No.619923

ジョジョの奇妙な冒険、第?部『マジカル・オーシャン』

piguzam]さん

コイツ等にスタンドを使わせてやりたいんですが、かまいませ(ry

2013-09-16 06:30:08 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:6740   閲覧ユーザー数:5863

 

 

前書き

 

 

賛否両論あるだろーけどやってみよー。

 

 

逝ってみよー。

 

 

まぁこれは無しだろって言われまくったらこの章消して書き直すだけですけどね。

 

 

 

 

 

 

「じゃあなージョジョ!!また明日ー!!」

 

「おーう。また明日ー」

 

ダチとの挨拶を交わして別れた俺は、そのまま真っ直ぐに家を目指して歩く。

今日はノエルさんが迎えに来るらしいから、寄り道は出来ない。

色々と説明もしなくちゃなんねーし……スタンドの事をな。

 

「つっても全部話せるワケねぇし……昨日使ったスタンドの一部だけで良いか」

 

別に俺の全てを話せって言われてるんじゃねぇんだ。

簡単に省略して話そう。

今日すずかの家で話す内容を軽く考えながら家の近くの曲がり角を曲がり――。

 

「フフ、旦那様はお上手な方ですね」

 

「いやいや、ノエルさんも人を褒めるのがお上手ですよ。さすがメイドさんをやってるだけの事はありますねぇ」

 

「ありがとうございます」

 

玄関の前で笑って談笑している父とノエルさんを見て、電柱に頭をぶつけた。

何鼻の下伸ばしてんだよ父ちゃんぇ……。

見たくもなかった親父のバカ面を見て頭を抱えてしまう。

 

「ん?おお、お帰り定明」

 

「あっ、定明様。お帰りなさいませ、お迎えにあがりました」

 

そんな俺を見てのうのうとお帰りって声を掛けてくる親父とノエルさん。

もう何なんだよホント。

 

「父ちゃん……帰ったら母ちゃんに言いつけとくから」

 

「え!?ちょ、ちょっと待ってくれ定明!!別に父ちゃんは下心なんて……!?」

 

満載だったよな?どう見ても?

焦って弁解の言葉を続ける父ちゃんを無視りつつ、俺はノエルさんに頭を下げる。

 

「ども。ちょっと着替えてきますんで、もう少し待ってて下さい」

 

「はい。急ぎではありませんので、お待ちしてます」

 

そう言ってくれたノエルさんに再度頭を下げて、父ちゃんの横を抜けて家に入る。

精々母ちゃんに絞られてくれ、父ちゃん。

そして部屋に戻ってランドセルを置き、服を着替えて玄関に向かう。

玄関に行くと消沈した父ちゃんとピシっと立つノエルさんが出迎えてくれた。

 

「すいません。それじゃあお願いします」

 

「はい。それでは旦那様。定明様をお借りしますが、キチンと責任を持ってお送りしますので」

 

ノエルさんがそう言うと、父ちゃんは薄い笑顔で俺達に向き直る。

母ちゃん怖えもんな……でもチクる。

 

「はい。お願いします……楽しんでおいで。定明」

 

「あいよー」

 

やや疲れた感じの声で送り出してくれた父ちゃんに生返事を返しつつ、俺はノエルさんの乗ってきたセダンに乗り込む。

しっかし運転席に座るのがメイド服を着込んだお姉さんって……コスプレと間違われないのだろうか?

 

「ご心配ありません。近所の方々は受け入れてくださってますから」

 

ナチュラルに心読まれたんスけど。

俺ってもしや分かりやすい顔してるのか?

そんな風に考えていると、運転席に座るノエルさんは苦笑する。

 

「大体横に乗られる方は、同じ事を考えていらっしゃいますので」

 

さいですか。

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

振動に揺られて走る事約40分。

海鳴市でもそうは無いって言われてる高級住宅街の坂道を登り、辺りに民家が見え無くなってきた辺りで、車は一度停車した。

 

「定明様。到着しました」

 

「……おぉ~」

 

目の前に案内された門の位置から、俺は感嘆の声を出してしまう。

ノエルさんに案内されて着いた月村家は、滅茶苦茶でかい豪邸だった。

その大きさたるや、海鳴でも一、二を争うんじゃねぇかと思う。

俺の住んでる街じゃこんな巨大な庭付きの豪邸は見たことねぇよ。

そんな俺の様子を見ながら、ノエルさんは上品に微笑んでいる。

 

「改めまして、月村家へようこそお越し下さいました。挨拶が遅れましたが、私は月村家でメイド長をさせて頂いてます、ノエル・K・エーアリヒカイトと申します。以後、よろしくお願い致します」

 

「あっ、これはどうもご丁寧に……」

 

今更ながら自己紹介をして優雅に一礼してくれたノエルさんに伴い、俺もお辞儀して返す。

一礼していたノエルさんに視線を戻すと、ノエルさんは薄く微笑みを浮かべて笑っている。

この人と、後昨日のファリンさんも自動人形ってのなんだよな……でも、昨日戦った奴等とか、あのイレインってのと比べるとかなり感情があるっていうか……普通に人間と大差ねぇや。

 

「さぁ、皆様がお待ちですので、ご案内させていただきます」

 

「はい。お願いします」

 

何時までも玄関口でこんな事してる訳にもいかないので、俺はノエルさんの後ろを着いて行き、皆が集まってる部屋まで案内してもらう。

そして、玄関から歩くこと5分くらいか?

大体そのぐらいの時間で、ノエルさんは一つの扉の前に立ち止まる。

 

「着きました。こちらになります」

 

ノエルさんは俺に振り返りながらそう言うと、部屋の扉を4回ノックする。

 

「忍お嬢様、定明様をお連れしました」

 

『あっ、入っても大丈夫よ』

 

「では、失礼します」

 

ノエルさんの声に扉の向こうから忍さんが言葉を返してきたので、ノエルさんはゆっくりと扉を開く。

そして、開け放った扉の向こうに広がる空間には、昨日の面子が集まっていた。

窓越しのソファーに座っている高町さん、綺堂さん、月村さん。

中央の椅子に座っているアリサとすずか、すずかの傍で立っているファリンさん。

俺とファリンさんが部屋に入ったのを見計らって、月村さんが笑顔を見せながら口を開く。

 

「こんにちは、定明君。月村家へようこそ」

 

「は、はぁ。どうもッス……しっかし、こりゃスゲエな……」

 

笑顔でそう言ってくれる月村さんだが、俺は少しこの部屋の豪華さに驚いててそれどころじゃなかった。

何せ天井から壁全面がガラスで作られた部屋だったからな。

どれだけ豪華な部屋だよ?

そんな俺の驚く様を見れて嬉しいのか、月村さんはクスクスと笑う。

 

「フフ、凄いでしょ?ここは我が家で一番お気に入りの場所なの」

 

月村さんが自慢するのも頷けるな……日当たりも抜群に良いし、庭も綺麗だ。

でもあんまりキョロキョロすんのも田舎者くせぇから、俺は視線を部屋から正面に移し、昨日出来た友達の2人に視線を送る。

 

「い、いらっしゃい。定明君」

 

「お、遅かったじゃないの。もうちょっと早く来なさいよ」

 

新しいダチ、アリサ、そしてすずかはそれぞれ笑顔だったり不満顔だが、二人共俺を迎えてくれた。

まぁ誘ってきたのは向こうだし、歓迎されなかったらどうよ?って話しだが。

アリサとすずかは、昨日とは違う服装で椅子に座っている。

すずかは白を基調にしたワンピース、アリサは赤と白のコントラストのシャツとスカートという出で立ちだ。

昨日は二人共同じ白い服だったけど、多分アレは制服なんだろう。

何処の学校かは知らねえがな。

 

「これでも学校終わって直ぐ来たんだがなぁ……まぁ良いか。何にしても昨日振り、お二人さん」

 

挨拶もそこそこに、月村さんから着席を促されて席に着くと、月村さんはさっきまでの笑顔を消して真剣な表情を浮かべ、俺の目の前の席に移動してきた。

 

「さて……それじゃあ定明君。アリサちゃんからは昨日の内に聞いたから、後は君だけなんだけど……面倒な事は先に片付けちゃいましょうか?」

 

その一言を皮切りに、部屋の空気が少し緊張するが、俺は特に表情を変えない。

答えは昨日言った通りに変わってねぇからな。

 

「そうっすね。面倒くせー事はササッと終わらせましょう」

 

「えぇ……それじゃあ改めて、城戸定明君。君は私達夜の一族の盟友として、生涯私達の秘密を守り切る事を誓えますか?」

 

月村さんは真剣な表情のままに手を胸の位置に当てて口を開いた。

さっきまでとは全然違う、格式に則った言い回しを聞きながら、俺も月村さんに習う形で、手を自分の胸に当てる。

 

「はい……俺、城戸定明は、貴方達の秘密を決して誰にも語らず、墓まで持っていく事をココに誓います」

 

「確かに聞き届けました。現月村家、並びに夜の一族当主として、貴方の誓いの言葉を信じます…………はい、これでお終い」

 

誓いの宣誓が終わった瞬間、さっきまでの真剣さを無かったかの様に消してみせる月村さん。

その変わり身の速さに少しばかり苦笑した俺であった。

そこからは一気に和やかなムードが部屋を包み、俺は月村家でのお茶会に参戦。

振る舞われた紅茶とクッキーに舌鼓を打ちながら、アリサ達と色んな話をした。

 

「昨日のって学校の制服だよな?お前等何処の学校のなんだ?」

 

「私とアリサちゃんは、市立聖祥大学付属小学校に通ってるの」

 

「聖祥……あのお坊ちゃん校かよ?随分良い学校行ってるんだな」

 

「まぁ、アタシもすずかも頭良いし、家もお金持ちだからそーゆう所に行かなきゃいけないだけなんだけどね。最近授業が面白くなくて詰まんないわ」

 

「アハハ……アリサちゃんは何時もテストで満点だからね」

 

「少なくとも小学生の言う台詞じゃねぇよ」

 

 

 

アリサとすずかの通ってる学校の話だったり……。

 

 

 

「そーいうアンタの学校は?何処に行ってるの?」

 

「俺は海鳴第一小学校。極めて普通の公立小学校だ」

 

「ふーん?そっちは英語とか物理の授業は何処まで進んでるのよ?」

 

「ウチは極めて普通だっつうに。小学生で英語はやんねぇし、物理は理科って言うだろ」

 

「あっ、そうなんだ?私ずっと物理だけかと思ってた」

 

「少なくとも、オメー等よりかは頭悪いのは確かだ」

 

「情けないわね……じ、じゃあ、アタシが勉強見てあげようか?」

 

「俺勉強嫌いだからパス」

 

「ぐぬぬ……!?」

 

 

 

俺の学校の事を話すとか……。

 

 

 

「翠屋?……そういえば母ちゃんが見てた雑誌にそんな店が載ってた様な……」

 

「定明君は行った事無いの?」

 

「無えなぁ……少なくとも小学生が隣町からガン首揃えて行く所じゃ無えだろ?」

 

「確かにそうだね。でも、美味しいから絶対に一回は行ってみた方が良いよ?」

 

「あの味を知らないなんて、定明。アンタ人生の半分は損してるわね」

 

「半分とは随分デケェなおい?」

 

俺の言葉に苦笑しながら、すずかは俺に翠屋って所を薦めてくる。

まぁブルジョワなすずかが美味しいっていうならウメエんだろう。

普段から良いモン食ってそうだし。

 

「ハハッ、実はその翠屋なんだが……俺の実家が経営してるんだ」

 

「え?そうなんスか?」

 

ガラスの壁越しのソファーに座っていた恭也さん(苗字じゃなくて良いと言われた)が少し照れ気味に声を掛けてきたが、俺はその言葉に少し驚く。

 

「あぁ、俺も甘い物は苦手だが、ウチのシュークリームは身内贔屓無しでも美味いと思う。良かったら一度食べに来てくれ。俺も稀にウェイターをしているから、来てくれたらサービスしよう」

 

「ちなみに、私も恭也と一緒にお手伝いしてるわよ?」

 

更に高町さんの言葉に続けて忍さん(そう呼べと言われた)が楽しそうに会話に混ざってきた。

ん?何かいやに恭也さんと一緒ってトコが強調されてた様な……?

ちょいと違和感を感じて、2人を良く見ると、二人共嬉しそうに微笑みを浮かべてる。

その光景を見て、あぁなるほど、と思った。

 

「恋人だったんスね」

 

「あ……あぁ。まぁ、な」

 

「正解。でも、私達の事見てさっきまで気付かなかったの?ちょっとラブラブ度合いが足りなかったかしら?」

 

「お、おい忍?」

 

俺の聞き返しに恭也さんは恥ずかしそうに、忍さんは嬉しそうに答えてくる。

何ともまぁ、お似合いのカップルだ事で。

そんな2人を視線から外しつつ、2人の様子を見てちょっとばかし頬を染めてるアリサ達に向き直った。

 

「んで?その翠屋の娘っ子が、すずか達の親友なんだろ?って事は……」

 

「うん。定明君の考えてる通り、恭也さんの妹だよ」

 

どうにもすずか達の交友関係は色々と絡み合ってる様だ。

聞く所によると、忍さんと恭也さんの妹としてじゃなく、本当に知らない所で親友になり、恭也さん達は恋人になったらしい。

変な偶然もあるモンだな。

 

「名前はなのはっていうんだけど……ちょっとおっちょこちょいな所があって、何も無い所で直ぐに転んで怪我するし、体育は言うまでもなくテンで駄目。現国とかの文系も壊滅的って感じだわ」

 

「何だろう。アリサの話し聞いたらちょっとじゃ済まねーほどにおっちょこちょいな奴としか思えねぇんだけど?ソイツ勉強で分からねぇ問題になったら目をグルグル回して唸ったりしてねぇだろーな?」

 

「ア、アハハ……え、えーっと……た、偶に?」

 

してんのかい。

 

すずかの気を使ったほぼ同意するかの様な誤魔化しの言葉聞いたら、何故か頭の片隅に「にゃぁあッ!?」とかいう叫び声が聞こえた気がしたが、多分幻聴だろう。

まだ見ぬなのはという少女は、色んな意味で愉快そうな奴だな。

色んな意味で見てみてーかも。

 

「でもまぁ……」

 

そう思っていたら、どうにも話は終わっていないらしく、アリサは顔を赤くしながら少しづつ語りだす。

 

「そんだけおっちょこちょいでも……人を思いやる気持ちは人一倍強いし、心はとっても真っ直ぐで、凄く良い子なのよ……だからこそ、アタシとすずかはあの子の親友なんだけどね」

 

どうにもストレートに褒めるのが恥ずかしかったのか、アリサは恥ずかしさを誤魔化す様にぷいっと顔を背けてしまう。

隣に居るすずかはそんなアリサを楽しそうにニコニコして見てた。

 

「そぉか……まっ。何時か機会があったら行ってみる。その翠屋って店に」

 

「あっ、じゃあその時はさ。皆で行こうよ?なのはちゃんにも定明君の事紹介したいし。ね、アリサちゃん?」

 

「確かにそうね。なのはも何時の間にか相馬と知り合ってアタシ達に紹介してきたんだし、次はアタシ達の番だわ」

 

「ん?誰だ?そのソウマってのは?お前等の親友その2か?」

 

何故か勝手に予定が組まれてるのはこの際仕方無いとして、新たに上がった名前の人物が誰なのか分からず、俺は口を挟んだ。

 

「えっとね。北宮相馬君って子なんだけど、最近知り合った子なんだ」

 

「最近?って事は、その恭也さんの妹が知り合ったって事か?」

 

「そうなんだけど、なのはの話しじゃ5歳くらいの時に会ってるらしくてね。最近までクラスが違ったから、お互いに聖祥に居るのは知らなかったみたいよ?」

 

「何だその少女漫画チックな展開は?運命の出会いか何かか?」

 

余りにも出来過ぎた展開に、はからずもケチを付けてしまう俺であったが、アリサやすずかはそんな俺に苦笑だったりやれやれって顔を見せてくる。

 

「(少女漫画チックな展開なら定明君だって……)」

 

「(アンタだって充分にやってるじゃないの)」

 

すずか達が何を思ってるかは知らねえが、その相馬って奴は随分と面白い出会いしてんのな。

感動的な再会ってヤツなのか?

 

「まぁ兎に角、相馬は良いヤツよ?人の為に進んで嫌な役回りでもこなすし……」

 

「なのはちゃんなんか、明らかに相馬君を見る目が違うもんね?」

 

「アレは完璧に惚れてるわね。なのはに相馬の事聞いたら、3時間は序の口でスラスラと語られたわ」

 

「惚れてるな」

 

「惚れてるね」

 

人の事で3時間を序の口ってんだったら、間違いなく惚れてんだろう。

 

「む、むむむ……なのはに男が……い、いや!?まだ早い!!なのはには早すぎる!!せめて高校……いや社会人になってから健全な付き合いをだな……」

 

何を言ってらっしゃるんでしょうこの御人は?

そのなのはって子の恋話になった途端、恭也さんが豹変した。

しかも社会人になってから健全なお付き合いって……過保護過ぎだろ?

 

「……まぁ兎に角、その相馬って奴は良い奴って事だな?」

 

「う、うん。人当たりも良いし、何て言うのかな……落ち着いてるよね」

 

「そ、そうね。周りの男子より静かっていうか、大人びてる感じがするわ」

 

暴走し始めた恭也さんを放置して話を進めると、アリサ達は少し引き気味ながらも俺の話に乗ってきた。

しっかし、大人びてるねぇ……もしかして転生者じゃ無ぇだろーな?

2人から聞いた相馬って奴の雰囲気の事で俺はソイツが転生者じゃないかと疑うが、直ぐにその考えを改める。

只落ち着いてるってだけで転生者と決め付けるにゃ早計過ぎんだろ。

アリサやすずかだって同年代に比べたら早熟なんだしな。

 

「何か話しだけ聞いてたらよ?聖祥って結構良い奴が多いんだな……俺はてっきり、嫌味ったらしかったり、キザな奴等の集まりかと思ってたぜ」

 

「「……」」

 

「……ん?どしたお前等?」

 

2人の話を聞いた素直な感想を話した所、何故か2人は揃って思い出したくないモノを思い出した様な顔をする。

あれ?俺もしかして何かいらん事言ったか?

しかも嫌な顔をしたのはアリサ達だけではなく、この部屋に居る面子の中で恭也さんと忍さん、ファリンさんにノエルさんまでもが、だ。

 

「?……どうかしたの皆?」

 

ここで俺と同じく皆の変化の意味が理解出来なかったさくらさん(名前で良いといわれ以下略)が、俺の代わりに皆に訪ねてくれた。

 

「……1人ね、とても困った子が居るんです。聖祥に」

 

さくらさんに問われた皆を代表して忍さんが口を開き、ポツポツと語りだす。

って困った子?何だそりゃ?

 

「……嫌いな奴でも居んのかよ?」

 

恐る恐るそう問いかけてみれば、俺の声を聞いたアリサがクワッと目尻を釣り上げて俺を睨みつけてくる。

何で俺睨まれてんの?

 

「嫌いなんてモンじゃないわよッ!?もう死んで欲しいって願ってやまないぐらいの存在よ、あんな奴ッ!!」

 

俺にキレるなよ。

 

「……小学校に上がった辺りからね?私とアリサちゃん、それからなのはちゃんに付き纏ってくる子が居るの……何時も、皆の前で私達の事を『俺の嫁』って言って……凄く迷惑してるの」

 

エマージェンシー、この手の事をほざく輩を示す言葉に心当たりがあり過ぎる。

アリサに続いて口を開いたすずかの言葉に、俺の中にある警報が激しく鳴る。

 

「誰があんな奴の嫁なのよッ!!私がどれだけ違うって言っても『ツンデレだなぁアリサは』とか馴れ馴れしく名前を呼んでくるのよッ!?私はツンデレでも無いし、名前で呼ぶことを許した覚えも無いわよッ!!終いには家まで勝手に着いて来るし、もう最悪ッ!!」

 

「それに、お姉ちゃんも恭也さんが居るのに口説いてたし、ノエルとファリンも迷惑してるんだ……なのはちゃんのお姉さんにも言い寄ってたし……」

 

「ウチのママにもよッ!!それとなのはのお母さんの桃子さんにまでッ!!アイツほんと何なのッ!!気持ち悪くてもう嫌ッ!!」

 

デンジャー、デンジャー。もうほぼ90%は確定だろソイツ。

間違いなく『転生オリ主』って類の人間じゃねぇか。

神様に転生特典を貰って、自分はこの世界の中心だと疑わない種類の人間。

自分は主人公だから原作ヒロインは全員自分に惚れると思い込んでるタイプ。

ってオイオイ……アリサ達に言い寄ってるって事は、アリサ達はこの世界の中心人物、それかそれに近い立ち位置の人間って事じゃねぇか。

なんてこった。完璧に原作に足踏み入れてるよ俺。

 

「……ちなみに、ソイツの容姿は?」

 

俺がそう質問すると、アリサは不機嫌真っ只中って視線を俺に送ってくる。

 

「銀髪で、赤と緑のオッドアイ。笑顔が気持ち悪い」

 

「分かった。把握」

 

確定しちゃったよ畜生。

ま、まぁコイツ等の母親とかに言い寄ってる時点で普通じゃねぇ。

年齢差とか気にしねぇのかソイツは?

それとも只単に手に入れておきたいってだけか?

 

「信じられないくらい気持ち悪いわよ、あの神無月皇帝(しいざあ)って馬鹿だけは聖祥ッ!!いや地球一の有害物質ねッ!!」

 

DQNネーム丸出しだな。

やがて言いたい事を言い切ったか、それともただ疲れたのか、アリサはぜーぜーと息を吐いて不機嫌な様子で椅子に座り直す。

 

「……そこまで言う奴が居るってのに、良く我慢して学校行くな。お前等?」

 

普通なら登校拒否しても良いレベルだぞ?

 

「うん。神無月君に会うのは嫌だけど……なのはちゃん1人じゃ可哀想だもん」

 

「それで学校休んでたら、パパとママに迷惑掛かるし……まぁ、相馬が来てくれてからはまだマシになったけど」

 

「ん?相馬って奴が追っ払ってくれてんのか?そのDQNネーム君を?」

 

「そうよ。そのお陰でまだ学校には行けるかなって感じ……そうよ、定明が居るじゃないッ!!ねぇ、定明ッ!!ちょっとお願いしたい事が……」

 

「却下」

 

「何でよッ!?話しくらい聞きなさいッ!!」

 

何か話の途中でアリサが俺の名前を出しながら生き生きとした表情で声を掛けてくるが、嫌な予感がしたので即却下。

するとすかさずテーブルを叩いて目尻を吊り上げるアリサ。

面倒事は後免被りてぇんだけど……はぁ。

 

「お前、絶対俺にそのDQNネーム君をブッ飛ばしてこいって言うつもりだろ?」

 

「判ってるなら話が早いわッ!!アンタのその不思議パワーであの馬鹿を懲らしめてよッ!!」

 

「定明君、私からもお願いッ!!この前なんか、私あの人にスカート捲られそうになって、その時の『恥ずかしがらなくても良いだろ?』って言ってたあの顔が怖くて仕方無いのッ!!」

 

一度は断ろうとした俺だったが、すずかがガチで涙を流し始めて断れる雰囲気じゃなくなってきやがった。

っていうか小学生で何て事してやがるんだよオリ主ぇ……。

 

「何ッ!?神無月の奴そんな事をッ!?」

 

「お嬢様……可哀想過ぎます」

 

「定明君。私からも正式にお願いして良いかしら?すずかがここまで酷い目にあってるなんて知らなかったわ」

 

しかも他の皆さんまで良い感じに火が点き始めたご様子。

ちょっとコレはマジに断れなくなってきたぞ。

確かにすずかの助けて欲しいって気持ちは良く分かるけど……。

 

「……俺はお前等と学校が違うから、さすがに学校のある時に助ける事は出来ねぇぞ?」

 

「で、でも、アンタの不思議パワーなら……」

 

俺の否定的な言葉を聞いたアリサはそれでも食い下がろうとするが、俺は更に言葉を被せてその先を言わせない。

 

「確かに俺のスタンド能力は種類も豊富だけど、何百メートルも離れた場所にいるお前等を助けられる能力は限られてくるからなぁ……」

 

「……スタンド?それが定明君の持ってる力の名前かしら?」

 

俺が呟いたスタンドという単語に、忍さんが反応を示して疑問を投げかけてくる。

ってそういや俺の力について話すってのを今まですっかり忘れてたぜ。

 

「あー、はい。強く念じれば俺の側に現れる精神エネルギーの塊、俺にしか見えないけど、その力が沢山あったんでその力全部の総称を『スタンド(立ち向かうもの)』って名付けました」

 

「総称……つまり、個体で名前があるって事ね?昨日のハーヴェストとかエニグマというのが個体の名前って事?」

 

昨日の戦闘を思い出しながら、忍さんは俺に確認を取ってくる。

っていうかスゲエな。これだけ聞いてそこまで考えが回るってのは。

心のなかで驚きながらも、俺は忍さんの問いに頷いて肯定する。

 

「まぁ力自体はホントに色々あるんで、これで俺の力については省かせてもらいますけど……」

 

ここで一度言葉を切り、俺は縋る様な表情を浮かべるすずか達に向き直った。

 

「悪いけど、俺が学校に居る時は、何か起きても直ぐに助けるって事は出来ねえ。俺にも生活があるからな」

 

「「……」」

 

暗に諦めてくれって答えを返すと、2人は本気で泣きそうな顔になってしまう。

そんだけそのオリ主君に会うのが嫌って事だろう……やれやれ。

でも残念ながら、俺が学校をサボってすずか達を守るワケにもいかねぇし、相手が転生者だとしたら何かしらの転生特典を持ってる筈だ。

だから出来る事なら俺はソイツに会いたくはねぇ……。

 

「……だが、まぁ何とかしてやるよ」

 

「「えッ!!?」」

 

でも、さすがにこんな泣きそうな顔でお願いされちゃあ断れねぇよ。

俺の答えを聞いて驚く2人に苦笑いしながら、俺は肩を竦める。

 

「さすがに学校はサボれねぇから、外でソイツにあった時にでもどうにかしてやるし、学校にいる時でも俺が出来る分だけは助けてやる」

 

「「ホントッ!?」」

 

「あぁ、ウソはつかねぇ」

 

俺がそう言うと2人は弾ける様な笑顔を浮かべるが、直ぐにアリサは咳払いしながらそっぽを向く。

 

「さ、最初から頷いておきなさいよッ!!ばかッ!!」

 

しかも悪態のオマケ付きだ。

 

「あ、ありがとうッ!!本当にありがとう、定明君ッ!!」

 

一方ですずかは、満面の笑みに嬉しさをタップリと乗せて、力強くガシィッと俺の両手を握りしめてくるんだが……力強過ぎね?

って痛え痛え。こんなに細い腕だってのにどんな力してんだ。

とりあえず話しはまだ終わっていねぇからと俺はすずかに手を離してもらい、2人にもう一度椅子に座ってもらう。

まだ予防策も作っておいた方が良いしな。

 

「そんでこっからが本題なんだが……さっき言った通り、俺も出来るだけ手は貸すけど、俺だって生活があるからどうしても手を貸せない時がある。それは判るよな?」

 

俺の問いに若干不安そうな顔を見せる2人だが、ちゃんと俺の都合とかの事も考えてくれてるので、アリサ達は頷いた。

ちゃんと俺の言葉を理解してくれた2人を見て、俺はゆっくりと口を開く。

 

「でも、俺だって自分の都合が何時どうなるのかなんて分からねぇし、昨日の誘拐事件の時みたいに、本当に大変な時に助けてやれなかったりしたら、俺も嫌だ」

 

昨日の誘拐事件だって俺が偶々あそこに居て偶々いっしょに誘拐されたから、アリサは汚されないで済んだし、すずかも生きて帰れた。

でもあんな都合よく事が運ぶなんて何時でもあるワケじゃねぇ。

 

 

 

 

 

だから――――。

 

 

 

 

 

「――だから、俺が2人にスタンド能力を『貸してやる』よ」

 

『『『『『『『ッ!!?』』』』』』』

 

 

 

 

 

――俺は、この2人に力を渡そうと思う。

 

「ち、ちょっと待ってッ!?定明君ッ!!そんな事が出来るのッ!?」

 

今まで俺達のやりとりを見守っていた忍さんが椅子から立ち上がって叫ぶ。

その声の方に振り返ると、他の面々も驚愕って感情を顔に貼り付けていた。

 

「出来ます……俺の持ってる、あるスタンドの能力を使えば、他人にスタンドを譲渡する事は出来ますが……」

 

そこで一度言葉を溜め、俺はもう一度アリサ達に真剣な表情で振り返る。

 

「今まで試した結果でいえば、スタンドを操るにはある程度素質が要る。悪いが、その素質は口では説明出来ねぇ……けど、アリサとすずかには、その素質があるって俺には感じられるんだ」

 

「ア、アタシとすずかに……?」

 

「スタンドの……素質が?ホントなの?」

 

信じられないって声音のアリサ達に、俺は頷いて肯定する。

そもそもスタンドを操る、いやスタンド使いになる素質ってのは、何かしら精神が強くなくちゃあならない。

それは高潔な魂だったり、ドス黒い殺意だったり、平穏に生きたいと願う強い執念だったりと様々だが、どんな形であれ精神力がある一定の水準に達している者にスタンド能力は発現する。

 

 

 

複数の大人に拳銃を向けられながらも、自分の大事な者の為に恐怖を押し殺して立ち向かった程の強い精神力を持つアリサ。

 

 

 

自分の血筋に苦悩しながらも、自分の友達を作りたい、一緒に居たいという夢の為に、誰にも相談できない孤独な恐怖とずっと向き合って生きてきたすずか。

 

 

 

この2人なら、俺はスタンド能力を操れると思ってる。

 

「だから、お前等が良いって言うなら、俺がお前等の身を守るスタンド能力を貸す。でも、その力が何時発現するかはお前等次第だぜ?」

 

「私達次第?」

 

「そう。スタンドってのは、あいつをこらしめてやる、とか自分の身を守ろうとする……そういう気持ちを強く思う事で発現するんだ。だから、その気持ち……つまり精神力が弱いと、スタンドは永久に出て来ねえ……どうする?それでも俺の案を受け「「受けるッ!!」」……へ?」

 

2人がどれくらいの覚悟を持ってるのか聞いてる最中で、アリサとすずかは俺の言葉を遮って元気に受けると言ってきた。

俺を熱心に見つめるその瞳には、燃え盛る炎が轟々と燃えている。

 

「当然受けるに決まってるじゃないッ!!スタンドはスタンドを使う者にしか見えないんでしょッ!?ならアタシ達に危害を加えようとする奴とかあの馬鹿をブッ飛ばすには最適じゃないッ!!」

 

「そうだよねッ!!私だってあの人とか、昨日みたいな人達から自分の身を守れる様になりたいもんッ!!何時までもお姉ちゃんに迷惑を掛けたくないし……」

 

「「定明(君)アタシ(私)にスタンドを貸しなさい(貸して下さい)ッ!!」」

 

「……グレート」

 

思わず口走ってしまったが、2人のポジティブさというかオーラに圧されたぜ。

普段からどれだけ色々と溜め込んでんだよ?

……まぁ、この様子なら直ぐにスタンドをモノにするだろう。

アリサ達の怒りというかフラストレーションというか、そーいう溜め込んでた気持ちの強さを目の当たりにして、俺は苦笑してしまうが……同時に少し楽しみだったりする。

何せこの世界に来てから今日まで、俺のスタンドを認識できる奴は居なかったからな。

俺は苦笑しながら椅子から立ち上がり、2人の前で自分の指を自分の額近くに当てる。

その様子を見て一体何をするんだろうと首を傾げてる面々には何も言わないまま手に力を篭めて――。

 

 

 

ずぶりっ

 

 

 

自分の額に指を『メリ込ませた』

 

『『『『『『『ッ!!?』』』』』』』

 

ショッキングな光景に口を開いて茫然とする皆には構わず、俺は手を引き抜く。

そうすると、俺の手、というか頭から二枚の『DISC』が一緒に出て来た。

これぞ、スタンド能力と記憶を『DISC』にして取り出したり埋め込んだり出来る協力なスタンド、『ホワイトスネイク』の能力で作った『スタンドDISC』だ。

この能力を使って、俺はあるスタンドを2体DISCにして自分の中から取り出した。

その二枚のDISCを手に持ったまま、俺はアリサとすずかに近寄る。

 

「今、俺の持つスタンドの能力で、別のスタンドを2体、DISCにした……コレを2人に埋め込めば、それでスタンドはお前等のモンになる」

 

俺の説明を聞いて、2人は恐る恐る俺の手からDISCを受け取り、手にとって色んな角度から眺めている。

 

「……埋め込むって、今アンタがしたのと同じ様にって事?」

 

「あぁ、頭に埋め込む感じで良い。痛みは全く無いから安心しな……それでも怖いってんなら、俺が差し込んでやるけど?」

 

「バッ!?こ、ここ怖くなんて無いわよッ!!これぐらいの事、別に何でもないんだからッ!!」

 

暫くおっかなビックリって感じにDISCを触っていたアリサにそう言ってやると、アリサは顔を真っ赤にして怒鳴ってきた。

どんだけ負けず嫌いなんだよ。

と、考えていたらアリサの隣で自信無さげにしていたすずかが俺に向かってくる。

 

「あの定明君……わ、私はちょっと怖いから……お願いしても、良いかな?」

 

「ん、別に良いぞ。そんじゃあDISCを貸してみな」

 

「うん……や、優しくしてね?」

 

俺がDISCを受け取ってすずかの額付近に翳すと、すずかは瞳を潤ませて上目遣いにそんな事を言ってきた。

 

「いや、だから痛くねぇって……そんじゃ、いくぞ~?」

 

「は、はい……ッ!!お願いします……」

 

緩い感じに合図を出すと、すずかはキュッと目を瞑ってDISCを待っていた。

俺は彼女の額にDISCを当てて、あまり力を籠めずに押し込む。

 

ずぶりっ

 

「はぅ……ッ!?」

 

そうするとDISCは苦も無くすずかの額に埋め込まれ、どんどんと中に入り……。

 

「……ほいっ。終了だ」

 

遂に全てのDISCがすずかの中に入り込んだ。

中からDISCが弾け飛んでくる事も無いし、完全にすずかに適応した様だな。

そんな事を考えてる俺とは対照的に、すずかは大きく息を吐いて疲れたってアピールをしていた。

 

「言った通り痛くも痒くも無えだろ?」

 

「確かに痛くなかったけど、ずぶずぶと挿入ってくる感覚がちょっと怖かったよ」

 

と、俺の言葉足らずな所に不満を持ったのか、頬を膨らまして怒ってる様だ。

あ~、俺があの感覚に慣れてるってだけなのか?

とりあえずそんな感じですずかの方は終わったんだが……。

 

「う、うぬぬ……!?」

 

アリサの方は未だにDISCと睨めっこしてて進んでいなかった。

やっぱ異物を頭に入れるってのは相当勇気が要る様だ。

しかしこのままじゃ時間が只過ぎるだけなので……。

 

「ほらっ、俺が挿入れてやるから貸せってアリサ」

 

ササッと進める為にアリサに手の平を向けてDISCを渡す様最速する。

何時までもDISCを入れる段階で躓かれちゃ困るからな。

 

「……わ、分かったわよ……その……優しく挿入れなさいよ」

 

「分かったっての……ほら、目ぇ瞑れ」

 

「……ぅん」

 

いやにしおらしいアリサだったが、目を瞑った瞬間を見計らってDISCを押しこむ。

DISCが触れて飲み込まれた時にビクッとしたが、ソレ以外はジッとしていた。

 

「終わりだ」

 

やがてDISCが見えなくなり作業は終わり、俺は目を閉じてるアリサに声を掛ける。

 

「ん……ありがと……これで本当に、アタシとすずかもスタンドが使えるの?」

 

「う~ん……あんまり変わったっていう感じはしないよね」

 

2人はDISCの埋め込み作業が終わると、自分の体を見詰め直したり、空中に手を翳したりしてスタンドが出ないか試している。

一方で恭也さん達はそんな2人を興味深げに見ていた。

 

「出て来ないわね……そういえば定明、アタシ達のスタンドって名前あるの?」

 

「あっ、私もそれ聞きたい」

 

ひと通り色々試して出て来なかったので、アリサ達は一度諦めた様だ。

しかしスタンドの名前ねぇ……。

 

「あるにはあるけど、それはスタンドが発現したら判るぞ……取り敢えず、百聞は一見に如かず。まずは実物を見なきゃな……コレが……ザ・ワールドだッ!!!」

 

色々と面白い行動をしてた2人に、そう声を掛け、俺はザ・ワールドを呼び出す。

何の前触れも無しに俺の背後に現れる黄金色の巨人。

しかも見た目は人間とかけ離れてるとくれば……。

 

「「ッ!?きゃぁあああッ!!?」」

 

まぁ所見ならそういう反応だわな。

いきなり現れたザ・ワールドにビックリして悲鳴を挙げるアリサ達。

その光景を見ていた忍さん達は何だ何だ?と騒いでいる。

まぁ忍さん達からしたら、2人が何も居ない虚空の場所見て悲鳴上げてる様にしか見えないだろうけど。

 

「そ、それがスタンドッ!?そんな形なのッ!?」

 

「ビ、ビックリしたよ、もぉッ!!」

 

「悪い悪い。まぁでも、コレが見えてるって事は、2人は間違いなくスタンド使いになれてるって事だぞ?」

 

スタンドはスタンド使いにしか見えねえからな。

未だに驚いてる2人を尻目に、俺はザ・ワールドを操作し、2人にゆっくりと近づけて体を屈ませる。

その行動を見て、別に敵意があるワケじゃ無いと勘付いたのか、2人はそれぞれザ・ワールドに触れようと手を伸ばす。

 

『……』

 

すうっ

 

「えッ!?あ、あれッ!?」

 

「さ、触れない……通り抜けちゃう」

 

しかし、2人がザ・ワールドの体に触れようとしても、2人の手はザ・ワールドの体をすり抜けて中に入ってしまう。

 

「それがスタンドの特徴その2、だ。スタンドはスタンドにしか触れない。例えスタンド使いでも、自分のスタンドに触れるにはしっかりと念じなきゃならねーし、他のスタンド使いじゃ触れないってワケだ」

 

俺はそこまで言ってからザ・ワールドを消して、驚いている2人に声を掛ける。

 

「さて、こっからが本題……まず二人共、心の中でイメージしてみ?」

 

「え?……イメージ?」

 

キョトンとした顔でオウム返しに質問してくるすずかに俺は頷く。

 

「そう、イメージだ……さっきも言った様に、スタンドは本人の精神力で操るモノ。だから何かしら強い気持ちが要るんだが……」

 

言葉を溜めながら、ゆっくりと俺は2人に視線を送る。

要は強い気持ちと意志があれば、スタンドはたやすく発現できるモノだ。

だから、今すずかとアリサが持ってるフラストレーションを利用してやれば良い。

その気持の強さが、スタンドの発現に導くだろう。

 

「まずアリサ。お前はさっきのDQNネーム君に、皆の前で俺の嫁宣言された時の事を思い返してみろ」

 

「アイツに……(ブルブル)」

 

俺のアドバイス通りに頭の中でイメージしてるんだろう。

目を瞑って考え込んだアリサの頭から、瞬間湯沸かし器みたいに煙が吹き上がる。

 

「次にすずか。お前は……そうだな、氷村がすずかの大事な人を傷つけようと迫ってくるトコをだ」

 

「ッ!!?……」

 

すずかにもアドバイスを送ると、すずかは俺の出したイメージにショックを受けるが、直ぐに目を閉じてイメージを始める。

 

 

 

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……。

 

 

 

そして、段々と2人の後ろからぼんやりと像が浮き上がってきた。

良し、もう後一押し……。

 

 

 

 

 

多分、ココで止めておけば、ああはならなかっただろう。

 

 

 

 

 

「お前等には既に『立ち向かうもの(スタンド)』が居るッ!!なら、お前等の大事なモノを脅かしたり、襲い掛かる奴等が目の前に居るなら、すずかッ!!アリサッ!!お前等のやる事は何だッ!!?逃げるか震える事かッ!?答えろぉッ!?」

 

 

 

 

 

俺があそこまで過剰に煽らなきゃ――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――ブッ飛ばすッ!!!」

 

「――護り抜くッ!!!」

 

 

 

 

 

ズキュゥゥゥンッ!!!

 

 

 

 

 

ココまで『派手』にはならなかった――。

 

 

 

『オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラァアアアッ!!』

 

『WAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAANNABEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEE!!』

 

 

 

「いッ!?やべッ!?『キング・クリムゾン』ッ!!!」

 

危機一髪って所で時を飛ばしてラッシュの射線上から逃げるが、俺の後ろには壁があり――。

 

 

 

 

 

 

 

 

その日、月村家のガラス張りの豪華な客室は崩壊した――。

 

 

 

うん、ちと煽り過ぎたな。

 

 

 

to be continued……。

 

 

 

 

後書き

 

 

賛否両論あると思いますが、これがやりたかったんです(笑)

 

 

 


 
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