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九番目の熾天使・外伝 ~ライダー戦国大合戦~

竜神丸さん

第3話

2014-01-21 14:44:15 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1231   閲覧ユーザー数:780

「「「「「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!」」」」」

 

「「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」」

 

どちらも一歩譲らない、両軍の戦い。バズーカによる砲弾が装甲車を破壊し、機関銃による銃撃が兵士達を襲い、戦いはより壮絶なものとなっている。

 

「行け、騎神グレイブ!! 我等グレイブ軍に、勝利をもたらすのだ!!」

 

「嘗めるな若造が!! 騎神ポセイドン、あの軟弱共を叩き潰せぇっ!!」

 

グレイブ軍、ポセイドン軍のそれぞれの武将達が渇を入れ、騎神グレイブと騎神ポセイドンの戦闘もまた更に激しさを増していく。

 

「せやぁっ!!」

 

「ぐ…ッ!?」

 

ポセイドンが赤い槍“ディーペストハープーン”を振るいグレイブを転倒させてそのまま貫こうとするも、刃先が当たる直前で倒れたグレイブが蹴り上げた事で攻撃は失敗に終わる。すかさずグレイブは起き上がって自身の剣“グレイブラウザー”に一枚のカードをスラッシュする。

 

≪Mighty≫

 

「はぁぁぁぁぁぁ…でやぁっ!!」

 

「な、ぐぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!?」

 

エネルギー充填されたグレイブラウザーによる必殺の一撃が、ポセイドンの身体を斜めに斬りつける形で炸裂。攻撃を受けたポセイドンは大きく吹っ飛ばされ、そこへグレイブが更に追撃しようとする。

 

「ぬぅぅぅぅぅぅぅぅ…ハァッ!!」

 

「う、ぐぁぁぁぁぁぁっ!?」

 

しかし、そう簡単に負ける程ポセイドンも甘くはない。ジャンプして斬りかかろうとしていたグレイブの胸部にディーペストハープーンで一撃加え、グレイブが地上に落下した隙に素早く起き上がる。

 

そして立ち上がった二人のライダーは、再び刃と刃をぶつけ合う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うへぇ……すっげぇ戦いだ」

 

崖の上からこの激しい戦いを見渡していた六人。目の前に広がっている戦いはあまりに圧巻ものだったからか、特にロキ、ディアーリーズ、アキの三人は開いた口が塞がらないでいる。

 

「何を今更驚いてるんですか。戦なんて、これくらい激しくて当たり前ですよ」

 

「いや、それは充分に分かってはいたんだが……いやはや」

 

「しっかし、何でライダー同士であんなに戦ってんだろうなぁ…?」

 

「さぁな。その辺は俺達じゃ分からん。支配人にでも聞いてみない事にはどうにも―――」

 

 

 

 

 

 

-ボゴォォォォォォォンッ!!-

 

 

 

 

 

 

「「「「「「!?」」」」」」

 

突如、両軍の争っている平地からまた更に大きな爆発音が響き渡る。

 

「うわぉ、また派手にやってんなぁ…」

 

「…いや、違う!! あれは単なる爆発じゃないわよ!!」

 

「へ?」

 

アキの指差した方向を見て、一同は驚愕する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「「「ガルルルルァァァァァァァッ!!!」」」」」

 

「「「「「キシャァァァァァァァァァッ!!!」」」」」

 

グレイブ軍とポセイドン軍が戦っていたところに、突如怪人達まで乱入して来た。怪人達はグレイブとポセイドンの二人だけでなく、兵士達にも容赦なく襲い掛かろうとしている。

 

「くそ、またディバイド軍の連中か…!!」

 

「者共、怯むな!! 何としてでも奴等を撃退しろぉっ!!」

 

「「「「「おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!」」」」」

 

怪人達に対し、グレイブ軍の武将を含め兵士達は果敢にも挑もうとする。

 

「おのれ、ディバイド軍め!! またしても我々を妨害するか!!」

 

ポセイドン軍の武将“モトチカ”は忌々しそうに舌打ちし、同じく怪人達に立ち向かう。しかし兵士達はあくまで人間、やはり並の力では怪人達には敵いそうにもない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うわぁ、またあの怪人達か…」

 

怪人達の出現を知って、嫌そうな目をするディアーリーズ。先程も散々怪人達と戦ったのに、こんな訳の分からない世界に来てもなお怪人に遭遇するとなれば頭も抱えたくなるだろう。

 

「どうする? 加勢するか、それともしないか」

 

「…それは話し合ったところで、どうせ意味は無いでしょう?」

 

「はっは、そりゃそうだ」

 

okakaは軽く笑いつつ、黒いドライバーを腰に装着。左腰に取り付けられているカードホルダー“ライドブッカー”から一枚のカードを取り出す。

 

「そんじゃ、俺はokakaから借りたコイツでも使ってみるか」

 

≪Stunding by≫

 

ロキはokakaから借りたファイズギアを腰に装着し、ファイズフォンの『5』の数字を三回打ってからエンターキーを押す。

 

「アキ、ハルトさん!」

 

「分かってるわよ!」

 

「うし、もう一丁頑張ろうか…!」

 

ディアーリーズとハルトは再びベルトを出現させ、それぞれ指輪をはめる。アキはドライバーに三枚のコアメダルを装填する。

 

「全く、どうしていつもこうなるんだか…」

 

デルタは溜め息を吐きつつもカードデッキをかざす。銀色のベルトが出現した後、デルタは左手を左腰に持っていくと同時に、右腕を下方から円を描くように曲げ拳が上を向くように構える。

 

「「「「「「変身ッ!!」」」」」」

 

『カメンライド・ディケイド!』

 

≪Complete≫

 

≪フレイム・プリーズ!≫

 

≪チェンジ・ナウ!≫

 

『タカ・トラ・バッタ! タットッバ・タトバ・タットッバ!』

 

okakaは太古の破壊者(プロトクラッシャー)の異名を持つ赤き戦士“仮面ライダーディケイド・プロトタイプ”に変身し、ロキはファイズに変身。ディアーリーズとハルトは指輪の力でそれぞれウォーロックとウィザードに、アキはコアメダルの力でオーズに、そしてデルタはゾルダへの変身を完了する。

 

「さぁて、ちょこっと通りすがろうか!」

 

「「「「「応ッ!!」」」」」

 

ディケイド・プロトタイプ(以下プロトディケイド)は両掌を払ってから崖を飛び降り、右手首でスナップしたファイズも飛び降り、残りの四人も同じように次々と飛び降りていく。

 

「どれ、まずはコイツだ!!」

 

プロトディケイドは一枚のカードを取り出し、自身のドライバーに装填する。

 

『アタックライド・ブラスト!』

 

「グガァァァァァァッ!?」

 

プロトディケイドは左腰のライドブッカーを取り外し、それをガンモードへと変形。前方にいたクワガタヤミーに強烈な銃撃を浴びせる。

 

「さぁ…断罪の時だ!!」

 

「ド派手なショータイムだっ!!」

 

「精々、踊り狂いなさい!!」

 

ウォーロック、ウィザード、オーズもそれぞれ剣を構え、迫って来るダークローチ達を迎撃する。ウォーロックがダークローチ達を凍らせ、ウィザードとオーズがそれを粉砕し続ける。

 

「私の場合、こっちの方が戦いやすいかな…?」

 

≪SHOOT VENT≫

 

マグナバイザーに一枚のカードが装填され、ゾルダの両肩には二本の大型大砲“ギガキャノン”が装着される。

 

「滅びろ…フンッ!!」

 

「「「キシャァァァァァァァァッ!?」」」

 

ゾルダは自身に向かって来ているサメヤミーの大群に向けてギガキャノンを発射、一体一体を確実に爆散させていく。そして間近まで迫ったサメヤミーの腹部にはマグナバイザーを突きつけ、ゼロ距離で乱射し大きく吹っ飛ばす。

 

≪Burst Mode≫

 

「しゃあっ!!」

 

「ゲゲェーッ!?」

 

ファイズフォンを銃型に変形させたフォンブラスターで、ファイズは飛び掛かって来たゲルニュートに光線を炸裂させる。その後は二刀流で襲って来たソードフィッシュオルフェノクを迎え撃ち、無理やり二本の剣を叩き落とす。

 

「タカナシ家、次男の力……嘗めんじゃねぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!」

 

「グァァァァァァァァァァァァァッ!!?」

 

ファイズのアッパーで顎を殴られ、ソードフィッシュオルフェノクの身体が大きく空中を舞った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「モ、モトチカ様!! アレを!!」

 

「何だ、どうし…ッ!? アレは…!!」

 

バズスティンガー・ワスプの剣と鍔迫り合いになっていたモトチカも、ウォーロックやウィザード達の存在に気付いた。

 

「騎神だと…!? それに、あの騎神は…ッ!!」

 

プロトディケイドの姿を確認したモトチカはギロリと睨み付けるが、そんな事も知らないままプロトディケイドはライドブッカー・ソードモードでオクトパスオルフェノクとハゲタカヤミーを同時に斬り裂き爆散させる。

 

「ふぅ、次は誰だっと!!」

 

「グルァッ!!」

 

真横からロッドを振り回して来たトライアルGの攻撃をプロトディケイドはライドブッカーで難なく受け止め、互いに押し合う。

 

「おいおい、よりによってトライアルシリーズまでいやがるとは…なぁっ!!」

 

「ガァッ!?」

 

ロッドを強引に蹴り落とし、プロトディケイドはトライアルGの顔面に裏拳をかまして怯ませる。その隙にプロトディケイドはライドブッカーからまた一枚のカードを取り出そうとする。

 

「さぁて、どう料理してやろうか―――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「騎神ディバイドォッ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「へ……のごわぁっ!?」

 

トライアルGに斬りかかろうとしたその時、プロトディケイドの背中から火花が散った。ポセイドンがディーペストハープーンで、彼の背中を思いきり斬りつけたのだ。

 

「お前、いきなり何しやが…うぉわっ!?」

 

「せいやっ!!」

 

「ちょ、やめろって、ぬぉうっ!?」

 

文句を言おうとしたプロトディバイドだったがポセイドンは全く聞く耳を持たず、ディーペストハープーンを振り回しながら猛攻を加え続ける。プロトディケイドは上手くディーペストハープーンの攻撃を受け止めてから、ポセイドンと正面から向き合う。

 

「おいおい、せっかく助けようと思ったのに不意打ちは無ぇだろうがよ…!!」

 

「黙れ!! 貴様をこれ以上野放しには出来んのだ、騎神ディバイド!!」

 

「はぁ、騎士…何、ディバイド? 何だそりゃ!!」

 

ポセイドンの腹部を蹴りつけてから、プロトディケイドはまた一枚のカードを取り出す。

 

「何かよく知らねぇがよ……そっちがその気なら、こっちも容赦しねぇぞ!!」

 

『アタックライド・イリュージョン!』

 

音声が鳴ると同時に、プロトディケイドは数が増えて一気に五人となる。そして五人同時にポセイドンと対決し、彼に激しい攻撃を浴びせまくる。

 

「ば、馬鹿な!? どれも実体があるだと…!!」

 

「怒らせたのはテメェなんだ、ちったぁ反省しやがれ…!!」

 

『アタックライド・スラッシュ!』

 

「何…ぬぐぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!?」

 

ライドブッカーの刃が赤く染まり、プロトディケイドは大きく×を描く形でポセイドンに強烈な斬撃を浴びせた。斬られたポセイドンは大きく退き、煙の出ている胸部を押さえながら膝を突く。

 

「ぐぅ、おのれぇ…!!」

 

「随分とタフな野郎だな。そもそも、ディバイドって何なんだよ一体…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ほう、この私をお呼びかね?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「!?」」

 

刹那。

 

プロトディケイドとポセイドンの両方に、謎の銃撃が炸裂した。悲鳴を上げる事も出来ないまま、二人は大きく吹き飛ばされる。

 

「がはぁ……何、だ…今の、は…!?」

 

「ぬぐぅ……な、奴は…!!」

 

倒れるプロトディケイドとポセイドンの前に、銃撃を浴びせた者は姿を現す。

 

「な…!?」

 

その姿は、プロトディケイドとあまりにそっくりだった。

 

「お前は…!!」

 

「その戦い……どうかこの私も、混ぜて貰えないものかな?」

 

突如現れた黒き戦士―――騎神ディバイドは静かに笑いつつ、黒いライドブッカーの刃を撫で上げた。

 

「騎神、ディバイド…!!」

 

ポセイドンはディーペストハープーンを杖代わりにする事でどうにか立ち上がり、プロトディケイドの方へ目を向ける。

 

「すまなかった……どうやら俺は、とんだ誤解をしてしまっていたようだ…」

 

「あぁ~…何かよく知らんが、誤解が解けたなら何よりだ」

 

プロトディケイドも膝を突きつつ身体を起こし、ディバイドのいる方へ目を向ける。

 

「ほほう、まだ気力はあるようだね……良いぞぉ? 私は元気のある者が大好きだ」

 

「この野郎……俺が言うのも何だが、いきなり出て来て何をしやがんだ…!!」

 

「何をする気か? その答えは非常に簡単だ。答えは―――」

 

『ファイナルアタックライド…』

 

 

 

 

 

 

「そこの騎神君に、用があるからだよ」

 

 

 

 

 

 

『ディ・ディ・ディ・ディバイドッ!!』

 

ディバイドの持つライドブッカーにエネルギーが充填され、ディバイドは瞬時にポセイドンの前まで移動して見せる。

 

「な、何…ぐわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!?」

 

「ッ!? 速過ぎる…!!」

 

速過ぎるスピードに反応出来なかったポセイドンは、そのままディバイドに連続で斬られて遂に力尽き倒れ伏してしまった。

 

「おやおや、もう倒れてしまったか。もう少しくらい張り合いは欲しかったかなぁ」

 

「な、騎神ポセイドン!?」

 

ディバイドが残念そうな仕草をする中、モトチカはポセイドンが敗れた事を知って愕然とする。

 

「まぁ良いだろう、思っていたより早く予定も済みそうだ……おい」

 

「キシャアッ!!」

 

ディバイドが指を鳴らすと、ディバイドの後方からホエール・ドーパントが出現。ポセイドンの前までやって来て立ち止まる。

 

「キシャシャシャシャ…ボエェェェェェェェルッ!!」

 

「なっ!?」

 

ホエール・ドーパントが口を開くと、ポセイドンの身体が粒子状となりそのまま口の中へ吸収されてしまった。吸収し終えた後、ホエール・ドーパントはすぐに口を閉じる。

 

「ば、馬鹿な……騎神ポセイドンまで、奴の手に…」

 

「モ、モトチカ様!!」

 

「…て、撤退だ!! 総員、撤退しろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉいっ!!!」

 

「「「「「は、はいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ!!?」」」」」

 

先程までの勇姿は一体何処に消えてしまったのか、モトチカやポセイドン軍の兵士達は一目散に逃げ出してしまった。

 

「ふむ、なかなか逃げ足の速い連中だねぇ」

 

ディバイドはポセイドン軍が退散して行くのを見届けた後、今度はプロトディケイドに目を向ける。

 

「ふむ、新しく誕生した騎神かな? 私も初めて見るが」

 

「何、なんだ、お前……仮面ライダーを吸い込んで、何をしようと…!!」

 

「仮面ライダー……確か、別世界での騎神の呼び名だったかな。ならばちょうど良い、異世界の騎神の力も、ここで回収しておくとしようかね」

 

「キシャシャシャシャシャシャシャッ!!」

 

(ッ…まずい!!)

 

身の危険を察知したプロトディケイドはすぐに立ち上がり、逃亡を図ろうとするが…

 

「おっと、逃げないでくれたまえ」

 

「な…がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」

 

即座にライドブッカーをガンモードに変形したディバイドにより、背中を容赦なく狙い撃ちにされてしまう。ダメージが重なり過ぎた影響からか、プロトディケイドはとうとう変身が解除されてokakaの姿へと戻ってしまった。

 

「ぐ、がは…!!」

 

「安心したまえ、吸収されるのは君だけじゃない。君の仲間も今頃、このホエール・ドーパントの体内で待ってくれている事だろう」

 

「俺の仲間…ッ!? お前、まさか!!」

 

「さぁ、大人しく捕まってくれたまえ」

 

「キシャシャシャ…ボエェェェェェェェェルッ!!」

 

(くそ…!!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

≪スピアー・ナウ≫

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「キシャシャシャアッ!?」

 

「む?」

 

「…!?」

 

okakaが吸収されそうになったその時、飛来した複数の氷柱がホエール・ドーパントに命中。ディバイドの方にも飛来するが、ディバイドは身体を逸らすだけで上手く回避する。

 

『スキャニングチャージ!』

 

「!」

 

「せいやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

 

別方向からは、オーズのタトバキックが飛来して来た。ディバイドはライドブッカーを素早くソードモードに切り替え、その刃先でタトバキックと押し合う形になる。

 

「ほほう、こんなにも異世界の騎神が揃うとは…なっ!!」

 

「な…キャアッ!?」

 

「アキッ!!」

 

ディバイドが力ずくでタトバキックを押し返し、落ちてきたオーズをウォーロックが受け止める。

 

≪エクステンド・プリーズ!≫

 

「よいしょおっ!!」

 

「んむ?」

 

ディバイドがウォーロックやオーズに気を取られている隙に、ウィザードがエクステンドを発動。右腕を蛇のように長く伸ばし、okakaをすぐに自分の方へと引き寄せる。

 

「フンッ!!」

 

「む…!」

 

そこへ更にゾルダのギガキャノンによる砲撃も飛び、爆発による煙がディバイドの視界をも遮る。結果として、無事にokakaをディバイドから救出する事に成功した。

 

「okaka、大丈夫か!!」

 

「あ、あぁ、何とか、な…」

 

okakaの救助には成功した。その事に安堵しつつ、メンバー達はディバイドがいるであろう煙の方を睨み付ける。

 

「ほう……どうやら私は、君達にしてやられたようだね」

 

煙の中から、ディバイドが姿を現す。ゾルダが散々砲撃をかましたにも関わらず、ディバイドは無傷の状態で余裕そうな雰囲気を見せていた。

 

(何だこいつ…!! 隙が全然見えねぇ…!?)

 

気楽そうに構えているディバイドに、ファイズは警戒しつつ問いかける。

 

「取り敢えず聞こう……お前は何者だ? 一体、何を目的に動いてる…?」

 

「先程から、妙に質問が多いねぇ」

 

ディバイドは困り気味な様子を見せつつ、再び指を鳴らす。

 

『キュォォォォォォォォォォォォッ!!!』

 

「「「「「「!?」」」」」」

 

遥か上空から、翼を生やした巨大なコブラのモンスター“ククルカン”が出現。そのククルカンの背中にディバイドとホエール・ドーパントが飛び乗った。

 

「私は騎神ディバイド。全ての騎神を倒し、アトラスの器を手にした時……全ての世界に、終わりなき絶望をもたらしてくれよう…」

 

ディバイドがそれだけ告げた後、ククルカンはディバイドとホエール・ドーパントを背に乗せたまま何処かへ飛び去って行ってしまった。その後、okakaを除くメンバー達も変身を解除する。

 

「騎神ディバイド、か……よく分からん野郎だったな」

 

ロキが呟いたその横では、okakaが傷だらけの状態で立ち上がろうとしていた。

 

「ちょ、おい!! 無理すんなってokaka!!」

 

「駄目だ…!! アイツは、追わなくちゃならねぇ……アイツ、俺達の仲間、を…」

 

ハルトの制止を振り切り、無理してでも歩こうとしたokaka。しかし結局はその場に倒れ、意識を失ってしまった。

 

「あぁもう、言わんこっちゃないの」

 

ハルトがokakaを担ぐ中で、デルタはディバイドが言っていた台詞を思い出していた。

 

(アトラスの器……何の事だ…?)

 

その時…

 

「待ってくれ、そこの君達!」

 

「「「「「!!」」」」」

 

メンバー達の前に、グレイブ軍の兵士達とグレイブが立ち塞がった。その中から、グレイブ軍の武将が一人だけでメンバー達の下に歩み寄る。

 

「君達、さっき騎神の姿となって戦っていた者達だよね?」

 

「…騎神?」

 

聞き慣れない単語に、ロキ達は首を傾げる。

 

「君達が変身していた戦士の名だよ。君達のおかげで、部下達も無事に助かった。感謝する」

 

グレイブ軍武将はロキ達に頭を下げ、それを見た兵士達が一斉にざわめく。

 

「ユ、ユキムラ様!? グレイブ軍を率いるあなた様が、そんな簡単に頭を下げられては!!」

 

「この者達は我々の恩人だ。そんな者達に、礼を言わずして一体何とする」

 

(ん、ユキムラ…?)

 

「あぁすまない、申し遅れてしまった」

 

ロキがその名に頭を捻る中、グレイブ軍武将は頭を上げる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私の名はユキムラ。グレイブ軍を率いている者だ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

グレイブ軍武将―――真田ユキムラは、ロキ達に対してそう名乗るのだった。

 


 

 
 
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