No.637519

島津一刀と猫耳軍師 二周目 第9話

黒天さん

今回は桂花さんの話しを少しと天梁さんのお話です。太守じゃなくなったしタイトルを若干変更。
リアル事情にて更新速度が少し落ちてます

2013-11-17 00:28:43 投稿 / 全8ページ    総閲覧数:9669   閲覧ユーザー数:7026

また変な夢をみた。

 

よくわからない夢、確か一刀が出てきたのは覚えてる。

 

いつもは、夢じゃないみたいにハッキリ覚えてるのに今日は内容を全然覚えていない。

 

代わりに、自分の気持ちが変わる。夢の中の自分の気持が流れこんで来るみたいで……。

 

前に見た時は居てもたっても居られずに、探しに出てしまった。

 

わらにもすがる想いで占い師に話しをきき、それを信じて飛び出した。

 

占いがあたってたみたいで、出会うことはできたけれど、もしあの時私が一刀に気づかなかったらどうなっていたんだろう……。

 

夢を見たのはお酒を飲んで一刀の部屋で寝てしまってすぐ。

 

酔ってた時のことはおぼえてないけど、多分抱かれてはいない。

 

分かってるのはハッキリ寝顔をみられただろうってことぐらい。

 

「一刀……」

 

声に出して名を呼んでみる。あの夢を見てから、やっぱり気持ちが変わったきがする。

 

いつも隣に居たい、ずっと傍に居たい、その気持は変わらない。

 

でも、「一刀様」と、そう呼ぶのがイヤになった。

 

夢の中でそうしていたように、呼び捨てで呼びたいと強く思う。

 

それに、丁寧な言葉で接するより、いつもの自分で居たいと思うようになった。

 

一度そうして欲しいと言われたけど、あの時はまだそんなこと思いもしなかったから断ったけど……。

 

「私の方から申し出て、良いって言ってくれるかしら……」

 

きっと良いと言ってくれると思う。そんな気がする。

「軍師がこんなに弱気でどうするのよ。良いと言わないなら、言いくるめてうんと言わせるぐらいの気でいかないと」

 

また近いうちに夜に一刀の部屋にいこう。

 

「……」

 

そういえば、前にもあんなふうに一刀の寝台で目覚めた事があったような……。

 

思い出せない……。

 

「何でそんなこと忘れちゃうのよ」

 

毒づいてみても霞がかかったように思い出せない。でもうすぼんやりとそんな気がする。

 

そもそもなんでそんな気がするのか……。

 

一緒に行動するようになってからこっち、そういうことはなかったと思うし。

 

夢で見た? 夢の事は大抵覚えてるはずだから忘れてるのは考え辛い

 

それにそんな桃色な夢なら忘れてるわけが……。

 

抱きしめてもらったり、頭撫でてもらったり、くちづけしたりとかは覚えてるんだけど……。

 

「荀彧様? 顔色が優れないようですが大丈夫ですか?」

 

仕事中だったのをすっかりわすれてた……。

 

「なんでもないわよ!」

 

書簡を持って入ってきた下級文官に、しかも男に、夢を思い出して顔が真っ赤な所見られるなんて、不覚だわ……。

 

でも、私は下級文官が出て行ってから、しばらく、夢の思い出に浸るのだった。

───────────────────────

 

「ここの訓練はハードだなぁ」

 

流石華琳の国、といったところか。

 

ぬるい訓練はしてないつもりだったけど、こうしてみると今までの訓練がぬるく感じるから不思議だ。

 

「ハード……?」

 

聞き返してきたのは天梁。そういえば、秋蘭と一緒に弓兵隊の訓練に参加してたんだっけか。

 

「キツイとか過酷って意味だよ。兵もヘロヘロになってるしさ」

 

「そうですね、結構キツいものがあります」

 

「この後机に向かって事務仕事をしたら、そのまま突っ伏して朝まで寝るのが予想できるなぁ」

 

「……まだ仕事をするつもりだったんですか?」

 

「んー、訓練のある日は訓練が終わってから晩ご飯までと、晩ご飯食べてから寝るまで事務仕事だなぁ」

 

「働き過ぎです!」

 

うん、知ってた。まぁ政務は慣れたもんだし、座ってるから訓練よりずっと楽だしなぁ。

 

「本当に体を壊しますよ?」

 

「それ、華琳にも言われた」

 

「……、街にいきませんか?」

 

「街に? 随分唐突な……」

 

「体を休めるのも仕事のうちです、一刀様の事務仕事、本当はしなくていい仕事なんですよね?」

 

「うん、まぁ一応そういうことにはなってるけど。明日の仕事を先取りしてやってるだけだし」

「なら街にでも出て休憩しましょう」

 

そういって腕をつかまれて、強引に街に連れて行かれてしまった。

 

弓をやってるだけあってか結構力が強い……。

 

でも、天梁や天泣といるとちょっと気楽ではあるんだよな。

 

前の世界の同じ人と面影を重ねる事がないせいかもしれないけど。

 

向かった先は菓子屋。喫茶スペースつきの。

 

取り敢えずお茶を注文してそれをすすりつつ。

 

「こうしてゆっくり話すのも久しぶりなきがします」

 

「仕事仕事の毎日だから確かにそうだなぁ。天梁とっていうより、誰ともロクにはなしてないような……」

 

最近でゆっくり話したのって桂花ぐらいのきがする。

 

他に話しをするっていっても大体仕事関係の話しが中心だし……。

 

あとは朝の勝負の前後に天泣と話すぐらいか

 

「天梁はこっちにきてから仕事の調子とかどう?」

 

「相変わらず、自分の調子でやっていますよ」

 

「それが一番いいんじゃない? 緊急の用件とかがないなら」

 

「それより、一刀様の悩みは解消されました?」

 

「中々解決する悩みでもないからなぁ、それに最近悩みが増えたし」

 

思わず苦笑、それに最近新しい悩みも出てきたしなぁ……。

 

とはいえ、紫青がああ言ってくれたし楽にはなったけど。

「今の悩みっていうのは?」

 

「大切な人を助けたいんだけどその方法が思い浮かばないんだよね」

 

助けたいっていうのは月や詠の事。今の時点ではやっぱり董卓の名前は上がってきてないし、どうにかなる気もするんだけど。

 

「星さんたちのように知ってる人、ですか?」

 

「うん、そうなるかな。夢と同じならどこかに居るはずなんだ」

 

……、前の世界のことをおおっぴらには言えないとはいえ、夢と言ってしまうのは自分でももやもやするなぁ……。

 

「……そういえば一刀様、私のことは夢で見たことはおありです?」

 

「ん、うん。見たことあるよ」

 

問いかけてくる天梁にそう返事を返せばほっとしたような表情。

 

「天泣も華琳さんも、冬華さんも見たっていうのに、私は見てないから、

 

一刀様も私のことを全く知らなかったらどうしようかって思ってしまって」

 

「んーでも、天泣や天梁の夢はそんなに見てないんだよね。

 

でもだからこそかなぁ、話しやすいというか、気楽なんだよね」

 

「そうなんですか?」

 

「ほら、夢の中の天梁や天泣とくらべてしまうことが少ないから楽ではあるんだ。

 

こういうこと相談してるのって、天梁だけだし。だから皆には内密にね」

 

「誰にもですか?」

 

「そう、誰にもだよ」

 

「話しちゃったらお仕置きとかされちゃうんでしょうか……」

 

……何故そこで赤くなる。一体何を想像したんだこの子は。

「んー、話しちゃったら天梁とは口を聞かなくなるかも?」

 

「そ、それはヤです!?」

 

あわあわと、慌てふためいてるのがちょっと可愛いとかおもったり。

 

「じゃあ黙っててもらわないとね。まぁ天梁が秘密を喋ったりするとか思ってないけどさ」

 

「わ、わかりました、絶対言いません!」

 

「そういえば、桂花に夢のこと聞いたんだって?」

 

「はい、聞きました。みなさん夢を見ていらっしゃるみたいで気になってしまって……」

 

照れくさそうにしながら、若干視線をそらして返事を返してくる。

 

「聞けば聞くほど、夢の中の一刀様は、今目の前にいる一刀様とそっくりなんですよね。

 

どうして一刀様が華琳さんに下ったのか不思議でしたけど、夢の話を聞くとなんだか納得できます」

 

「そう?」

 

「だって、仲間や、その家族をとても大切にしてくださってるじゃないですか。

 

だから麗ちゃんのために華琳さんに下ったんですよね」

 

まぁ確かに、それが俺の信念ではあったし、今もそれは持ち続けてるけど。

 

「それが良かったのかどうかは分からないよ。散々皆に甘いとはいわれてるしさ」

 

ため息を一つ付きながらお茶をすする。

 

「いいと思いますよ。だからこそ、私も天泣も、星さんだってついてきてくれるんですし」

 

「そんなのだからまぁ、悩んでるんだけどね。夢の中では、その人も大切な仲間だったからさ」

 

「助けたいですか? その人を」

 

「そりゃもちろん」

俺の言葉を聞いて、天梁が笑う。嫌な笑いではなく、微笑を浮かべたような。

 

「そういう人だから、私もついていこうと思ったんですけどね。

 

私からも何かいい手がないか考えてみますけど、その人について細かい事はわかりますか?」

 

「んー……」

 

知ってるけど、どこまで言ってもいいものか。

 

「この先どうなるかはわからないんだけど、その子、誰かに嵌められて傀儡にされてしまって、

 

そのせいで多数の勢力から首を狙われる事になっちゃうかもしれないんだ」

 

「どこかの領主の方ですか? 確かにそうなると助ける手段は限られてきますね……。

 

それに個人の力でどうにかするのはかなり厳しい気がします」

 

「だよなぁ……」

 

「その子をハメた……あるいはハメるかもしれない誰かを始末してしまえば、はめられることはなくなるんですけどね」

 

「さすがに、夢で見たからって殺しにかかるのはどうかとおもうしね」

 

「できるとすればその子に警告をするぐらいでしょうか?」

 

「あっちが俺のことを知ってるかどうかっていうのも分からないから、うーん……」

 

頭を捻ってみても、やっぱり俺の頭ではいい方法は浮かんで来ない。天梁も顎に手を当てて考えている様子。

 

「まぁもうちょっと考えてみるかぁ……」

 

「私も考えてみますね。一刀様にそんなに想ってもらえるなんて、その子がちょっとうらやましいです」

 

天梁のその言葉に少し思う所はあったが、両親が人質になったりするとか、そのあたりのことはなんにも知らないわけだし怒るのは筋違いか。

 

「もし天梁がそういう風になったりするなら、俺は多分同じように、天梁の事を助けようとすると思うよ」

 

「ありがとうございます」

 

そういって天梁が笑う。この子の笑う顔も可愛いから好きだ。同じ顔だけど天泣とはまた違った感じがする。

 

皆には笑っていてもらいたいよなぁ……。

 

「あ、天泣には2人で街でお茶のんだって内緒ですよ? あれでこういうことに結構うるさいですから」

 

「ん、了解」

 

この後しばらく天梁とお茶を楽しみ、城へ戻る事にした。

あとがき

 

どうも黒天です。

 

更新がすっかり遅くなってしまいました……。

 

実は引っ越しをしまして、 環境変化のせいかくたびれているので更新が遅くなってしまいました。

 

ゆっくりでもしっかり更新していきますよ!

 

予定としてはあと1~2回拠点を入れて話しが先に進むか、次回から先に進むか、と言った感じです。

 

さて、今回も最後まで読んでいただいてありがとうございました。

 

また次回にお会いしましょう。

 


 
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