No.626081 IS〈インフィニット・ストラトス〉〜G-soul〜ドラーグⅡさん 2013-10-07 22:55:18 投稿 / 全5ページ 総閲覧数:794 閲覧ユーザー数:768 |
神掌島。
かつて瑛斗がセフィロトを制御する術を身につけるために訪れた島である。
そこに楯無はいた。
「…………………」
娯楽目的ではない。『十七代目更識楯無』としての仕事である。
島の中央に存在する山。その頂上。そこにはチヨリの研究所の入り口が隠されている。
押して回すと入り口が開く仕掛けになっている『頂上』と彫られた看板に寄り掛かり、楯無は木々に茂る木の葉の間から覗く空を見ていた。
(ついに…話しちゃった……)
2日前のことを思い出して胸中で呟く。
(三人とも、ショックだったわよね…)
シャルロット、ラウラ、そして簪は楯無の話を聞いて、ショックを受けていた。
だから昨日の夜に、瑛斗の様子を報告した時は安心していたのだろう。
(私は、あの子達にとても酷なことをしたのね……)
楯無は三人の瑛斗を想う気持ちに、純粋に感服していた。これまで隠していた自分の行いを恥じる程に。
(本当のことを話したら気持ちが楽になるって言うけど、こんな気持ちになるなんて…聞いてないわよ)
誰にともわからない愚痴が浮かんでしまう。
(でも、これも含めての計画だとしたなら、完璧だわ)
一度深く息を吸い、楯無は表情を引き締めた。
「早く終わらせて、学園に戻らなきゃ」
楯無は看板から身を離し、振り返った。
「そのためには…あなた達にはとんぼ返りしてもらうしかないわね」
呼びかけるように大きな声を出すと茂みの奥から黒づくめの装備に身を包んだ屈強な体躯の集団が現れた。
「7人…武器は対IS装備のようね」
銃のセーフティを解除する音が小さく響く。
「目的は何? って、言わずもがなよね。 でも残念だけど━━━━」
パッ!
楯無の胸の中央に、穴が空いた。
「…あら?」
楯無の身体が動いた時には、連続した銃声が山頂に轟いていた。
「うぁ…………」
楯無はうつ伏せに倒れ、動かない。
しかし、特殊部隊員達は安心出来なかった。疑問を持ったからだ。
「……………………」
リーダー格の男が指示を出し、一人が確認のために楯無に近づき銃の先端で楯無の身体を仰向けにした。
「ダメじゃない。話は最後まで聞かないと」
「!!?」
バンッ!!
直後、楯無の身体が弾けた。
爆発の中心にいた一人は、木に激突してそのままガックリとうなだれたる。
部隊員達の抱いた疑問は、『蜂の巣にしたのに、なぜ血が流れないのか』というものだ。
弾丸の雨を受けても、ただ身体に穴が空くだけでそれ以上のことは起こらない。
そして、部隊長は気づく。
周囲を濡らしているのは、鮮血ではない。
『水』であったことに。
「ミステリアス・レイディのナノマシンを含んだ水…今のはそれで作った分身よ」
背後からの声に、一斉に振り向く。
楯無が『いた』。
その数、六人。
「私達」
「全員が」
「更識楯無」
「あなた達の」
「人数分よ」
一瞬、呆然とした隊員達だったが、すぐに中央の、ISを展開した楯無が本物だと見破り、銃を構えた。
「臆せず向かってくるのね。じゃあ、それにはしっかり応えてあげないと」
中央の、本物の楯無が笑う。
戦闘態勢に入った『六人』のIS学園最強。
その手に水を纏わせた槍を握り締めて、揺るぎない眼差しで目標を見据える。
「「「「「「さあ、行くわよっ!」」」」」」
この戦いの結果は、火を、いや、日を見るよりも明らかだった。
IS学園中央タワー。そこの入り口付近で、ラウラ、シャルロット、簪は学園の異常事態について話し合っていた。
「なぜ学園に教師が一人もいない事態が発生する。これでは襲撃を受けた時に一瞬で制圧されるぞ」
「確かにおかしいよね。僕もこんなの初めてだよ」
「帰省とか、部活動の…付き添いに出てる先生も、いる…けど……」
ラウラは首を横に振る。
「それだけならばいい。私が言いたいのはなぜ職員室にさえ教師が一人もいないのか、ということだ」
「お姉ちゃんも……いないし…」
簪は教師達とともに楯無もいないことが気がかりだった。
「楯無さん…僕達に話した事、本気なんだよね……」
「あれがいつもの冗談だったならば、私は心からあの人を軽蔑する」
「……………………」
「ら、ラウラ。簪ちゃんの前でなんてこと…」
「む…す、すまん」
「いいよ……でも、なんだか、胸騒ぎがする…」
「簪ちゃん…」
すると、シャルロットのラファールに通信が入った。
「瑛斗?」
『おう、準備出来たぞ』
モニター越しの声を聞き、三人は上を見上げる。
中央タワーの最上部。学園で最も見晴らしがいいその場所に瑛斗はいた。
身に纏うG-soulはマドカを捜索するために使用した索敵用Gメモリー、《パルフィス》。
しかし、以前使ったものに新たな機能を追加している。
『うん、こっちもいつでもいいよ』
「よし、じゃあ始めてくれ」
『いくよ?』
下のシャルロットが携帯を操作したのを確認してから瑛斗は新機能を起動した。
「G-soul!」
瑛斗の周囲をウインドウが囲む。
瑛斗が追加した新機能とは、指定した携帯電話が発した電波を受信した携帯電話を探知する、本人曰く『ストーカーに片足突っ込んだ』機能である。パルフィスの索敵能力を応用したものであるが、瑛斗はあまり良く思ってはいない。
「これが終わったら、この機能は外さないとな…なんにしても、かかってくれよ」
数秒のラグの後。
「来たっ! 来た来た来たっ!」
ウインドウが忙しなく演算を開始した。
位置情報が高速で炙り出されていく。
そして、結果が出た。
「…………は?」
G-soulが出した結果に瑛斗は身体を硬直させる。
「み、ミスじゃないか…? いや、動作は完璧だったはず……じゃあやっぱり…」
信じられないがこの結果を受け止めるしかなかった。
『瑛斗、どうだった?』
「あ、あぁ。今降りる」
シャルロットの声にハッとした瑛斗はその場から飛び降りて、三人のそばに降り立つ。
「瑛斗よ、結果は出たのか?」
「ま、まぁな…」
「どうかしたの?」
「いや、場所が出たことには出たんだけど…」
「まさか国外か?」
「そうじゃない。そうじゃないんだが…」
「じゃあ…どこ…?」
「…ここだ」
瑛斗が三人に見せたのは、現在『鈴の携帯電話』がある場所の表示されたウインドウ。
赤く点滅するポイントは、まさしく、紛れもなく、『桐野第一研究所』を示していた。
「ここは…………」
「瑛斗が昨日話してた………」
「廃墟…?」
「偶然かな、これ」
「ここに鈴がいるというのか?」
「そういうことになる。でもそれだけじゃない。こっちの青い反応、ISの反応だ」
「IS…? もしかして!」
「パターンがブレーディアと同じ。マドカだ。ここに向かって移動してる」
「マドカが…鈴を、助けに…?」
「その可能性は低い。マドカは今は千冬さんを追ってるんだ」
「それってつまり、織斑先生もここにいるってことなの?」
「それが一番妥当な考えだ。網を投げたら大当たりってか」
「……………」
またあそこに行かなきゃなんないとは…と眉を下げる瑛斗に、ラウラは告げた。
「瑛斗、お前は来るな」
「………え?」
「ラウラ?」
「鈴の救出は私達三人が行う。お前はここに残っていろ」
「い、いきなり何を言い出すかと思ったら、変なこと言うなよ。そんな事できるか」
「お前のISは二つとも万全とは言えないだろう」
「そりゃあ確かにセフィロトもエネルギーが回復しきれてないしG-soulもやっとこさ動けてるくらいだけど…」
「これは言うなれば救出作戦だ。少数の、それも問題なく動ける者がやらなければならん」
瑛斗が次の言葉を言う前に、ラウラのアイコンタクトを受けたシャルロットが声を出した。
「僕もラウラに賛成。瑛斗はここに残っていてよ」
「シャル…」
「私…も、瑛斗は、学園に残っていて、ほしい」
「簪まで…なんだよ、急に皆変だぞ? 場所がわかった途端に」
「そう勘ぐるな。何もお前が足手まといだから連れて行きたくないと言っているのではない」
「じゃあなんだよ」
「ISのエネルギーはあとどれくらいで完全回復する?」
「G-soulはあと1時間くらいで、セフィロトが2時間強ってところ」
「ならばG-soulのエネルギーが回復したら私達を追って来い」
「追って来いったって…1時間もラグがあったら合流出来ないだろ?」
「そのラグが重要なのだ。万が一私達に何かあったら、それをどうにかできるのはお前だけだ」
「俺だけ…」
「瑛斗、何かあったら、僕達を助けて?」
「お願い…」
「………………」
瑛斗は何か言いたげだったが、それを飲み込んで頷いた。
「わかった。だけど、危なくなったらすぐに連絡をくれ。駆けつけるから」
「あぁ。頼むぞ」
「それじゃあ、三人のISにここの位置情報を送る。それなら迷わずに行けるはずだ」
三つに増えたウインドウがラウラ達の待機状態のISに滑る。
「よし。私達も一夏と箒と合流してすぐに出発する」
「俺はこのまま第三アリーナまで行く。頼むぜ。無事でいてくれよ」
瑛斗は三人に背を向けて第三アリーナへと駆け出す。
「…っと、そうだ、マドカのことなん━━━━」
立ち止まり、振り返る。
「…なんだ、あいつら………?」
瑛斗には、背を向けて走る三人の背中がどこか寂しげに見えた。
真っ暗な通路をペンライトの光が伸びる。
千冬は研究所内に潜入してから目的地まで真っ直ぐ進んでいたつもりだったが、内部は進めば進むほど損傷しており、足場も悪いことが起因となって多少時間がかかってしまっていた。
「内部構造がいくらか情報とは違うのだが………これはお前の仕業か?」
おもむろに千冬は立ち止まり、振り返った。
ほんの一瞬ペンライトの光が曲がり角にいる何かを照らしたことを見逃す千冬ではない。
「そこにいるのは誰だ。コソコソせずに姿を現せ」
出て来たのは、顔を白い長布で覆った女だった。
「…お会いできて光栄です。ブリュンヒルデ」
礼儀正しい一礼をした女に、鋭い眼差しを向ける。
「顔を見られるとまずいのか?」
「はい。人に見せれる顔ではございませんので」
「何の目的があってここにいる。十数年前に放棄されたと聞いていたが?」
「それについてはお答えすることが出来ません」
「やましいことがある、と捉えるが構わんな?」
「致し方ありませんね」
女は首を横に振った。
「こちらも、貴方にあまり動き回られると困ります」
「やはり、目的は同じか…」
「いえ。そうでもありません。貴方が探しているものは、もうここにはございません」
「なんだと?」
「お気づきではなかったのですか? 近頃この場所で激しい戦闘が行われたようでして。上のホールは半分以上が崩壊していました」
「その近頃とやらに、何者かが持ち去った…ということか」
「その通りです。ですから、貴方がここにいる意味はもうありません。どうかお引き取りを」
「貴様…何者だ? 亡国機業か?」
「そのように捉えたければどうぞ。否定はいたしません。しかし、私は貴方に敵意を持ってはいません。ただ『伝えて来い』とだけ命令されました」
「誰からの命令だ」
「お答えすることはできません」
「…ならば、自分から言いたくなるようにしてやろう」
千冬は両手にサーベルの柄を握り、刀身を伸ばした。
「ところで、こちらも貴方にお聞きしたいことがあるのですが」
「なんだ?」
「貴方は、お一人でここへ?」
「答える義務はない」
「では、この音には何も関与していないのですね?」
千冬は質問の意味がわからなかったが、即座に気づいた。
音がする。何かを削る音。どんどん近づいている。
ピシッ…パキパキ……ドガッッ!!
壁に亀裂が走り、そして爆発した。
塵幕の中から、赤く輝く刃が飛び出す。
「っ!!」
ガキンッ! ギンッ!
二本のサーベルで弾き返された刃は、千冬の足元の地面に深々と刺さった。
「これは……」
言葉が漏れた後、二つの刃は地面から抜けて、塵幕の中へ消える。
「……………………」
そして、塵幕から新たに出てきたのは━━━━
見覚えのある真紅の装甲。
自分と同じ顔を持つ少女。
「見つけたぞ…ねえさん…!!」
織斑マドカであった。
楯「インフィニット・ストラトス〜G-soul〜ラジオ!」
フ「略してっす!」
簪「りゃ、略して…」
楯&フ「「ラジオISG!」」
簪「じー…」
楯「うん! 見事なまでにバラバラなオープニングだったわ!」
フ「私初タイトルコールだったっす!」
簪「二人とも…はしゃぎ過ぎ……瑛斗と、一夏は?」
フ「あぁ、なんか二人ともそこでぶっ倒れてたっすよ」
簪「え!?」
フ「そう言えば少しだけ食べられた料理があったっすねぇ」
簪「料理……もしかして…」
楯「か、簪ちゃん、今回は言っておくけど私じゃないわよ?」
簪「本当…?」
楯「本当よ」
フ「あ。それと、「デスソ〜」って桐野が指に赤いみたいなので書いてたっす」
簪「だ、ダイイングメッセージ…!」
フ「え!? やっぱりあれって血だったんすか!?」
楯「違うわよ。あれはデスソース」
簪「デスソース…?」
フ「あ! 私聞いたことあるっす! 激辛…っていうか辛いのレベルを超えたソースのことっすよね」
楯「私もさっき、料理にかかってたのを少しだけペロッとしたんだけど結構辛かったわ」
簪「それを二人が?」
フ「ガッツリ食べちゃった…っすね」
簪「なんでそんなことを…自爆だよ……」
楯「まぁ二人はスタッフさん達が運んで行ったから何とかなるでしょ。それよりも、読者のみんなからの質問に答えなきゃ」
簪「い…いいの、かな?」
フ「大丈夫っすよ。さ、質問に行くっす」
楯「竜羽さんからの質問よ。更識姉妹に質問です。更識家ってどれくらいの規模なの? それから布仏家以外の従者っているんですか? ですって。簪ちゃん、私達宛の質問みたいよ!」
簪「そ、そうだね…」
フ「そう言えば更識家って、なんかすごいんすよね?」
楯「え、えらくざっくりな…まぁでもそうね。大体あってるわ」
フ「規模…規模ってどういうことなんすか? もしかして世界中にミニ更識家があるんすか?」
簪「ミニ更識家って……」
楯「流石にそんなことはないけど、規模はそれなりに大きいわ」
フ「そうなんすか。じゃあその従者ってのは?」
楯「布仏家が主にだけど、その布仏家に雇われて動く人達もいるわよ」
簪「布仏家は、更識家の使用人の家系…だから、布仏の人達は、私達の為に動いてくれます」
楯「本音や虚のご両親にも、何度も助けてもらってるの」
フ「ふーん…よくわからないっすけど、すごいのはわかったっす」
楯「そ、それは良かったわ」
簪「良かった…の?」
楯「じゃあ、次の質問にしましょうか。カイザムさんからの質問よ。フォルテさんに質問です! 女の子としての質問なんですが、もしもIS操縦者とは別の職業に就けるとしたらどんな仕事をしてみたいですか?」
フ「私にっすね。お仕事の話っすか」
楯「どうかしら? 何かやってみたいお仕事はあるの?」
簪「この、お便りに…ハリウッド女優とか如何でしょう…って、書いてありますよ?」
フ「女優さんっすか…セリフ覚えたりするの苦手っすから、ちょっと…」
楯「でもダリル先輩の時はいい感じだったわよ?」
フ「あれはそれっぽくって桐野に言われて、それに短かったから出来ただけっすよ」
楯「じゃあどんなお仕事がやりたいの?」
フ「あまり考えたこと無かったっすからね…」
楯「なんでもいいのよ? 言うだけタダなんだから」
フ「うーん…楽なお仕事……」
簪「選ぶ基準が……」
楯「気にしない気にしない」
フ「あ! 食レポなんて良さそうっす! 食べて感想言うだ……いやなんでもないっす」
楯「途中で止めちゃったけど、どうかした?」
フ「いやっすね、この流れだとあのデスソース料理を食べさせられそうっすから」
楯「あら、残念」
フ「食べさせる気だったっすか!?」
楯「うふふ、冗談よ。さてと、そろそろ時間みたいね。それじゃあエンディングよ!」
流れ始める本家ISのエンディング
フ「あれ? なんか変わったっすか?」
簪「前とは、違う…」
楯「あれよ。大人の事情よ」
簪「そ、そうなんだ…」
フ「それにしても桐野と織斑はなんであの料理食べたんすかねぇ。案外それも質問だったりするんじゃないっすか?」
簪「まさか…」
楯「意外と今のフォルテちゃんのセリフ、間違いじゃないかも」
簪&フ「「え?」」
楯「質問のお便りの一番下にあったんだけど、キリヤさんから。デスソースで料理作ったので主人公sにこれを食べてもらい感想が欲しいです…ですって」
フ「それって、質問ってよりもお願いじゃないっすか?」
楯「瑛斗くんと一夏くん、知らずに食べたのかしら? 簪ちゃん? おもむろに打鉃弐式を展開してどうしたの?」
簪「キリヤさん、だね? その料理作ったの…」
楯「え? そ、そうだけど…」
簪「…わかった。ちょっと粛せ……お話、してくる」
フ「い、行っちゃったっすよ? いいんすか?」
楯「ん〜、これはこれで面白いかも。時間ね。それじゃあ!」
フ「え、あ、みなさん!」
楯&フ「「さようならー!」」
後書き
IS二期が始まったので、勢いで早めの更新っ!
アニメはシャル×ラウが! シャル×ラウがっ!!
っていうかみんな一期に増して可愛くなってやがる…! たまらんっ!
…ふぅ、落ち着こう。
さて、今回はなんだか急展開でしたね。瑛斗が置いてかれてーら。
次回は鈴、マドカ、瑛斗にスポット当てて書きたいなと思ってます。
次回もお楽しみに!
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発見。しかし置いてかれる主人公