No.657754

機動戦士ガンダム異聞~旭日の旗の下に~第4話

第4話です。唐突に紺碧艦隊の改修が終わっているのは私の文才のなさです。中々富岳さんだせないなぁ…

2014-01-26 11:50:56 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1959   閲覧ユーザー数:1934

 

U.C.0079 12月上旬

 

 紺碧艦隊は、艦隊戦力である伊700型潜宙母艦をモビルスーツ運用を行うための改装を終え、テスト航海のためサイド7宙域の近くを航行していた。

 

 

 

 サイド7。オーブ連合首長国が所有するコロニー群だが、現時点ではまだ1バンチしか完成しておらず、2バンチ以降のコロニーの建造が困難を極めていた。だが、この裏には、ヘリオポリス内で連邦軍のMS開発計画「G計画」が進んでいたのである。

 

 

 

「あれがヘリオポリスか」

 

 前原が潜望鏡でヘリオポリスを見ていた。かつて前原は、2ヶ月前にヘリオポリスに一週間滞在していたが、近くのモルゲンレーテの工場に連邦の将校を見かけた事から、近くに連邦の秘密工廠があるのでは無いのかと踏んでいたのである。その予想は当たり、帝国軍諜報部の情報により、連邦軍のMS開発計画がヘリオポリスで進行している事が明らかになったのである。

 

「しかしアスハ代表もよく承知したものですな」

 

 隣の入江大佐が皮肉を言った。当然である。「他国を侵略せず、他国の侵略を許さず、他国からの介入を許さず」というオーブの理念の下、今時大戦において中立を保っていたが、これでは連邦側として参戦しているようなものである。ヘリポリス周辺にはサラミス級巡洋艦の改修タイプが哨戒航行をしていたのである。

 

「艦長。全艦のミラージュコロイドを展開、第2種戦闘態勢で航行せよ」

 

「はっ!全艦に暗号電文!」

 

 

 

 この3ヶ月前、紺碧艦隊は主力艦艇の近代化改修を行った。改修点として

 

1、MS運用能力の追加

2、ミラージュコロイドの標準装備

3、79式超高感度電探の搭載

 

が挙げられる。1に関しては、言うまでもなくモビルスーツの運用能力追加による戦力強化を図っている。2については、連邦との技術交換によって入手したミラージュコロイドシステムを開発部が研究、強化改修を施した79式熱光学迷彩装置を完成させ、それを全艦に搭載させてステルス能力を向上させている。3については、ミノフスキー粒子下でのレーダーの無力化に伴い、帝国軍開発部がミノフスキー粒子下でもレーダーが運用できるように開発した最新鋭のレーダーである。この改修タイプは、後に伊800型潜宙母艦と呼ばれることとなる。更に、紺碧艦隊には、専用のモビルスーツが配備された。後に「つくばシリーズ」と呼ばれるモビルスーツ群である。

 

 つくばシリーズとは、前世宇宙世紀においてオーガスタ系と呼ばれたモビルスーツの事である。その起源であるRX-78NT1「アレックス」を最初に、RGM-79N「ジム・カスタム」、RGC-83「ジム・キャノンⅡ」、派生型のRGM-79Q「ジム・クゥエル」などの機体群は、パーツや形状が似てることから、、総じてオーガスタ系と呼ばれている。紺碧艦隊旗艦イ601には、紺碧艦隊MS機動隊隊長機であるアレックスとジム・クゥエルが搭載されており、他の艦艇には、ジム・カスタムとジム・キャノンⅡが搭載されていた。

 

 

 

 紺碧艦隊が警戒態勢に入って3時間後、事件は発生した。

 

「電探に感あり!2時方向にナスカ級1!ローラシア級2!ザフトの機動部隊です!」

 

「何!」

 

 電探の示す方向に潜望鏡を向けると、そこにはザフトの機動部隊が映っていた。

 

「どういうつもりだザフトは!」

 

「中立国への攻撃は南極条約違反だぞ!」

 

 艦橋がざわめくと、前原は潜望鏡を下ろして考えた。ザフトがヘリオポリスを攻撃する理由である。恐らく連邦の新型モビルスーツ破壊または強奪であろう。だがそれにしては様子がおかしいのである。前原は決断した。

 

「艦長。「半蔵」を射出しろ。ヘリオポリスの内部が知りたい」

 

「了解!」

 

 

 

 半蔵とは、紺碧艦隊に配備された小型無人偵察ドローンの事である。光学迷彩を標準装備し、AMBACシステムによる無重力環境下での偵察も可能としている。艦橋の通信長席から遠隔操作を行うことにより、目的地までスムーズに行け、搭載されている79式高性能電子ビデオカメラから、高解像度の映像が送られ、必要な情報を的確に得る事が可能である。

 

 

 

「映像、出ます」

 

 通信長席のモニターに、ヘリオポリスの都市が映し出された。

 

「外が騒がしいのに、中は平和ですな」

 

「通信長、モルゲンレーテの様子を映してくれ」

 

 半蔵からの映像が変わり、モルゲンレーテが映される。そこには、5機のモビルスーツが写っていた。

 

「あれが連邦のモビルスーツか・・・」

 

「まるで我が軍のガンダムそっくりですな」

 

 入江がモビルスーツを見て感想を言った。それもその筈である。なにせ5機のMSがことごとくガンダムにそっくりだったのだ。それは当然である。ガンダムの存在は帝国軍では機密とされ、代わりに量産機であるRGM-79「ジム」が大本営を通じて発表されたのである。

 

 

 

 RGM-79「ジム」とは、帝国軍の主力MSである。ガンダムのデータを基に、コストダウン並びに簡略化して量産化された機体である。主に潜行して量産されたRX-77D「量産型ガンキャノン」との連携を重視されている。バリエーションも豊富で、通常型を始め、隊長機の「ジム・コマンド」、陸軍主力の「陸戦型ジム」、海軍主力の「アクア・ジム」、宇宙軍の支援型モビルスーツである「ジム・キャノン」狙撃型の「ジム・スナイパー」シリーズ、紺碧艦隊主力のオーガスタ系、北海道方面軍に配備された「ジム寒冷地仕様」など、数多くあるのである。

 

 

 

「司令!ザフト艦隊がジンを発艦させました!」

 

「なんだと!」

 

 艦橋に戦慄が走った。この時、戦争は新たな局面へ向かっていた。

 


 
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