No.597978 EXCITORS エキサイターズ エピソード001「少年・ミーツ・少女」 #0032013-07-15 17:19:14 投稿 / 全5ページ 総閲覧数:2191 閲覧ユーザー数:2180 |
EXCITORS エキサイターズ
エピソード001「少年・ミーツ・少女」 #003
TEXT/ILLUST by:尾岸 元(OXY_GEN)
LOGO by:Dr.N
「でやあああぁぁっ!!」
気合いの叫びと共に、力は大きく踏み込み、アックスヘッズの一人を殴りつけた。
「ぐふっ!?」
まるでダンプカーに跳ね飛ばされたかのように、大男は後ろに吹き飛ぶ。そして、そのまま後ろのブロック塀に激突し、失神した。
力の拳、いや、腕全体に、激しい気流が渦巻いていた。ただの風ではない。衝撃波だ。
「な、なんだテメェそれ!? 手品か? トリックか!?」
アックスヘッズたちは混乱した。彼らの常識では、理解できない現象が起きているのだ。
「手品でもトリックでもないぜ! うおおおおっ!」
力は、別の男に飛びかかった。
「BANG! BANG! BANG!」
まるで子供が西部劇ごっこをするかのように、こころは人差し指をアックスヘッズたちに向けて叫んだ。
と、指先から白熱した火炎の球がほとばしり、アックスヘッズたちに直撃した。
「ぎゃあっ!?」
「ぐあっ!?」
本物のピストルに撃たれたように腕や胸を押さえ、うずくまるアックスヘッズたち。
「あたしのパワー、アンダスタンドした?」
こころは煙の上がる指先に息を吹きかけて、にっこりと笑った。
「二人とも暴れてるなあ。じゃあ、僕も暴れるとしよう」
幸之進はミネラルウォーターのペットボトルのキャップを開けた。そして、中の水を自分の手のひらに振りかける。と、その水が一瞬にして凍りついた。鋭く尖った氷柱[つらら]状の氷だ。
「おらーっ!!」
鉄パイプで殴りかかってきた男の攻撃をあっさりとかわし、幸之進は瞬間的に男の背後に回った。
「死なない程度にお命頂戴つかまつる!」
ナイフのような氷柱を、男の首筋にすべらせる。皮をごく浅く切っただけだが、その下には頸動脈がある。男は命の危険を感じた。
「ひぃっ!」
男は腰を抜かし、そのまま這うように後ずさると、バイクにまたがって逃げていった。
「さて、次のお相手は誰かな?」
氷柱を逆手に持ち、幸之進は不敵に辺りを見回した。
全てのアックスヘッズたちが逃げていくのに、5分とかからなかった。
「ケガはないか?」
力が手を差し伸べ、襲われていたウサギの少女を立たせる。彼女の手は、柔らかく、暖かかった。
「は、はい……。ありがとうございます……」
少女は、消え入りそうな声で礼を言った。
「名前は何て言うんだ?」
「おぉ? 力君ナンパですかい? お茶とかイタメシとか誘っちゃうの?」
バキッ!
茶々を入れる幸之進の顔面に、力の裏拳がきれいに決まった。目を丸くしている少女の視線に気づいて、咳払いする力。
「あー、こいつは気にしなくていいから。オレは太刀浦 力。十央中に通ってるんだ」
「わ、私は……花月園 雛[かげつえん・ひいな]です……」
「ふむ。その制服は、お嬢様学校として有名な聖麗院[せいれいいん]女子学園のものだね。ということは、君はそこの生徒ということかな?」
幸之進が説明くさいセリフを言う。
「はい……」
「自己紹介が遅れたね。僕は猿喰 幸之進。ノシンでいい。どこにでもいるしがない中学生だ。」
「お前みたいな変なヤツがどこにでもいてたまるかよ」
力のツッコミ。
「あたしは太刀浦 こころだよ! ナイストゥミーチュー!」
賑やかな3人の態度に、雛もつられて微笑んだ。
「あんたの家ってどこだ? よければ送ってくぜ」
力が申し出る。
「おやおや、力君はよほど雛ちゃんのことが気に入ったようだねぇ」
「うるせー」
「ありがとうございます。大丈夫ですから」
雛は何度もお辞儀をした。
<to be continued......>
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