No.619451 リリカルなのはSFIAたかBさん 2013-09-14 21:35:06 投稿 / 全2ページ 総閲覧数:5380 閲覧ユーザー数:4951 |
第四十八話 最強の工具
アサキム視点。
「「「「ブラボー!ブラボー!愛の力でよみがえった『傷だらけの獅子』!これほど燃える展開は無いよね!その愛!僕にも分けて欲しいね!」」」」
「これが愛であってたまるか!そんなに上等なもんじゃねえ!」
(それにお兄ちゃんのこの想いは私だけのものだ!あんたなんかに欠片どころか一つまみだってやるもんか!)
目の前を疾駆する黄金の炎を背負った獅子。
今まで見たことが無い彼の姿に僕は歓喜した。
彼。いや、彼等のスフィアを得ることが出来れば僕は『太極』の呪いを打ち破れるかもしれないからだ。
「素晴らしい。素晴らしいよ、高志!君は『傷だらけの獅子』のスフィアの力を借りていながら、それを越えた。あの時、君を見逃して本当によかった!君と巡り合えてよかった!」
周りは空気の宇宙空間。その中で黄金の炎を撒き散らせながら僕に殴りかかってくる高志の攻撃を受け止めようとした。が、
オオオオオオオオオオオッ!
思わず、その咆哮に押されて退いてしまった。
その時、躱す動作が遅かったせいかシュロウガの方の部分が、巨大なレンチにかすってしまう。
そのかすった部分からの衝撃でシュロウガが振り降ろされた方向へと吹き飛ぶ。
宇宙空間だからではない。
シュロウガの耐衝撃能力を上回ったからだ。
「ちぃっ!躱された!」
(『知りたがる山羊』の先読みはやっぱりずるいよ!こっちが攻撃する場所が分かるんだもん!っ?!後ろ!)
「こなくそっ!」
巨大なレンチを振り終えた高志の背中にアーク・ライナスから放たれた光の帯が何ほんもん襲い掛かるが、それに気づいた高志の中にいたアリシアが高志に知らせてそれを聞いた彼はその場から逃げる為に背中に背負う炎の羽をはばたかせる。
「「「「二人だけで楽しまないで僕も混ぜてくれよ♪」」」」
白い鎧の関節部分からスフィアの光。緑色の光を噴きあげながらアーク・ライナスはその手にした斧を掲げると、その矛先から極太の砲撃を何もない所へと撃ち放つ。
だが、その行動を見て高志は青ざめる。
「げっ、あれって…」
「「「「これは砲撃じゃない。
スフィアの色と同じ色をしたあの高町なのはの収束砲じみた巨大な光り輝く剣を振り降ろす。
「「「「聖剣コールブランド!受けてみるといいよぉ!」」」」
ゴオオオオオオオオオオオオオオオオ!!
その光と熱ですべてを焼き払わんとする光の剣は僕等に向かって振り降ろされる。
僕はその巨大な剣激から避ける為にシュロウガを操り、それを避ける。が、逆に何かに気づいたのか、高志はそれを受け止めた。
「ガァアアアアアアアアアア!!」
(うううううううううっ!)
その光を全身で受け止めながらその剣戟をそれ以上進めないようにと受け止める獅子の鎧はあちこちに亀裂を作る。
その後ろにはプレシアとリニスが乗っているアースラがあった。
高志はこれに気づいて攻撃を受け止めたのか。ここで受け止めなければアースラに危害が及ぶと…。
「隙ありだ!」
攻撃を受けきった後の彼は無防備。その背中に僕が斬りかかろうとした瞬間、背後から襲いかかってきた衝撃に目を向いた。
「がはっ?!」
僕の背中を襲った衝撃。それはアースラ。正確にはアースラの右半分を覆っていた巨大砲身。バトルフロンティアがアースラから撃ち放たれ、僕にぶつけられた時に発生した衝撃だったという事だ。
『そのまま、それと一緒にぶっ潰れてしまいなさい!』
エネルギーを限界まで溜めこんだその砲身はてっきり砲撃を放つと思いきや、そのままぶつけてくるとはさすがに思いつかなかった。
それは弾丸の入ったピストルで人を殴るようなものだ。
宇宙空間で放たれた物体は基本的にそのままの勢いで飛んで行く。
シュロウガとバトルフロンティアでは出力はとにかく質量に差がある。しかも、鋼越しにではあるが、その中に内包されたエネルギーは下手に壊せば僕もただでは済まない。特に同じスフィアリアクターでスフィアに執着するジ・エーデルがいれば僕のスフィアは彼に奪われる。それはあってはならない。
迎撃ではなく防御に全力を尽くす。
そして、巨大な砲弾になったバトルフロンティアはさらにその先。ジ・エーデルにも向かって行く。
「「「「…ふいっ?」」」」
気の抜ける声を上げてジ・エーデルは僕もろともバトルフロンティアに跳ね飛ばされるように後方に吹き飛ばされる。
ドオオオオオオオオオンッ!!
そして、バトルフロンティアは僕とジ・エーデルを宇宙に浮かぶ隕石か何かぶつかりようやくその勢いを消す。
そこはジ・エーデルが目指していた場所。二つの月の軌道上の位置。つまり、『聖王のゆりかご』がその二つの魔力を供給して無類の防御力を発揮するポイント。というよりも月そのものだった。
「「「「あの人は、プレシア・テスタロッサはやっぱり最高だね♪まさか、こんなご褒美を僕にくれるなんてね…」」」
僕のすぐ近くでジ・エーデルがそう呻くと同時に彼の思考が飛んできた。
周囲に展開している管理局の時空戦艦に搭載されたアルカンシェルの一斉放火。だけど、甘いよ。スフィアの力を全開にすればいくらアルカンシェルを連発しても僕は潰せない。
『知りたがる山羊』で僕はそれを知った。
確かに僕等の力。スフィアを全開にして防御すればアルカンシェルには耐えきれる。
何しろジ・エーデルにはスフィア随一の防御力を持つ『尽きぬ水瓶』と二つの月の魔力からの防御力。
僕にはアルカンシェルに対抗するための魔力的障壁は『知りたがる山羊』の力で対応できる。
何しろアルカンシェルをそこに何発撃ちこもうと威力が上がるという訳ではない。
どんなに扇風機を並べて回しても地面に埋め込まれた岩を動かすことが出来ないからだ、
目の前にある僕等を抑え込んでいるバトルフロンティアがどけば、アルカンシェル搭載型の時空航行船があるはずだった。
「「「「…ふひ?」」」」
「まいったね。これは…」
僕やジ・エーデルが想像した通り僕等を抑え込んでいたバトルフロンティアが不意に離れるとそこには時空管理局の時空航行船が何隻も存在していた。
だが、その戦艦とその間に黄金に光る『傷だらけの獅子』。そして、彼が掲げるコールブランドと似て非なる巨大な鋼の塊が彼の光に染め上げられるように黄金に光り輝いていた。
高志視点。
バトルフロンティアを発射した後、プレシアから転送されてきたデータ。それは攻撃力を重視した採算度外視の自爆技に近い物だった。
エネルギーを限界まで溜めこんだバトルフロンティアをそのまま自爆させるのではなくマグナモードで更に強化。
そのエネルギーをアサキムにぶつけるという荒業。
もちろんこれを行えばアサキムといえど、ただでは済まないだろう。
元々バトルフロンティアはスフィアを模造した物だから俺にも使える。だが、俺は砲撃とか射撃といった遠距離攻撃が苦手だ。
プレシアはそれを考慮してバトルフロンティアを作ったのだろう。
誰でも使えるように。俺でも使えるように作り上げた。
この最強の
「…まったく、プレシアは本当に天才だな」
(そりゃあ、そうだよ。私のお母さんだもん)
俺はアサキム達を抑え込んでいるバトルフロンティアに近づき、プレシアが指定した場所にたどり着くと同時にそこに右腕を突っ込む。
「クラッシャァアアアッ、コネクトォオオッ!」
バトルフロンティアの分厚い装甲を打ち破り、その奥にあったコードと取っ手になる部分を掴み、巨大なバトルフロンティアを持ち上げる。
重さを感じさせない宇宙空間。そして、アサキムとジ・エーデルを押さえつけた月に刺さった状態だからできる動作。
地球上だったら、バトルフロンティアが打ち出された勢いを消せてなかったらとることが出来ない動作。
俺はその全てを計算したプレシアに最大の尊敬の念を送る。
(バトルフロンティア!リミットブレイク!マグナモード、オーバーリンク!)
バンッ!バンッ!バンッ!バンッ!
バトルフロンティアが少しでも俺への負担を減らそうとしているのか、それともマグナモードで黄金に染まっていくその姿から逃げようとしているのか、持ち上げていく道中にその重厚な装甲板が宇宙空間に飛び散らせ、変形していく。
俺が知っている最強のスーパーロボット大戦の必殺技。
その名は。
「ゴルディオン・クラッシャァアアアアアアアアアッッ!!」
俺がバトルフロンティアを完全に振り上げた瞬間、バトルフロンティアは光り輝く黄金の鉄槌(ハンマー)になっていた。
その鉄槌部分の装甲がはじけ飛ぶとそこから現れたさらに巨大な光の鉄槌が生まれる。
バトルフロンティアだけでも百メートル近い巨大さだが、その鉄槌はその四倍の巨大さを物語っていた。
その巨大な鉄槌を俺は振り降ろした。
「アサキム!そして、ジ・エーデル!二人まとめてぇ、光になれぇええええええ!!」
ゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッッッ!!!
超重力の砲撃。アルカンシェルの強化砲撃。マクロスキャノンを放てるバトルフロンティアに限界まで溜めこんだエネルギー。
それをマグナモードで強化した一撃の衝撃がミッド世界全域に鳴り響いた。
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第四十八話 最強の工具