No.660445 九番目の熾天使・外伝 ~ライダー戦国大合戦~竜神丸さん 2014-02-04 13:24:30 投稿 / 全1ページ 総閲覧数:1562 閲覧ユーザー数:880 |
「ギギギ…ッ!?」
「グルァァァァァァァァァァァッ!!!」
ギルスは咆哮を上げながら大きくジャンプし、踵部分から生やした長い爪をレイドラグーンの右肩に炸裂させる。そのまま後方に宙返りして地面に着地すると同時に、レイドラグーンが爆発して消滅する。
「Go to hell…!!」
その上空からではサイガが飛行用バックパック“フライングアタッカー”で飛び回り、地上にいるシアゴースト達を一体ずつ狙撃して撃破していっている。
≪SWORD VENT≫
≪GUARD VENT≫
「はぁぁぁぁぁぁっ!!」
ドラグセイバーとドラグシールドを同時に装備し、龍騎はソノラブーマの攻撃を防御しつつ的確に強烈な一閃を加える。横からゲルニュートが飛び掛かって来ようものなら、ドラグシールドで思い切り殴りつけて地面に叩き落とす。
≪GUARD VENT≫
≪Cast Off≫
ファムは白鳥の翼を模した盾“ウィングシールド”を召喚。それと同時にダークカブトがキャストオフを発動した事で鎧を弾き飛ばし、その勢いで周囲にいたシアゴースト達を一気に爆破。ちなみにファムはウィングシールドで防御していた為無傷である。
「あのねぇこなた、少しは周りの事も考えなさいよ?」
「あはは、ごめんごめん……クロックアップ!」
≪Clock up≫
ライダーフォームとなったダークカブトはクロックアップを発動し、とてつもないスピードでシアゴーストやレイドラグーン達を爆散させていく。
「グルルルルル…!!」
「さぁ、あなたの相手は私よ」
ワイルドボーダーが猛スピードでファムに向かって突進する中、ファムはウィングシールドの効果で周囲に無数の白い羽を出現させていく。そんなものは知った事ではないかのように、ワイルドボーダーの強固なボディがファムに激突しそうになったその時…
「何処を狙ってるのかしら?」
「グル…ッ!?」
当たる直前で、ファムの姿が消えた。突進攻撃が空振りに終わったワイルドボーダーはファムを見つけようと周囲を見渡すが、周囲はファムが繰り出した白い羽ばかりで肝心のファムの姿が見えない。
≪FINAL VENT≫
『ピィィィィィィィィィィィィィッ!!』
「!? グルォォォォォォッ!?」
召喚されたブランウィングが羽ばたいて突風を起こし、白い羽ごとワイルドボーダーを吹き飛ばす。ワイルドボーダーが吹き飛ばされた先では、いつの間にかウィングスラッシャーを装備していたファムが待ち構えている。
「やぁっ!!!」
「グルァァァァァァァァァァァァァァァッ!!?」
ファムのウィングスラッシャーによる一閃が、ワイルドボーダーのボディを一刀両断。真っ二つになった身体はそのまま吹っ飛んで行き、ファムの後方で大爆発を引き起こした。
「はぁっ!!」
「グガァッ!?」
「ギギギッ!?」
一方で、龍騎は右手に持っていたドラグセイバーをソロスパイダーの腹部に突き刺し、左手に持っていたドラグシールドをレイドラグーンの顔面に投げ当て転倒させる。手ぶらになった龍騎はカードデッキから一枚のカードを抜き取り、それを左手に装備されている竜の頭部を模した召喚機“ドラグバイザー”に装填する。
≪FINAL VENT≫
『ギャォォォォォォォォォォンッ!!』
「…はっ!!」
ドラグレッダーが飛来し、龍騎は高くジャンプする。空中で龍騎は華麗に身体を捻り、飛び蹴りを繰り出す体勢となる。そこにドラグレッダーが火を噴き、龍騎の身体に纏わせる。
「てやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
「「「グガァァァァァァァァァァッ!!?」」」
炎を纏った飛び蹴り―――ドラゴンライダーキックが発動し、その強力な一撃は地上にいるモンスター達に向かって一直線に飛来。逃げようと背を向けたモンスター達を跡形も無く粉砕、爆散させた。
『ブレストキャノン!』
「ほんじゃ、ちょっくらぶっ放そうか…!!」
バースドライバーにセルメダルが一枚投入され、バースの胸部に大型の砲台“ブレストキャノン”が装着される。そのブレストキャノンを支えるように右手で構えつつ、左手で何枚ものセルメダルを投入していく。
「ブレストキャノン……シュートッ!!」
『セル・バースト!』
「「「「「ギギャァァァァァァァァァァァァッ!!!??」」」」」
バースは両手でブレストキャノンを支えつつ、砲台から強力なビーム光線を発射。直線上にいたシアゴーストやレイドラグーン達を木っ端微塵に粉砕してみせた。
≪Exceed Charge≫
「フッ!!」
「グギャアッ!!?」
上空から急降下しながら繰り出されるサイガのパンチでデッドリマーを粉砕し、これでモンスターは一通り全滅。街中に張られていた結界も解除される。
「…おかしい」
サイガの変身を解除したユイは、ある違和感を感じて眉を顰める。それに関しては、他のメンバー達も同じ反応を示していた。
「ねぇ、FalSig」
「あぁ……今の奴等、妙に弱過ぎた」
全滅させたモンスター達は、どれもこれもレベルがそれほど高くないモンスターばかりだった。いくら数が多いにしても、一体一体のレベルが低ければライダーが少人数いるだけでも充分に倒せてしまうくらいに。
「ていうか、何を目的にこんな街中に現れたんだろうねぇ?」
「この世界で何かをしようとしてたってんなら、明らかにミスだろうな。この程度の強さなら、精々囮かなんかに使うしかないだろうに」
「囮といっても、こんなに弱いんじゃ使えるかどうかも怪し―――」
『ようやく見つけたぞ、アトラスの器を…!!』
こなたの脳裏に浮かんできた、ペガサス・ゾディアーツのあの台詞。
それを思い出した事で、こなたは気付いた。
「ヤバいよ皆!! 急いで
「あ? どしたのこなたちゃん?」
「こいつ等は囮だったんだ!! 本当の目的はここじゃなくて、私達がいた
「「「「「!?」」」」」
こなたの言葉を聞いて、一同はかなりまずい事態になっている事を把握した。
その頃、
「う、うわぁぁぁぁぁぁぁっ!?」
「きゃぁぁぁぁぁぁぁっ!?」
「怪物だぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」
「「「「「グルァァァァァァァァァァァァァァッ!!」」」」」
こなたの推測通り、まさに怪人達の襲撃を受けている真っ最中だった。技術班のスタッフ達を強引に押し退けつつ、怪人達は格納庫フロアに出現した空間の裂け目から着々と
-バシュウッ!!-
「グルゥ…!?」
一発の光線が、先頭を歩いていたビートルファンガイアに命中。しかし命中した箇所からは煙が上がる程度で、ビートルファンガイア自身は大してダメージを受けてはいない様子。
「くそ、威力まで下がっちまうのかよ…!?」
ガルムは迫り来る怪人達に一発一発光線を命中させていくが、それでも怪人達の侵攻が止まる様子は全く見えない。舌打ちするガルムの下に、銀色のベルトを装着したawsが駆け付ける。
「駄目だガルム、普通の武器じゃ奴等には効果が無い!!」
「な、aws!?」
「私が行く……変身!!」
awsは鮫の紋章が刻まれた水色のカードデッキをベルトに差し込み、鮫の意匠を持つ戦士“仮面ライダーアビス”へと変身。左腕に装備されているコバンザメの形状をした手甲型召喚機“アビスバイザー”に一枚のカードを装填する。
≪SWORD VENT≫
「来い、私が相手だ!!」
鮫の歯を模したようなノコギリ型の剣“アビスセイバー”を構え、アビスは向かって来る怪人達を正面から迎え撃つ。
「リリィさん…!!」
「はい、私達も戦いましょう!!」
イーリスとリリィも騒ぎの下に駆け付け、それぞれ黄緑色のカードデッキ、茶色のカードデッキを構え銀色のベルトを装着する。
「「変身!!」」
カードデッキがベルトに差し込まれ、イーリスはカメレオンの意匠を持った戦士“仮面ライダーベルデ”に、リリィはガゼルの意匠を持った戦士“仮面ライダーインペラー”へと変身。アビスと同じように怪人達と激突する。
「ガルムはスタッフ達を避難させろ!! こいつ等は私達が引き受ける!!」
「分かった、任せろいっ!!」
近寄って来た屑ヤミーの顔面に光線を命中させつつ、ガルムは逃げているスタッフ達を格納庫フロアから避難させる。
「キャァァァァァァァァァァァァァァッ!?」
「!?」
スタッフ達が逃げた先から、また悲鳴が聞こえてきた。ガルムが駆け付けてみると、避難させようとしていたスタッフ達がナイトメア・ドーパントの催眠によって次々と眠らされ、床に倒れてしまう光景が広がっていた。
「な、何だこれ…ッ!?」
「貴様にも眠って貰おうか…!!」
ナイトメア・ドーパントの催眠を受けてしまい、ガルムも急に睡魔に襲われ床に倒れてしまう。
(くそ…!! そんなのあり、か……よ…)
ガルムも眠りの中へと落ちてしまい、倒れたまま意識を失ってしまった。ナイトメア・ドーパントはガルムやスタッフ達が眠りに落ちたのを確認し、その場を移動しようとするが…
-カランカラァン…-
「!」
「あ…!?」
「しまった!?」
「逃げろー!」
通路の曲がり角から、美空とウズメ、咲良が一斉に移動して逃げ出した。ナイトメア・ドーパントもそれに気付き、急いで後を追う。
「逃がさんぞ、アトラスの器よ…!!」
「ッ…!!」
ナイトメア・ドーパントが告げた『アトラスの器』という言葉に、ウズメは悲しげな表情を浮かべながらも必死に走って逃げる。
「こっちに来るなー!」
「な…ヌォッ!?」
痺れを切らした咲良はナイトメア・ドーパントに向かって強力な竜巻を発生させ、ナイトメア・ドーパントを大きく吹き飛ばす。
「みっちゃん、ウズちゃん、こっちだよ!」
「こっち、です…!!」
「ッ…二人共、ありがとうございます…!!」
ナイトメア・ドーパントが怯んでいる隙に、ウズメは咲良と美空に手を引かれ通路を走って逃げていく。
≪SPIN VENT≫
≪HOLD VENT≫
グールを蹴り飛ばしたインペラーは右足を曲げ、右足膝に装備されている召喚機“ガゼルバイザー”にカードを装填。ガゼルの頭部を模したドリル状の武器“ガゼルスタッブ”を召喚。ベルデは左太ももに装備されている召喚機“バイオバイザー”からカメレオンの舌のように伸ばしたカードキャッチャーにカードを挿し、バイオバイザーに戻す事で装填。カメレオンの目を模したようなヨーヨー状の武器“バイオワインダー”を召喚。
二人はそれぞれの武器を構えて怪人達を撃退していくが、その数はミッドチルダに出現したのよりも圧倒的に多かった。
「く、数が多過ぎる…!?」
「awsさん!!」
「分かってる、何としてでもここで全員倒そう!!」
≪ADVENT≫
『『グォォォォォォォォンッ!!』』
二本の剣を装備したサメ型契約モンスター“アビスラッシャー”と胸部の二門砲が武器のシュモクザメ型契約モンスター“アビスハンマー”が出現。アビスをサポートするかのように怪人達を次々と蹴散らしていく。
「ブルルルルルッ!!」
「な…どあぁっ!?」
「awsさん!?」
その時、馬の鳴き声を上げながらペガサス・ゾディアーツが出現。アビスに飛び膝蹴りを炸裂させ、ベインペラーとベルデの下まで吹っ飛ばす。
「あなたは…!!」
「今度こそこちらに渡して貰おう、アトラスの器を…!!」
「アトラスの器? 一体どういう…ッ!!」
聞き慣れない言葉にインペラーが首を傾げるも、ペガサス・ゾディアーツは問答無用で襲い掛かる。インペラーもすかさず戦闘態勢に戻り、ペガサス・ゾディアーツと足技の勝負に突入する。
「リリィさ…ッ!?」
「グルァッ!!」
インペラーに助太刀しようとしたベルデだったが、ビートルファンガイアが大剣を振るってきた事で妨害されてしまう。
「邪魔を…するなっ!!」
「グォウッ!?」
ベルデはバイオワインダーをビートルファンガイアの右足に絡め、そのまま引っ張る事でビートルファンガイアを転倒させる。
「「「ギシャァァァァァァァァァァァァァァッ!!」」」
「二人共、こっちだよ!」
「は、はい…!!」
「ッ…!!」
「え~い!」
「「「ギシャァァァァァッ!?」」」
そこで咲良は振り返り様に水流を発射し、追いかけて来ていたダークローチ達を追い返すかのように強制的に押し流していく。
「はぁ、はぁ…!!」
「大丈、夫…?」
「はぁ、はぁ…はい、私は大丈夫です…!!」
美空に心配され、ウズメは何とか自分は大丈夫だと伝える。しかし…
「ヒャッハァァァァァァァッ!!」
「!? うぁっ!?」
「ッ!?」
「あ、ウズちゃん!?」
直後、飛び掛かってきたモールイマジンによってウズメが捕まってしまった。ウズメを捕まえたモールイマジンは素早く咲良と美空の下から離れ、まるで人質にするかのように左手のドリルをウズメの顔に向ける。
「う、く…!!」
「ギャハハハハハハハッ!! ようやく手に入れたぜぇ、アトラスの器をよぉっ!!!」
「ウズちゃん!?」
「ッ…!!」
高笑いするモールイマジンだったが、ウズメを助けようと美空はモールイマジンの足にガシッとしがみ付いた。
「ヌォッ!? ちょ、離せコラ!! せっかく本物を見つけたんだ、今更お前にゃ用は無ぇよ!!」
「離さ、ない……絶、対に…!!」
「チィィィィィ!! だったらここで、ぶっ殺したって良いんだぜぇっ!!」
「な、美空さん…!?」
「みっちゃん!!」
(ッ…!!)
モールイマジンが左手のドリルを美空に向かって振り下ろそうとし、美空は死を覚悟し目を瞑る。
『クレーンアーム!』
しかし、攻撃が美空に届く事はなかった。
「な、おぉっ!?」
「おうおう、美空ちゃんに一体何をしようってんだモグラ野郎が…!!」
ミッドチルダから急いで戻ってきたバースが、右腕に装備した“クレーンアーム”を伸ばしてモールイマジンの左腕に絡めたのだ。おかげでモールイマジンは攻撃を失敗しただけでなくウズメをうっかり手放してしまい、美空と一緒に逃げてしまった。
「お仕置きしてやんよ……うぉらっ!!」
「ヌォワァァァァァァァァッ!?」
バースはクレーンアームでそのままモールイマジンを自分の下まで引っ張り、右足で強烈なキックを炸裂させる。これにはたまらず、モールイマジンも吹っ飛ばされる。
「良かった、間に合った!」
「美空ちゃん、ウズメちゃん、咲良ちゃん、怪我は無いか?」
ダークカブトやファム、サイガにギルス、そして龍騎も駆け付け、一気にモールイマジンが不利な状況になる。
「おのれぇ、またしても邪魔をしてくれるぅ…!!」
「へぇ、美空ちゃんやウズメちゃん、おまけに咲良ちゃんにまで手を出そうとしたんだ…?」
「ちょっとばかり、O☆HA☆NA☆SHIさせて貰おうかなぁ~…?」
(燃えてる、背景がめっちゃ燃えてる…!!)
(…素晴らしき、保護者愛)
(私もあんな風に、耕也に守られたいものだな…)
モールイマジンへの怒りで、ダークカブトとファムの背後にとてつもない炎のオーラが燃え始める。大事な仲間を傷付けられようとしていたのだ、激怒しても当然だろう。
「チィ、ならば…」
「グォワッ!?」
「!?」
ペガサス・ゾディアーツが、モールイマジンの隣まで吹っ飛ばされてきた。いきなり吹っ飛んできた事に驚くモールイマジンを他所に、アビス、ベルデ、インペラーもこの場に駆け付ける。
「お前達、戻ってきてたのか!」
「ちゃっちゃとモンスター達を倒してきてな。それよりaws、こっちの被害はどうなってる?」
「あぁ。人は出ちゃいないが、被害者は全員が催眠術らしきもので眠らされている……ガルムも、それにやられてしまった」
「!? ガルムさんまで…!!」
「グヌヌヌ…ならばっ!!」
モールイマジンは自身の爪を使い、またしても空間の裂け目を出現させる。
「そぉれ、出て来い!!」
『ギャォォォォォォォォォンッ!!!』
「な、何だ!?」
バース達が驚く中、空間の裂け目からはティーレックス・ドーパントが出現。しかも瓦礫を集めて巨大化した形態“ビッグ・ティーレックス”の状態で。
「ティーレックス・ドーパントか、よりによって面倒なのを…!!」
「ヒャッハアッ!!」
「きゃ…!?」
「な、ウズメちゃん!?」
全員が驚いている隙にモールイマジンは再びウズメを掻っ攫い、空間の裂け目の前に立つ。
「残念だったなぁ!! アトラスの器は頂いたぜぇ!!」
「ならば、この場にはもう用は無い…!!」
「ちょ、おい待てテメェッ!!」
「ウズメちゃんを返せコラーッ!!」
モールイマジンとペガサス・ゾディアーツはウズメを捕まえたまま裂け目の中に飛び込んで行き、バースとダークカブトが後を追うように飛び込んでいく。
「あ、ちょ、二人共!?」
「いやいや、二人だけで飛び込んでっちゃ駄目だってば!?」
「二人、追いかける…!!」
「保護者の身として、見捨てる訳にはいかんな…!!」
「ちょ、待ってよ皆!?」
インペラー、サイガ、ギルス、龍騎も同じように飛び込んで行く。しかしファムが飛び込もうとしたその瞬間、裂け目は一瞬で消えてしまった。
「あ、消えちゃった…」
「じゃあ、FalSig達は向こうの世界に…ッ!!」
『ギャォォォォォォォォォンッ!!』
「ひとまず、まずはこれの撃破を優先しましょう!!」
「今は、それ以外何も出来なさそうだな…!!」
アビス達はそれぞれ武器を構え、ビッグ・ティーレックスと戦闘を開始するのだった。
「…あれ、咲良さんは?」
しかしベルデが気付いた頃には、何故か咲良までもが姿を消してしまっていた。
場所は変わり、戦獄の世界…
「…あの、モトナリさん?」
「はい、何でしょう?」
「…何だか、妙に張り切ってませんか?」
「気の所為です!」
「あ、そうですか…」
南の領地、とある森の中。
なでしこ軍と共に仲間の捜索を開始したディアーリーズとアキ。現在この二人とモトナリは馬車に乗って移動しており、その上では騎神なでしこがロケットモジュールで飛びながら森を見渡している。ちなみに三人が乗っている馬車の周りには武装した女性兵士達が同行している。
「いや、仲間を捜索する為だけにわざわざこんなに付いて来て貰うというのは、あまりに大袈裟な気がする上に何だか、申し訳ない感が強くて…」
「いえいえ、こちらが皆で一緒に探すと決めましたから……あの、かえって迷惑でしたか?」
「あ、いえいえ!? 探してくれるのは本当に嬉しいですから!!」
「あら、そうですか。良かったです♪」
「……」
ディアーリーズが慌てて訂正したのを聞いて、悲しそうな目からすぐに嬉しそうな目になるモトナリ。そんな様子を見て、アキはイマイチ面白くなさそうな表情をしていた。
「何よこの娘……ウルと楽しそうに話しちゃってさブツブツブツブツ…」
『おいアキ、話してるのが丸聞こえだぞ』
「そもそも、ウルが堕としたりしなけりゃこんな事にはならなかったのにブツブツブツブツ…」
『…おい、ガン無視か』
アキが所持しているタカメダルからアンクの突っ込みが聞こえてくるが、アキはブツブツ小声で愚痴を呟いている為に全く聞こえていない。これ以上言っても無駄だと判断したのか、アンクは途中で突っ込みを放棄する事を決める。
その時だ。
「ッ…モトナリちゃん!!」
「どうしましたか、騎神なでしこ様?」
「大変だよ!! 森の奥で、あの怪物達が騒ぎを起こしてる!!」
「「「!?」」」
「おいコラァッ!! ウズメちゃんを放せやぁっ!!」
「チィッ!? しつこいぞテメェ等!!」
ウズメを捕まえたまま逃げてきたモールイマジンやペガサス・ゾディアーツ、その他少数の怪人達。それを追いかけてやって来たバース達が、早速ウズメを巡って乱闘を開始していた。
「よいしょーっ!」
「グギャァァァァァァァァッ!?」
その中で、いつの間にかバース達に付いて来ていた咲良が、炎を繰り出しバタフライオルフェノクを丸焼きにし始めた。
「あれ、咲良ちゃん!? 付いて来てたの!?」
「私もウズちゃんを助けたいの、だから来ちゃった!」
「あぁもう、仕方ない子だね…っと!!」
「どれ、私達が咲良ちゃんを守ってやるとしよう」
「こなたさんは早くウズメさんを!!」
「白蓮さん、リリィさん、サンキューです!!」
咲良を守るように龍騎とインペラーが立ち、向かって来る怪人達を薙ぎ倒していく。
「この、しつこい連中め!!」
「残念だったな、必要以上にしつこいのが俺達なんだよ…!!」
バースはペガサス・ゾディアーツと戦闘になり、ペガサス・ゾディアーツが繰り出す足技をバースが上手く防御していた。その近くではウズメを確保したモールイマジンがサイガとギルスから逃げているところだった。
「さぁて、いい加減ウズメちゃんを離して貰いたいところなんだけどねぇ?」
「ウズメの敵は、私の敵…!!」
「こんの……しつけぇぞテメェ等!!」
モールイマジンは口のドリルから光弾を放つが、サイガとギルスは余裕で回避。サイガはフライングアタッカーから次々と射撃を繰り出す。
「な…オワァッ!?」
「きゃあっ!?」
「!? しまった…!!」
しかし射撃で起こった爆発で、モールイマジンに捕まっていたウズメが吹き飛ばされてしまった。自分の失態で起こったアクシデントに、サイガは急いでウズメを助け出そうとしたその時…
≪エクステンド・ナウ≫
「…!」
吹き飛ばされたウズメを、長く伸びた腕が巻きつく事でキャッチ。そのまま腕は短くなっていき、ウズメは何者かによって抱き上げられる。
「大丈夫ですか?」
「あ…」
受け止めたのは、ディアーリーズが変身したウォーロックだった。
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第13話