No.648894

真・恋姫†無双 裏√ 第三十八話 咲夜編終幕

桐生キラさん

こんにちは!!
今回で咲夜編はラストになります

2013-12-27 12:54:17 投稿 / 全6ページ    総閲覧数:1984   閲覧ユーザー数:1710

 

 

 

 

 

 

咲夜編終幕

 

 

 

 

 

 

賊1「ぎゃーー!!」

 

咲夜「はぁ…はぁ…」

 

一体、どれほどの賊を殺したのだろう

 

賊2「てんめぇ、よくも!ゴァッ!」

 

切っても切っても、切りが無い

 

賊3「女一人に何やってやがる!全員で一斉にかかれ!」

 

咲夜「ハァァァァッ!」

 

襲ってくる賊を全て返り討ちにしていくうちに

 

私の周りは屍で溢れ、体は返り血で染まっていた

 

賊4「な、なんなんだよこいつ!」

 

賊5「怯むな!奴も人間だ!必ず殺せる!」

 

 

ザシュッ

 

 

咲夜「はぁはぁ…その前に、私が殺してやるがな」

 

終わりが見えないな。殺した数も、百を越えた辺りから、数える事をやめた

 

咲夜「チッ!どんだけいやがる!」

 

見誤ってしまったな。まさか、これ程とは…だが

 

 

グシャッ

 

 

咲夜「舐めるなよ!」

 

私はそれからも、次々と賊を殺していった。

同士討ちを誘ったり、ナイフで切り裂いたり、奪った槍で突き刺したり、剣で首を刎ねたり…

そろそろ千人斬り達成するんじゃないか?

 

賊6「ヒィッ!化け物!」

 

はっ!とうとう、私も化け物判定か。悪くないな…

 

咲夜「うっ!」ぐらっ

 

足場がどんどん屍で埋まっていったせいか、私はその一つに躓いてしまった。

しまった!態勢が…

 

賊7「今だ!やっちまグハッ!」

 

私はすんでのところで、槍を突き出し、賊の一人を殺す事が出来た。

だが、私は完全に態勢を崩してしまい、倒れてしまった。

そして容赦無く、賊が押し寄せてくる

 

そんな…

 

こんなところで終わるのか?

 

力を付けたのに、私はまた負けるのか?

 

クソ!クソ!クソ!

 

こんなはずじゃない!

 

まだいけるだろ!

 

動け!

 

動けよぉぉぉぉっ!!

 

 

ダダダダァン!!

 

 

咲夜「!!」

 

「今のは危なかった。無事か咲夜?」

 

気付くと、私に向かっていた賊達は皆蜂の巣になっていた。

その奥には、零士が銃を構えて立っていた

 

咲夜「わ、悪い…」

 

また、こいつに守られてしまったな。一人で飛び出したくせに、格好悪い…

 

零士「休んでいなよ。だいぶ派手にやったみたいだしね」

 

それからの行動は早かった。零士は瞬く間に賊を殲滅。

逃げて行く奴らも容赦無く殺していった。洞窟内は死臭と屍で満ちていた

 

 

 

 

零士「はぁ…咲夜、何故一人で出た?」

 

賊の掃討が終わると、零士は私に近づき、語りかけてきた

 

咲夜「早く助けなきゃマズイって思って」

 

半分は本当だが、もう半分は私一人で賊を全滅できると思ったからだ。

結果、零士に助けられたがな

 

零士「とりあえず、ここを出よう。話はそれからだ。さぁ、掴まれ」

 

零士は私に手を差し伸べる。私はそれに捕まろうと手を伸ばすが…

 

賊8「今だ!やっちまえー!」

 

数多の屍に紛れ、賊の生き残りが一斉に襲い掛かってきた

 

マズイ!対処しきれない!

 

 

ザシュグサッブシャッ

 

 

咲夜「…?」

 

私は咄嗟に防御しようと構えた。だがおかしなことが起きた。攻撃がこない?

私はこの時、目をつむってしまっていたため、状況を理解できていなかった。

そして目を開けると…

 

咲夜「……あ、あぁ…零士!!」

 

零士が私を庇って、攻撃を防いでくれていた。剣や槍が刺さり、

体は切り傷でいっぱいで、瞳からも血を流していた

 

零士「……っ!」

 

零士は咄嗟に長刀を出現させ、残りの賊共を真っ二つにした。そして膝をついた

 

咲夜「零士!おい零士!大丈夫か!?」

 

私のせいだ…私が一人で来たから…

 

零士「はは…ドラマや映画でよくある、誰かを庇って傷つくなんて…

バカのする事だと思ったけど…なるほど、こんな気持ちなのか…」

 

零士の体はいたるところから出血していた。声も心なしか、少し弱々しい

 

咲夜「零士ごめん!…私が、私がもっと考えて行動してたら…」

 

零士「ふふ…学んでくれてよかったよ…

もう、こんな無茶、しないって約束してくれるかい?」

 

咲夜「あぁする!だからもう喋るな!出血が酷い…このままじゃ…」

 

私は零士を抱え、出口を目指す。地面は賊の死体で埋め尽くされていて歩きにくい。

クソ!急いでるってのに!

 

零士「咲夜…この二年間、君といられて楽しかったよ…」

 

咲夜「おいやめろ!そんな事言うな!まだ死ぬ訳じゃねーだろ!」

 

自然と、涙が零れた

 

零士「あはは…悪くない最期だ…」

 

涙を止めることができなかった

 

咲夜「ダメだ!零士逝くな!逝かないでくれ!私を…私をまた一人にしないでくれ…」

 

村の皆を失って、家族を失って、今度は零士まで、私のそばから離れようとしている。

私は、私はまた失うのか?また、あんな悲しい思いをしなきゃいけないのか?

せっかく助けてもらったのに…

せっかく心の底から楽しいって思えたのに…

せっかく好きになれたのに…

こんな事って…

 

「この辺りはひど…!零士!どうした!?」

 

咲夜「お前…華佗か…?」

 

私が零士を抱え泣いていると、華佗が奥からやって来た

 

華佗「酷い傷だ。出血も激しい。とりあえずここで応急処置をする。

幸いな事に、五斗米道の支部がこの近くにある。応急処置が済んだら、そこへ向かおう!」

 

咲夜「零士…助かるのか…?」

 

私は涙声で華佗に問いかけた。すると華佗は満面の笑みで答えてくれた

 

華佗「あぁ!必ず助けてみせる!」

 

それから華佗は鍼治療を施す。

ただ物資が足りないのか、止血と軽い切り傷を癒す程度しかできなかった。

さらに…

 

華佗「まずい!眼球をやられている!このままじゃ視力を失うぞ!」

 

咲夜「な!…早く!その支部があるところに行くぞ!」

 

 

 

 

私と華佗は零士を抱え走り出した。

そして村とは反対方向にある道を駆け、森に囲まれた民家に辿り着いた。

そこには、華佗の同業者らしき者がいた

 

華佗「すまない!急患だ!手伝ってくれ!」

 

医者「華佗?…なんと!?酷い傷だ。すぐ手術の準備を始める!」

 

咲夜「あ、あの!絶対、絶対に助けてくれ!そいつは私の…」

 

華佗「任せろ!俺の患者は、誰一人死なせない!」

 

それからの数刻、私は扉の前でひたすら待ち続けた。

中から聞こえる激しい声に、一抹の不安を抱きながら。

そして…

 

医者「ふぅ」

 

体中汗まみれの医者が部屋から出てきた

 

咲夜「おい!零士は無事なのか?」

 

私は医者に詰め寄った。すると医者は笑顔でこう答えた

 

医者「華佗の応急処置が幸いしたな。あれがなければ、今頃出血死していただろう。

それを抜きにしても、あの男の生命力には驚いたがな。

あれだけの傷を受けて生きている者など、今まで見たことがない」

 

咲夜「それじゃあ…」

 

医者「あぁ。手術は成功。あの男は生きている」

 

咲夜「そうか…」

 

私は脱力し、膝をついた。そして、また涙が零れ始めた

 

咲夜「ありがとう!…本当にありがとう!」

 

医者「礼なら華佗に言うといい。この手術も、実質あいつの力だ。

まぁ、力を、使い果たした分、今は寝てしまっているがな」

 

咲夜「それでも、救ってくれて、感謝する…」

 

医者「医者として、当然の事をしたまでだ。さぁ、お嬢さんも休みなさい。疲れただろう」

 

それから医者は、私に布団と果物を用意し、部屋に帰っていった。

私は、零士が寝ているとされる部屋に入り、零士のそばにいた。

零士は、左眼の部分に布を巻かれていた

 

咲夜「……なんで、私を庇ったんだよ…」

 

私は零士に問いかける。あの時の私に、救われる資格なんてなかったはずだ

 

咲夜「お前は…なんで怒ってくれないんだよ…」

 

それでもこいつは私を助けた。

愚かにも私怨に囚われ、一人で突っ込み、人質を助けた事でいい気になっていた

 

咲夜「なんとか、言えよ…」

 

こいつは、以前からずっと忠告してくれていた。冷静になれと。

だけど私は無視ししていた。力を手にし、思い上がっていた

 

咲夜「私は、お前が好きなんだ…

二年前、救われた時からずっと…だから、ずっとそばにいてくれよ…」

 

こいつにはずっと支え続けられてきた。

この二年の旅は、本当に楽しかった。これからもずっと続くと思っていた

 

咲夜「もう…絶対に一人で突っ走ったりしない…

忘れる事はできなくても、冷静でいるように努める…だから…」

 

一人にしないでくれ…

 

零士「………約束、守れるかい?」

 

咲夜「!!零士!」

 

零士の右眼が開き、こちらを覗いてきた。よかった…生きてた…

 

零士「はは、心配かけたかな?」

 

咲夜「当たり前だろ…ばか…」

 

零士「咲夜、君の気持ちは理解しているが、僕は復讐の為に力を与えたわけじゃない。

力を得ることで、できることは確かに増える。だが同時に、力を手にしたその時から、

君はもう奪う側の人間でもある。そしてその力の使い方を間違えたら、それは賊と変わらない。

力の使い道を私欲に使ってしまったら、それはただの獣なんだ。

それだけは、忘れちゃいけない。もし忘れたら、君は君の大切なものを失ってしまう。

咲夜のその力は守るための力だ。殺すためじゃない。わかったかい?」

 

咲夜「わかった…」

 

零士「もう、間違えないと、約束できるかい?」

 

零士は真っ直ぐ私を見つめて言った。

答えは決まっている。私はもう、二度と違えない。

私にはもう、失いたくない大切な人がいる

 

咲夜「あぁ。約束する…」

 

そして私は口付けをした。全ての想いをのせて…

 

 

 

 

零士「華佗。世話になったね」

 

二日後には、零士は完治していた。

五斗米道の力が凄いのか、こいつの回復力が半端ないのか、判断しづらいところだった

 

華佗「あぁだが、すまん。お前の左眼は…」

 

あの時受けた傷のせいで、左眼だけは完治できなかった。

傷は消せても、視力だけは回復しなかったようだ

 

零士「大丈夫だよ。まだ微妙に見えるし。それに今後は…」

 

零士は突然、私にもたれかかってきた

 

咲夜「お、おい!」

 

零士「咲ちゃんに支えてもらうから、なんともないよ。いいよね?咲ちゃん」

 

咲夜「お前…」

 

本当に勝手だ。だけど、嫌な気分ではない

 

華佗「旅は続けるのか?」

 

零士「いや、もうだいたい会いたい人には会ったし、どこかに定住しようと思っているよ」

 

咲夜「な!いいのか?まだ曹操と劉備だったか?には会ってないぞ」

 

零士「大丈夫。会える目処はたってる。咲ちゃん、許昌に行くよ」

 

華佗「許昌か。ここからなら近いな。だが、あそこには何もないぞ?」

 

零士「ふふ。今はね。だがすぐに発展するさ。いずれ曹操とも、そこで会えるはずだ」

 

咲夜「未来の知識、ってやつか?」

 

零士「そういう事だ。じゃあ華佗、そろそろ行くよ。助けてくれて、ありがとう。

許昌では飲食店をやるつもりだから、いつでも来てくれ」

 

飲食店?こいつは本当に、相談無しで決めていくな

 

華佗「わかった!道中気をつけてくれ!」

 

咲夜「華佗、世話になった。ありがとう。今後は咲夜と呼んでくれ」

 

華佗「いいのか?俺は五斗米道の教えで、真名を教える事はできないんだが…」

 

咲夜「いいんだ。受け取ってくれ」

 

華佗「…わかった。咲夜も気をつけてくれよ!」

 

そして私たちは、許昌を目指す最後の旅をした。

その旅が、どことなく寂しく感じられた。

 

やがて、私たちは許昌に辿り着く。

許昌の街は、広い割りには活気がなく、どこかさみし気だった

 

零士「よし、許可は取ってあるし、ここに店を構えよう」

 

咲夜「金はあるのか?」

 

零士「ん?」ぱちんっ

 

咲夜「…」

 

零士が指を鳴らすと、立派な建物が現れた。魔術がいちいち反則過ぎる

 

咲夜「なかなかの外装だな。中も悪くない」

 

零士「さて、僕はここで飲食店をするつもりだよ。

許昌の物流は悪くないし、僕の世界の料理なら絶対に受けるみたいだしね。

咲夜、君はどうする?」

 

咲夜「は?何言ってんだ?私もやるに決まってるだろ」

 

零士「…いいのかい?君程の力があれば、多くの人を助けられるんだぞ?」

 

咲夜「だとしても、私はお前と一緒に生きていくと決めたんだ。

それが飲食店をやることでも、関係ない。私は、私の大切な人を守れたら、それでいい」

 

零士「そっか…なら、今後とも、よろしく頼むよ。咲夜」

 

それからも、様々な出会いがあり、人が増えていき、そして…

 

 

 

 

現在

 

 

 

 

 

これが、私と零士の今がある道程。

こいつの左眼は、私の責任だ。許されるはずがないんだ

 

零士「咲夜、そんなに気を遣わなくていい。

僕は今までも上手くやってこれたし、これからもやっていける。だから、大丈夫だよ」

 

咲夜「上手くいってないから、死にかけたんだろ?」

 

零士「あー、はは。油断してたらね。ずいぶんと衰えたもんだよ」

 

咲夜「なんでお前は…そうやって笑っていられるんだよ…」

 

こいつはいつだってそうだ。何があっても、笑って受け流す

 

零士「それでも僕は生きているからかな。生きている限り、笑ってなきゃ勿体無いだろ?」

 

咲夜「私はお前が心配だ…いつか、いなくなってしまいそうで…」

 

私は知っている。こいつは冷静だが、その癖に無茶をしたがる。

私に約束させといて、自分の事は棚に上げる。本当に勝手だ…

 

零士「………そういえば咲夜、四年前の答え、聞かせて欲しいな」

 

四年前の、答え?

 

零士「僕は咲夜を支える。だから、咲夜は僕を支えてほしい」

 

言われて気づく。確かに、私はあの時、ちゃんと答えを言っていなかったな

 

咲夜「当たり前だ。私はお前を支える。お前は、私の大切な相棒だから…」

 

そして私は、零士を手放さないかのように、二度目の口付けを交わした

 

 

 

 

 

あとがき

 

 

 

こんにちは

 

クリスマスはただの平日だった桐生キラです!

 

 

 

今回はオリジナルキャラ、司馬懿こと咲夜のメイン回でした

 

実はこの裏√、プロトタイプってのがありまして

 

零士と咲夜の出会いから『晋』設立までの二年間の旅の話を細かく書いた第一部

 

その後の、北郷一刀が外史入りしてからの展開を第二部として考えていたんですが

 

さすがにそれやると、とてつもなく長くなるのでやめました(笑)

 

この咲夜編は、その第一部のダイジェストみたいな感じの話なんですよね

 

 

 

昔の咲夜は、力を付けたことによって誰かを護れる立場になり、本人もそれを自覚してはいるものの、過去の経験から賊に対しての憎しみを捨てきれないでいる子でした。それにより暴走することが多々あるって感じで、今回はその暴走がきっかけで大切な人を失いかけたってお話です。これにより、咲夜は零士に対して好意と共に罪悪感を抱いており、零士の隣で生きていく事を誓ったって設定です

 

 

そして、今回もう一人にも多大な影響を与えています。劉備こと桃香です。この裏√において、劉備が天下泰平を志すようになったきっかけと言えるのが、咲夜との出会いです。彼女が抱いている理想に対し、時として武力も必要であるということ知る事件でした。これにより、多少現実を見るようになるんですが、この裏√では蜀のお話を書く気はないので触れるつもりはありません(笑)

 

 

 

本当はクリスマス話でも書くつもりだったんですが、いいのが思い浮かばなかったので断念しました

 

本当に悔しいです…

 

正月話は書けたらいいなぁ(笑)

 

 

 

さてさて、次回は日常編

 

まだ出していないキャラを中心に書いていこうと思います

 

もし要望があれば受け付けますので、気軽に言っちゃってください

 

可能な限り書いてみます(笑)

 

それではまたお会いしましょう!!

 

 

 


 
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