帰りのホームルームが終わったので俺は急いで家に帰るために教室を後にした。
今日でテストが終わったのでアイシアとデートの約束がある。
家で待っているであろう彼女を想い校門を出ようとしたところで、
「あっ、弟くん、今から帰るところ? もしそうならこれから花より団子に行かない? テストが終わったからまゆきと由夢ちゃんと一緒に行こうって話してたんだ」
音姉たちがやって来た。
「音姉、ごめん。今日はこの後用事があるから。三人で行ってきてよ」
「えぇ、弟くんも一緒に行こうよぉ。最近弟くん付き合いが悪くなってお姉ちゃんは悲しいよ……」
音姉が思いの外食い下がってくるのでいつの間にか回りには人だかりができていた。
「俺たちの音姫先輩の誘いを断るなんて……」
……そんなこと言われても、とどうやってこの場を離れようか考えていると
「ほら音姫、弟くんが困ってるでしょ。全くいつまでたっても弟くん離れができないんだから……」
「そうですよ、お姉ちゃん。兄さんはこれからアイシアさんとデートみたいですから。家族や先輩との付き合いより彼女さんの方が大切なんですよね、兄さんは」
今まで黙っていたまゆき先輩が助け船を出してくれた。
そして由夢、お前はどうしてそのことを知っているんだ。
今日のことはアイシア以外には誰にも話してなかったのに。
なんか音姉以上に不機嫌な気がする。
「義之くん、遅いから来ちゃった。家で待ってたのに全然帰って来ないんだもん」
そんなことをしていたらアイシアが学園に来てしまったようだ。
来ていきなり腕に抱きついてくるアイシア。
来たときは待たせたからか少し機嫌が悪かったがそうするとすぐに笑顔になった。
「アイシアさんはちょっと弟くんを独占しすぎだと思います。二人が付き合ってるのは知ってるし認めてるけど少しは弟くんを譲ってくれても良いじゃないですか?」
「何言ってるの、音姫ちゃん。あたしたちは恋人同士なんだから当たり前でしょ」
校門前でそんなやりとりを展開する二人。
確かにアイシアと付き合いだしてからは音姉たちとの付き合いは前よりも悪くなったと思う。
音姉たちも大切だけどやっぱり彼氏としては彼女を優先してしまうわけで……。
それにアイシアは今まで長い間独りで生きてきた。
だからそんな彼女との時間を大切にしたいのだ。
ただ、今度は音姉たちとも出掛けよう。
「ほら、茜。こんなところでも義之を巡る争いが繰り広げられているわ」
「ほんとだね、杏ちゃん。義之くんモテモテだ」
「うぉー、何で義之ばっかり。天は何故こんな差別をするのか」
杏たちも加わりどんどん騒がしくなっていく。
渉、そんな殺気まじりの目でみないでくれ、スゲー怖いから。
「全く、二人ともストップ、ストップ。こんなところでそんな言い争いしない。窓から人だかりが見えたから何かと思えば」
いつの間にかさくらさんがやって来ていた。
「さくら、何しに来たのよ?」
「何しに来たって……、それはボクの台詞だよ。校門前でこんなに騒いじゃって」
「さくらさん、すみません。音姉、ごめん。そういうことだから今日は無理なんだ。また今度誘ってくれたら行くからさ」
「ね、音姫ちゃん、義之くんもこう言ってることだし、この話はこれでおしまい。今度義之くんのおごりで何処かに遊びに行けば良いじゃない。もちろん、ボクも行くよ」
「そうですね、さくらさんがいうならそうしましょう。弟くん、楽しみにしてるからね」
当人の了解もなく話を進めていく二人。
そんな二人を見て俺はため息をはくのだった。
end
お読みいただきありがとうございました。
ss本文もそうですが、それ以上にタイトルが思い付かなくなってきました。
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いつも通りアイシアルートの後を想定した話です。