No.593740 リリカルなのはSFIAたかBさん 2013-07-02 22:25:28 投稿 / 全6ページ 総閲覧数:4849 閲覧ユーザー数:4282 |
第二十八話? 荒ぶれ!チビレオン!
クロノ視点。
「ごめん。遅れた」
「遅いぞ、ユーノ」
「生でいいか?」
さて、これで一応メンバーは揃ったかな。
ミッドにあるとある居酒屋で僕、クロノ・ハラオウンは待ち合わせをしていた。
メンバーは僕と高志。そして、ザフィーラに今来たユーノの四名だ。
ちなみにミッドでは十八から飲酒が許される。
「ごめん。その前にお冷もらえる?」
畳部屋に案内された個室で僕等は同窓会をすることになった。
こうなったのも高志の奴がヴィヴィオからなかなか離れないのでリニスが「スティグマをヴィヴィオに刻みますよー?」との一言で泣く泣く離れた。
ヴィヴィオの面倒は私が見ますと付け加えたリニスが今は面倒を見ている。
そして、フェイトたってのお願いでもある。
「それじゃあ、同窓会を始めたいと思います。乾杯」
「うーい」
「乾杯」
「…乾杯」
高志の趣向調査もある。
何でも高志が好きな女性の特徴を調べて欲しいとの事。
なんで、僕がこんな事を…。
六時間前。
「…じー」
「…にゃー」
ヴィヴィオを抱きしめた状態で部屋の隅で警戒していた高志はフェイトの事をじっと見ていた。
ヴィヴィオは高志に抱えられながら頭を撫でられ続けたせいかまぶたを重そうにしながらもフェイトを見ている。
「な、なにかな?」
未だに警戒中のタカシをどうすべきか。と、六課とゼクシスのメンバーが知恵を絞っていたらフェイトの事をじっと見ている高志に気が付いたフェイト。
「…いや。フェイトって本当にいい女になったなぁ。と」
「はぅっ。あ、ありがとう」
(むぅっ…)
顔を赤くしながらもフェイトは高志に近付いてみる。すると、高志の態度は先程とは違い警戒することは無かった。まるでフェイトは別格と言わんばかりに…。
だが、それが少し気に喰わない高志に気のある六課とゼクシスの女性メンバー。
「なんか、普段のフェイトを見ていると、あれだな。欲望の大地を焦土にされていく感じだ」
「それは…。褒められているのかな?」
「もちろん褒めているぞ。お前を見ていると心が洗われていくようだ。優しいし、美人だし…」
褒められて気を悪くする人間はそうはいない。
そして命の恩人で、自分の家族の為に頑張ってくれた高志にそう褒められているのも悪くないと感じているフェイト。
「それなのに、まったくもって性欲の対象にならないからなお良しだな」
その言葉を聞くまでは…。
「…え?」
「アリサやなのは。はやては美人になったし、ヴォルケンリッターの姉さん方も変わらず美人だろ。すずかとアリシアはなんか体つきがエロくなって、対応が困っていたんだ」
「…う、うん?」
フェイトは困惑していた。
美人。エロとか、あまり自分では口にすることのない苦手な言葉。それを自分で言ったり、言われたりすると照れてしまうのだが、何故か照れたりすることが無かった。
「あ、あの。高志さん。スバルや私はどうなんでしょう?」
さりげにスバルを先に出して自分の評価も聞きたいティアナは高志に質問する。
ティアナにまで警戒しているのか、高志はもう離れることが出来ないのに部屋の壁にゴリゴリと体をこすりつけるように離れようとする。
「ま、まあ。美人、いや、可愛くなったんじゃないか?」(…おっぱいとか)
前世ではあまり女性に縁が無く、今世では小学生の一時期だけで残りはスパイ活動に破壊活動というろくでもない人生である。
そんなろくでもない人生なのでティアナやスバルといった美少女はなかなかお目にかかれない。
「…そうですか」
「あ、ありがとうございますっ」
ティアナは褒められたことに小さく心の中でガッツポーズ。それを悟られないようにふいっと高志から目線を外した。
逆にスバルのほうは嬉しそうである。
また、六課とゼクシスメンバーの女性陣も嬉しそうである。
ただ、一人を除いて…。
「…ねえ、タカシ」
「なんだ?」
「私は?」
「え?」
「私はどうなのかな?」
「…え?」
「ドウナノカナ?」
フェイトの調子が何やらおかしなことになっていることに、気が付かない高志は正直に答えた。
「フェイトも可愛いぞ。ヴィータやキャロ。ヴィヴィオと同じくらいに」
「セイヨクも?」
「
高志からすればアリシアなら性欲が湧くのだが、フェイトだと保護欲の方が圧倒するのだ。娘にしたいほどに。
だが、それがフェイトの女としてのプライドを傷つけた。
(ヴィータやキャロ。ヴィヴィオと同じ)
ヴィータがフェイトの内心を聴いたら思わずアイゼンで『光になれぇえええ!』と叫んでいただろう。
フェイトとしてはそれが納得いかなかった。少しぐらいそう言う目で見てくれてもいいではないかっ。と、
「ふ、フフフ。そう、なんだ。ソウナンダ」
自分はこれでも管理局内からは結構な人気を有している。それは少し自覚している。だから、ほんの少しでもそんな反応をしてくれない高志。
他の皆は褒めているのに自分だけは褒められてない。そんな気がしたのだ。
「どう言えばいいのかしら?」
それを相談されたプレシアはどういう反応をすればいいのか分からなかった。
娘をないがしろにされた気がしたのだが、高志はフェイトに「お父さん」と呼ばれたいだけだ。いわば百パーセントの愛情。見返りを求めない健全な物だ。ある意味、自分よりフェイトに愛情を注いでいる。
また、アリシアの事を女性として見ている。
母親の目か見ても二人は慎重に差があってもそれ以外ではあまり違いは見れない。
それなのにこの二人に差があるのは、母親としては嬉しいのだが…。
「とにかく、タカシが私の事をどう思っているのか知りたいのっ」
娘にしたい。
それだけじゃないかしら?
遺伝子的には自分との娘。いや、孫?のような子ども。ヴィヴィオがいるから迂闊にそれを認めるわけにもいかない。
自分の娘と同じくらいの青年を伴侶にしたという噂がたてば何かとゼクシスはもちろん六課の内部に余計な混乱を招く。
彼を慕う女性は意外に多い。しかも、ゼクシスメンバーはほぼ全員そうだ。
最近、それもいいかと思う自分もいるので、ここらでしっかりと認識したほうがいいのかもしれない。
プレシア視点。
「と、いう訳でタカが持っていたガンレオンとちょっといじくったチビレオンでその様子を見たいと思います」
六課の指令室にゼクシスと六課の女性メンバーを集めたプレシアはテーブルの上でポケーッとまるで黄昏ているかのようなチビレオンを指さす。
フォワード陣には明日も訓練をしてもらうので各自部屋で待機してもらっている。
「チビさんで何がわかるですか?」
ペチペチとチビレオンの装甲を軽く叩いているリインにプレシアは答える。
「簡単に言えば好感度よ。タカが誰かその人の事を考えたらその人が好きな分だけチビレオンが『ぎー』とか『がおー』と鳴くわ。好感度が高ければ高い程多く鳴くわよ」
元々姿形もガンレオンに似せて作られたチビレオン。高志のコンディションにリンクさせるのは簡単作業だった。
「なるほど。タカシが一番好きな人が分かるわけね」
「残念なことだけど、好感度とはいっても信頼に愛情。友情も混ざっているから女性としてなのか、友人としてなのかは分からないけどね。一応、
まあ、それでもそのような質問に高志が警戒すればチビも反応しなくなる。と、追加で説明を入れる。
「…あ、早速あっちで動きがあったみたいだよ」
なのはさんが指令室に映し出されたモニターを指さす。
その声にその場にいた全員が目を向けた。
ユーノ視点。
久しぶりにこの四人が集まったことに嬉しさを感じているのか、お酒を飲むペースも進む。最初はクロノが高志にいきなりいなくなったことに愚痴をこぼすも互いに酒が進んで行くと高志がクロノに愚痴以外の事を尋ねた。
「…そういえばクロノ。お前、子どもが出来たんだって?」
「んー、そうだぞ。写真を見るか?これがまた可愛くてな」
クロノは懐から写真を取り出して見せびらかすように高志に手渡す。
「ふはっ、エイミィさんに似て可愛いな。だけど、お前のくそ真面目さも滲み出てるな。こりゃ、将来大物になりそうだ」
「そうだろ。そうだろ。…ふと、思ったんだがタカシ。君は誰かと結婚する予定はないのか?」
「ん~、ねえよ。スフィアが解決しないとどうにもならないな。俺よりザフィーラやユーノだろ」
え、ここで僕に飛び火するの?
ザフィーラは黙々とお酒と出てくる料理を平らげている。が、高志の質問に「主はやてが幸せになってからだ」と、いうが、高志がさらに追及する。
「…気になる奴はいる」
と、ザフィーラは言うがそれってアルフの事かな?それとも…。
「ん?そう言えばユーノはもうなのはにプロポーズはしたのか?」
「ぶほっ。な、ま、まだだよっ。前にも言ったじゃないか、なのはに告白するのは今、関係している事件。機動六課の試験運用期間が終わってからだよっ」
「………そうか。ようやく決意したか」
あれ?こういう時、クロノはからかってくるはずなのに何故か気まずそうに僕から視線を逸らした。
後になって教えられるがその時、
なのは視点。
私は指令室の真ん中で皆に眺められていた。
ニヤニヤと擬音がぴったりな視線で…。
「う、にゃ、にゃうぁああああああああっ!」
「いやいや、ユーノも男ね。少し見直したわ」
「うんうん。なのはちゃんも覚悟を決めないとね」
幼馴染のアリサちゃんとすずかちゃんが私に声をかけてくるけど、その表情はとってもニヤニヤしている。
「これは何が何でも早期解決させないとあかんな~」
「そうですね、主はやて。私も全力を持って二人の恋路を応援します」
「頑張れよ、なのは~」
はやて。シグナム。ヴィータの順でなのはを応援という形でいじくっている。
そんな待遇にフェイトはなのはの肩に手を置いて一言。
「えーっと、おめでとう?」
「にゃああああああっ」
もう皆の顔が見れないと言わんばかりになのははその場に蹲ってしまった。
そんな様子の中、今までピクリとも動かなかったチビレオンが右腕を上下させて何かを訴えるように鳴いた。
「ぎー、ぎー、ぎー、ぎー」
「あら、タカからなのはさんへの好感度は4ぎー、ね」
4ぎーって何?!
と、なのはは言いたかったが今しばらくは顔を上げることが出来ずにいた。
『そう言う君はどうなんだよタカシ!君だって気になる人ぐらいいるでしょっ!同じリアクターのリインフォースさんとかいるじゃないか!』
突然自分のことが話題になったリインフォースは思わず背筋を伸ばして映し出された画面を注視する。
『ま、まあ。リインフォースは美人だし、その、可愛いところもあるとは思うけど…。俺なんかじゃつり合わないだろ?美人過ぎる』
「がおー。ぎー、ぎー、ぎー、ぎー、ぎー、ぎー」
高志の発言に連動するかのようにチビレオンは両腕を振っている。
それはまるで今にも踊り出しそうな勢いだった。
「ふむ、16ぎーね」
どうやら1がおー=10ぎーらしい。
いきなりなのはの四倍を叩きだした好感度に恥ずかしながらも嬉しそうなリインフォースだった。
『でも、悪い気はしないんだろ』
『そりゃあ、な』
『…まさかとは思うがリインフォースだけでなく、主はやてのことはどう思っているのだ?その想いに気が付いていないという訳ではあるまい』
「がおー。ぎー、ぎー」
リインフォースの時よりは動きは過激ではないにしろ激しく腕を振るチビにはやては苦笑していた。
「12ぎー。ですー。ところでチビさんは私の事をどう思っているですか?」
チビレオンの隣でモニター中継を見ていたリインはチビに訊ねてみる。
「………がおー、がおー」
「あら、最高値の20ぎーね」
あ、上限は20なんだ。
判断材料として、
1ぎーで友達。10ぎーで気になる相手らしいです。
「チビさんっ」
リインは嬉しそうにチビレオンに抱きつく。
リインに答える時、チビレオンは恥ずかしそうにそっぽを向きながらもがおー。と、二回鳴いた。
それからどんどん高志の好感度が判明していく。
がおー。と、この好感度チェックの為に搭載された声を響かせるチビレオンの声が指令室に鳴り響く。
アリサとはやてが12。
すずかが13。
リインフォースが16。
と、異性として見ている分が強いのか、この四人は好感度が高い。
続いて、ぎー、ぎー。とチビレオンの声が鳴り響いた。
ティアナ。ヴィータ。シグナム。シャマルの三人は4と、なのはと同じくらいだった。
恐らく異性というよりも、共に戦う同僚や友人ぐらいに考えているのだろう。
プレシア。リニスのも計測してみたら、二人共11ぎー。これは信頼が強いからだろうか?
何気にすずかに負けていたアリサとはやては何故か納得がいかない様子だった。
そして、問題の姉妹。まあ、正確には妹の方だが…。
高志視点。
「じゃあ、フェイトやアリシアのことはどう考えているのさ?あの二人も結構な美人になっていると思うよ?」
ユーノがやや投げ槍に俺に言葉を投げかける。
別に俺の聞き取りをしても面白いものなんかね?
聞けば機動六課やゼクシスは綺麗所が多いので無限書庫の男性職員はひそかに憧れているらしく、羨ましいらしい。
まあ、俺だって同じ立場なら羨ましがっているだろうし…。
「まあ、そうだな。フェイトはないな。あいつはいい子過ぎる。友人付き合い程度までならいいかもしれない。推しに弱いだろうから恋人とかが出来たらなんでも要求に答えるだろうし…」
「…それのどこがいけないんだ?」
自分の義理の妹にもあたるフェイトを悪く言われたので気を悪くしたのかクロノが質問してくる。
「…俺は弱いんだよ。一度頼ったら最後、ずっと頼りきりだ。現にプレシアにはずっと頼りきっている。フェイトは今までたくさん頑張って執務官になったんだろ。誰かの為に自分の力を活かそうと」
だから、頼れない。意地を張って支えないといけない。支えきれないというのならせめて負担にならないようにしなくてはいけない。
寄り掛かるように支えないと俺はきっと駄目になる。
「本音を言えば、自分よりも年下の女の子に頼るなんて格好悪いことこの上ないだろ」
恋人なんか出来たら仕事や公の場では意地を張るだろうけど、プライベートになれば俺はきっと恋人になった人に甘えまくるだろう。
もし、フェイトを恋人にしたらフェイトはその甘えに答えようとするだろう。そしたらフェイトにもっと負担をかけてしまう。
エリオやキャロの話を聞くとかなり無理をして二人を遊園地に連れて行ったことがあると言っていた。
そうなったらきっとフェイトは潰れてしまう。
だから、俺はフェイトを支える。支援する親としてフェイトに「お父さん」と、呼んでほしいのだ。
呼んでくれたら一杯甘やかすよ。
『パパ~。これ欲しいの~』『はっはっはっ。何でもパパが買ってあげるよ~』
なんか、違うパパになっていないか?
まあ、いいか。フェイト相手にだったらそれも許せそうだし…。
というか、誰かを恋人にするとか伴侶にするとか考える前に、まずはスフィアの問題をどうにかしないといけない。
「じゃあ、アリシアは?」
「アリシアか…。アリシアは」
そこから先は酒が進んだ所為でか覚えていない。
ただ、その翌日。
「「おはようっ、お兄ちゃんっ(タカシッ)」」
二日酔いで苦しんでいる俺を満面の笑顔で起こしに来たアリシアとフェイト。
二人の輝く金の髪は太陽の光を弾いてとても眩しく見えた。
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第二十八話? 荒ぶれ!チビレオン!