ふさふさ、もふもふ…
「………ん?」
ふさふさ、もふもふ…
何か足元…いや、腰回りにいる。
朝、リトは目が覚めたのと同時にそう思う。
普通、人間はふさふさもふもふなんて感覚はしない。
だとすれば今自分の布団の中にいるのはなんだろう。
「…………」
「にゃー…」
「にゃー…」
「にゃー…」
「Zzz…シャムはまだ眠いのにゃ…」
布団を捲って見ると、そこには孟獲とそのお供がいた。
あら可愛い。
「って何でじゃぁあああ!!」
「「「にゃっ!?」」」
「Zzz…そんなに詰め込んだらダメにゃ…」
リトは思わず布団をひっぺがし叫ぶ。
それに驚いてか、孟獲、ミケ、トラは起きる。
ただしシャムは寝たまま。
「うにゃ~……あ、にぃなのにゃ。おはようなのにゃ」
「あ、おはよう。じゃなくて、何でお前らここにいんの!?」
「何で…?」
「あ、そーいえば昨日あにしゃまの部屋に潜りこんだとき、おかし食べたのにゃ」
「そーなのにゃ!で、お腹一杯になったからそのまま布団で寝たのにゃ!」
「で、何でにぃがみぃ達の部屋にいるにゃ?」
「ここが俺の部屋だからだよ!」
「Zzz…だいおー…バナナは被るものじゃないにゃ…」
「てかよく起きないなこの子!変な夢見てるし!」
――え、バナナかぶんの?どんだけでかいの?キングコングサイズ?
シャムの頭の中がどうなっているのかよく分からない。
正直この四人の相手は疲れると判断したのか、リトは顔を洗いに行こうとする。
すると、丁度よく扉が開き音々音が現れた。
おそらくリトを朝食に誘うためだろう。
「リト兄ィ!おはようございますなの…で…す…」
「あ、音々音」
「…何で美以達がリト兄ィの部屋にいるのですか?」
「にゃ?」
「ああ、これは…」
「リト兄ィの…」
音々音は変なオーラを纏い、一旦リトから距離をとる。
そして……
「浮気者ーーーーーーーーー!!」
「へぶぉッッッ!!?」
リトの股間にちんきゅーキックを炸裂させた。
「早く言ってくれればよかったのですっ」
「いや、だって聞こうとしなかったじゃん」
朝食も済ませ、リトの膝の上で音々音は少し怒っていた。
プンプンと言う擬音が聞こえてきそうで可愛らしいのだが。
…蹴りがリトの股間にダイレクトアタックした後、音々音はすぐに謝っていた。
音々音がお詫びに手当を、と言ったときにはリトは全力で断っていた…だって目が犯罪者ぽかったし。
それでそのあと朝食を済ませたのだ…ただ、
「にぃ!みぃと遊ぶのにゃ!」
「遊ぶのにゃ!」
「遊ぶのにゃー!」
「にゃ~…」
「むぅ…リト兄ィはねねとちんきゅーきっくの特訓をするのです!だから忙しいのですぞ!」
「俺聞いてないんですけど」
そう、美以達南蛮組が一緒にいるのだ。
何でか今朝からリトにべったりとくっついてくる。
曰く、『今日はにぃで遊ぶのにゃ!』とのことだ。
と、ではなくで、なのはどうかと思うが…。
ちなみに食事中に真名は許されていた。
「ま、でもいいか。やろうぜ、特訓」
「本当なのですか!?」
「暇だしな。それに、着地したときに怪我しないためにもいいし」
「にゃ?みぃ達も行くのにゃー!」
「「にゃー!」」
「にゃ~…」
「リト兄ィはねねと!ねねと特訓するのです!外野はいらないのです!」
「何でねねとを強調したんだか…」
やれやれだぜ、と言いたそうにリトは席を立つ。
とりあえず食器洗い手伝おうと思い厨房に向かうことにした。
で、中庭…
「ちんきゅぅぅー…きぃぃっく!」
音々音は元気に用意したマットに向かって飛び蹴りを放つ。
このマットはリトが用意したものであり、これは音々音が着地したときに怪我しないためでもあり、足に負担をかけないようにするようにするためのものだ。
これで音々音がやった蹴りの回数は十八回…結構やったので音々音は息を乱している。
体力面ではまだまだだな、とリトは持ってきた水筒を少し飲みながらそう思った。
「おーい、そろそろ休憩にするぞー」
「はぁ…はいなのです…はぁ…」
「にゃー!」
「待つのにゃ~」
「にゃははは!」
「むにゃむにゃ…」
音々音は胡座をかいたリトの上に座り、一息つく。
一方の美以達はにゃーにゃー言いながら遊んでいた…シャムを除いて。
どんだけ眠いんだよ、とリトは思いながらも音々音が喉が乾いていると思い自分が持っていた水筒を渡す。
そう、さっきまで飲んでいた水筒を。
「ほれ、喉乾いたろ?やるよ」
「ありがとうございますなのです…ってこここここれは…っ!」
「ああ、見よう見まねで作ったスポドリモドキ。口に合うといいけど」
「くくくくくちちちちちち…!(こここれはさっきリト兄ィが飲んでいた水筒なのです!と言うことはかかかかか間接…ちゅー!?)」
(何でキョドってんだろ?)
明らかに動揺している音々音を見て首を傾げるリト。
正直気づけよと言いたいのだが…ここで思わぬ展開になった。
何故ならば、美以達の悲鳴…と言うより鳴き声が聞こえたからだ。
「「「にゃぁああ!?」」」
「っ!?なんだ…!」
「くくくくくちちちちちち…」
「おーい、音々音ー?…ダメか、放置しとこ」
とりあえず音々音をその場に残し、リトは美以達のもとへ走る。
するとそこには…木の隅で怯えている美以達と、それに対してゆっくり歩み寄る三人の男がいた。
しかもその男達は…ショッカーの大幹部、ゾル大佐、死神博士、地獄大使だ。
生気の無い目と服装からもはや変質者にしか見えない。
「デルザーの気配がない…?じゃあ自然発生か?」
「にゃー!にぃー!こいつら変なのにゃー!」
「ゴ○ブリみたいなのいるにゃ!」
「Gの名前を言うな!せめてジョニーさんとか言え!」
「…はっ!」
トラに突っ込んでる間にゾル大佐は鞭でリトを攻撃する。
リトはゲッターサイトを取りだし防御…そして接近して柄の部分で死神博士とゾル大佐を弾き飛ばした。
残りの地獄大使を攻撃しようとするも、本人はすでに美以達に近づき攻撃しようとしている。
この距離だとヤバイ…そう感じたリトはとっさにボンゴレリングからある変身アイテムを作り出し、それを美以に目掛けて投げつけた。
投げつけられた本人は手に取り目を丸くし、地獄大使の標的がリトに移る。
「にゃ?」
「うおおお!」
「よしこっち来た!…美以、それで変身しろ!コイツらは俺一人でも大丈夫だが念の為に…」
「だいおー、なんかこれ美味しそうにゃ」
「でも固くて食べられそうにないにゃ」
「…じゅるり…」
「人の話を聞けー!?」
「ぶっ!」
リトが言い終わる前にミケ達は会話し始める。
それにちょっといらっときたリトは感情に任せて地獄大使の顔面にタイキックをぶつけた。
…まぁ、美以達が会話をするのも無理はない。
リトが美以に投げつけたものはバナナが描かれた南京錠と小型ナイフのようなものがついたベルト。
しかもそのベルトに関してはリトは見覚えがない…つまりリトの知らない世界のライダーのベルトと言うことだ。
[バナナ!]
「にゃ!なんかしゃべったにゃ!?」
「上におっきいバナナがあるにゃ!」
「食べるのにゃー!」
「にゃ~」
色々試していた内にベルトを腰に巻いた美以が解錠スイッチを押すと頭上にジッパーのようなものが現れそれが開き、鉄製のバナナのようなものが降りてくる。
ミケ、トラ、シャムは木登りをしてそのバナナ(鉄製)に飛び付いた。
その重みでか…バナナ(鉄製)は段々下に降りて来た。
すぐ近くにバナナ(鉄製)が来たことに興奮した美以は偶然にも南京錠…バナナロックシードを戦極ドライバーにセットし、自分もバナナに飛び付く。
そして…近くにいたシャムの足が小型ナイフを動かした。
[ロックオン!]
「みぃも食べるのにゃー!」
「だいおー、独り占めするのはダメにゃ!」
「こんなに大きいのは皆で食べなきゃダメにゃ!」
「にゃ~?なんか音がうるさいにゃ…」
[カモン!バナナアームズ!]
「「「にゃ?」」」
音声が流れ、バナナ(鉄製)は自動で美以の頭に被さり美以の身長がリトの胸近くまで成長する。
そして、体にライドウェアが装着され、バナナ(鉄製)は変形。
美以はリトの知らない仮面ライダーに変身していた。
[Knight of Spear!]
「にゃー!?みぃが大きくなってるにゃー!?」
「バナナにゃ!」
「バナナなのにゃ!」
「バナナにゃ~」
「えっ…バナナ、バナ…バナナー!?」
未だ地獄大使と交戦中のリトの絶叫がこだまする。
いきなりバナナが変形し鎧のようになったのだからだろう。
美以はリトの知らない仮面ライダー…仮面ライダーバロンに変身したのだ。
騎士のような風貌はいつのも美以とは全く結び付かない。
それもあっての絶叫だろう。
バロンはすでに持っていたバナスピアーを構え、リトに吹き飛ばせれ戻ってきたゾル大佐に突進する。
ゾル大佐は黄金狼男になり立ち向かうが、本来のすばしっこさもありなかなか攻撃できない。
一方のバロンはバナスピアーで黄金狼男を刺しているが…
「にゃ~…やっぱり使いにくいにゃ」
――バナスピアーを放り投げ、いつもの武器を取り出した。
「って捨てるなー!!」
「 」
放り投げたバナスピアーを広いながらリトはクウガに変身しそれを地獄大使の眉間に目掛けて投げつける。
しかもペガサスフォームだからか…見事にクリティカルヒット。
地獄大使はガラガンダーに変身することなく絶命した…憐れ。
クウガは近くの長い木をつかみ今度はドラゴンフォームに超変身…イカデビルになった死神博士にドラゴンロッドが火を吹く。
素早い動きで翻弄する二人の仮面ライダーにイカデビルも黄金狼男もたじたじだ。
「にゃー!うにゃー!」
「ああ…なんか違和感ある。…元の変身者に申し訳ない…」
「グオオオ!!」
「っと危ね!」
「イカアアア!!?」
黄金狼男が指からミサイルを放つのでクウガはドラゴンロッドでバットを振るうようにイカデビルに打ち返す。
当然イカデビルはダメージを負い、体の一部が焼き焦げる。
…それだからだろうか…バロンの本能が爆発し、動きが機敏になったのは…
「にゃぁぁぁぁぁぁああああ!!!!」
「い、イカアアア!!?」
「あ…ありゃ俺いらねぇな、うん」
クウガはうんうんと頷き、黄金狼男の腹にドラゴンロッドを打ち込む。
すかさず怯んだ所を狙い、クウガは両膝を殴打し頭を打ち付ける。
苦し紛れに黄金狼男はクウガに向かって引っ掻こうとするも…肝心の爪を当たる前にドラゴンロッドによって砕かれてしまった。
そして、黄金狼男は止めの【ドラゴンスプラッシュ】によって爆死することに。
「おらぁあああ!!」
「ぐぎゃああああ!!」
[カモン!バナナオーレ!]
「にゃぁぁぁぁ!!」
「イカアアア!!」
バロンの方も肉球スタンプの技でイカデビルを葬った。
――ほんと今回緩いな…
クウガはそう思いながらも、ミケ、トラ、シャムとわいわい戯れるバロンを見ていた。
てかすごいシュールだわ、と一言付け加えて。
「くくくくくちちちちちち…」
ちなみに音々音はリトが戻って来るまでこのままだったそうな。
XXX「作…ごへぇあ!!」←マンゴーパニッシャー衝突
一刀「作者ああああ!?」
XXX「ぬぅ…本来の変身者の天罰食らった…」
一刀「そりゃそうだろ、美以のバロンシュール過ぎるわ」
XXX「それはバナナのイメージで選んだ俺への冒涜か?」
一刀「冒涜も何もないだろ。あとリトガイムの世界に行ったこと無いのか?」
XXX「うん。個人的には昭和~ウィザード最終回(魔法石の中の話の前)までは旅してた」
一刀「まさか、バロン初登場のあの台詞やるためにそうした訳じゃ無いよな?」
XXX「…ショッカーの大幹部が色々と残念だって?戦闘回と言う名のギャグ回だから仕方ないのさ!」
一刀「無視しやがった!」
XXX「さーて、次は何からやろうかな」
一刀「ついにはアンケートさえやらなくなった」
XXX「だってコメント少ないし…」
一刀「あっそ。…こんな作者ですがよろしくお願いします」
XXX「戦闘続きじゃやだし…次回は普通の拠点かな」
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