ここはとある喫茶店?この田舎の町に馴染んだ店構え。そこに最強の料理人がいた。
??「今日の仕込みは終わりだな。」
この店のオーナー。見た目は二十歳そこらにしては、とても落ち着いている。彼の名前は守川敬。約1年ほど前に、この稲羽市にやって来たのだ。
敬「今日はどれくらい客が来るかな?」
すると、店の扉が開き扉に付いているベルがお客が来たのを教えてくれる。
敬「いらっしゃい。」
??「もう開いてるか?」
敬「開いてますよ堂島さん。奈々子ちゃんもいらっしゃい。」
奈々子「こんにちは、敬お兄ちゃん♪」
訪ねてきたのは、この稲羽市に住んでいる堂島親子だ。父親の堂島さんとは、この店がオープンした時からの常連だ。たまにこうして娘の奈々子ちゃんを連れてやってくる。
敬「堂島さんは何時もので?」
堂島「あぁ、頼む。」
敬「はい。奈々子ちゃんも何時ものジュースでいいかな?」
奈々子「うん♪」
俺は注文の準備に取り掛かる。奈々子ちゃんのジュースは、すぐに用意できるが、堂島さんが注文する珈琲は少し時間がかかる。
敬「お待たせ奈々子ちゃん。堂島さんのももう少ししたらできますので。」
奈々子「いただきます。」
堂島「すまんな。」
店内には、揺ったりとした時間が流れる。音は珈琲を蒸らしてる音と、のんびりとした音楽のみだ。
敬「お待たせしました。」
堂島「ありがとう。」
堂島さんはそう言うと、珈琲を口に含む。
堂島「相変わらず旨いな。」
敬「ありがとうございます。しかし、この時間に来るなんて珍しいですね?」
堂島「あぁ、都会から従弟が来るんだ。何でも、姉さんの仕事の都合で1年だけこっちで預かる事になってな。それで、そいつを迎えに行く前に立ち寄った訳だ。」
敬「そうですか。大変そうですね。」
堂島「ははは、全くだよ。」
そんな会話をしていると、堂島さんは時計を見た。
堂島「そろそろ着く頃だな。奈々子、そろそろ行くぞ。じゃあな敬。お代はここに置いとくぞ?」
敬「ありがとうございます。また来てくださいね。じゃあね奈々子ちゃん。」
奈々子「ご馳走さま敬お兄ちゃん。」
堂島親子は出ていった。そこから暫くは客は来なかった。
敬「今日もこんなもんかな?」
店を閉めようか迷っている時に、扉が開いた。
??「ども、敬さん。まだ店やってますか?」
敬「いらっしゃい。まだやってるよ?」
??「よかった~!!もうお腹ペコペコだよ~。」
??「フフッ、千枝ったら。こんにちは敬さん。」
敬「いらっしゃい雪子ちゃん。千枝ちゃんもよく来たね。」
この3人は、八坂高校に通う学生だ。名前は、花村陽介に里中千枝。そして天城雪子だ。
陽介「いや~思ったより授業が長くなって。そんで腹へったんで、敬さんの所で飯食ってこって事になったんすよ。」
千枝「取り合えず・・・マスター!アタシは豚肉丼♪」
雪子「私は・・・木の葉丼。」
陽介「んじゃ俺は・・・親子丼。」
敬「了解。すぐに用意するから何か飲んで待っててな。」
注文が入り、早速調理に取り掛かる。三品まとめて作るのだ。余談だが、トリコの美食人間国宝の節乃の能力からしてみれば、それくらい朝飯前である。
陽介「にしても、相変わらずスゲー早さですね。」
千枝「ホントだよね。こんなに早くて美味しいのに、何でお客さん来ないかな?」
雪子「本当に不思議だよね?」
敬「ありがとう。千枝達にそう言ってもらえれば嬉しいよ。」
千枝「そ、そんな///」
雪子「嬉しいだなんて///」
千枝と雪子は、顔を真っ赤にしながら呟いていた。
敬「お待たせ。親子丼に木の葉丼に豚肉丼ね。」
千枝「おぉ~きたきた♪」
雪子「お揚げお揚げ♪」
陽介「んじゃ頂きます!!・・・うめ~!!いつ食っても、敬さんの作る飯は旨い!!」ガツガツ
千枝「ホントホント♪」バクバク
雪子「うちの板前さんより美味しいからね。」モグモグ
陽介達は食事を終わらせて帰っていった。
敬「ふ~。もう店じまいかな?」
流石に今日はもう来ないと思い、俺は店を閉めた。翌日と今晩の買い出しをしに、俺は商店街に向かった。まずは豆腐屋まる久だな。
敬「こんばんは。」
お婆ちゃん「おや敬ちゃん、こんばんは。」
敬「何時ものように木綿と絹を三丁ずつ下さい。」
お婆ちゃん「はいはい、何時もありがとうね。」
俺はお婆ちゃんから豆腐を受け取り、ジュネスに向かった。
陽介「いらっしゃいませ~。本日は精肉売場で特売をしております。」
敬「声に覇気がないぞ?」(笑)
陽介「敬さん、お疲れさまです。買い物で?」
敬「あぁ、今晩の夕飯と明日の食材の買い出しだ。」
陽介「なるほど。なら、丁度これから精肉と野菜も特売が始まりますよ?」
敬「なら、今日は青椒牛肉だな。」
陽介「旨そうですね。」
敬「まあな。それじゃ、バイト頑張れよ。」
陽介に挨拶を済ませ、俺は自宅に帰った。家に帰り予定通り青椒牛肉を夕飯にした。翌朝の仕込み等も軽く済ませて部屋に戻る。気が付けば外は雨が降っていた。知らない間に仕込みに時間がかかっていたみたいだ。時計を見るともうすぐ0時。すると、TV画面が突然付いた。電源は入れていない。
敬「これは・・・」
この感覚は覚えがあった。2年前のあの感覚だ。
敬「もう2度とかかわりたくはないんだが。・・・この事、あいつ等は知ってるのか?」
2年前のあの時、俺は今と同じ様な感じだった。しかし、他の連中と俺は違っている。他の連中はペルソナという能力を使っていた。ただ、俺だけはその能力無しに自分の力で戦っていた。しかし、それでもあいつを俺達は助けれなかった。あいつが死んでから、俺達の生活は狂い始めた。俺はあいつの次にメンバーの中で強かった。それ故に、他の連中が俺に八つ当たりをしてきた。俺は我慢出来なくなり、この町に引っ越してきたのである。あれ以来、あいつらとは全く連絡をしなくなった。
敬「TVに映ったのは・・・あいつらが通ってる高校の制服だな。なにも起きなければいいんだが。」
TV画面が消えるのを確認すると、俺はベットに横になり目を閉じた。外の雨の音が睡眠を誘ってくれた。
??side
??「まだ敬は見つからないのか!!」
??「申し訳ありません。全勢力を持ちまして捜していますが、未だにまともな情報が入ってこないのです。」
??「そんな事を言って既に2年もたってるんだぞ!!!!」
敬を2年も捜してるこの人物。女性で凛々しい雰囲気ではあるが、服装がどうにも世間一般とずれているのである。そんな彼女に、スーツを着た女性が話しかける。
??「落ち着いてください美鶴さん!!」
美鶴「しかしだなアイギス!!」
美鶴とアイギスと言う名前。この美鶴と言うのは、若くして大手桐条グループの社長であり会長。そして、もう一人の女性は対シャドウ兵器であるアイギス。今は美鶴のボディーガード兼秘書である。
アイギス「確かに、2年と言う歳月は経っています。しかし、それで私達が諦めてはなりません!!でないと、私は自分を許せなくなってしまいます。」
美鶴「そうだな。敬には、私達が最もしてはいけない事をして、彼を追い詰めてしまった。だから、私は・・・いや、私達は敬を見つけ出してなんとしても詫びをいれなければならない!!」
アイギス「その通りです。他の皆さんも、お仕事の合間を見て敬さんの情報を集めてくれています。ですが・・・」
美鶴「未だに誰にもこれと言った情報がない・・・か。」
山積みの書類を見て呟く。この書類は、敬に似た人物についての報告書だ。しかし、今現在確認できた情報は、全てデマであった。
美鶴「今日はここまでにしよう。アイギス、悪いが飲み物を用意してくれないか?君も休憩にしよう。」
アイギス「わかりました。」
そう言って美鶴達は、社長室を後にした。しかし、この時彼女達は知らなかった。報告された書類の奥の方に、守川敬の情報があるということを。それに気付くのは、まだ先の話であった・・・
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P4の世界に店を構えるオリ主。