No.665603

魔法少女リリカルなのは Strikers ダメ人間の覚悟

makeさん

第39話  過去と憤怒

2014-02-23 21:30:55 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:9489   閲覧ユーザー数:8289

なのは Side

 

透君を救出し病院へと搬送して1週間が経った。

 

艦から降ろした透君を密かに搬送するために乗用車で聖王医療院へと運んだ、運んでいる最中車内ではハルカちゃんが透君の左腕の治療とシャマル先生が傷の治療を引き続きしていた。

 

車の中って言ったけど、車はカリムさんが手配してくれた物でジープ並みのデカい車を用意してもらって、座席を倒せば透君一人を横に出来るくらいの広さは出来る。

 

そしてなんとか聖王医療院に到着した、医療院まですんなり行けたのは本当にラッキーだった・・・・・・とにかく到着すると既に響先輩も到着していた、響先輩は医療院に居る他の医師の方達と連携して手術に入った・・・・・・透君の状態を見た響先輩も流石に驚いていたようだったけど、すぐに冷静になって手術室へと向かった、緊急手術をする為に透君は手術室まで運ばれシャマル先生も響先輩と一緒に手術室に入って行った。

 

ちょうどその時、地球にいるお父さん達が聖王医療院に到着して私達と一緒に透君のことを待っていた、来てくれたのは勿論高町家と中村家、それに忍義姉さんとバニングス夫婦と響子ちゃんのお母さんも来てくれていた。

 

何でお父さん達が来たのかは・・・透君との戦いのずっと前に、ハルカちゃんが事前に連絡をしていたらしくて、透君が戻ってきた時にお父さん達が来てくれたんだけど・・・・・・タイミング的には悪い方だったなぁ・・・・。

 

私達は透君を手術室へと見送った後もずっと手術室の前にいた、1時間・・・・2時間・・・・・・・3時間・・・・・・・どれだけ時間が経ったか分からなかった・・・・・途中アリサちゃんやシャルルちゃん達やカリムさん達も駆けつけてくれたのは気付いたけど・・・・それから私はフェイトちゃんと一緒に皆に何か飲み物をって事で、自動販売機の方に行くことにした・・・・と言っても、動いてないと不安でしょうがなかったってだけなんだけど・・・・おそらくフェイトちゃんもだろうなっと思い一緒に行っている途中でスバルとティアナとギンガが手伝いに来てくれた。

 

どうやら3人もジッとしてられなかったみたいだった、人数分の飲み物を持っていった時にはエリオとキャロ、それにルーテシアちゃんとレヴィちゃんとレンちゃんが寝ていた、流石にずっと起きるには辛かったようだった・・・・・・時間を見ると深夜を回っていたから当たり前かな・・・・・・。

 

ちなみにハルカちゃんはあの管理世界から医療院まで、ずっとシャマル先生以上に力を使い続けた所為でエリオたちと同様寝ていた、だけどすぐに起きてソファーに座り込んで私達に「大丈夫♪大丈夫♪」と手をヒラヒラと振ってニヘッと笑ってはいたけど、長い付き合いだからわかるけど・・・・・それくらいの表情というか仕草は大体わかる、ハルカちゃんも透君と同じでなんだかんだで無理するからなぁ・・・・まっ、私も人のこと言えないんだけど・・・・。

 

そうこうしてるうちに気付けば日付が変わって夜中の4時に手術が終わり、透君は地球で言う所の『ICU』という場所に移し様子を見るって響先輩が言っていた。

 

集中治療室へと運ばれる透君をチラッとしか見えなかったけど、呼吸器や点滴のような物を下げていて治療した状態でも痛々しかった。

 

とりあえず安堵の表情を浮かべた私達・・・だけどその後手術着から白衣へと着替えた響先輩に私達は別室に呼び集められた、内容は透君の診断結果の事らしい。

 

別室にはレントゲン写真や色んな写真がボードに貼られていた・・・・・・これって・・・・。

 

響先輩はボードの前の位置に移動して椅子に座った、その様子はかなり疲れてるような感じだった・・・・当たり前か、透君の手術に何時間も掛かったんだから・・・・・だけどそれだけって感じでも・・・・・。

 

響「・・・とりあえず、彼の容態は安定してるわ。まぁ当然ね、ハルカちゃんやシャマルさんがここまで運んでくれるまで付きっ切りで治療してくれてたんだから、手術に立ち会った医者や看護師も驚いてたわよ?「この患者はこんな酷い容態なのに、何故左腕や内臓や各部位が無傷なんだ?!」って・・・・まぁそこは私から説明はしておいたけどね」

 

アリサ「ぇ・・・・・酷い容態って・・・・・どういうこと?」

 

アリサちゃんの問いに響先輩は「ハァ・・・・」と溜め息を吐き、カルテを手に取り見ながら話を進めた。

 

響「結論から言うわ、ここに運ばれた彼の状態・・・・・というか、それ以前の彼の状態は・・・ハッキリ言って生きているのが不思議なくらいだったわ」

 

ハルカ「・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

シャマル「・・・・・・・・・・・・・・」

 

先輩の言葉にハルカちゃんとシャマル先生は俯いた。

 

はやて「え・・・・っと、どないな状態やったんです?」

 

響「第一に出血量が多過ぎる点ね、普通ここまで出血してれば間違いなく死んでいるわ・・・・次に、大体をハルカちゃんが治してくれてたから助かったけど・・・・・これらの写真はハルカちゃんとシャマルさんが治療する前にヤクモ達が透君の身体を詳細に調べてくれていたんだけど・・・・・・」

 

ユーノ「いつの間にそんなことを・・・・」

 

リコ『皆さんがマスターをどこに搬送するかを決められていた時に』

 

エリオ「あの短時間で?!」

 

響「・・・・ま、とにかく」

 

響先輩は持っていたプレートに目を落としながら私たちに透君の症状を伝えようとしてくれたけど、その表情はどこか痛々しい感じで・・・・・悲痛な表情って言った方が正しいのかな?

 

響「『カラミティ』って奴が取り付いていた所為なんだけど・・・・・・・・神経や血管及び筋繊維等がズタズタになってたし、心臓は僧帽弁や三尖弁・・・肺動脈などに大きな損傷が出てた、他にも肝臓や腎臓といった内臓もメチャクチャに裂けていたわ・・・・」

 

なのは「・・・・・・・・」

 

フェイト「・・・・・・・・・」

 

響「それに『カラミティ』って細い糸状にして彼の骨や神経などに纏わり付いて、それを彼自身が無理矢理剥がしたんでしょ?」

 

ハルカ「透自身っていうか、透の中にいる別の奴なんですけど・・・・・・まぁ大体そんな感じです」

 

響「??よくわからないけど、まぁとにかく無理矢理剥がした所為で彼は自分の寿命を縮める羽目になったわね」

 

すずか「っ・・・・・・・」

 

響「皆の気持ちは分かるわ、正直私もこの状態を見たときは一瞬だけど流石に呆然としたわよ、よくこれで生きてるってね・・・・・・とまぁここまで言ったけど、ハルカちゃんやシャマルさんのお陰で手術も短縮で済んで何とか助かったわ」

 

響先輩の「助かった」という言葉に私たちは安堵の溜め息を目一杯吐いた、肩の力一気に抜けるのを感じた。

 

響「ホント・・・この状態で助けるなんて、流石はハルカちゃんとシャマルさんね・・・・・そして、そんな状態になっても立ち上がって人を殴り尚且つ死にかけから助かるなんて、彼の生命力にも・・・・ってこれは感心すればいいのか呆れればいいのか・・・・迷うわね」

 

ハルカ「ホントですね」

 

響「・・・・・・・・・・・で、これからどうするの?」

 

はやて「ハイ?」

 

響「いや、目的の透君は助けることが出来たわけだけど・・・・・・このままってわけにはいかないんじゃないの?」

 

フェイト「・・・・・・・それは・・・・そうですけど・・・・・・」

 

響先輩の言っていることは尤もだった、仮にも透君は管理局にも世間的にも脅威とされている犯罪者扱い・・・そんな彼を野放しに出来ない(折角また会えたのに!!!)し、捕まえて本局に引き渡すと100%死刑とされる・・・・・いや今の管理局じゃぁ何かと理由をつけて隠蔽して透君をまた実験の道具にするかもしれない。

 

ハルカ「・・・・確かに・・・・・どうしようかしら・・・・・・・」

 

はやて「せや・・・・・なぁ・・・・」

 

はやてちゃんやハルカちゃんも流石にすぐに答えが出せないでいた。

 

そんなことを考えていると意外なところから声が掛かった。

 

 

 

 

ヤクモ『迷っておられるのでしたら、これまでのマスターの行動をお見せしましょうか?』

 

 

 

 

突如沈黙の空間の中で響いた声の主は、アインスさんが座っている方向・・・・・透君のデバイスのヤクモ達だった。

 

何でアインスさんが持っているのかと言うと、あの戦いからそのまま聖王医療院にずっといたからアインスさんが持ったままだったんだっけ?

 

ヤクモが誘ってきた言葉に響子ちゃんはコンマ1秒に満たない速さで返事をしようとしてたけど、例の如くハルカちゃんに拳骨を喰らって沈んちゃった。

 

リンディ「お見せしましょうかって・・・・・何でそれを?」

 

ライラ『流石に全部をお見せする事は出来ませんが、このままではいつまでたっても決断は出せないでしょう?・・・・・いえ、今の管理局では決断しようにも出来ませんね・・・・・』

 

リコ『今の管理局の状態では、皆さんの行動は皆さんでお決めになるしかないでしょう・・・・・これはそのお手伝いと・・・暇潰し程度のことです』

 

はやて「暇潰して・・・・・せやけど確かにヤクモ達の言うとおり、今の管理局は上が責任の擦り付け合いや透君が襲っとる研究所についてなどの真相究明やらなんやらで、色々ゴタツイとるようやし・・・・・・」

 

ハルカ「それに上の連中は何が何でも透を主犯格にして、実はマダラの自作自演でしたってことにして無理矢理隠蔽しようとしてる連中もいるようだし」

 

フェイト「・・・・・そうなの?」

 

はやて「うん・・・・それに、中には元々知らんかった上層部の中には研究所の内容にそこまで反対せぇへん連中もいてるし・・・・・こら本格的に上は信用出来へんようになってきたし・・・」

 

管理局が・・・・そこまで堕ちてたなんて・・・・・・・・・今まで解ってたつもりでいたのに・・・・何も知らなかったんだ・・・・私・・・・そんな中透君は一人で戦ってたんだ・・・・戦い続けてたんだ、やり方とかは間違いなんだろうけど・・・・・でも・・・・。

 

ヤクモ『それにマスターのご指示でもあります、マスターは皆さんに見てもらおうとも思っていらしたそうですよ・・・・・皆さんが判断できると信じて』

 

また透君は・・・・そんな勝手に思って・・・・・でも・・・・それなら・・・・・・・・。

 

なのは「・・・・・・ヤクモ、見せてくれない?」

 

何も知らないで何かを決めるなんてこと・・・・・・出来ない!透君が何であんなことをしてるのか、管理局がどんなことをしてるのかを私たちは知らないといけない!

 

ハルカ「!・・・・なのは」

 

私の行動にハルカちゃんは少し驚いていたようだけど、すぐに平静になって私の肩に手を置いて声をかけてきた。

 

ハルカ「いいの?アンタはそれを見て・・・・・決められるの?」

 

なのは「ハルカちゃん・・・・・・」

 

ハルカ「それを見ると、確かに分かるかもしれないし、これからのことが決まるかもしれない・・・・・・だけど、これは予想だけど・・・それを見ると今までのような日常とかにはならないわよ?それでも・・・見るの?」

 

ハルカちゃんも本当はみたいに決まってる、だけど私達を引き留めようともしてくれてる・・・・その証拠に肩に置いてる手が若干だけど震えてるもん。

 

なのは「・・・・・優しいねハルカちゃんも、だけどね?透君はたくさんの研究所を襲撃して世間から大犯罪者って呼ばれてたんだよ?自分の日常を取り戻すことなんていくらでも出来たはずなのに、でもしなかった・・・・それは何で?襲い続ける理由は?」

 

アリシア「なのは・・・・・」

 

なのは「確かに戻れないかもしれないね、でも・・・・・何も知らないでこのままのほほんと暮らせない、暮らすことなんて出来ないよ・・・・透君をここまで苦しめる存在を・・・・・私は知りたいの!」

 

私はハルカちゃんの目をしっかり見て、ハッキリと言った。

 

ハルカ「・・・・・・・・・」

 

なのは「・・・・・・・・・」

 

ハルカ「・・・・・・・・フッ、そう」

 

しばらく室内は静まり返ったけど、ハルカちゃんの声で打ち破られた。

 

ハルカ「まっ!私も超気になるから、別にいいんだけどね~」

 

フェイト「・・・・ハルカ、なのはをダシにするなんて・・・・・・・」

 

シグナム「しかし、理由はどうあれ我々も見たいと・・・・・知りたいとは思っていた」

 

はやて「せやな、不謹慎やけど・・・透君のこれまでの歴史や・・・・管理局の行いやらを見せてもらわんと何とも言えんわ」

 

なのは「だからヤクモ、お願い・・・私達にその透君の行動を見せてくれない?」

 

他の皆も私達とほぼ同意見だったようで、皆見る気満々って顔・・・・というか目をしていた。

 

ヤクモ『分かりました・・・・・・が、その前に一つ・・・・いえ二つ程やらなくてはならないことがあります』

 

シャマル「やらないといけないこと?」

 

リコ『ハイ、まず一つは場所です。ここでは全員で見るには少々狭すぎるかと』

 

クロノ「なら一度、『クラウディア』に行こう、あそこだったら全員で見れるような広い部屋はある」

 

ハルカ「場所の確保は出来たっと・・・なら二つ目は?」

 

ライラ『ハイ、そのことなんですが・・・・・・響さん、折り入ってお願いが』

 

響「?何かしら?」

 

ヤクモ『先程の手術の時に道具や衣服などに付着したマスターの血液、もしまだ処分されていないのでしたら一部でもよろしいので持ってきていただけませんでしょうか?』

 

ヴィータ「んなっ!?何でんなモンがいるんだよ!?」

 

ヤクモの驚きの言葉にヴィータちゃんが食って掛かった。

 

ライラ『詳しい理由は後程、それに血液は人間にとって記憶などや記録の宝庫、マスター視点や奴らに捕らわれたマスターの身に何があったのかが分かります」

 

すずか「そんな機能・・・・普通デバイスには無いよ?!」

 

リコ『我々は特別・・・・・・・・と言いますか、マスターのご両親がこのような機能を付けられたのです・・・他にも多数』

 

なのは「透君のご両親って、確か凄い研究者だったんだよね?」

 

ヤクモ『その通りです、それよりも・・・・・どうでしょう?』

 

響「・・・・・難しくはないかもしれないけど、あまり期待しないで欲しいわね」

 

そう言いながらも駆け足で出て行った響先輩、あの様子だと何が何でも見つけようとするに違いないだろうけど・・・・・・大丈夫かな?

 

その間私たちは『クラウディア』へと場所を移し広いミーティングルームに着いた、ちょうどその時響先輩も到着し、その手には手術で使ったゴム手袋が握られていた。

 

普通持って来ることなんて出来ないのに、よく持って来ることが出来たなぁ・・・・・。

 

私は気になってそのことを聞いてみると・・・・・。

 

響「大したことはしてないわ、ただ捨てられる前にくすねてきただけだから」

 

とサラッと言い放った。

 

・・・・・・響先輩って偶に大胆なことするからなぁ・・・・。

 

えぇ~っと・・・とにかく!持ってきたゴム手袋の上にヤクモ達を置くと、宝石部分が少し光っただけですぐに『終わりました』と告げてきた。

 

そしてヤクモ達を中心に私たちは座った。

 

ヤクモ『では始めますが、我々が今から出す映像は少々特別と言いますか、変わっておりますが・・・・・そのあたりは無視してください』

 

ハルカ「・・・・それも、透のご両親が?」

 

リコ『ハイ・・・・』

 

ライラ『では、始めます』

 

ヤクモ達の言葉が終わると、ヤクモ達の宝石部分が激しく光りだし私は思わず目を瞑った。

 

そして光が収まり目を開けると、周りの景色が変わっていて、何より驚いたのが私は座っていたはずなのに今は立っている・・・それにさっきまでミーティングルームに居たはずなのに・・・・今は・・・・・・。

 

 

 

 

 

 

全く見たことがない世界、辺り一面植物が生い茂っている世界が広がっていた。

 

 

 

 

 

なのは「こ・・・・これって・・・・・・・・」

 

アリサ「ちょっと・・・・・何よコレ?アタシ達、さっきまで艦の中に居たのに・・・・何でこんな草やら変な植物がある所に移動してんのよ!?」

 

すずか「・・・・・・アリサちゃん、私たちは移動したんじゃないよ、それにこれは映像・・・・・それもかなり高度な超立体映像だよ」

 

すずかちゃんは冷静にこの状況について分析をしていた、流石技術者ってところかな?

 

ティーダ「どういうことだ?」

 

すずか「この映像は見ている本人たちが、あたかも自分たちがそこに居るかのように錯覚させる・・・・・というか臨場感溢れる映像だけど・・・・こんな感じかな?」

 

ライラ『概ね正解です、理由は簡単でマスターのご両親・・・主にお父上が「こうした方が面白いだろ?」といった軽いノリで付けられたんです』

 

エアリス『ノリで改造されちゃったんだ・・・・・・・』

 

シャーリー「ま、まぁ井上 泰山博士はかなりの変わり者として有名でしたからねぇ~・・・・・・」

 

ヤクモ『えぇまぁ・・・・・それで、ここはマスターが地球へと向かう前に育った管理外世界の『リヴァーヴ』という所です』

 

ユーノ「『リヴァーヴ』・・・確か、ミッドや他の世界にある植物や絶滅した植物、どこの世界にも存在しない貴重な植物が多数あるという噂の管理外世界だよね?」

 

リコ『その通りです』

 

リンディ「・・・・・・懐かしいわ」

 

クロノ「懐かしいって・・・・・母さんは『リヴァーヴ』に行ったことがあると?」

 

リンディ「え、えぇ・・・・」

 

リンディさんは何か答えにくそうに、そして何かを悔やむような顔をして顔を伏せた。

 

ヤクモ『それはそうです、リンディさんはマスターのご両親が亡くなられる数日前に、この世界へと訪れられていたのですから』

 

フェイト「えっ?!」

 

ハルカ「・・・・・マジで?」

 

リンディ「・・・・・・・・本当よ、あの時はクロノがまだ執務官として『アースラ』に来る前のことで、彼の母・・・井上 咲からこっそり教えてもらってたから、休暇という名目で彼女たちに会いに行ったのよ・・・・・その時に透君とも会ったんだけど・・・・」

 

ビックリした、本当にビックリした・・・・まさかリンディさんが透君のご両親に会っていたなんて・・・・・・・。

 

ライラ『まぁそのあたりの所は只今から・・・・・ほら、来ましたよ?」

 

ライラの言葉に反応して私たちは周囲を見た、そこには二人の男女が何かを抱えながら走ってくるのが見えた。

 

男女は何かから逃げるようにして走り、そして抱えているモノを大事そうに・・・・絶対離さないように抱えて走っていた。

 

そこで私は直感した、きっとあの男女が透君のご両親なんだって・・・・・そしてあの二人が抱えているモノ・・・・それが・・・幼い頃の透君なんだってことが・・・・・。

 

そこからはヤクモ達の説明を踏まえて私たちは見ていた、透君の出生、ご両親の死、地球へ来てからの日常、そして消失・・・途中、確かにリンディさんが透君の両親に会っている所が映し出されていた・・・リンディさんの表情は悔しさでいっぱいな感じだった。

 

本当ならじっくりと透君のご両親の顔を拝見したいと思ったけど、そんな気分になれなかった・・・・・・当たり前だよね?

 

そして、ここから・・・・また私たちの知らない、そして透君のこれまでの行動が映し出された。

 

ジェイル・スカリエッティに拾われた所、ゼスト隊長たちと戦っている所、シュテル達やハリベルさん達と対峙した所、シグナムさんやヴァイス君とティーダさん、それに小さい頃のナカジマ姉妹と会っていた所、聖王教会を襲撃した時の映像なども流れた。

 

そこまでは本人たちから聞いていたから想像できたけど、そこから・・・・もしくはそれら以前のものは見たこと無かった。

 

 

 

Side Out

 

 

 

 

~回想~

 

 

ヤクモ ライラ リコ Side

 

 

皆さん、マスターの本当の目的をご存知ですか?

 

ハルカ『透の本当の目的って・・・・そんなの私達を護る為にじゃないの?』

 

確かに最初の頃はそうでした、ですがそれは途中まで・・・・現在は・・・・・まぁ似たようなものなのですが、別の目的の基に動いておられたのです。

 

なのは『別なもの?』

 

それは後程、ここからは皆さんが知らないマスターの・・・・マダラとしての行動ですね。

 

マスターは色んな施設に入り破壊活動をしていらした事は皆さんは御存じのはずです、ですがそれでもマスターにとっては必要な事でした。

 

マスターにとっては生きるモノ・・・・主に人間でしたが、実験に使われていた人間を助ける為でもありました・・・もちろん人間だけでは無く動物もですが。

 

ですが行く先々ではいつも成功と言うわけではありませんでした。いくつかの施設では儚い命も・・・・・ここもそうです。

 

マダラ「お前達には逃げ場など無い・・・・大人しく情報を出しさえすれば危害は加えない」

 

研究員「くっ・・・・・・っそぉ」

 

ここでは獣人・・・・つまり動物と人との遺伝子的な組み合わせを行っていた研究所でした、ここではハリベルさんのような方達の他に、通常の人間の赤ん坊までも居ました。

 

後で分かった情報では人同士で産ませた赤ん坊だけでなく、通常の成人などにも動物の遺伝子を加えるという実験もしていようで、一応は成功したそうですがまだ実験段階だったそうです。

 

研究員「何で・・・何で私が・・・・こんな目に・・・」

 

マダラ「奴等に媚び諂(へつら)い、くだらん物を造り上げて満足していた・・・・・それだけでも十分罪深いものだ、当然の結果だ」

 

研究員「私が・・・・・・私は・・・・発展を夢見てここまで・・・・・」

 

マダラ「・・・・・・愚かな己の人生にでも呪うんだな」

 

研究員「こんな・・・・・こんな事があって・・・たまるかぁぁぁぁぁ!!」

 

するとその研究員は近くにあった獣人を培養する為のポッドにある仕掛けを作動しました、ポッドの中にいる獣人を溶かす為の液・・・・とでも言いましょうか、人体にはなんの栄養もありませんが中にいる幼い獣人にとっては・・・・。

 

マダラ「貴様っ!?くっ!」ヒュンッ!

 

研究員「ぐはっ!?」バキィッ!

 

マスターは勘で気付きすぐに研究員を蹴り飛ばし、ポッドをすべて叩き割りました、ですが幼い獣人にとってはいきなりの外の空気に触れるのも毒に等しかったのかもしれません。

 

マダラ「おい!しっかりしろ・・・・・おいっ!!」

 

マスターは一体の獣人を抱きかかえ必死に呼びかけました、最初は鳴いていた獣人の赤ん坊でしたが次第に鳴くのを止め・・・いえ、活動を停止させました。

 

マダラ「っ!・・・・おい・・・・・・目を開けろ・・・・・両親に会いたくないのか?目を・・・・・目を・・・・・開けろぉ・・・」

 

マスターの最後までの呼びかけにも反応する事はありませんでした、他の獣人も同様でした。

 

マダラ「・・・・・・!」ガァァン!

 

マスターは自分の不甲斐無さか、それともこんな非道な研究を行った奴等への怒りなのかは分かりませんが、とにかく近くにあったポッドの鉄の部分を思いっきり殴りました。

 

なのは『透君・・・・』

 

フェイト『酷い・・・・こんな事をしてたなんて・・・・・』

 

はやて『こらぁ、透君が管理局を拒否するのも頷けるっちゅー感じやな』

 

マダラ「・・・・・・・・・」

 

ドゥーエ「マダラ・・・・・・・」

 

チンク「大・・・・丈夫か?」

 

付き添いで来てくださったドゥーエさんとチンクさんも流石にどう声を掛けたらよいのか分からなかったようでしたが。

 

マダラ「・・・・・・何をしている?」

 

ドゥーエ「え・・・・」

 

マダラ「情報の抜き取り作業及び抹消をやるぞ」

 

チンク「あ、あぁ・・・・・」

 

マダラ「さっさとやるぞ、こんな事でいちいち悲しんでいたらこの先やっていけないだろうからな」

 

ドゥーエ「・・・・そう」

 

マスターは抱えていた獣人の赤ん坊を他の赤ん坊たち同様『神威』でとりあえず自らの空間に入れ、後で埋葬するようにしました。

 

ちなみに他の獣人、または実験に利用されていた人は破壊する前に解放しました。

 

 

更にはこんなこともありました。

 

とある研究所を襲撃した時、その研究所があった場所には少し移動したところに海があるのですが、何分距離が開いておりました。

 

その研究所でも偶々マスター達の襲撃を逸早く知った研究者たちがマスター達に研究内容を盗られる等を恐れ、研究していたものを処分し自分達は即逃走を図っていました。

 

アリシア『その研究内容って?』

 

研究内容というのは、他と変わらない『力を持った獣人』と・・・・・・・・・・『欲求を満たす道具』。

 

フェイト『!!』

 

獣人に至っては胎児の状態から他の種族の遺伝子を加え、その種族の特性を持った人・・・・獣人を造り出す事。

 

しかし、その研究所は他の研究所や管理局の上の者達の注文で・・・・性欲を満たすだけの為に研究され、造られた獣人もいました・・・・・・・というより、これがほとんどです。

 

恭也『ほ・・・・ほとんど・・・?』

 

はい、そしてマスターが到着した時には既にもぬけの殻・・・・造られた獣人達もほとんどが死に絶えていました。

 

エリオ『く・・・・』

 

しかしその中で、まだ息のある者もいました。

 

キャロ『え、じゃぁ!?』

 

・・・・残念ながら、死ぬように施されていたため・・・・助けようがありませんでした。

 

美由希『そんな・・・・・』

 

これがそうです・・・ちなみに、その獣人の名はミュウと言い、地球でいうライオンのような生物と人間の胎児を組み合わせた獣人ですが、生物兵器にしては珍しく攻撃性がまったく無い者でした。

 

 

ミュウ「ねぇ・・・・・」

 

マダラ「・・・何だ?」

 

ミュウ「私って・・・・・・死んじゃうのかな?」

 

トーレ「・・・・・」

 

セッテ「・・・・・・」

 

ウェンディ「っ・・・・・・・」

 

同行していたトーレさんとセッテさん、それにウェンディさんも流石に声を出すのを躊躇っており、マスターの代わりに黙々と作業を続けていました。

 

マダラ「・・・・あぁ、死ぬ」

 

マスターは一瞬考えられましたが、彼女が死ぬことを告げました。彼女自身も自分が死ぬことを知っているようでした・・・・・マスターも変に誤魔化さず率直に告げたのです。

 

ミュウ「そっか・・・・死んじゃうんだ・・・・・・嫌だなぁ・・・・」

 

マダラ「・・・・・・・」

 

ミュウ「・・・・・・・」

 

マダラ「・・・・何か・・・」

 

ミュウ「え?」

 

マダラ「何か・・・・やりたい事は無いか?」

 

ミュウ「やりたい・・・・・事?」

 

マダラ「そうだ、やりたい事・・・・やり残したものがあっては、気持ちよく逝けれんだろう」

 

ミュウ「・・・・・・」

 

ミュウはしばらく黙りこんでいましたが、すぐに顔を上げマスターをジッと見ました。

 

ミュウ「なら・・・」

 

しばらく黙っていたミュウは口を開きました。

 

ミュウ「なら・・・・・私・・・海が見たいな」

 

マダラ「海・・・・だと?」

 

ミュウ「うん・・・・・・私・・・外に出たことなくて、外の世界を見たこと無いんだ・・・・・いつも誰かに聞いてばかりだった」

 

マダラ「・・・・・・・・・・」

 

ミュウ「聞いてた中で一番見てみたいのが・・・・・」

 

マダラ「海・・・・というわけか」

 

ミュウ「ふふ・・・・そういうこと、土の地面のことは一度施設内の模型とかで見たことがあるけど、海はまったく見たことがないんだ・・・・湖や池は見たことはあるけど」

 

マダラ「そうか・・・」

 

ミュウ「ダメ・・・・・・・かな?」

 

マダラ「いいだろう」

 

ミュウの最後の希望にマスターは一言言った後すぐに了承しました。

 

ミュウ「・・・・・・いいの?」

 

マダラ「そう言ったが?」

 

ミュウ「頼んでおいてなんだけど・・・・・本当にいいの?」

 

マダラ「くどいぞ・・・・・お前の頼みを聞いて断るほど、俺達は無能ではない・・・それに、ここでの仕事は終えている・・・お前の気にすることではない」

 

ミュウ「ぁ・・・・・じゃぁ本当に?」

 

マダラ「・・・・潮風は身体に障るが、しっかりと目に焼き付けておけ」ギュイィィン・・・

 

ミュウ「う・・・・うん」

 

マスターはミュウとご自身、そして作業を終えたトーレさん達と一緒に『神威』を使い移動しました。

 

そして海が見渡せる崖へと移動しマスターはミュウを抱え崖の淵に座らせました。崖と言ってもさほど高さも無く、2,3メートル程しか高さはありませんでした。

 

マスター達の後ろにはトーレさん達が静かに立っており、マスターが隣に座るとミュウはマスターの肩に頭を乗せるように寄りかかっていました・・・・・もう自身を支える力も残っていなかったのでしょうね。

 

ミュウ「海って・・・・・こんなに広いんだ・・・・・・」

 

マダラ「満足か?」

 

ミュウ「うん・・・・・時々吹くこれって潮風っていうんだよね?この潮の匂いも・・・・私好きだな」

 

マダラ「・・・・そうか」

 

ミュウ「ねぇ・・・・・・」

 

マダラ「何だ」

 

ミュウ「仮面・・・・外してよ、あなたの顔を最後に見ておきたいからさ」

 

マダラ「・・・・・ダメだな」

 

セッテ「ちょっと、マダ「なんだ・・・残念」・・・・・・・」

 

ミュウ「じゃぁさ、何か海に関する事を教えて」

 

マダラ「海に関する事だと?」

 

ミュウ「うん、何でもいいから」

 

マダラ「何でも・・・・か・・・・ふむ・・・・」

 

マスターはいきなりの注文に対し少し困ってしまいましたが、すぐに軽く咳をし喉を鳴らしました。

 

そしてマスターの取った行動というのが・・・・。

 

 

 

 

 

マダラ「・・・ヨホホホ~ヨォホホォホ~♪」

 

 

 

 

 

 

マダラ以外「!」

 

そう、マスターの取った行動は歌を歌うことだったのです。

 

驚いているミュウ達を他所にマスターは気にせず歌い続けていると、突然ミュウが笑い始めたのです。

 

ちなみに後ろの3人も笑っていましたが、必死に笑いをこらえようとしていました。

 

ミュウ「プッ・・・・プッフフフフ」

 

マダラ「ん?」

 

ミュウ「アハハハハ!」

 

マダラ「何だ突然」

 

ミュウ「だって!いきなり変な歌を歌うんだもん!そりゃ笑うって」

 

マダラ「失礼な、これは列記とした海に関する歌だ、この歌は海賊たちが歌うことで有名な曲だ(まぁ漫画の中でのことじゃけど)」

 

ミュウ「そうなの?」

 

マダラ「あぁ、俺の好きな歌の一つだ」

 

ミュウ「そっか・・・・・じゃぁその歌の続きを聴きたいな、お願い」

 

マダラ「・・・・・了解した」

 

そしてマスターはミュウの注文通り歌い続けましたが、歌の途中ミュウはマスターの膝の上に倒れてしまいました。

 

マダラ「どうした?!」

 

ミュウ「ぁ・・・・・・ごめん、歌・・・・最後まで聴きたかったんだけど・・・・何だが・・・・身体が重くってさ・・・・・・それに眠くなってきて・・・・・・」

 

マダラ「!!待てっ!まだお前に聴かせる歌が、海に関する歌が残っている!居眠りすることは許さんぞ!」

 

ミュウ「そう・・・・なんだ・・・・・・・・ごめんね」

 

マスターは必死にミュウに呼びかけましたが、ミュウの呼吸はどんどん小さくなっていくばかりでした。

 

マスターもそのことを察し、それ以上は何も言いませんでしたが、ミュウが息も絶え絶えながらも声をかけてきました。

 

ミュウ「ね・・・・・ねぇ・・・・」

 

マダラ「・・・・何だ?」

 

ミュウ「最後の・・・・・お願い・・・・・言って・・・・・いい?」

 

マダラ「言ってみろ」

 

ミュウ「私の身体・・・海に・・・・・・沈めてくれない?」

 

マダラ「っ!」

 

ミュウ「どうせ、私を知る人なんて・・・・・あなたたちしかいない、それに私・・・・・・・この海でなら・・・・・静かに眠れそうな気がするんだ・・・・・・」

 

マダラ「・・・・・いいだろう、特別に手前ではなく海の真ん中辺りまで連れてってやる・・・・もう一つの歌付きでな」

 

ミュウ「あは・・・・・それ最高」

 

そしてマスターはミュウをお姫様抱っこで抱え、海の上に立ち歩きました。後ろからトーレさん達も空中ですが付いて来ました

 

マスターは歩きながら、言っておられたもう一つの歌を口遊みながら海面を歩きました。

 

 

 

 

 

 

マダラ「う~みは見~ているぅ~♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

ゆっくりと、そしてハッキリとミュウに聴こえるように歌い始めたマスター。

 

ミュウ「・・・・・・その・・・・歌は?」

 

弱ったミュウは力を振り絞り、なんとか声を出しマスターに聞きました。

 

マダラ「・・・・・これは、とある海の兵士・・・・海兵が歌った曲、『海導』という曲名だ」

 

ミュウ「『海導』・・・・・・・」

 

マダラ「この歌は戦死した海兵を讃える意味が込められている歌だが、お前の場合は違う方になるな」

 

ミュウ「あぁ・・・・だからか・・・・・・・悲しそうな歌だもんね・・・・・でも何で私の場合は違う方って?」

 

マダラ「・・・・・この歌の裏にはな、教え子たちに死んでほしくないという教官たちの想いも込められている」

 

ミュウ「・・・・・・・それって・・・・」

 

マダラ「・・・・・・お前は静かに、この歌の終わりまで聴くことだ・・・・歌が終わるまで、居眠りをすることは俺が許さん」

 

ミュウ「・・・・・・・・ふふ、分かったよ」

 

ミュウは納得した表情で海を向こう側を見て、マスターの歌を聴いていました。

 

マスターも歌を始めから歌い直し、引き続き歩いていましたが・・・・・・。

 

なのは『・・・・・っ・・・・すんっ・・・・ぅっ・・・・』

 

エリオ『ぐすっ・・・・・ぅぅっ・・・・・・・』

 

やはり・・・・・皆さんもですか、この歌を歌っているとき、後ろに付いて来ていたトーレさん達も時々目頭を押さえている所も見受けられました・・・・ウェンディさんに至っては、普通に泣いてましたが。

 

しかし、ミュウの容体は悪化していき、そして・・・・・・。

 

ミュウ「・・・・・・・・・・・」

 

トーレ「!?・・・マダラ!」

 

マダラ「・・・・・・・・・あぁ・・・・わかっている・・・・・」

 

トーレさんの突然の声にマスターは何のことか、気付いており冷静な声で答えました・・・・・そう、ミュウは既に息を引き取っていたのです。

 

マダラ「・・・何を勝手に居眠りをしている、俺は言ったはずだぞ?居眠りをすることは俺が許さんと・・・・・なのに、貴様はそれを破りおって・・・・まだ歌も途中だというのに」

 

マスターは歩くのを止め、抱えていたミュウの身体を地面に下ろすかのようにゆっくりと背中から海に沈めたのです。

 

マダラ「海の中は暗い、だが・・・・俺達が最後まで居てやる・・・・・・お前の墓となる場所、静かに眠るといい・・・・また今度俺の歌の続きを聴かせてやる、その時はもっといい歌を聴かせてやる、だから今はゆっくりと・・・・・・」

 

ミュウの身体は深海へとゆっくりと沈んで行き、マスター達はミュウを海の中に入れてから1時間弱海の上にいました。

 

そして、マスターは顔を上げハルドクターこと、ジェイル・スカリエッティに連絡を取りました。

 

マダラ「ハル、現在の研究所の進捗度合いが進んでいる場所を教えろ」

 

ハル『え?それは・・・・いいが、そこでの任務は終わったんだろ?ならば早く退散した方がいいんじゃないのかい?』

 

マダラ「奴等の研究所へ奇襲をかける、それも研究が比較的進んでいる所に限定してな」

 

ハル『間髪入れずの襲撃をするということか・・・だがそうすると、奴等に余計な警戒心を生むことになるんじゃないのかい?』

 

マダラ「それでいい」

 

ハル『何?』

 

マダラ「人は必要以上の警戒をすると、精神の限界をすぐに迎えることとなり、色々な場面での対応が疎かになってしまう・・・さらにはストレスの負荷により通常の任務での失敗の確率を上げてしまう、俺達が襲撃するから防衛任務などは尚更な」

 

ハル『・・・・・確かに一理あるが』

 

マダラ「なら、今わかっている研究所の場所と進捗の把握を頼む」

 

ハル『分かったけど、あまり無理をしないでくれよ』

 

マダラ「無論」

 

答えた後、マスター達は一度本拠地に戻り、すぐに別の研究所を襲いに向かいました。

 

マスターは一足先に『神威』で研究所に向かいました、すると到着して早々公安の連中に見つかりました。

 

他にも研究所が独自に雇ったのか、一般のランク的にも高いのからそうでない魔導師もいました

 

しかし、マスターは見つかったことに対して特に動揺した様子はなく、むしろ堂々としていました。

 

公安1「や、奴は『マダラ』?!」

 

公安2「ここ最近、研究所を襲いまくっている奴か?!」

 

公安3「こんなところにまで来やがって!避難してきた研究員に伝えろ!」

 

マダラ「!」ピクッ

 

この時、公安の一人が言ったことにマスターは気付きました、もしかしたらここにさっきの研究所の研究員がいるのかもしれないことに。

 

そして、公安の連中はいつものように勧告も無しにマスターに砲撃などを仕掛けて襲い掛かってきました。

 

ですが、マスターは刀を片手に持ったまましばらくジッとしていました・・・・が、すぐに動くことになりました。

 

ライラ『マスター!敵、前方から来ます!迎撃を!!』

 

マダラ「・・・・・・・・・・・」

 

リコ『マスター?!早く「お前達は」・・・マスター?』

 

マダラ「お前達は・・・・・・『何だ』・・・・・・」

 

マスターは目の前の公安の連中に訴えかけるようにポツリポツリと呟く様にしていらっしゃいました・・・・・・が、すぐに。

 

 

 

 

マダラ「お前達は一体、『何なんだ』!!!」ドゴォォォォン!!

 

 

 

 

 

マスターは刀を持っていない方の手を前に出し『輪廻眼』の『神羅天征』を放ち、公安や警備として雇っていた魔導師を砲撃諸共吹き飛ばし、すぐに公安や魔導師の中へと突っ込んで行き暴れ回りました。

 

マダラ「お前達は一体!『何を』求める!?」

 

敵である公安や雇われ魔導師を次々と蹴りや刀や術で吹き飛ばしながら、マスターは敵に問い掛けていました。

 

マダラ「『バオウ・クロウ・ディスグルグ』!!!」ドガァァァン!!

 

金色の竜の手が、『須佐能乎』のように顕現し、握り拳を作りそのまま敵を殴り飛ばしました。

 

マダラ「お前達は『何が』したく!『何を』目的に!『何処へ』向かい!『何を』得るというのだ!?無垢で無関係で、そして何より『生活』を望む奴等の尊厳や希望を踏み躙り、刈り取る・・・・・・・貴様等にそんな権限などあるわけがない!!」バァァァンッ!!

 

マスターの怒号に似た問い掛けに敵は答える暇もなくマスターによって薙ぎ倒されていきました、研究所内にいた他の警備の者も仲間の助けに入ろうとしましたが、他の連中と同様に即倒されていました。

 

そして、マスターが到着してから4,5分経った時、トーレさん達が遅れて到着してきましたが、その時には既に公安等は全滅していました。

 

マスターは最後の一人のこめかみを片手で鷲掴みにし、ご自分の頭より少し上へと上げていました。

 

トーレ「こ・・・・これは・・・・」

 

マダラ「来たか、だがもうここの防衛網は片づけてある」パッ

 

ドサッと音を立てて地面に崩れ落ちたのは公安の者でした。

 

セッテ「も・・・もしかして・・・・・」

 

マダラ「ん?あぁ、もちろん非殺傷・・・・コイツ等全員死んではいない」

 

ウェンディ「ぅえぇぇ??!!これ全部やっちゃったっすか?!」

 

マダラ「だから、死んでなどいない・・・・・・とにかく、ココでの仕事は後は所長クラス又はそれに類する研究員を捕縛することと、研究資料等を抹消し端末にウイルスを流すことだ」

 

トーレ「あ・・・あぁ」

 

マダラ「では行くぞ、もたもたしていると増援が来てややこしくなってしまう」

 

そういうとトーレさん達はマスターの近くに集合し、集合を確認したマスターは『神威』を使用し中へと侵入しました。

 

そして、内部・・・・・とある研究室へと移ると。

 

研究員「ケッ!奴等め、俺を追ってきているのか?!今度はこの研究所を・・・・・せっかく前もって避難してきたってのに!!」

 

一人の研究員が必死に何かを探している姿がありました。

 

研究員「こうならないために・・・あの『玩具(オモチャ)』共を捨ててきたってのに、これじゃ意味無ぇ「そうか、やはり貴様か」っ!!もし”バキィィ!”がっはぁっ!?」

 

気配を殺し研究員の後ろに立ったマスターは研究員の言葉の途中で声を出し、その声に驚いた研究員が振り向こうとすると同時にマスターも回転し研究員の振り向いた瞬間に、研究員の顔の側面に回し蹴りを入れました。

 

研究員は蹴られた反動で6メートル弱程離れた壁に当たり、ズルズルと壁から床へと落ちていきました。

 

研究員「がっ・・・・・・・ぇげ・・・・お・・・・お前等・・・は・・・」

 

マダラ「お前は、ここに来る前は別の世界での研究所の所長をしていた者だろう?確か・・・・・・・多種多様な獣人を造っていた、そして・・・・殺した」

 

研究員「!?じゃ・・じゃぁ、お前が・・・・」

 

マダラ「誰がお前に発言を許す許可を出した?」ブンッ

 

研究員「うがっ!?」ドゴッ

 

マダラ「罪の無いあいつ等を勝手に殺した貴様らが、勝手に意見するな・・・・・さて、そろそろ仕事に取り掛かるとするか・・・やるぞ」

 

トーレ「あぁ」

 

セッテ「了解」

 

ウェンディ「はいっす~」

 

研究員「ま・・・・待て!・・・・お前等・・・・勝手に俺のモノに・・・・・・触れてんじゃ・・・」

 

ウェンディ「・・・・・・ウザイッスね、ホント」

 

セッテ「それに、こいつ・・・・・あいつ等をモノと言っているぞ」

 

トーレ「ハァ・・・・黙らせるか?」

 

研究員「ヒィッ?!」

 

マダラ「いや、黙らせる必要はない・・・・」

 

トーレ「ではどうする?」

 

マダラ「動けなくするだけだ・・・・・・これでな」

 

マスターは腰に差していた鞘に収まった刀を逆手に持ち直しました・・・・そして。

 

 

 

 

 

マダラ「掻き毟れ(かきむしれ)、『疋殺地蔵(あしそぎじぞう)』・・・・」

 

 

 

 

 

マスターの持っていた刀が形を変えました、そう・・・・・『斬魄刀』の『始解』です。

 

マダラ「これは・・・・・出来れば使いたくなかったうちの一つではあったが、まぁ仕方ないな」

 

マスターが解放した刀『疋殺地蔵』、これは異様な形をしてまして・・・・・・・。

 

はやて『うげ・・・・・・・何や・・・あれ・・・・ホンマに刀なんか?』

 

アルフ『なんか・・・・・赤ん坊の顔みたいなモノまで見えるんだけどさぁ・・・・・』

 

ハルカ『・・・・・相変わらず、気色悪い刀よね・・・・・』

 

すずか『ハルカちゃん、あの刀の能力って何?』

 

ハルカ『たぶん透があの研究員に向かって言うと思うけど、あれは斬りつけた相手の脳から出る信号のうち「四肢を動かせ」っていう命令のみを検出して遮断し、四肢の動きを封じる能力を持ってるの・・・・これは麻痺とは異なるため、痛みはまったく消えない・・・・つまり手足はまったく動かないけど、つねったりしたらちゃんと痛みを感じる・・・・毛ほども消えないわよ・・・痛覚は』

 

ヴィータ『ぅ・・・・マジでか・・・・怖ぇ・・・・・』

 

恭也『・・・・これほど拷問に適した能力は無いな』

 

忍『ちょっと恭也!?』

 

ハルカ『いや、ある意味間違ってないわ恭也兄さんの言ったことは・・・・だってアレ、斬られた傷を治癒させても、四肢の動きを封じる効果は消えないのよ?・・・・まぁ時間が経てば消えるけど、少なくともあの研究員を拘束する時間としては十分過ぎるほどではあるけどね』

 

概ねハルカさんが言った通り、マスターは持っていた刀を研究員の右の太腿に軽く突き刺しました・・・・・・ほんの数センチですが。

 

研究員「あ・・・・あぁぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!あっ!ぁぁぁぁあぁああ!!お・・・俺の・・・・・俺の脚がぁぁぁっぁ!!」

 

ほんのちょっと刺しただけ、それこそ刃物で軽く指を切ったレベルだったのですが、かなりの痛がりな研究員でした。

 

マダラ「喚くなら、存分に喚いておけ・・・・・代わりに手足の自由は奪ってやったがな」

 

そして、マスター達は資料などの抹消、さらにこの施設では、先ほどマスター達がいらした研究所と同様、獣人を造っており、それだけでなく質量兵器を組み合わせた人造人間も造り出そうとしていたようでした。

 

しかし、マスター達は研究の為に囚われていた人間を呼び、既に獣人へと変貌してしまった者、さらに理性を失って野性の本能・・・つまり人の知性を持った普通の動物のそれとなんら変わらない者に対しては解放することを決め、施設から追い出していました。

 

マダラ「お前達は、もはや俺の手ではどうすることも出来ん、だからといって、復讐するために俺に付いて来るというのは止めろ、ハッキリ言って邪魔だ!それに、これは俺だけの復讐だ!誰にも邪魔はさせんし譲る気もない!もし俺の邪魔をするというのであれば、たとえ同じ造られた存在であるお前たちであろうと容赦無く排除する・・・・・だからお前達はノウノウと自由に、そして新たな道を生きていけ」ピッ!

 

マスターは所内アナウンスで獣人達や人造人間たちに声を掛けると、所内のあらゆるセキュリティを解除し、扉を全て開放し彼らを解放したのです。

 

研究員「な・・・・何をやってるんだ貴様ぁぁぁ!!」

 

マダラ「何とは・・・・・俺は何か悪いことをしたか?」

 

マスターはトーレさん達に振りました。

 

セッテ「いや、お前は何も悪いことはしていないと思うぞ」

 

ウェンディ「寧ろいいことをしてないッスか?」

 

トーレ「そうだ、マダラはただ解放しただけだ・・・・貴様等が道具のように扱ってきたアイツ等をな」

 

研究員「道具?道具じゃないかアイツ等は!「ッ!」俺達の偉大な研究の為に!そして何より、世界の為に道具として役立てられる・・・・寧ろ感謝してほしいくらいだ”ドゴォォォン!!”・・・・・・・・へ?」

 

研究員の顔のすぐ隣にはマスターの右足がありました、彼のセリフの最中マスターは『瞬歩』で近付き、蹴りというより足で押すような感じで壁を蹴りました。

 

マダラ「少し黙れ」

 

研究員「・・・・・・・・」

 

マダラ「だが、お前の言うことも一理ある・・・・・・ではこれならどうだ?お前も道具として扱われてみるか?そうすれば、奴らの気持ちは少しは理解するだろ?」

 

マスターは研究員の顔の隣にあった右足をゆっくりとご自身の頭の上まで上げていきました。

 

マダラ「道具というのはいずれは壊れるものだ、『形あるモノはいずれ壊れる』・・・そういう言葉もあるくらいでな、お前の言う道具が壊れたらどういうことになるのか・・・・その身で確かめるのも研究者としての意義だと俺は思うぞ?」

 

研究員「ぁ・・・・・ちょ・・・・」

 

マダラ「痛みを知らん貴様が、俺に何かを言うつもりか?自分の立場を理解してないようだな?」

 

研究員「っ・・・・・・・・・・」

 

マダラ「さて、どこから壊すか・・・・・まずは・・・・・・肩からでも逝くか?」ヒュンッ

 

そう言うとマスターは研究員の左肩目掛けて右足を振り下ろしました。

 

研究員「ヒィィィィ!!!!!」ドゴォォォ!!

 

研究員は悲鳴を大きく上げ気を失ってしまいました、ちなみにマスターの足は研究員の身体のすぐ横にありました。

 

マスターは最初から研究員を攻撃するつもりはなかっただけです。

 

マダラ「・・・・・・・俺は命は奪わんのにな」

 

ウェンディ「まぁあれだけ威圧しちゃったら、誰だってそうなるッスよ」

 

マダラ「・・・・・・・・そんなに怖かったか?」

 

トーレ「何を今更・・・・・」

 

セッテ「十分過ぎる程な」

 

ウェンディ「ていうか、気付いて無かったッスか?!」

 

マダラ「・・・・・・・・・・」

 

トーレさん達の言葉にマスターは若干沈んでしまっておりました。

 

マダラ「・・・とにかく、最後の作業に移るぞ・・・・どうやら所内にはもう誰も残ってはいないようだからな」

 

そして、いつものように皆さんで外へと出ました。そこは辺り一面が森で溢れているような世界でした。

 

研究所の破壊の為、マスターは『天照』で研究所を含む一面を焼け野原にしていきました。

 

マダラ「さて、帰る「何てことしてくれたんだ!!」・・・・・・」

 

突如後方から声が聞こえ、マスターが振り向くとそこには先程気絶したはずの研究員が目を覚ましてしまい大声でマスター達を罵っていました・・・・・身体の自由は継続して奪ったままですが。

 

研究員「分かってるのか?!お前達は今!ミッドや世界中の希望を全て奪った!?」

 

マダラ「・・・・・・」

 

トーレ「・・・・・・」

 

研究員「管理局の万年の人手不足が解消され、災害時における救助活動や人ではなかなか入りにくい場所等、更には戦闘等でも、その敏捷性や獰猛さを活かしあらゆる敵を薙ぎ倒す!これもすべて世界の為だ!!俺は正義の為にやってるんだ!!」

 

セッテ「こいつ・・・・」

 

ウェンディ「何を自分勝手な・・・」

 

研究員「勝手なのはお前達の方だ!散々暴れに暴れて何を残した!?そんなに暴れて何がしたいんだ?おっと、お前等テロリストの考えは世界の為に従事している俺にはまったく理解出来んのだったな!」

 

トーレ「っ・・・貴様「いい」だがマダラ!「俺がやる」・・・・・そうか・・・」

 

トーレさんはなんとか研究員を攻撃するのを我慢し、マスターに任せ自身は下がられ、入れ違うようにしてマスターは前へと進まれました。

 

マダラ「お前は少し黙っていろ」

 

マスターの怒りも頂点に達し・・・・・いいえ、もうずっと前から頂点に達しており、それがとうとう我慢できないレベルに達してしまい、無意識ですが一瞬にして上半身が人の形の『須佐能乎』を展開しておられました。

 

研究員「ひっ・・・・」

 

マダラ「お前が言っていることはすべて綺麗事に過ぎない、自分可愛さに全てを正当化しようとし俺達を否定する・・・・・自分は一切悪くないと」

 

先程の威勢はどこへやら、研究員はマスターの『須佐能乎』を見て一瞬にして恐怖の顔に変わりました。

 

しかしそんな研究員にお構い無しに、マスターは『須佐能乎』の右手で研究員を掴み上げました。

 

マダラ「正直に言ったらどうなんだ?お前等は兵器としての道具を造り上げ、あわよくば『獣人部隊』のようなモノも造ろうとしていたんじゃないのか?そして何より自分たちの欲望を吐き出す為にアイツ等を造り上げ、尚且つ自分達だけでなく贔屓にしている上層部の奴らに『出荷』していたんじゃないのか?」

 

研究員「!?」

 

マダラ「それだけじゃない、金欲しさに今まで造り上げた何割かは闇ルートで捌いていた、管理局の上の奴らは知っていたんだろうが、特に害は無かったと判断したんだろう・・・例によって黙認した」

 

研究員「っ・・・・」

 

ティアナ『嘘・・・・・』

 

カリム『そこまで腐っていたの・・・・・』

 

マダラ「さて、今まで俺が言った中でお前等が造った獣人の中で、どちらが多く造られていたんだろうな?・・・まぁ、答えるまでも無いか?獣人というのは意外にも需要はあったようだろうからなぁ」

 

研究員「ど、どこでそんな」

 

マダラ「馬鹿かお前は、お前が以前居た研究所の記録に残されていた情報だ」

 

研究員「ば、馬鹿な!?アレはちゃんと抹消したはず・・・・」

 

マダラ「うちにはお前達以上に優秀な奴等がいるんでな、その程度で消せたと思うのは愚か過ぎやしないか?」

 

研究員「っ・・・・・・ぐっ・・・・・・」

 

マダラ「お前達にとって、あの獣人達や人造人間達は実験の為でもあり、兵器でもあり、性欲処理でもあり、そして小遣い稼ぎの『道具』でしかない」グググ・・・・・

 

研究員「ぐ・・・・あげっ・・・・」

 

マスターは徐々に徐々に握る力を込め、研究員を握りつぶそうとして行きました。

 

マダラ「さて、ここまで言ったことに否定の言葉あるか?・・・・いや、あるわけが無いよな?先程お前が言ったこととは真反対だが、お前は俺が言ったことが事実だというのを理解している・・・・何故なら、自分たちがそうしているから否定は出来ない・・・・そんなお前達のどこに正義があると!?世界?人の為?笑えない言葉を吐くな!貴様等のやっていることは所詮、自分達だけの為の事!?」グッ!

 

研究員「ぐぇっ!?」

 

マダラ「似非研究員、貴様に問う・・・・お前達の言う崇高な研究を邪魔しているテロリスト集団である俺達と、人の尊厳・自由・希望を奪い続ける貴様等とどちらが悪党なんだろうな?!いや、どちらが『正しい』のだろうな!?」

 

研究員「・・・こっ・・・・・ぇ・・・・ゃ・・・・・」

 

マダラ「一人の少女は希望を見出す前に、そして海を見るという夢を叶え静かに去った・・・・・あの少女は『何も』していなかった!!これから楽しい事、辛い事、幸福な事がたくさんあっただろう!だがそんな少女の命すら貴様等は奪った!自分たちが助かりたいが為に!!・・・・・・ここにいる3人は分かると思うが、怒りに震えている・・・無論俺もだ」

 

マスターの込める力が強まる中、マスターは研究員の方に顔を上げた途端、『須佐能乎』がまた更に進化していき、急速に鎧を纏っていき、マスターの眼は『写輪眼』は既に『万華鏡写輪眼』ですが、その眼は物凄く血走っていました。

 

マダラ「お前は・・・・いや、お前達は俺に対し怒っているんだろう・・・・・・・・・だがな、俺達の怒りは・・・・・お前達以上だ!!!」

 

キャロ『っ!!』

 

その発言とともに握る力を一気に強めようとしたマスターでしたが、何故か研究員を握り潰そうとはしませんでした。それどころかマスターは『須佐能乎』を解いたのです。

 

ヴァイス『なっ?!何でだ?んな野郎を!』

 

ティーダ『ヴァイス!』

 

ヴァイス『分かってますよ!でも・・・・』

 

しかし、この話にはまだ続きがあります。

 

『須佐能乎』を解除、もちろん研究員は地面に横たわる形ではありましたが無事です。

 

研究員「はぁ・・・・はぁ・・・・はぁ・・・・・」

 

トーレ「・・・・・マダラ、何故止めた?!」

 

ウェンディ「そーッス!そんな奴生かしても何もいい事無いッスよ!?」

 

マダラ「コイツを殺すのは簡単だ、だがコイツを殺すのは筋違いだ、しかもコイツが生きていたところで俺達の脅威になることなどありはしない・・・・それに忘れたか?俺は殺しは嫌いだ、だから『俺は』コイツを殺さん」

 

研究員「はぁ・・・はぁ・・・へ、へへへ・・・・・何だ、何だかんだ言って・・・・言い訳してるだけじゃないか」

 

マダラ「好きなだけ言え、だが・・・・・俺の考えは変わらん、行くぞ?次の場所だ」

 

マスターはそうトーレさん達に指示を出すと森の中へと歩いて行き、トーレさん達も渋々ながらもマスターの後を付いていきました。

 

後ろの方では研究員が言いたい放題叫んでいるなか、ウェンディさんがマスターに問い掛けました。

 

ウェンディ「何で何もしないッスか!?あんな奴殺したところで、マダラが気にするような奴じゃぁ・・・・」

 

マダラ「何度も言わせるな、俺は人を殺すのは嫌いだ」

 

セッテ「だが、いくらなんでもあんな奴を野放しにしては・・・」

 

マダラ「だから言っているだろう、『俺は』奴を殺さん・・・・・・『俺は』な」

 

ウェンディ「だけど「ウェンディ」な、何スか?」

 

トーレ「分からんのか?」

 

ウェンディ「だから、何がッスか?」

 

トーレ「アイツはマダラが手を下さずとも、もうその命運は決まっている」

 

セッテ「え・・・・・どういう」

 

トーレ「アレだ」

 

トーレさんが足を止め、先ほどの研究員がいる方向を指さすとウェンディさん達も止まりトーレさんの指した方向を見ていました・・・ちなみにマスターはトーレさん達より先を歩いていましたが、トーレさん達を待つ為足を止めて同様に振り返っていました。

 

研究員「な・・・・何だお前等!?」

 

獣人1「・・・・・・・」

 

獣人2「・・・・・・・・」

 

人造人間「・・・・・・・・・・」

 

獣人や人造人間の集団が、研究員を取り囲む形で現れていました。

 

更にマスター達の反対の方向にも別の獣人達がどんどんどんどん、集まっていました。

 

ウェンディ「アレって・・・・・」

 

トーレ「奴等によって、望まぬ形へと変貌した獣人達と人造人間達だ・・・・彼等も少なからず怒りや殺意があるだろう」

 

セッテ「あ・・・・だから・・・・」

 

マダラ「俺は、俺の行動に対しての奴の命の保証はしてやった、だがそれ以外での奴の命の保証はしていない・・・・・『因果応報』、しかも俺は彼等を止める権利を持ち合わせてはいない・・・・そんなことが出来るのであれば、アイツを死なせずにはすんだだろうな」

 

ウェンディ「・・・・マダラ」

 

マダラ「無駄話が過ぎた、さっさと次へ行くぞ、奴も・・・運が良ければ救援に来た奴等に助けてもらえるかもしれんしな」

 

そう言ってマスター達は森の奥深くへと消え、次の研究所に向かいました。

 

 

 

Side Out

 

 

 

 

 

 

 

あとがき

 

 

どもどもどもども♪・・・・・・ってこんな陽気っぽく挨拶してはいけませんね。

 

えぇ~っと・・・・・・まずは、お久しぶりです皆さんmakeです。

 

大体約1ヶ月ぶりの更新のなりましたが・・・・・・・遅くなりすぎまして申し訳ありません!!!!!

 

前回で皆さんにお伝えした通り、私のPCの調子がおかしくなってしまいまして、最寄りの電気製品を取り扱っている店に持っていくと、なんとHDを読み取る部品がダメになってたそうで、約2週間ほど修理に出したんですが、結果マザーボード等を交換という形になりました。

 

まぁぶっちゃけ、中のデータはまっつろ(真っ白)になってしまい、インストールしてあったゲームも消えてしまい、結構痛かったのですが、背に腹は代えられません。

 

ということで、PCは直りまして、また小説の方を再開出来るようになりました!!・・・・・といっても相変わらず出来はあまりよろしくないかもしれませんが。

 

 

 

 

と!結果報告はここまでにして、今回は39話になりますが、最初の部分は透が運び込まれてのなのは視点となります。

 

搬送されてからの透は響や他の医師たちの手によって手術をしていましたが、ヤバそうな所はハルカが頑張って治してしまった為、響達の負担も軽くなっていましたね。

 

しかし、その後の透の状態を聞くと、あまりにおかしいことだらけですよね?

 

神経やら血管やらがボロボロで、本当・・・・生きているのが不思議ってくらいのアホというか・・・・・キ○ガイですね。

 

そしてその後は、透の血液からの記憶とヤクモ達の記録を基にしたこれまでの映像を映し出してましたね。

 

透のこれまでの襲撃内容が出され、そして研究員をブッ飛ばすところもありましたねぇ・・・・・・それと、皆さん気付かれてますよね?

 

透が歌った曲、どれも『ワンピース』に出てくる曲で『ビンクスの酒』と映画で歌われた『海導』が出てきましたが・・・・・私としましては、やはり断然『海導』ですね~、アレは泣けますね。私も聴くだけじゃなく歌ったら涙ものでしたしねぇ。

 

そして、『ミュウ』と呼ばれる獣人が死んだ後すぐに、別の世界に行き襲撃しましたが、そこで透の怒りは爆発しましたね。

 

更にはそこの研究所には『ミュウ』を造った研究員もいて、また更に怒り爆発、そして殺すかと思いきや自らは手を下さず、その研究所で造られた獣人達に任せたという話でした。

 

透の怒りというのは単純に生命を殺しただけでなく、管理局の身勝手さや助けることの出来なかった自分への不甲斐なさから来ているものですが・・・・本当ならもっとやりきれないでしょうが、私の文章力では、あまり表現できませんでした・・・申し訳ありません。

 

 

 

さて次回は!今回は透の行動記録の前半と言った感じなので、後半をお送りします!

 

皆さんは気になりませんか?透の右目の傷、あれは何時付いたのか?そしてなのは達と最初に戦った時に、なのはが何かを掴んでいた・・・その時の透は一体どうしたのか?

 

次回はそういったことを・・・・つまり、今回の続きのお話をしたいと思います!!

 

 

それでは皆さん、長らくお待たせしてすみません!!次回作は早々に完成させますので、お楽しみに!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

P.S

 

不肖ながらこの私、この小説と同時に現在ハマっているものがございまして。

 

一つ目は、PCゲームの『戦国恋姫』ですね。これは非常に面白い作品ですよね?!まぁR-18じゃないのは、ちょっと・・・・残念というか、ですが内容は本当に面白かったです・・・・なんか『王の財宝』ばりなモノもあったような無いような・・・・・・。

 

もう一つはPS3とPS4で出ている『龍が如く 維新』です・・・・・が、残念なことに今度はゲーム機が壊れてしまい、『熱がこもって・・・うんたらかんたら』と表示が出てしまい、ここの所PS関係のゲームが出来ず参るばかりです。しかも法律か何かで、お店に持って行ってというやり方が出来ず、本人が直にやらないといけないという面倒なことになってしまい・・・・・もう踏んだり蹴ったりで、早く新作ゲームがやりたいです・・・・・。

 

あとはYouTubeで『弟者』という人の実況プレイ動画を見るのにハマっています。この『弟者』という人の声が、ご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、あの超大物声優の『大塚明夫』さんに激似・・・・いいえ、もう本人さんなんじゃないのかというくらい似ていらっしゃる、その証拠にその方がプレイを始める時は大抵『待たせたな』と『スネーク』声でいうんです、それにキャラもいい感じの味が出てて非常に面白いです。

 

皆さんも是非!これらをプレイ又は見てはどうでしょう!?

 

 

 

 

応援はいつでも受け付けております!あと誤字や脱字等の訂正もです!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 
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