なんて方法では今は亡き父上も喜ばないよ」

「ではッ!奴が裁かれる時とは、一体いつなのですッ!?いつになれば、北景様の無念は晴らされると言うのですッ!?」

悲痛な叫び。

それ以外に、今の彼の声を表現する言葉は無いないだろう。

そんな部隊長の叫びに対して、俺は・・・・。

「いつになったら張譲に裁きが下るのかって?そんなもの決まってる」

真剣な面持ちから一転・・・。

「今だよ」

口元を少しニヤ付かせながら、そう部隊長に告げた。

その言葉を聞いて、告げられた部隊長は勿論、横で一部始終を聞いていた稟ですらポカンとした表情で俺を見ていた。

「形はどうあれ、この連合軍は今の漢王朝に対する溜まった不満が爆発した結果だ。こうなってしまっては都の権威は完全に失われる。その大元となったのは宦官どもを取り仕切る十常侍に他ならない。今を置いて他に奴らを裁く機会などありはしないさ」

「し、しかし仲達様。それでは今話していた内容と矛盾しているのでは・・・・」

どうやら部隊長は激情のあまり俺の言ったことを正しく理解出来ていなかったらしい。

混乱している彼に俺はさっき言った事の真意を告げる。

「俺は"暗殺"という形を取るのならば認めないと言ったんだよ。そんな死に方ではあいつらの罪はあがなえるものではないからね」

「それでは、遂にッ!?」

俺の言葉を正しく理解した部隊長は歓喜に満ちた表情を浮かべながら命令を待つ。

「それに河内に落ち延びた時に言っただろう。"あいつ等の頸を刎ねる機会は必ず来る。そのときは俺が先陣を切って戦う"って・・・俺の準備が終わり次第出発する。道案内を頼むよ。洛陽と虎牢関、この二箇所に潜入して董卓を捜索するのも忘れずにね」

「御意!」

いつも以上に気合を入れた軍令をした後、部隊長は洛陽から来た部下の報告を聞くために暫し俺の下を後にした。

「聞いての通りだけど、少しの間本陣を空けるからその間は稟が俺の代行をして欲しい。誰かが尋ねてきたら怪我の具合が思わしくないので今は会えないと言っておいてくれ」

陣を起つ前に全身包帯姿で軍議に出席していたのが幸いした。

華琳にやられた全身の引っ掻き傷なんかの治療をしただけだったのだが、あれを見た諸侯は汜水関の折に華雄との一騎討ちで重症を負ったと勘違いした事だろう。

もっとも、俺をミイラ男にした張本人だけはその姿を見てほくそ笑んでいたけど・・・。

「このままでは我々にも火の粉が降りかかる事態ですし、仕方ありませんよ。風達には私から伝えておきます」

「すまないね、頼りにしてるよ」

無意識に軽く笑みを浮かべながら、俺は稟へと感謝の意を伝える。

稟はそんな俺の顔を見て暫しの間キョトンとしたような顔をしたが、少し顔を赤らめながら僅かではあるが鼻から鮮血が出てくるのが見えた。

「ど、どうしたの稟。華琳の話をしている訳でもないのに・・・」

「…へ?あ!」

俺の言葉で正気に戻ったのか、稟は鼻の下に手を当てて血が出ている事をその目で確認した。

「顔も少し赤いみたいだし、もしかして体調でも悪いのかい?」

「い、いえっ!私なら問題ありません!それより一刀殿、そろそろ準備をしなくてはっ!」

「あ、ああ、解ったよ。稟も具合が悪くなったら風と変わってもらうんだよ」

なんか話を逸らされた感が否めないが、稟の言っている事もまた事実。

俺は十常侍を追う準備をする為にその場を後にした。

「・・・・・・・そんな筈はありません。・・・・・・私が思うのは華琳様だけの筈」

 

 


 
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