「…き!……きろ士希!」
チッ、誰だこんな朝早くに…
「3秒以内に起きろ士希。じゃないと…」
3秒と言わず、後3時間は…
「ドタマぶち抜くぞ」
え?
「はい、いーち」
ダァン!
士希「2と3は!?」
俺は飛び起き、俺に向けられていた銃弾をかわした。
あ、危ねぇ。もう少しで一生眠り続けるところだった…
「チッ、やっと起きたか。手間かけさせるな」
士希「だからって、実の弟相手に拳銃ぶっ放すことないだろ!?」
そう。今俺に拳銃を突きつけているのは、俺の双子の姉の咲希だ。
実は俺、土日を使い実家に帰ってきていたりする。というのも…
咲希「こっちの準備は済んだんだ。さっさとミッドに行くぞ」
この天上天下唯我独尊傍若無人の姉を、ミッドチルダに送らなければいけなかったからだ
士希「はぁ、ほら、バイク借りて来たぞ。それとこれ、予約しといたキッチン付きのホテルの部屋の鍵」
咲希「ご苦労。なら私は早速ティアに会って来る」
士希「迎えは?」
咲希「明日の夕方頃だ。また連絡する」
士希「りょーかい。あんまり派手に暴れるなよ」
咲希「善処するさ」
ミッドに着いた俺は、姉の命令でバイクをレンタルし、事前に予約しておいたホテルの部屋の鍵を咲希に渡した。
そして咲希は、ミッドに住んでいるティアちゃんと言う子に会いに行った。
この俺は放置である
レーゲン「なんと言うか、とても男らしい女性ですね」
士希「レーゲン、それあいつの前で言ってみろ。真っ二つにされるぞ」
レーゲンは微妙に震えていた。
これでいい。レーゲンには悪いが、奴の凶悪性を知ってもらうにはこうするしか…
士希「さて、どこに行くかな。一応俺の分のバイクもレンタルしたし、適当にツーリングにでも行くか」
レーゲン「しきさん、免許持ってるんですか?」
士希「当然だな。ミッドと地球とで二種類あるぞ」
レーゲン「おー!すごいです!」
と言うことで、俺たちは適当に走ることにした。
行く当てもない小さな旅。晴れというのが幸いしたな。ツーリングには絶好の日だ。
そしてこんな日は…
士希「やっべーよレーゲン。あのベンチが俺を呼んでいる…」
絶好の昼寝日和だ…
レーゲン「マジですか!?マジで寝るんですかしきさん!?」
ごめんレーゲン。俺眠いんだ。寝不足なんだ。
夜中遅くまでF○7してたんだ。ナナキが可愛いのが悪いんだ
レーゲン「しきさーん!せめて!せめて何か飲み物を!僕喉乾いてて…」
士希「飲み物か…俺も欲しいな。じゃあ買ったら寝るか」
レーゲン「どうしても寝たいんですね!?」
俺はベンチの近くにあった自販機にやってくる。だが…
士希「なんだこれ?黒豆サイダー、カツサンドドリンク、いちごおでん?
なんですかぁこれは?地雷臭がプンプンしやがる」
こんなゲテモノ、誰が飲むんだよ
士希「どうするレーゲン」
レーゲン「むー、怖いもの見たさで、このレインボートマトジュースという物にチャレンジしたい僕がいる…」
おーおー、レーゲンは度胸あるなー。俺はどうするか……お!
士希「そこの赤毛の少年!」
赤毛の少年「え?ぼ、僕ですか?」
士希「そー、君だ。少しいいかい?」
俺は通行人らしき少年を捕まえる。わからなければ、聞いてしまえの精神だ
士希「実は俺たち、飲み物を飲みたいんだが、ここの自販機はどうもハズレが多そうでね。
君のオススメ等あれば教えて欲しいんだが」
赤毛の少年「えぇ!?僕のオススメですか?」
士希「あぁ。お礼はここのジュース一本でどうだい?」
少年はしばし考える。なるほど偉いな。知らない人に声をかけられたんだ。警戒はするさな
士希「悪い悪い。俺は雑賀士希という。そしてこっちがレーゲン。思いっきり不審者だったよね」
赤毛の少年「あ、いえ!そんなことは…」
はは、いい子だなぁこの子
赤毛の少年「あ、あの、それじゃあ、ここのオススメはヤシの実サイダーとザクロコーラとスープカレーです。
それ以外はなんとも…特にいちごおでんは…」
少年は恐る恐るオススメを教えてくれた。優しい子だなぁ。ハズレまで教えてくれたよ
士希「だってさレーゲン。どうする?」
レーゲン「それでも!飲みたいレインボートマトジュースがあるんだー!!」
どうやらレーゲンは冒険するらしい
士希「さて、お礼だ。君はどうする?」
赤毛の少年「え?本当にいいんですか?」
士希「もちろん。遠慮しなくていい」
赤毛の少年「あ、じゃあ、ヤシの実サイダーで!」
士希「うぃ!なら俺は、ザクロコーラにするか」
俺は3本のジュースを買い、先ほど見つけたベンチに座り、3人で飲み始めた
レーゲン「………」
微妙な顔のレーゲンと
赤毛の少年「♪」
ちょっとご機嫌な少年
士希「お、ザクロコーラ悪くないな。ありがとうな!えーっと、名前聞いていいのか?」
エリオ「あ、はい。エリオっていいます」
エリオ君は素直に答えてくれた。どうやら警戒心を打ち払ってしまったらしい
士希「そうか、ありがとうなエリオ君。エリオ君はここら辺の子なのかい?」
エリオ「あ、はい。この近くの施設に暮らしていて、今日は人と会う予定でここに来ました」
施設っていうと、この子は孤児なのか?だからか?年齢の割りに、妙に落ち着いて見えるのは
士希「そうか。その会う人ってのは、君のお友達かい?」
エリオ「いえ、僕の保護者になってくれた人です!」
そういうエリオ君は、とても嬉しそうにしていた。どうやら、その保護者と会うのが楽しみらしい
士希「そっか。なら今日は、いっぱいその保護者さんに遊んでもらうんだよ」
エリオ「はい!」
俺はエリオ君を撫でてあげる。エリオ君は最初戸惑うも、振り払う素振りはなかった
士希「さて、なら俺らは行くか」
レーゲン「あれ?寝なくていいんですか?」
士希「あぁ、目が覚めた。もう少し走るぞ」
エリオ「いっちゃうんですか?」
士希「あぁ。エリオ君の邪魔しちゃ悪いしな」
エリオ「そ、そんなことは…」
士希「ふふ、まぁまたどこかで会えるさ。その時は、またオススメのジュースを教えてね」
エリオ「あ、はい!わかりました士希さん!それでは!」
そして俺とレーゲンはバイクにまたがり、エリオ君に手を振って、バイクを走らせた。
小さな出会いだったが、少し楽しかったな
フェイト「あ、いたいた、エリオ!待たせちゃったかな?」
エリオ「あ!フェイトさん!こんにちは!」
フェイト「あれ?ジュース買ったの?」
エリオ「いえ!士希さんという方に買ってもらいました!」
フェイト「………え?」
次に俺達がやってきたのは街にある小さなカフェだった。
ちょうど昼時だし、ここらで昼食をとることにした
士希「何がいいと思うレーゲン?」
俺はメニュー片手にレーゲンに問いかけてみる。
レーゲンはとても真剣な表情でメニューを見ていた。
察するに、先ほどの失敗を受けて慎重になっているのだろう
レーゲン「むー、美味しそうなものがいっぱい…」
士希「はは、まぁ決まったら言ってくれ。さて俺はどうするか………あ、そこのお婆ちゃん」
よし、今日は人のオススメにチャレンジする日にしよう。
俺は近くのテーブル席にいたお婆ちゃんに話しかけてみた
お婆ちゃん「ん?私かい?」
士希「はい。お婆ちゃんのここのお気に入りとかありますか?
実はこの店初めてで、何が美味しいのかわからず…」
お婆ちゃん「そうだねぇ、私はパイが好きだね。
特にアップルパイとブルーベリーパイは、月に二回は食べなきゃ気が済まないね」
なんと、そんなものがあるのか
士希「だってよレーゲン。せっかくだし、アップルパイとブルーベリーパイ頼んで、半分ずつにしようぜ」
レーゲン「む、そうします。今回は素直に聞きます!」
賢明な判断だ
士希「お婆ちゃんありがとうございます!俺は雑賀士希と言います。こちらがレーゲンです。
そちらで一人で食べるより、こちらで一緒に食べませんか?」
俺はなんとなく誘ってみる事にした。せっかく四人掛けのテーブル席だし、飯は多い方が美味いからな
お婆ちゃん「おや、いいのかい?」
レーゲン「もちろんです!」
ミゼット「そうかい。私はミゼットっていう者だよ。よろしくね」
それから俺、レーゲン、ミゼットさんは一緒に昼食をとることにした。
ミゼットさん、いい人だなぁ。ポカポカしてる感じの人だ
レーゲン「アップルパイ、美味しい…」
士希「このブルーベリーパイもなかなか…今度作ってみようかな」
ミゼット「オレンジパイも美味しいよ。一口どうだい?」
士希・レーゲン「いただきます!」
やべぇよ。この人めっちゃいい人だ。しかもこのオレンジパイも美味い。こりゃまた来たいな
バァン!
士希「!!」
突如、店のドアが吹き飛ばされ、不躾な輩が入ってきた
強盗1「オォウラァ!テメェら全員動くな!」
強盗2「ヒャッハー!妙な真似したら、ブチ殺しだー!」
どうやら強盗らしい。杖を持った男が4人。魔導士か。まったく、ついてないな
レーゲン「(しきさん、倒しましょう!)」
レーゲンが念話を飛ばして来る。倒しましょうって、意外と好戦的だな
士希「(今暴れるのは得策じゃない。こんな狭いとこでやり合えば、他の客に被害が出るかもしれん。
だからなんとか隙見て、確実に…)」
ミゼット「あんた達、一体何が目的だい?」
み、ミゼットさーーん!?
ミゼットさんは立ち上がり、強盗の一人に話しかけた。
なんてこった、このお婆ちゃん、なんて危ない橋渡りやがる
強盗3「あぁ?んだこのババァ」
強盗4「生意気じゃぁん!ぶっ殺すじゃぁん!」
!!チッ!
士希「(予定変更だ。打って出る)」
久々だから、上手くいくかわからんが、俺は両手に氣を溜め、そして…
士希「フッ!」
強盗1「なに!グハッ!」
強盗2「なんだおまガァッ!」
立ち上がり、圧縮した小さな氣の塊を一番遠い所にいた強盗2人にぶつける。
強盗2人は衝撃に耐え切れず吹き飛んだ
強盗3「テメェ!なんの真似だ!?」
強盗4「テメェからぶっ殺すじゃぁん!」
残りの強盗2人がこちらに意識を向けるが、もう遅いんだよ
士希「ッ!!」
バキッ
強盗3「ゴァッ!」
俺は一気に接近し、低い姿勢から強盗3の顎目掛けてアッパーを決める。
強盗3の顎は砕かれ、大きな音を立てて倒れた
士希「ハァッ」
俺は止まらず、さらにそこから最小限の動きで強盗4を掴み、そして合気術を繰り広げる
強盗4「ぎゃー!」
強盗4は関節が決まると汚い悲鳴をあげ武器を手放す。俺は掴んだ腕を離さず、そのまま…
ボキッ
とりあえず関節を外しておいた。その痛みで強盗4は気絶したようだ
ミゼット「へぇ、やるじゃないか坊や。あんな一瞬で4人も制圧するなんて、大したもんだよ」
士希「はぁ、ミゼットさん、こっちは肝が冷えましたよ。なんであんな真似したんですか」
俺は倒れている強盗4人を見て回る。しっかり気絶しているようだ。被害が出なくて本当に良かった
ミゼット「私は管理局の人間だからね、放っておくなんてできないのさ。
それに、私が前に出れば、他のお客さんには意識が向かないだろ?少しでも時間を稼ぐつもりでいたのさ」
なるほどね。このお婆ちゃん、管理局の人間だったのか。となると、ある程度魔法も使えたのか?
あのままミゼットさんに任せても、意外と大丈夫だったのかもしれないな
「管理局や!強盗犯!無駄な抵抗はやめて、大人しくお縄につけい!お前らはもうすぐ包囲される!」
ミゼット「おや、どうやら管理局の方も来てくれたみたいだよ」
管理局の人間が来たからか、レーゲンとミゼットさん以外のお客さんや店員さんは店を出て行った
士希「そのようだな……って、げっ!」
そして、出て行った客と入れ替わるように入り口から入って来た管理局員は、八神はやてだった
はやて「あぁん?強盗がのびて……って!え?士希君?それにミゼットお婆ちゃんも!?なんで?」
士希「さぁ、なんでだろうな…」
本当にこいつとは、妙な縁があるな
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こんにちは!
副題「ミッドチルダでの出会い」士希サイドです!