「「「イッキ!!イッキ!!イッキ!!イッキ!!」」」
「無理無理無理!!絶対無理!!」
大型料理店で賑やかな声が鳴り響く。
ここでは仮面隊の面々が一日だけ貸し切りにしてもらっている。
理由としては、訓練終了後にとある人物が隊の結束を固める為に言い出したからだ。
その人物とは…
「情けないぞ!メンマ杏仁豆腐を一気食いできんのか!!」
「無理ですって、趙雲将軍!見た目ならまだしも臭いが…ウプ…!」
「馬鹿者、メンマとは神が与えし至高の存在…それを侮辱する気か!!」
……セリフから分かるように趙雲だ。
今は他の隊員に煽られている一人の隊員を叱っている。
理不尽な気もするが、諦めた方が良さそうだ。
そしてそんな様子を遠目で見ている二人がいた。
「…メンマ杏仁豆腐って、斬新だよな」
「だな。ま、オレは食いたかねぇけど」
炒飯を食べる手を止めながら呟くリト。
その呟きに賛同しながら酒を飲む蓬だった。
半場強引に連れてこられたリトとは違い、蓬は元からこの料理店に居て食事をとっていたのだ。
食後と言えど昼間から酒を飲んでいるのはどうかと思うが。
「てか趙雲絶対タダ飯の為にやったんだろうな」
「建前がいいからな。結束を固めるとか言えば桃香の嬢ちゃん辺りが金出すと思ったんだろ」
「結果として出せたけどな。…あんたもあんたでこっちに加わってるけど」
「ハハハ!いいじゃねぇかよ、オレもオメェと仲良くしてぇからな」
「そうか?まあ、話す機会そんなに無かったからな」
「未来の息子と話つけとかないとな、翠のことも聞きてぇしよ」
「ん?俺あんたの所の養子なる気無いけど?」
首を傾げるリト。
――――正確には婿養子になってくれたらいいんだけどな…
そう思い、蓬は溜め息を吐く。
…自分の娘、翠がリトに恋愛感情があるのは知っていた。
つい先日、顔を赤くした翠が自分に相談しにやって来ていたのだ。
「真名で呼ばれるようになったけど、かかか…顔の上で…そのぉ…」とここまでで葵は察したのだ。
あ、こいつリトの顔の上で漏らしたんだな…と。
(唾つける以上のことしたんだが…つけられた本人は覚えてねぇしな。翠も翠で言うなって言うし…つまんねぇの)
「おや?お悩みごとですかな、蓬殿」
「んお?星か?」
後ろを振り向くとそこには笑みを浮かべた趙雲の姿があった。
その後ろには口に大量にメンマを詰め込んだ兵の姿があったのだが…蓬は見なかったように会話し始めた。
「なんだよ話に乗ってくれんのか?オメェもうちの娘の
「好敵手?何のことですかな?私は大陸で二番目の恋の達人ですぞ?達人が素人を蹴落とそうなど…」
「二人ともさ…あの光景に何も言わないの?てかあの人さっき杏仁豆腐で煽られてた人だよな!?趙雲お前なにしてんだよ!?」
蓬と趙雲の話には興味なく、リトはこの中で本当に少ないツッコミとして機能していた。
……以前袁紹の口にカレーを突っ込んだことは棚に上げているが言ってはいけない、だって怒るから。
そんな事は無視して趙雲はリトの隣に座った。
「受けるべき罰を喰らったのだ。問題あるまい」
「大有りだろ!?メンマの素晴らしさを伝えるどころかトラウマになるわ!」
「恐怖を克服しての人間であろう。乗り越えるものが無くして何が人生か」
「その乗り越えるものがメンマなのが問題なんだよ!」
――――何この人メンマ大好き過ぎる!
そう思わずにはいられないリトであった。
当の趙雲はけらけらと笑っている所を見ると、ただ単にからかってただけだろう。
「はっはっは!やはり面白いな平沢は」
「全くだな、飽きる気がしねぇよ」
「俺はいつ過労死するかひやひやしてんだけど…」
「よいではないか。仮面ライダーと言うのはそう簡単に死なないだろう?」
「そりゃそうだけどよ…簡単に死ぬやつだっているんだぜ?」
「そうなのか?正義は死なないと思ったのだが…」
「正義ってなあ……別に正義の味方って訳じゃないぞ?」
溜め息を少し吐きながら反論する。
…リトの旅の中で仮面ライダーに会うことはかなりあった。
だがそのなかで“正義”を主張する仮面ライダーはほんの一部。
昭和と言うカテゴリーならまだしも、平成と言うカテゴリーは己の欲の為に戦うライダーがかなりいた。
必ずしも、“仮面ライダー”は正義の味方と言う訳ではないのだ。
「前に凪達にも言ったんだけどさ、最初の仮面ライダーは敵に造られた存在なんだよ。下手すりゃ、怪人バッタ男になってたかもな」
「飛蝗って…」
「正義は簡単に口には出せないんだよ。…あ、いや一人いたな」
「ほう…いたのか、正義を語るのが」
「でもそいつの言ってた“正義”が何かは分からない。誰の為のかは…分かる気がするんだけどさ」
思い出すのは、デルザー軍団の一人を葬った赤い戦士の姿…
余命間もない中で散った一人の女性の姿だ。
「リト…辛いか…?」
「…いいや?でも…少し外の空気吸ってくる」
――少し強がったかな…
そう思いながらリトが席を立った…
その時だった
「――うおッッ!?」
「くっ!?何だ…!?」
「爆発か?外から…!?」
謎の爆発音が響き渡る。
それに数秒遅れて外から悲鳴が上がってきた。
何かが起こっている…そう思いリトは隊員達に指示をだす。
「お前ら!全員外に出て民間人の避難とその避難経路を確保しろ!」
「「「サー!イエッサー!」」」
「趙雲と蓬さんは俺と来てくれ!」
「承知!」
「おうよ!」
リトは趙雲達と外に出る…そして、実際にはリト以外だが全員目を丸くした。
目の前にいるのは信じられない存在。
その存在は数ヶ月前だが一度確認していたもの。
目の前にいた十一人は…
「おい、どういうことだよ!あれはお前が前に変身したやつだよな!?」
「…正確には違うな、アイツらは仮面ライダーであって仮面ライダーじゃない」
「どういうことだ?」
「アイツらはショッカーライダー…色とりどりのは仮面ライダー1号の設計図を元に造られた。…逆にあの色が統一されてんのは1号がまだ強化されていなかった頃に造られた…所謂次世代型だと思う」
「えらく自信がねぇな」
「『SPIRITS』の世界の1号に聞いた事があるだけだからな…でも十中八九そうだろうな」
リトがそうこうしている間にショッカーライダーの一人が指からミサイルを発射する。
趙雲と蓬は左右に避けるが、リトはどこかに当たらないようにブレストリガーでミサイルを空中で爆破させた。
その際、煙で視界が遮られた隙にリトは二人を連れてショッカーライダー達と距離をとる。
「見たか趙雲。…あれが仮面ライダーに慣れなかった奴等だ」
「…ああ」
「だけどよどうすんだ!あいつら全員相手にできんのかよ!」
「俺が時間稼ぎをする。その間に城に戻って増援を呼んできてくれ」
そろそろ煙が晴れると言うところでリトはオードライバーとメダルを取り出す。
だが…
趙雲はそれらを素早く奪い取った。
「お、おい!」
「悪いな平沢、貴殿だけをここに残すのは私の正義に反するからな」
「だからってな…!」
「これに頼らなければ私は奴等には勝てぬだろう…足手まといになるだろう…。私は悔しいのだ」
「………」
「仮面ライダーは必ずしも正義とは言えないのはわかった。だが平沢…貴殿はどうなのだ?」
「俺は……そうだな、悪の敵かな」
――何だそりゃ…
蓬はそう思いながら顔をひきつらせるが…趙雲は声を抑えて笑っていた。
「くく…ははは……!そうか、成る程な。だったら尚更退けんな」
「何で…」
「悪の敵は正義の味方だ。敵の敵は味方…そうだろう?」
「滅茶苦茶な……でも、そうだな」
少し口元をつり上がらせ、リトは予備に造っておいたオードライバーとメダルを取り出す。
煙が完全に晴れたと同時にやって来たショッカーライダー二体を相手にしながらリトと趙雲はオードライバーを巻いた。
「だったら付き合ってもらうぜ!俺と一緒に…」
「ああ、どこまでも行こう!私と共に…」
「「奴等を倒す!!」」
レスリング技を使ったショッカーライダーのタイフーンを葵の槍が貫いた後にリトと趙雲は構えた。
リトは両手で何かを掴み、趙雲の腕には何やらコイルのようなものが巻き付けられている。
「変んん…身…!」
「――セッタップッッ!!」
「――ストロンガー!!」
趙雲が腕のコイルを擦り合わせるのと同時に眩い光が溢れだす。
中国拳法を使っていたショッカーライダーが怯み、まるで稲妻のような電流がショッカーライダーを塵に変えた。
「――とぉ!」
「「「ッッ!?」」」
リト達二人がいた場所から二つの影が建物の上まで飛ぶ。
ショッカーライダー達と葵はとっさに見上げると…そこには二人の仮面ライダーが。
「天が呼ぶ…地が呼ぶ…人が呼ぶ!悪を倒せと我等を呼ぶ!」
カブトムシをモチーフにした赤いライダー…そして、銀の仮面に黒いマフラーと四肢のライダー
「聞け、ショッカーライダーよ!!我等は正義の戦士…」
「――仮面ライダー…ストロンガー!!」
「怒りの叫びは波の音!!仮面ライダー…エェックス!!!」
二人の仮面ライダー…ストロンガーとXはそれぞれ龍牙とライドルホイップを構え、ショッカーライダーのいる場所までジャンプする。
それと同時に鋼の木刀をもったショッカーライダーと銃をもったショッカーライダーが狙いをつけるが、葵はそれをさせまいと攻撃を仕掛ける。
無事に着地した二人のライダーはゲルショッカー側のショッカーライダーと戦い始めた。
「蓬さん!そいつら二人とあと残り一人任せてもいいか!」
「おいおい、勘弁してくれよ…お前らならともかく、オレは生身だぜ?」
「できなきゃ言わないさ。…貴女を信じてるから言えるんだ」
「…っ!そうかよ…へへ、じゃあやってやらぁ!(まずいな…翠にやるのがもったいなくなってきちまった!)」
妙に嬉々としながら蓬はキックボクシングのショッカーライダーに向かって槍を突く。
当然両腕でガードされてしまい、後ろからショッカーライダーが木刀で切ってかかってくるが…蓬はその木刀を槍の柄にわざとぶつけ、ガードを崩させた。
それだけではなく、回転を加えて貫通力を上げてショッカーライダーの胸を貫く。
さらには背後から打たれた弾丸をその貫いたショッカーライダーを盾にし突進。
銃撃以外攻撃方法がないショッカーライダーはなす術がなく、キックボクシングを使っていたショッカーライダーと共にタイフーンを貫かれた。
その隙を突いて背後から木刀を突き刺そうとする残りのショッカーライダーだったが、蓬は不意に銃を拾い使い方が分からないのでそのまま攻撃を避けタイフーンにそれを突きつける。
個々の能力ばかりを優先していたメンバーだったのか…連携がとれずに人間の蓬に倒された。
「――エレクトロ…ファイヤーッッ!!」
「「「ぐああああ!!」」」
「ライダーパンチッ!」
「「ライダーチョップ!」
「ライドルバリア!!」
一方のX達はかなり優位に立っていた。
ストロンガーのエレクトロファイヤーで中距離の敵を攻撃し、それを避けて接近してきた敵をライドルを用いて対処する。
さらにそこからライドルロングポールの爆発的な伸縮によってボディにダメージをくらわす。
体から毒煙をだすショッカーライダーに関してはその期間を潰し、対処していた。
「ライドルホイップ!!」
「ギッ…!」
「熱した刃は鉄を断つ…はぁああ!!」
「ぐうう…!」
「趙雲!一気に片付けるぞ!」
「ああ!所謂お約束だな!」
「…まあいいか」
XはライドルホイップによりショッカーライダーNo.3を斬り、ストロンガーは電流で極限まで熱した龍牙でNo.6を真っ二つにする。
ライドルロープを用い、残りのショッカーライダーを一ヵ所に集めると二人のライダーは必殺技を繰り出した。
「ストロンガー…電キックッッ!!」
「X…キィックッッ!!」
「「「「ぐああああ!!」」」
【ストロンガー電キック】と【Xキック】のある意味【ダブルライダーキック】が命中…ショッカーライダーは全滅していた。
――やけにあっさりしている…
勝利を核心しているストロンガーだったが…逆にXはどうにも違和感があった。
ここ最近出現している怪人はデルザー軍団が引き連れていない。
その疑問で頭が一杯だ。
「どうした?何か考え事でもしているのか?」
「いや…ちょっとな…」
「そうか…おお!そうであった!平沢よ、私は星だ」
「真名で呼べって?何でいきなり…」
「これだけ共に戦ったのだ、呼ばれぬのはおかしいだろう………それに追いつかねばな」
「?まあいいか。俺はリトでよろしく」
最後のほうが聞き取れなかったようだがこれで一安心したようだ。
だが…リトも、星も蓬も気づかなかった。
この戦闘を…いや、蜀に来てからの戦闘を今まで監視されていた事を…
「…――――様…」
「解っておる。…あのストロンガーはかつての我が宿敵ではない」
「おいたわしや…あの憎きストロンガーが、あのような小娘に…!」
「そう慌てるな…代わりに面白い人間を見つけたからな……クク…」
XXX「…今日で…後書きコーナー…最後です…」
一刀「嘘つけ!」
XXX「はい嘘でーす!」
XXX「今日は何月何日?4月1日…つまりエイプリルフールだよ」
一刀「…まさか今日に合わせて投稿したんじゃ…」
XXX「…………………………………違うよ?」
一刀「こんなことのために合わせたのかこいつ」
XXX「はい、気をとりなおして後書きコーナーするよー」
一刀「…メンマ杏仁豆腐…?」
XXX「昔俺が実際にやってみたやつ。ちなみにエチケットタイムに突入したぜ★」
一刀「ドンマイ…で、なんか微妙に長くないか今回?」
XXX「いやね、フラグとか考えてる内に…ねぇ?」
一刀「戦闘シーンやけにあっさりしてるし、それに解りづらい」
XXX「これが作者の限界だよ」
一刀「ショッカーライダーなぜに十一人?」
XXX「TV本編とSPIRITSの両方を出したかったからかな」
一刀「オードライバー予備あったんだ」
XXX「知ってるか?あれ作ったの、リト何だぜ?」
一刀「あと何気に昭和ライダー二人出たな」
XXX「俺の好きな昭和ライダーだからさ。ちなみに俺の名前…Xが由来なんだぜ?」
一刀「mjd?」
一刀「あ、そうだ。せ…華蝶仮面って今後出るのか?」
XXX「…はい、次回予告するよー」
一刀「露骨に無視するなよ!?」
一刀「…出るかどうか、作者次第か。次回、真・恋姫†無双巡る外史と仮面の魔神 三十七話は」
XXX「仮面編 “ある意味才能”」
一刀「(エイプリルフールだから嘘ついとこうかな…)…実は最近、全然立たなくなってきたんだ…」
XXX「じゃあ切る?」←チェーンソー装備
一刀「すみません嘘です」
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