episode214 現実と言う名の非情
隼人はレギナのバインダーライフルから放たれるビームをかわして接近すると、左腕のアームドアーマーVNを突き出してレギナを殴りつけ、粉々に粉砕すると、床に着地と同時に右腕のアームドアーマーBSを前方に向けて照射し、無人機二体を薙ぎ払って切り裂く。
「くっ!」
直後に真上に向けて背中のアームドアーマーDEのビームキャノンを放って真上から襲い掛かろうとした無人機を撃ち抜く。
しかし後ろからレギナがビームファンを手にして切り掛かって来るが、簪がビームライフルを放ってレギナを撃ち抜く。
「すまない、簪」
「私だって・・・・・・隼人の背中は・・・守りたい」
簪は隼人の背後に下りると、両脚の増加アーマーよりミサイルを放って無人機二体に命中させる。
(それに・・・まだ私の気持ちを伝えてない。隼人が話したい事だって聞いてないから・・・)
内心で呟きながらもビームキャノンを前に向けて放つ。
(ここでやられるわけにも、隼人をやらせるわけにはいかない!)
『漆黒の翼!』
リインフォースは背中の翼を勢いよく前の方に羽ばたかせ、衝撃波を放ってレギナと無人機を十機以上を切り裂くと、ツヴァイがツインバスターソードを振るって光波を放ち、無人機を五機切り裂く。
シャルロットが二人の前に出ると両肩の前後アーマー、背中のバックパックの二つの先端と両脚側面のミサイルポッドを展開して大量のミサイルを一斉に放ってレギナを大量に撃破する。
直後に輝春が残り全てのミサイルを放って龍型と人型無人機を合わせて十機以上を撃破すると、両肩と両脚側部のミサイルコンテナをパージする。
「さすがに中は外よりもっと居るな」
『そうですね』
ある程度敵を撃破して、隼人達は侵攻を再開する。
「この調子で最深部まで行くとなると、かなりの消耗が予想される」
「・・・・」
少し侵攻したところで道が左右に分かれていた。
「右に行けば最深部。左は駆動炉か」
「なら、ここで別行動になるね」
と、ティアはハルファスとフェニックスと共に左の方へ向かう。
「ティア」
隼人が呼ぶと、ティアは動きを止める。
「・・・無理をするなよ」
「・・・・・・大丈夫だよ」
ティアは頷いてハルファスとフェニックスと共に左の方の通路を進んでいく。
(お前は気付いているのだろ)
(・・・・)
ティアを見送っている時に、ノルンが喋り出す。
(あいつ・・・絶対何かをするつもりだぞ)
(・・・だろうな)
(分かっていて、止めなかったのか)
(駆動炉の攻略は最重要目標だ。彼女が自ら攻略を志願したのなら、俺から言う事は無い)
(それが彼女の死に繋がる事になってもか)
(・・・・)
(・・・お前は変わったな。前はそうじゃなかったのに)
(現実を見たんだよ。理想だけじゃ・・・どうにもならない事がある、とな)
(・・・・)
(まぁ、それでもティアの事を信じてはいる)
(・・・・)
(・・・ハルファスとフェニックスがついている。大丈夫とは思うが・・・)
(・・・・)
『・・・隼人?』
呆然と立っている隼人にリインフォースは疑問の声を漏らす。
「・・・大丈夫だ。俺達も行くぞ」
そうして隼人達は右の通路を進んでいく。
――――――――――――――――――――
「っ!」
爆発の衝撃で揺れる中、束は格納庫で作業を行う。
目の前には損傷したダークハウンドが立っており、束はダークハウンドに補修パーツを取り付けている。
「・・・・」
束は視線をずらして格納庫の隅を見ると、そこには完全に機能を停止して事切れたクラインが床に寝かされていた。
「・・・アーロン。あなたは出来る限りの事をやったんだから、彼女も満足だと思うよ」
「・・・・」
「こうして遺体だけ戻っただけでも、マシな方だよ」
爆散して遺体共々無くなるよりも、原型が留めないほどに改造される前に取り戻せたのなら、いい方だろう。
「・・・・」
そうしてダークハウンドにバインダーの代わりに四枚の翼が搭載され、両肩にビームキャノンを搭載したユニットを装備すると、右手にハイパービームライフルを持つ。
「・・・無理はしないでね」
「あぁ」
アーロンは数歩前に出るとカタパルトの発射台に足を置き、勢いよく外に飛び出す。
千冬は高速で飛行して両手に持つビームサーベルを振るい、レギナを次々と切り裂いていく。
「っ!」
直後に急上昇して背後から掌からビームサーベルを出して切り掛かろうとした人型無人機をかわし、すぐに背後に回ってビームサーベルを振るって真っ二つに切り裂く。
すぐに両腰のレールキャノンを展開して音速に弾丸を放ち、レギナを二体撃ち抜く。
(何て反応速度だ。エピオンなど比べ物にならない・・・。それに、速い・・・!)
いつもでは感じる事の無い速さに千冬は冷や汗を掻きながらもスラスターを噴射し、龍型無人機が放つビームをかわしていき、ビームサーベルを振るって龍型無人機を切り裂く。
(この私でも手を焼かせるとは・・・。とてつもない機体だな・・・!)
内心で文句を言いながらウイングの間のキャノンを展開し、前方に向けて放ってレギナと龍型無人機を撃ち抜く。
「っ!」
千冬はとっさに後ろに振り返って左腕のシールドで飛んでくるビームを弾く。
「今のを防ぐとは・・・さすがだな」
「・・・お前は」
シールドを退けた先には、クロスバインダーキャノンを構えるハルファスベーゼが居た。
「どうやら強力で新たな剣を得たようだな」
「とんでもないじゃじゃ馬だがな。まぁ、もうそのじゃじゃ馬に慣れたがな」
「そうか。お前は私が思う以上の存在だな」
と、ハルファスベーゼはビームサイスを抜き放つと、両手で柄を持つ。
「だからこそ、お前との戦いが楽しみだ」
「ふん」
そして両者が構えると、その瞬間に飛び出してそれぞれの得物を振るって刃を交える。
マドカは周囲に配置したドラグーンを一斉に放ってレギナと龍型と人型無人機を撃ち抜く。
直後に左腕の複合ユニットの先端からビームサーベルを出して接近してくるレギナを真っ二つに切り裂くと、右手の大型ビームライフルを放って龍型を撃ち抜く。
「以前の世界サミットの襲撃よりも多いな。機体もそうだが、体力の方が早く尽きそうだな」
呟きながらもドラグーンを放ってレギナを撃ち抜く。
「しかし、お前達もとことん堕ちたな」
「・・・・」
と、マドカが後ろを振り向くと、そこにはシナンジュを纏うスコールが居た。
「目的を果たす為に人類そのものを裏切るとは」
「・・・私は目的を果たす為なら、どんな手段でも使うと決めた。それがなんであろうとも」
「・・・屑が」
マドカは冷め切った声で左腕の複合シールドのビームサーベルを振るい、スコールを睨む。
「・・・・」
スコールは左腕のシールドよりビームアックスを展開すると、マドカに向かってスラスターを噴射して飛び出す。
「くっ!」
フェイはビームランチャーを放ってレギナを撃ち落し、フィアはビームザンバーをアンカーに繋げて投擲し、人型無人機を貫くとそのまま振り上げてレギナを次々と切り裂く。
山田先生も足元に大量の薬莢を落とすも、レギナや龍型と人型無人機に雨の如く弾幕を張って迎撃するが、その直後に左側の機関銃の一部にビームが直撃して爆発する。
「迎撃の手を緩めるな!やつらをネェル・アーガマに接敵させるな!」
ラウラは両膝と両腰、背中のGNキャノンⅡと両手のGNバズーカⅡを放ってレギナを次々と撃ち落す。
セシリアは全武装による一斉射撃を行い、レギナと龍型と人型無人機を大量に撃ち落す。
「くっ!いくら倒してもキリがありませんわ!」
直後にドラグーンを周囲に向けてビームを掃射し、レギナを撃ち落す。
しかしセシリアに向けて十本のビームが飛んでくる。
「っ!」
とっさにかわそうとするが、ビームはミーティアに直撃して撃ち抜かれる。
「くっ!」
セシリアはすぐにミーティアから離れると、その瞬間に爆散して爆風がセシリアを襲ってバランスを崩す。
「しまった!?」
すると煙の向こうよりデストロイが胸部三連ビーム砲を向けてチャージする。
「・・・ディバイン・・・・・・バスタァァァァァァァッ!!!」
するとネェル・アーガマの後部格納庫の隔壁の中央が破られてそこからオレンジのエネルギーが放たれ、デストロイの胴体の三連ビーム砲を撃ち抜くと同時に爆発する。
「っ!?」
「何だ!?」
セシリアとラウラは驚き、とっさに格納庫の方を見ると、放たれたエネルギーで穴が開いた隔壁よりゴッドの鎧を纏うヴィヴィオが出てくる。
「ヴィヴィオ!?」
するとヴィヴィオはそのままドッグからニューロ内部へと侵入する。
「どうしてヴィヴィオが!?」
「だが、たった一回の攻撃であのデストロイを・・・」
ヴィヴィオが居たのも驚きだが、一撃でデストロイを撃破したのが一番驚きだった。
「師匠から話を聞いていたが・・・これほどとは・・・」
「・・・・」
――――――――――――――――――――
「ちっ!」
隼人は壁の角の陰からアームドアーマーBSを出してビームを照射するとすぐに戻す。
「参ったな。最深部に行くにはあの奥へと行かないと行けないんだが・・・」
「・・・・」
楯無が角の陰より顔を出してみると、大きな隔壁の前に沢山のレギナや龍型と人型無人機が守りを固めている。
「ここ以外に進めるルートは無いの?」
「ここだけです。仮に防衛戦力を削っても、あの強固な隔壁をどうにかしないと」
「だが、どうやって破壊するつもりだ?少なくともそんじょそこらの攻撃じゃ壊せないぞ」
「・・・・」
隼人は右手にビームマグナムを展開すると、マガジンを取り出す。
「マガジン三つ分の火力でも、無理か。こうなるのなら爆弾の一つでも持ってくるんだった」
「持ってきてないのかよ!?」
「駆動炉の破壊に全部ティアに渡してあるんで・・・手元にはありません」
「マジか・・・」
「これは痛い読み違いだな」
「・・・・」
――――――――――――――――――――
「そろそろ駆動炉に着くはずだけど・・・」
ティアとハルファス、フェニックスは通路を飛行して駆動炉に向かっている。
「・・・・」
「・・・・」
「・・・・」
そうしてティアたちは通路の奥の入り口を通ると、巨大な物体がある空間に出る。
「これが・・・」
「そう。これがニューロの駆動炉」
「・・・・」
目の前には、見上げるほどの大きさを持つ駆動炉がエネルギーが流れて駆動音を立てながら稼動していた
「予想以上に大きい」
「ニューロの性能を考えると・・・これだけの大きさはあってもおかしくは無い」
「まぁ、私達も初めて見たけど」
「・・・・」
ティアは右手に隼人より渡された爆弾を展開する。
「ここからは僕の仕事だよ。ハルファスとフェニックスは手発通りコントロールルームの制圧を」
「本当に・・・良いの?」
「うん」
「一人で仕掛けるのは良いとしても、駆動炉の重要性を考えると必ず敵が大量に押し寄せる。それで守り通せるかどうかは・・・」
「大丈夫だよ。隼人にも『無理をするな』って言われているから」
「・・・・」
「無理だと分かれば、僕も仕掛けられた分だけでも爆破して逃げるから」
「そう・・・」
「・・・・」
そうしてハルファスとフェニックスは宙に浮かぶと上に向かって飛び上がる。
「・・・・」
ティアは爆弾を手にしたまま駆動炉を見上げる。
(無理をするな、か・・・。出来れば、そうしたかったけど・・・)
そのまま前に進んで駆動炉の根元にある物を展開して置く。
それはかつての愛機である『スタルクリゲール』であり、コアが無い状態のまま置かれる。
(最後の仕事だよ。これが・・・君と僕の・・・)
そしてティアは爆破作業に取り掛かる。
――――――――――――――――――
隼人は角の陰から出て右手に持って担ぐハイパーバズーカを放って弾頭を弾けさせて散弾を放つ。
そのままレギナや龍型と人型無人機を撃ち抜いて撃破するも、数は一向に減らず、むしろ増え続けている。
「さすがにこれ以上足止めさせられるのはまずい」
ハイパーバズーカのマガジンを外すと左手にマガジンを展開して装填するとこっそりと角の向こうを覗く。
「一気に勝負に出るか?」
角の陰より出て左側のグラストロランチャーを展開し、ビームを放って輝春が聞く。
「だが、後々の事を考えると、勝負に出るのはリスクが高い」
「・・・・」
「でも、このままだと消耗が増えるだけだよ」
「・・・・」
「・・・せめて広範囲に火力の高い攻撃が出来るやつがいれば・・・」
「だったら、セシリアかラウラを連れてくるべきだっただろ」
「だが、ここより外の方が広範囲に敵機が居る以上、ネェル・アーガマの防衛には二人は不可欠だ」
「・・・・」
「アクセルスマッシャー!!クロスファイアー!!」
『っ!?』
すると聞き覚えのある声がした瞬間に隼人達の間を二つの光弾が飛び抜け、その直後に光弾が粉々に拡散し、レギナや龍型と人型無人機を全て撃ち抜いて撃破する。
「今の声って・・・」
「・・・まさか」
隼人達は後ろを向くと、ヴィヴィオがこっちに向かって来ていた。
『ヴィヴィオ(ちゃん)!?』
予想外の人物の登場に全員驚き、その間にもヴィヴィオは隼人達の中に入って床に着地する。
「ヴィヴィオ!お前どうやってここに・・・」
「・・・来ちゃダメだって言われたけど、こっそり船に忍び込んで来たの」
「忍び込んでって・・・」
「何時の間に・・・」
「ヴィヴィオ。お前ってやつは・・・」
隼人は呆れて首を左右にゆっくりと振るう。
「なぜ付いて来たんだ!俺が何の為にお前を置いて行ったんだと思っているんだ!」
「・・・・」
もう戦いに巻き込ませないためにヴィヴィオを安全な場所に置いて行ったのに、付いて来られては意味が無い。
「ごめんなさい、お父さん。で、でも・・・私!」
ヴィヴィオの顔に少し影が差すも、隼人を見る。
「お父さんやみんなが戦っているのに、力があるのに守られてばかりじゃ・・・」
「・・・・」
「お父さん達ばかりが傷つくのを私は見ていられないの!だから、力があるのなら、それをお父さん達の為に役立てたいの!!」
「ヴィヴィオ・・・」
「やれるだけの事をやるだけだから。絶対に無理はしない」
「・・・・」
真剣な目でヴィヴィオは隼人を見る。
「連れて行ったら?」
と、楯無が助け舟を出す。
「・・・ですが」
「その様子じゃ、諦めそうにないわよ。親子って似るのもねぇ」
「・・・・」
短期間でもこうも似るものなのか?そういやシャルも颯も少ししてからどこか俺に似始めていたような・・・
「・・・・」
「・・・絶対に無理をするなよ」
「うん!」
ヴィヴィオは笑みを浮かべて縦に頷く。
「隼人の影響力は本当に強いな」
その様子を輝春は静かに見ていた。
「・・・輝春。あの子は?」
状況が理解できないクラリッサは輝春に聞く。
「あぁ。そういえばクラリッサは知らないんだったな」
輝春は咳き込む。
「あの子はヴィヴィオ。隼人の娘だよ」
「娘だと?それにしては似てないな」
「まぁ、正確には隼人はヴィヴィオの保護責任者なんだが、まぁ今は本当の親子みたいになってる」
「なるほど」
「って、それ以前に突っ込む所あるだろ?」
今のヴィヴィオの容姿は明らかに隼人より年上の女性にしか見えない。
「年上の女性でも、中身は子供なのだろ?そういうのは漫画でもよくあるだろ?」
「何の漫画だよ。って言うか、お前の感覚はどうなってる」
かなりずれたクラリッサの感覚に輝春は呆れてため息を付く。
「しかし、敵は一掃出来たが、この隔壁をどうやって破るか」
隔壁を前にして隼人は静かに唸る。
「これも私に任せて!」
と、ヴィヴィオは背中のウイングを展開すると、両手のオレンジに発光させて間を開けて両手を重ねて間にエネルギーを収束させる。
『何をする気だ?』
「・・・離れた方が良いぞ」
と、一度その技を喰らった事がある隼人はヴィヴィオから後ずさりして結構離れる。
それに続いて他のメンバーもヴィヴィオから離れる。
「星を砕く者!!スターライト・・・・・・ブレイカァァァァァッ!!」
ヴィヴィオは両手を前に突き出して間に圧縮して収束したエネルギーより膨大な量のエネルギーを放つ。
エネルギーは隔壁に衝突すると、大爆発を起こして衝撃波を放つ。
「くっ!」
隼人達は足を踏ん張って吹き飛ばされないようにする。
「・・・・」
煙が晴れると、大きな隔壁が木っ端微塵に吹き飛んでいた。
ヴィヴィオは深呼吸してゆっくりと息を吐き、背中のウイングを閉じる。
「あ、あの隔壁を吹き飛ばすなんて・・・」
全身装甲なので表情は見えないが、シャルロットの表情は青ざめている。
『火力だけでは、アルティメット・ゼロより上、だと・・・?』
リインフォースもその数値に驚きを隠せなかった。
(本当にとんでもないな。ゴッドの意思がなくても、ヴィヴィオ自身が力を使いこなしているとは・・・)
内心でも隼人は驚きを隠せなかった。
(さすがは私の娘の末裔だな)
ノルンは呑気に感心していた。
(・・・お前、意外と親バカな所があるのか)
(・・・・)
黙り込みやがったこいつ・・・
なんやかんやで、隼人達はヴィヴィオのお陰で侵攻を再開する。
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トラックに轢かれそうになった女の子を助けて俺はお陀仏になった・・・。・・・って!それが本来の死じゃなくて、神様のミスで!?呆れている俺に、その神様がお詫びとして他の世界に転生させてくれると言うことらしい・・・。そして俺は『インフィニットストラトス』の世界に転生し、黒獅子と呼ばれるISと共にその世界で戦うぜ!