No.652918

真・恋姫†無双異聞 徐庶伝 第六話 妖怪髭仙人現る

此処最近寒いですね
前回は大変申し訳ありませんでした
今後は少々投稿ペースが落ちますが、エターにはしないように頑張ります

2014-01-08 19:41:28 投稿 / 全5ページ    総閲覧数:1411   閲覧ユーザー数:1333

前回までのあらすじ

 

近づく別れ

徐福登場

アンチエイジングって凄いね

 

 

襄陽の郊外、其処にある茶屋。

金熊達一向はそこで茶を飲みながら今後を話し合っていた。

 

「まさか、徐福が町を出てるたぁなぁ」

 

「あらあら、困りましたねえ」

 

金熊が以前あったときはこの街の外れに住んでいたのだが、尋ねてみると、今は其処には住んでおらず

少し離れた場所に庵を構え、そこで、学問に励んでいるらしい。

 

「あ、劉度様、この肉まん美味しいですよ?」

 

もぐもぐと口いっぱい肉まんを詰め込み、能天気に話すミーシャ。

先ほどまで皿一杯に積み上げられていた肉まんは彼女によって大半が消失していた。

 

「うふふ、ミーシャちゃんはよく食べるわねぇ」

 

そういって、彼女の口元の食べかすを布で拭いてやる。

こうしてみると、年の離れた姉妹にしか見えないのであるが、彼等の関係は主従である。

 

「なんにせよ、行くしかないんじゃねえか?」

 

ズズとお茶を啜ると、今まで黙っていた仁が口を開く。

 

(お茶も肉まんも美味いな…よかったぜ、食文化が全く違う土地じゃなくて)

 

「まぁ、それもそーなんだがな…俺には信じられないんだよ仁」

 

「何がだ?」

 

「いや、徐福ってのは、俺が知り合ったときは大人しく学問に励むような奴じゃなかったんだわ」

 

「ほうほう」

 

「そいつが、町から離れて学問に励んでるってのはどーにもおかしいとおもわねえか?」

 

「何、人生、学が必要だと悟ったんじゃねえか?」

 

「そうかねえ…」

 

「ミーちゃんも、食い気ばかりじゃなくて学もねえと、アレだ、悪い奴にコロっと騙されちまうぞ」

 

「もごもごもごふぁっ!(私に振るなッ)」

 

ミーシャの頭をぽんぽんと叩きながら、仁が笑う。

ミーシャが反論するが、口いっぱいに肉まんをつめているため、何を言っているか分からない。

そんな二人を見て、梅華は微笑んでいるが、金熊の表情は未だ渋い。

 

「まぁ、いかにゃわからんか…息災ならばいいんだがな」

 

「そーいうこった、とりあえず、茶を飲んだら出発で良いのか?」

 

「ああ、今から出れば夜までにはつくだろうよ」

 

「そうかい」

 

もう一度お茶を飲む。先ほどまで食べていた肉まんの脂っこさがお茶でさっぱりする。

 

(しかし、お茶ってのはこの時代あったっけか?まぁ、女性が武将やってる世界だ…いい加減なんだろ)

 

と、なると、仁はどうしても欲しいものがあった。

 

「あー、金熊の旦那、ちょいといいかい?」

 

肉まんを豪快にほうばる、金熊に声をかける。

 

「なんだ?コレならやらねーぞ?ミーシャが食いすぎたおかげでコレが最期の一個なんだからな」

 

慌てて肉まんを後ろに隠す金熊。

年甲斐も無いそんな行動だが、彼がやると妙に愛嬌がある。

 

「いやいや、おっさんが口つけた肉まんなんていらねーよ」

 

「ふん、誰が口をつけても肉まんは肉まんだろうが…で、なんだ?」

 

「いやぁ、タバコって売ってないものかね?」

 

「タバコ?なんだそりゃ?」

 

「あー、ないのか…ま、しゃーないか」

 

だとしたら、コレは貴重だなと、服の上からまだ封の切っていないタバコをさする。

 

「(ごっくん)…さて、そろそろ出るぞ、梅華ちゃん、ミーシャ」

 

最期の一口を飲み込むと金熊が二人に声をかける。

 

「はい~、ではいきましょうか~」

 

「はっ」

 

「ミーちゃん、返事はいいが、まだ口元に食べかすがついてるぜ」

 

「う、うるさい」

 

ごしごしと袖で口元をぬぐうミーシャを微笑ましく見る仁。

 

(なんだかんだで、その徐福って人のところまで行けばこの騒がしい旅の一向ともお別れか)

 

「まぁ、そのなんだ…皆ありがとうな」

 

「ん?行き成りなんだ」「どうした、高柳、落ちてるものでも食ったか?」「どうしました~?」

 

「いや、なんだ…お前等に出会わなかったら野たれて死んでたかと思ったんでな」

 

「はははっ、最初にもいっただろう?旅は道連れ世は情けってな、気にするな」

 

「今からでも野たれて来て私は一向に構わんぞ」

 

「あらら~、どちらかといえば、山賊から救ってくださったのは仁さんですから、お礼を言うのはこちらですよ~?」

 

「…約一名おかしいのがいるが、まー、アレだ、そろそろお別れだからな」

 

「そうだなぁ、ま…縁がありゃ、そのうちまた会うだろうよ」

 

「貴様と離れられて清々する、どこかで死んでも化けて出るなよ?」

 

「寂しくなりますねぇ~、洛陽の帰りにはまたこの町をよりますのでその時にお会いしましょう」

 

三者三様の返答。

それさえも別れた後には懐かしく思えるのだろう。

 

「とりあえず、ミーちゃんはもう少し、言葉をわきまえろおおおおおおお!」

 

「高柳が怒った!?助けて劉度様!」

 

「あらあら~どうしましょうか~?」

 

「お前等、店に迷惑はかけるなよ」

 

今は残り少ないこの時を楽しもう。そう思う仁であった。

 

 

それから、お茶の代金を支払い、教えてもらった庵へと向かう一行。

教えてもらった道を反日も行くと、一見の庵が見えてきた。

 

「…なぁ、本当に此処に徐福って人は住んでるのか?」

 

「ちょっと、自信がなくなってきたな」

 

「あらあら~、お化け屋敷みたいですねぇ?」

 

「ひっ、お、お化けなんているわけないじゃないですか劉度様」

 

近寄って分かったのは、とにかくこの庵…ボロい。

回りの畑も手入れをしていないのか、草が伸び放題荒れ放題である。

 

「とりあえず、呼んでみるか…おーい、徐福さんいるかい?」

 

「…」

 

返事が無い、ただの廃屋のようだ。

 

「別の場所に住んでるんじゃねえか?」

 

「困りましたねぇ…」

 

どうしようかと、しばらく悩んでいると、突然庵の戸が開き…

 

「…なんのようだ?」

 

髪と髭で人相も分からない、ぼろぼろの服を纏った人物が出てくる。

 

「うわあああああ!?お化け!?!?」

 

ミーシャが驚き、仁の後ろへと隠れる。

 

「お化けとは酷いな…コレでも人のつもりなのだが、な」

 

しわがれた声から男と推定できるが、若いのか年老いているのかは判別できない。

 

「すまないな、連れが…徐福殿の庵と聞いてやってきたんだが、彼はご在宅か?」

 

金熊が尋ねる。

 

「…俺が、徐福だが、アンタ…金旋の旦那か?」

 

「そうだが、お前が徐福…なのか?」

 

金熊には目の前の得たいの知れない人物と、彼がかつて出会った徐福がどうしても繋がらなかった。

数年前、金熊があった徐福は、20代後半の無頼であったが、身なりはきちんとしていたし

声にも張りがあり、髭や髪もきちんと剃っていた。

 

「あぁ、アンタは変らないな」

 

「お前は変りすぎだ、あー本当に徐福なんだな?」

 

「孫堅に言い寄って、長江に沈みかけた旦那を助けた徐福だと言えばわかってもらえるかい?」

 

にやりと笑う徐福。慌てる金熊。

 

「わわわわわわ、わかった、確かに徐福だなお前は!」

 

「他にも話そうか?そうだな…」

 

「もういいっ!」

 

「あらあら~、金熊兄さんも若いころはやんちゃだったのねぇ」

 

のほほんとそんな二人を見ている梅華。

 

「あ、あれは本当に人間なんですか?妖怪髭お化けじゃないんですか?」

 

仁の後ろから首だけ出して、恐る恐る徐福を見るミーシャ。

 

「…あー、話を進めてもらっていいかい?」

 

とりあえず、話を進めて貰わないと日が完全に落ちてしまう。そう思った仁は二人を促す。

 

「お、そうだな、実は徐福…」

 

「まぁ、中に入れ…そろそろ日が暮れる、今日は泊まっていってくれ」

 

そういって、家の中へと帰っていく徐福。

 

「んじゃ、入るか」

 

それに続いて入っていく金熊。梅華もソレに続いて入っていく。

 

「え?此処に泊まるのか!?駄目だ、絶対幽霊とかお化けが出るだろ!?」

 

「でねえから、はよ、入るぞミーちゃん」

 

嫌がるミーシャを、ずるずる引きずりながら仁も入っていく。

 

 

おどろおどろしい外見とは裏腹に、中は簡素ながらも整理されていた。

…というよりは、生活に必要最低限のモノ以外は書物しかない、そんな家だった。

囲炉裏を中心に全員が座ると、徐福は鍋に何か入れたものを火にかけ始め、全員に椀を配り台所へと戻る。

 

「酒でいいか?茶なんてもんはうちにはなくてな」

 

再び台所から戻ってきた徐福は酒の入った瓶を二便抱えて戻ってきた。

 

「ああ、それで構わないぞ」「ええ、気を使わせてしまって申し訳ありません~」

 

「…」「俺とミーちゃんもそれでかまわねえよ、悪いな、ご馳走になる」

 

ミーシャはまだ緊張してるのか、仁のコートの裾を掴んでぷるぷる震えている。

 

(普段からこんだけ大人しけりゃかわいいもんなんだが)

 

そんな事を思いながら、徐福に酒を椀に入れてもらう。

椀の中の酒は、濁り酒で、口に入れるとかすかに酒精がするものの、普段から日本の酒を飲んでいる仁にとっては

水のようなものだった。

 

「で、だ…」

 

ぐつぐつ煮える鍋を前にして、酒を一旦手元に置き、徐福が切り出す。

 

「こんな辺鄙なところまで、金熊の旦那は何をしにきたんだぃ?」

 

「あぁ、それがだな…」

 

仁の境遇を金熊が話し始める。徐福はそれを黙って聞く。

時々何かを考え込むように目を閉じるが、口は挟んでこない。

 

「…と、言うワケで俺等は洛陽にいかなけりゃならねえし、お前さんにコイツの世話を頼みたいと思ってな」

 

そういって、袋を徐庶の前に置く。中は多分金子だろう。

 

「おいおい、其処までしてもらう筋合いはねえだろ、金熊の旦那」

 

仁が口を挟むが。金熊は笑って取り合わない。

 

「ばっか、身よりも無いお前がどうやって此処で暮らしていくんだよ…まぁ、恩に感じるなら、今度であったら酒でも奢ってくれ」

 

そういわれると、仁も言い返すことができない。

確かに、身寄りもなく、常識もおぼつかないこの世界で生きていくならば、しばらくはこの世界の事を学ぶ必要があるからだ。

 

「ふむ…」

 

そんなやり取りを見ていた徐福は少し考えると。

 

「構わんよ、こいつに常識を教えて、一人立ちできるようにすればいいんだな?」

 

「ああ、腕っぷしは強いし、頭の回転も速い…ただ、少々、常識が怪しいんでな」

 

「なるほど、なるほど」

 

徐福が仁を見る。髭と髪で表情はうかがえないが、なにやら納得したように頷くと

 

「どうにも去年から病で体の自由が余り聞かなくてな…家に置く変りに、家事全般や買出しを頼みたいが構わないか?」

 

「おぅ、そのくらいなら任せてくれ」

 

「病?大丈夫なのか?」

 

金熊が心配そうに声をかける。

 

「大丈夫だ、ちょいと、昔のツケが回ってきたんだろうよ…しばらく大人しく過ごして居ればよくなるさ」

 

クククと徐福が笑う。

 

「さて、鍋もそろそろ煮えた…今日は飯を食ってさっさと寝ろ、金熊の旦那達は旅の疲れを取る必要があるし、仁だったか?お前も明日からは忙しくなるぞ」

 

そういって、先ほどまで酒が入っていた椀に、鍋で煮ていた粥を入れる。

 

「それじゃ、よろしく頼むわ…えーと、徐福でいいのか?」

 

「あぁ、それでかまわねえよ」

 

粥は熱く、塩気がいい塩梅に効いていて実に美味い。

 

(この時代の塩ってどうやって作るんだっけか?)

 

うろ覚えの知識を引っ張り出そうとするが、中々思い出せない。

そんな事を考えながら粥を啜っていると、いつの間にか椀の中が空になっていた。

 

「御代わりいるかい?」

 

と徐庶が申し出てくれるが断る。昼に食べた肉まんが未だに消化しきれていないのだ。

 

(俺も年かね…)

 

そんな事を考えながら、御代わりを食べているミーシャを見ていると

 

「(もぐもぐ)…今度手合わせするときは、必ず勝つ、だからそれまで死ぬなよ…仁」

 

「あぁ、お前もなミーシャ」

 

「ふんっ」

 

そう言って、顔を背けてしまう。少し紅く見えたのは囲炉裏の光の加減だろうか?

 

「ふぅ、引き受けてくれてよかったぜ…これで安心して洛陽に迎える」

 

「仁さんと別れると寂しくなりますね~」

 

金熊と梅華は既に食事を終え、話に華を咲かせていた。

 

「そんなに気に入ったんなら、お前さんところで雇えばいいんじゃないか、梅華?」

 

「うーん、仁さんはもっと、こー、なんていうんですかねえ…私の兵には納まらない器な気がするんですよ」

 

「ほぅ、そりゃまたなんでだ?」

 

「女の勘です~」

 

「そうかい、まぁ…確かに、何かやってくれそうな奴ではあるがな」

 

「そういう金熊兄さんの所が雇うつもりはないんですかぁ?」

 

「あー、娘がな『お父さん、もう食客を拾ってこないでよ』って言うから難しいな」

 

「あらら…娘さんはお元気ですかぁ?」

 

「おう、元気すぎて困ってる所だ」

 

「まぁ、梅華ちゃんの言じゃねえが、洛陽の帰りに一度会うか…どんな成長をするのか見ものだしな」

 

「そうですねぇ…」

 

どうやら、二人とも仁の今後を話しているようだ。

その後も二人はとりとめのない話をして過ごしていた。

 

「さて、そろそろお開きにするか」

 

しばらく各々が寛いでいると、徐福が切り出した。

 

「ああ、そうだな」

 

女性二人は奥の書斎で寝るようだ。

布団が二組しかないため、男達は床に雑魚寝である。

火を消し、辺りが闇に包まれると、すぐに金熊のいびきが聞こえ。

それを子守唄代わりに、旅の疲れもあり仁も眠りにつくのであった。

 

 

あとがき

 

というわけで、6話です

この分量書くと、3時間かかる辺り、まだまだ俺も筆が遅すぎるorz

ご意見、感想、アドバイス、批判、誤字の指摘等々ありましたらコメント頂けると作者が喜びます。

 


 
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