No.678113

【デジナミ】絶賛アルバイト中【お花見】

七月一夜さん

企画参加中です!よろしくお願いします!
表紙はこーとちゃんから頂きました!【http://www.tinami.com/creator/profile/16609

ちょっとだけ話題に出てくる、ハウンドちゃんと創祐さんと三谷さん。次は突撃しに行きます!
http://www.tinami.com/view/249294

続きを表示

2014-04-12 01:15:28 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:647   閲覧ユーザー数:590

 

 

 

デジナミワールドのブロッサムゾーンと言えば、誰もがまず思い浮かべるであろう、さくら。

 

年中咲き誇るとは言え、やはり春の季節は特別である。

 

GM主催のイベントを中心に、ユーザーの有志が企画する各種お楽しみ企画が目白押し。

 

たくさんの人が集まるこの季節が、ギルはことのほか好きであった。

 

■□■

 

本来であれば、のんびりとさくらの下で花見と洒落込みたい所ではあるのだが、ギルのパートナーであるアキラはGM、つまりイベントの主催者側である。

 

今日も今日とて、イベントの手伝いに駆り出され、というかむしろ自分から顔を突っ込み、あちらこちらを駆け回っている。クレセントゾーン所属なのにとか、今日お前非番じゃなかったっけ?とか、そう言った同僚たちからの視線や言葉は全く持って気にせずに。

 

まあ今年は最初から、創佑によって事前にヘルプ要請があったため、去年のように突発イベントをひとりで企画してやらかす様なことはなかっただけ良かったのかもしれない。

 

忙しなく会場を行き来するアキラの肩の上で、この様子では、今年ものんびりとさくらを愛でるのは無理そうじゃの、とギルは最初から考えていたのである。

 

が、しかし。

 

「……予想が外れるとは、思いもせんかったのう」

 

「ん、何か言ったか、ギル?」

 

首を傾げた相棒の言葉に、ギルは何でもない、と首を振って答えた。

 

視線を向けた先には、満面のさくらが広がっていた。

 

■□■

 

 

「アキラもギルも、お手伝いありがとう。助かってるわ」

 

人が少なくなったところを見計らったのか、ライラモンがにこりと笑いながらふたりのテーブルへと近づいてくる。

 

いくつものウィンドウを開きながら作業を進めていたアキラは、それに軽く手を振って答える。

会話を交わす余裕が無い、という訳ではなく、出来ないのだ。

 

「店主よ、今はあれに話しかけるでない。一般人には見えなくなっておるからの」

 

「あら、そうだったわね、ごめんなさい。

でも、折角妹ちゃんとお揃いのエプロンなのに、見てもらえないなんてちょっとだけ勿体ないわね」

 

ちらりと視線を向けた先には、料理を運ぶルナとリュウナモンの姿。

他にも沢山のユーザーや、中にはGMの姿もあるが、皆色とりどりデザイン様々ながらエプロン身につけて働いている。

しかし、アキラと全く同じデザインのエプロンを着用しているのは、実は妹であるルナだけなのだ。

 

「……妹御には、言うでないぞ」

 

「もちろん。約束してるもの」

 

ぱちりとウインクをしたライラモンは、遠くから呼ぶ声が聞こえたためそちらへ歩いていった。

ちなみに、彼女の言う約束をした相手とは、アキラの同僚であるセイヤである。

たまには妹を近くで眺めたいんだ、とかアキラが言ったとか言わなかったとか。

 

まあ、なにはともあれその言葉に答えて、セイヤは今日のために特殊プログラムを組んでくれたのだ。

それがアキラの足下に広げられた、一メートル四方の透明シート。

その上に立っていれば、そこに誰かがいると知らない相手には認知されない、という代物である。

 

ちなみに、今度ショップで売り出そうと企画中だとか。なお、こちらの企画主は創佑である。

 

こちらに向かって来る足音が聞こえたため、ギルが視線を上へと向ける。

そこには先ほど話題に上がったルナと、リュウナモンの姿が。

 

「あれ、ギルくん。どうしてここにいるの?」

 

「わしもライラモンのお手伝いじゃよ。

妹御達のアルバイトは、もう終わったのかの?」

 

「はいであります!店主殿から、こちらで報告して給金を受け取るように言われたのであります」

 

「もしかして、ギルくんに報告すればいいのかな?」

 

「いかにも」

 

実は自分とアキラのふたりがそうなのだが、それをあえて言わずにギルは頷く。

瞬時に、ギルの前にクエスト報告用のウィンドウが展開され、内容を一読して問題が無ければギルが承認ボタンを押す。

すると、相手に給料が振り込まれるシステムになっているのだ。

 

なお、全自動でも良かったはずのこのシステム、わざわざ対面式としたのはアキラによる提案だ。

さらに付け加えるとすれば、実相が間に合わなかっため全て手作業である。

 

「ありがとう、ギルくん。やったね、りゅーちゃん。これでハウンドちゃん達との約束に間に合うよ!」

 

「はいであります、やったであります!」

 

そんなアキラの姿に気づかず喜ぶふたりの姿に、少しだけギルの口元が弧を描く。

次いで、ちらりと視界に入った桜色のエプロンを見て、そういえばと思い出した記憶が、ひとつ。

 

「会場の入り口、右から三番目の道の奥がおすすめのエリアじゃよ」

 

昔、まだ自分達がユーザーだった頃の記憶。

今も変わらぬその絶景は、間違いなく太鼓判を押して進められる物だった。

 

「良いこと聞いちゃったね、りゅーちゃん。

ハウンドちゃんたちと行ってみるよ。ありがとう、ギルくん」

 

ぺこりと頭を下げて歩き始めたふたりを見送りながら、ギルとアキラのアルバイトはまだまだ続くのであった。

 

 

○月×日 春

 

アキラとギルは、ライラモンのお手伝いで給与支払い係のアルバイト中です。

 

ライラモンのお手伝いが終わった方から、給料を貰ってお花見に行きましょう!

ギルの知っている絶好の花見ポイントには、ルナとリュウナモンが向かったようです!

 

 


 
このエントリーをはてなブックマークに追加
 
 
4
3

コメントの閲覧と書き込みにはログインが必要です。

この作品について報告する

追加するフォルダを選択