No.623741 IS〈インフィニット・ストラトス〉〜G-soul〜ドラーグⅡさん 2013-09-29 19:23:33 投稿 / 全5ページ 総閲覧数:956 閲覧ユーザー数:914 |
「…ん?」
何よ? やけに暗いわね。それに身体にも力が入らないわ…
ぼんやりする視界が段々定まって、気づいた。
(ここ、どこよ?)
何もない四角い部屋。薄暗くて、なんだか湿っぽい。
「ん!? んんっ!」
口の違和感にも気づいた。何かを咥えさせられてる。猿ぐつわ?
「んーっ! んーっ!」
手足も動かない。縛られてる!?
なんでこんなことに? アタシ、一夏の家から学園に戻る途中だったはずなのに…
「…………………」
…ダメよ鈴音。こういう時は冷静になるの。代表候補生が誘拐されてパニックなんてお笑いだわ。
(まずはこの拘束を解かないと…)
アタシの手は背中の柱に何かと一緒に縛り付けられている。感触からして、チェーンかしら。
これならアタシのIS、甲龍を展開すればすぐに脱出できるわ。
(このアタシにこんな事して…どこの誰か知らないけど許さないんだから!)
アタシは甲龍を展開しようとした。
「……………んぅ!?」
甲龍が展開できない…!? どうして!?
何度も、何度も何度もやったけど甲龍は何の反応も示さなかった。
(整備不良? でも、そんなことありえない…)
どんどんわけがわからなくなっていく。
扉が開く音がして、その後に声が聞こえた。
「気がついたようですね。凰鈴音」
入って来たのは、背の高い人だった。
顔を布で覆っていて、男か女かはわからない。
「んぅぅっ! んーっ!」
「…無礼をお許しください。騒がれると厄介ですので、そのように施させていただきました」
穏やかで丁寧な口調。女の人。でも、それがさらに不信感を煽った。
「何者か、という顔ですね。ですが、名乗ることは出来ません。硬く禁じられているので」
「…………………」
「ご安心ください。あなたに危害を加えようなどとは考えていません」
女の人は、アタシのすぐそばまで近づいて、腰を落としてアタシと目線を合わせた。
「しかし、事が進み、我々に不利な抜き差しならない状況になった場合は……」
アタシの耳元で、小さな声で、でも、しっかりした迷いの無い声が響く。
「私は、あなたのその細い首を、何の躊躇いも無く引き裂きます」
「…………!」
「では、私はこれで失礼します。おとなしくしていてくださいね。賢明な中国代表候補生のあなたならお分かりいただけると思いますが、ISが使えなければあなたはか弱い少女です。それをお忘れなきよう…」
元の穏やかな口調に戻ってから、女の人は出て行った。
(何よ…今の……)
だけど、アタシはそれ以上その人の事を考える事が出来なかった。
身体が、震えてる。
(何で、こんなに…怖いのよ…!)
ただの言葉だったはずなのに耳から入って身体を内側から凍りつかせていくみたいな、寒気を帯びていた。
今まで感じたことの無い恐怖。
アタシは膝を折って身体を小さくして…
(助けて…助けて……一夏……!)
一夏の名前を心の中で叫ぶことしか出来なかった。
瑛斗はシャルロット達と一度学園に戻っていった。三人の捜索の準備をするらしい。
残された俺は、一旦家に帰ることにした。考えてみたら、二階の窓が開いたままで出て行ったんだ。マドカと千冬姉が戻って来る前に、万が一家に空き巣でも入られてたらそれもそれで大変だ。
「悪いな箒、付き合わせて。あと、この服」
外に出ても良いように服、というか着物を貸してくれた箒は俺について来てくれた。俺のボディガードをしてくれてるそうだ。
「気にするな。大した距離ではない。早く済ませて瑛斗達と合流するぞ」
「あぁ。わかってる」
マドカ、千冬姉に続いて、鈴まで音信不通になった。
一度に俺の周りの人が三人も消息不明だ。
(また、何もできなかった……俺がしっかりしないといけないのに…)
あの時、俺が躊躇わなきゃマドカを止められたかもしれない。
あの時、鈴をもう少し先まで送ってやれば行方不明になんてならなくて済んだかもしれない。
そんな言葉ばかりが頭の中で再生される。
「一夏」
「…ん、なんだ箒?」
「マドカ達を考える気持ちはわかるが、必要以上に思い詰めるな」
「けどよ…」
「マドカの記憶が戻ったのは、お前のせいではない。鈴が行方不明になったのも、お前が原因ではない」
「……………………」
反論する前に次の言葉が飛んで来た。
「特にマドカのことは、私達も納得した上でお前と千冬さんに任せたのだ。お前が責任を取ると言うならば、私達もそうして然るべきだ」
「箒…」
「お前だけじゃない。私達もいる。それを忘れないでくれ」
「……あぁ。ありがとう、箒」
「ふ…ふん、わかったなら早く行くぞ」
箒が少し早歩きになって、俺もそれに追いつくように歩いた。
「それにしても、雪子さん、全然動じてなかったな。特に問い詰めてくることもしないで」
「雪子叔母さんは立派な人だ。多少のことには納得してくれている。でなければ、姉さんのことも………」
そこで箒は口をつぐんだ。そこで俺も気づいた。
「あ…悪い………」
「いいんだ。気にするな。それよりも、もうお前の家が見えて来たぞ」
箒の言う通り、もう家が見える位置まで来ていた。
「…………………む?」
箒が眉をひそめる。
「どうした?」
「…一夏、お前は、二階の窓が開いたままだと言ったな?」
「そうだけど…それがどうかしたか?」
「ならば…あれはどういうことなんだ」
箒が指差す方向に視線を向けて、すぐに異変に気づいた。
「な……」
「窓など、どこも開いてはないではないか」
開いているはずの窓が、閉じていた。
「なんでだ? あの時は確かに………まさか、誰かが窓から中に!?」
「あ、い、一夏っ!」
家の玄関まで走った。
「ああクソッ! 鍵が無い!」
飛び出した時は夜中だ。鍵なんて持ってなかった。
「中に入れないのか?」
「鍵は中だから、完全に閉め出されて━━━━━」
箒に振り返った瞬間、視界の端で光がちらついた。ポストに何か挟まっている。
ポストを開けて手に取ったそれは、家の鍵だった。
「鍵…だな」
「あぁ…家の鍵だ…」
「なぜポストになど…」
「わからない。とにかく、中に入らなきゃ」
鍵を差し込み、ゆっくり回すとガチャリ、と解錠の音がした。
ドアノブに手を掛けようとしたら、箒に止められた。
「待て。何があるかわからない。いきなり刃物を持った者が飛び出して来たらどうする」
「じゃあどうするんだよ?」
「私が開ける。お前は私の向かいに立て」
「わ、わかった」
箒の支持通りに動いてから、互いに頷き合う。
「一、二、三で開けるぞ。用意はいいな?」
「あぁ。いつでも」
自分の家にこんなに緊張感を持って入る事なんて、初めてだ。
「一…二…三!」
箒が扉を開いて、俺は家の中に足を踏み入れた!
「………………」
物音は聞こえない。
「……どうだ?」
「まだわからない…」
「気をつけろ。潜んでいるかもしれん」
「そうだな…箒、俺は二階を見てくる。リビングの方を頼む」
「二手に分かれるのか? しかしそれでは…」
「どの道襲われたら変わらない。それに、叫べば聞こえる」
「り、了解した」
「じゃあ頼む」
二階に上がって、まずは俺の部屋から。
「…………………」
誰もいない。変わったところは無い。
「…次だ」
マドカの部屋。夜中に窓が開いたままのはずの、部屋。
「…………………」
幻覚でもなければ見間違いでもない。窓は本当に閉まっていた。でも、それだけ。どこも変化は無い。
これで、残った部屋は一つだけ。
千冬姉の部屋だ。
無断で入ったら殺されること確実だけど、緊急事態だ。そんなことを言ってる場合じゃない。
「…………………」
でも、開けるのが怖い。
おかしくないか? 『泥棒がいるかも』ってのよりも、『部屋に入る』ってだけのことの方が怖いって。
だけど最近はマドカが俺の代わりに掃除してくれてたから、今回は整頓されてれば問題は無い。
(若干そういう問題じゃない気もするけど……)
「ごめん千冬姉!」
意を決してドアを開けた。
「……………………」
視線を巡らせる。
「……………はぁ」
肩から力が抜けた。
「異常なし…か」
整頓された部屋がそこにはあった。
下に降りると箒が出て来るところだった。
「一夏、そっちはどうだった?」
「いや、なんとも。人の気配は無かった」
「こっちも、特に荒らされた形跡は無かったぞ。やはりお前の思い違いだったのではないか?」
「うーん…段々そんな気がしてきた。無意識のうちにそうしたのかも」
「それならそれで問題は解決だ」
「焦ったら喉乾いたぜ。箒、麦茶飲むか?」
「あぁ。もらおう」
リビングに入る。
「しかし、相変わらず綺麗にしているな。目立った汚れも見えない」
「まぁな。そりゃあ………箒…今、何て?」
「? 相変わらず綺麗にして……」
「………! ちょっと待て!」
「なっ、い、一夏?」
俺は台所へ走った。
「………………無い」
まさかと思って俺は二階へ駆け上がり、自分の部屋を、俺のベッドを見た。
「……やっぱり…!!」
あるはずの物が、無い。
「一夏? 一体どうしたのだ?」
箒が困惑したように声をかけてきた。
「箒、今日は燃えるゴミの日だ!」
「それが…どうした?」
「でもその燃えるゴミが無いんだよ! 台所の隅にまとめて袋に入れておいた、今日捨てるはずだったやつが!」
「……それで、なぜ二階に駆け上がる?」
「あぁもう! 昨日マドカと一緒に俺の部屋で寝てたんだっ!」
言った瞬間箒がクワッてなった。
「な…!? なんだとっ!? い、いいい一緒に、ねねねね寝た!? 一夏貴様っ!! まさかよりによってマドカに!!」
箒に胸ぐらを掴まれてガクガクと揺さぶられる。
「だぁー違う違う!! マドカが勝手に入って来ただけで、別に何も……ってそうじゃねぇ!」
「ではどうだと言うんだっ!?」
「落ち着け箒! 苦しい! 苦しい!」
「あっ、す、すまん」
ようやく手を離した箒に、俺は説明を始めた。
「箒、仮に泥棒が入ったとして、ゴミなんて持って行くか?」
「普通はそんなことはしないだろうな」
「マドカは今日の夜明け前に出て行ったって言ったよな?」
「私の聞いた限りでは」
「寝る前に、マドカは俺の部屋に自分の枕を持ってきたんだ。でも、見てくれ」
箒に俺の部屋のベッドを見せた。
「ベッドに枕は一つだけ。そしてマドカの部屋には…」
今度はマドカの部屋のベッド。
「これは…」
「枕の位置を戻してから燃えるゴミだけを持って行く空き巣なんていない。千冬姉は昨日は帰って来てない。だから、こんな事が出来るのは………」
確かに、マドカの使う枕があった。
「一人しか、いない」
「………ここだな」
千冬は足を止めて目的地である建物を見た。
「ここに……あいつの…」
携帯電話を操作し、メールの受信ボックスを確認する。
一夏からの頻繁な着信とメール、それとマドカからの数回の着信から、何が起きているのかはわかっていた。
(問題は山積みだ…順序づけて片付けなくては)
手に持ったアタッシュケースを地面に置いて、ロックを解く。千冬が取り出したのは、折り畳み式の新型IS用物理サーベル。それが2本。
一般のものよりもいくらか細く短いが、強度は高く、狭い空間でも上手く扱えばISを展開しているしていないに関わらず十分にその強さを発揮することができる。
「念には念を、と言ったところか…」
千冬は備え付けのホルスターを腰に巻き、サーベルを収めた。
「…………行くか」
そして、門を越え、足を踏み入れる。
「鬼が出るか、蛇が出るか。確かめるとしよう」
蔦が茂り、廃墟と化した━━━━━
『桐野第一研究所』へ。
瑛「インフィニット・ストラトス〜G-soul〜ラジオ!」
一「略して!」
瑛&一「「ラジオISG!!」」
瑛「読者のみなさんこんばどやぁー!」
一「こんばどやぁ」
瑛「さてさて、なんだか話がこんがらがって来たな。なんなの? 結局マドカは何がしたいんだ? 千冬さんは何故にあんなところへ? んでもって鈴はどこへ行っちゃったのさ」
一「そ、それはもうちょっと後で分かるんじゃないか? てか、お前が本編でそれを何とかしようって話じゃないのかよ」
瑛「ま、それもそうだな」
一「おいおい…」
瑛「さぁ、今日も張り切って質問行こうか!」
一「カイザムさんからの質問! またまたフォルテさんに質問ですけど、IS学園はISの操縦だけではなく普通の高校のと同じ一般科目を習うと思いますが、フォルテさんが一番苦手な科目は何ですか? ちなみに私の」
瑛「フォルテ先輩に質問だな。それじゃあ、今日のゲストはこの人!」
フ「フォルテ・サファイアっす。よろしくっす」
一「最近フォルテ先輩と一緒に放送するのが増えてますね」
瑛「人気出て来たんじゃないですか?」
フ「の割にはここで七な目に遭ってないすけどね…」
一「七な目…?」
瑛「先輩、もしかしてろくな目のことですか?」
フ「あ、そ、そうとも言うっすね」
一「それ以外言わないと思いますよ」
フ「う、うるさいっす! 質問っすよね! どんなのだったっすか」
瑛「苦手な科目は? ってやつなんですけど、言うまでもなく国語ですよね」
フ「ふふふ、桐野、私をバカにしちゃダメっす」
瑛「はい?」
フ「英語以外は全部苦手っす!!」
瑛&一「「想像以上だぁーっ!?」」
フ「ふふん…!」
瑛「いや、威張られても…」
一「質問をくれたカイザムさんでさえ数学と理科だけなのに」
瑛「ていうか、よく進級出来てますね」
フ「常にギリギリのスリルを味わってるっす」
瑛「ドヤ顔するとこじゃないでしょ」
フ「正直言ってIS学園はISの操縦を学ぶための学校っす。だからそういうのは三の次っよ」
一「二番目にすらなれないとは…」
フ「でもいいじゃないっすか。得意なのもあるんすから」
瑛「そりゃまぁ、そうですけど」
一「補習とかも受けたりしてます? もしかして」
フ「もちろんっすよ。レギュラーっす」
瑛「すごいところでレギュラー張ってるんですね」
フ「いやぁ、照れるっすよ」
瑛「皮肉なんだがな……」
フ「でも、ダリル先輩が卒業してからは、なるべく自分の力で頑張ってるっすよ」
一「ダリル先輩の苦労が何となくわかる気がする」
瑛「俺も…さ、さて! 次の質問行っちゃおうかなっ! 一夏!」
一「お、おう! えー、キリヤさんからの質問。秋といえば紅葉や栗などが挙げられますが主人公sが思う秋とは何ですか?」
瑛「ほう、秋といえば、か」
一「いろいろあるよな。食欲の秋とか読書の秋とか」
瑛「秋ねぇ…ちょうどキャノンボール・ファストをやる時期だな」
一「そういう方向か」
瑛「まぁこんな性分だからな。フォルテ先輩はどうですか? 秋といえば」
フ「そうっすねぇ…秋は葉っぱが綺麗な色になるっすよね」
一「紅葉ですね」
フ「それっす。初めて見た時は感動したっす…」
一「綺麗ですよね。山の方とかは特に」
フ「そうっすね。またあれが見れる時期が来るんすね」
一「楽しみですね」
瑛「…なんか、俺だけ空気読めてない気がするんだけど。恥ずかしっ。え、何これ恥ずかしっ」
一「まぁまぁ、瑛斗らしいじゃんか」
フ「そうっす。桐野らしいっす」
瑛「ぐぬっ…そういうお前はどうなんだよ。はい、一夏の秋といえば!」
一「そうだなぁ……秋といえば…」
瑛「おう、秋といえば」
一「う〜ん……食べ物…」
瑛「なんだぁ、食欲の秋ってか。案外ふ━━━━」
一「…が沢山スーパーに並んで夕飯のメニュー考えるの楽しみだな」
瑛「…………………」
一「とかかな」
瑛「……くそーっ! なんだよぉ! なんでそんな、こう、ほっこりした感じなんだよぉっ!」
一&フ「「まぁまぁ」」
瑛「く、くぅ…! エンディングだ!」
流れ始める本家ISのエンディング
瑛「今日はそこの女の子と男の人にに歌ってもらったぞ」
フ「あの金髪の子っすか」
一「隣の男の人、アホ毛がすごいな」
瑛「ドーナツあげたら女の子の方がメチャクチャ乗り気になってな。チョコのやつに黄色い粒がついたやつだ」
一「芋の次はドーナツか」
瑛「いいだろ別に。それじゃあ!」
一&フ「「みなさん!」」
瑛&一&フ「「「さようならー!」」」
???「お前様よ、そろそろ行かねばならぬぞ」
???「わかってる。つーか、お前が言い出したんだろ」
???「かか、まぁ良いではないか」
???「はぁ…じゃあ早いとこ行くぞ」
???「承知した」
一「瑛斗、金髪の子が男の人の影の中に……」
フ「も、潜ってったっす…」
瑛「…怪異だなぁ」
一&フ「「え?」」
瑛「ん?」
後書き
なんだか大体二週間のペースが定着しつつあるな…
まぁそれはそれとして、いよいよ迫ったIS二期! TA☆NO☆SHI☆MI!!
また動くみんなが見れるだけでぼかぁ幸せだっ!
描いてくれるっていう絵も楽しみにしつつ、放送開始を待とうかな!
さて次回は今度こそ瑛斗達が捜索に動きます。
お楽しみに!
Tweet |
|
|
1
|
0
|
追加するフォルダを選択
君は何処へ 〜Where are you...〜