No.583161

リリカルなのはSFIA

たかBさん

第二十三話 逆襲のエメラルダン!「だが断る」

2013-06-03 18:04:53 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:4684   閲覧ユーザー数:4205

 第二十三話 逆襲のエメラルダン!「だが断る」

 

 

 

 私はエリートだった。

 少なくても十年前までは次期の『空』のエースの座を約束されていた。

 私自身も。周りの人間もそう考えていた。だが!

 

 『プレシア・テスタロッサ事件』『闇の書事件』という二つの事件が管理外世界で起こった。

 その事件に深く関わった人間。

 高町なのは。そして、フェイト・テスタロッサ。

 この二人の存在が管理局に知られることになると瞬く間に私への期待と同時に出世街道は崩れていった。

 この二人は幼いながらも高ランクでありながらこれから先、更なる高みへと向かうとして期待されていた。

 

 その期待は私の物だった。あいつ等が進んでいる道は私の物だったんだ!

 

 更には八神はやてという少女の存在も浮上し、更には古代ベルカの遺産『闇の書』。ヴォルケンリッター。それを派生させた『蒼天の書』。

 圧倒的な戦力を保有したガキが現れたのだ。

 私の勢いはその三人の所為で完全に消え失せ、不当な評価により降格も余儀なくされた。

 更に当時は少将だったグレアムに、私がとある犯罪組織と繋がりがあるという嘘にまみれた虚言妄執により、私はグレアムが提示する犯罪組織よりは規模は小さいもののやりとりをしていた組織を自らの手で潰すしかなかった

 管理局員が犯罪組織と繋がりがあるのは上の奴になると誰でもそうなる。

 ハラオウンの様に年端もいかない少女を勧誘。それは倫理に反することではないのか!

 高町なのはは民間協力者として現場に慣らさせると同時に自分の元へと勧誘した。

 フェイト・テスタロッサ。八神はやての二人は犯罪歴をもみ消すとでも言って自分の元にしばらく置いておいたんだろう!

 全く持って腹ただしい!

 

 そして、私は管理局を出て行った。

 その数日後、私に捕縛命令が下ったらしいが私は既に管理局の暗部に関係する組織の元にいた。

 そして、その組織にとある兵器が私の元に届いた。

 それは憎たらしいガキどもを苦しめている存在を模した兵器。聞けば、とある『ロストロギア』を模写した物だ。

 これを使っている間。私はSランクの魔導師以上に戦える。

 そして、組織繋がりで知り合ったジェイル・スカリエッティからそれを受け取った私はそれまで身を置いていた組織を、その兵器を用いて潰した。

 その溢れんばかりのパワー。それはただの打撃でも岩をも砕く。

 この身に纏うこの鎧も奴等の砲撃を通さない。

 そして、肩に生えた二本の豪角からは高出力の収束砲も撃てる。

 

 それなのに…。

 それなのに!

 

 

 なのは視点。

 

 「なのは交代!エクセリオォオオオン・バスター!」

 

 「うん!じゃあ、まかせるよ!」

 

 地球にあるステルスという線闘機に似たガジェットⅡ型に紛れて、西洋の騎士然とした鎧がガジェットの群の中から砲撃してきた。

 すずかちゃんがとっさに前に出てシールドを張ってくれなかったら危なかった。

 一応、戦闘を止めて投降を呼びかけても問答無用で襲い掛かって来たので私達はガジェットとまとめて相手をしていたけど、私達の攻撃は殆ど通用しない。

 私とアリシアちゃんの収束砲を受けてもほんの少し後ずさりさせるだけ。

 フェイトちゃんの斬撃とすずかちゃんの氷の槍なら突き破れるかと思ったけどレイジングハートから貰ったデータだと二人の攻撃も通用しない。

 あれの鎧はアサキムの持つシュロウガと同じように物理攻撃より魔法攻撃に対しての防御力がある。AMF機能も持っているかもしれない。

 もし、こちらの攻撃が通用するというのなら私のリミッターを外してスターライト・ブレイカー。もしくはアリシアちゃんのツイン・エクセリオン・バスターキャノンのどちらかになる。私のは許可がいる上に時間がかかる。アリシアちゃんのは許可なしでは撃てるけど。もう少しだけ時間がいる。

 今、遊撃をしているフェイトちゃんやすずかちゃんがアリシアちゃんと私が相手している緑色の鎧に意識を向けたらガジェットを都市グラナガンの空に迎え入れてしまうことになる。

 だけど…。

 

 「ラッキー・スター!二回目っ!いくよ!」

 

 ズドオオオオオッ!

 

 アリシアちゃんの持つ二丁拳銃。いや、今はフルドライブモードだから二丁長銃というべきか。

 私の収束砲が終える寸前にアリシアちゃんは右手に持つライフルで収束砲を撃つ。そして、その収束砲が終わる直前で左のライフルで収束砲を撃ちこむ。

 そこでその収束砲を撃ち終える前に、私が攻撃を繋ぐ。

 

 「今度は私の番だよ!ディバインバスタァアアアア!」

 

 ドオオオオオオンッ!

 

 今度は私が砲撃を撃ちこむ。

 私達二人がやっているのは簡単だ。

 砲撃であの緑色の鎧の動きを止める。周りのガジェットがこちらを攻撃してくるけどそれはフェイトちゃんとすずかちゃんが迎撃してくれる。

 それに、私は砲撃を行わない時はアリシアちゃんの周りに円系の盾。シールドを何枚か展開して自分とアリシアちゃんの防御に務めているからこちらの陣営もダメージは無い。

 私達の今行っている砲撃はあの鎧を足止めするぐらいしかない。あちらは動きを封じるだけでダメージは無い。

 だけど…。

 

 「がぁあああああっ!?」

 

 その緑色の鎧はその見た目通りかなりの重量があったらしく、私達が交互に砲撃している空域から殆ど動けていない。

 その苛立ちから咆哮が聞こえるが無視して私たち二人は砲撃を続ける。

 

 別に敵を倒せなくても足止めをしていればいい。

 こうやっていればいずれ私達の方には援軍が来る。

 物理的に攻撃力のあるヴィータちゃんもこちらの方に向かっていると連絡があった。

 高志君が来てくれると嬉しいんだけど向こうの方も何やらごたついているらしい。

 

 「なのはちゃん!あと一分!あと一分で撃てるから頑張って!」

 

 アリシアちゃんは私にそう言いながらラッキー・スターで繋ぎ(・・)の砲撃準備に取り掛かる。

 アリシアちゃんのラッキー・スターはDエクストラクター。使用者の想いを力にすることが出来る。

 つまり、アリシアちゃんのテンション次第(・・・・・・・)で威力が変わる。

 高志君と再会した時はあまりの嬉しさにいきなりMAX状態になったらしい。本当はあの場で抱きついてはしゃぎたかったけど我慢していた。

 アリシアちゃんの方も先程の、その、べべべ、ベッドの件でテンションが下がっていたらしいけど戦場と化したこの空域に入ると次第にテンションが上がり、ラッキー・スターの出力も増してきた。

 

 [ラッキー・スター!リミッター解除!オーバードライブ!]

 

 アリシアちゃんの持つ二丁長銃が銀色に輝く。

 背中に羽織っているフェイトちゃんとおそろいのマントも相まって、それはまるで輝く二本の剣を持った天使のように見えた。

 

 「な、なぜだ!何故貴様等に勝てない!」

 

 アリシアちゃんから凄まじいプレッシャーを感じ取ったのか、初めて緑色の鎧が声を出す。それはまるでこれからされることを知ったかのように…。

 アリシアちゃんは大砲と化した二丁拳銃を抱き上げて、その銃口を向ける。

 きっと遠くから見ると空に浮かぶ円筒に美女が抱きついているかのように見えるだろう。

 

 「さあ、準備は出来た?懺悔する?投降する?許してほしい?」

 

 アリシアちゃんは凄く優しい顔で緑色の鎧に微笑む。それはベッドで横たわる王女が自分を迎えに来た従者に微笑むかのようだった。

 誰もが見惚れそうなその微笑みに恐怖を感じる。

私は味方で本当によかった。と、感じています。

 

 「ま、まて!と、投降すr「だが断る」」

 

 グゥオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンッ!!!

 

 まるで巨獣が吼えるかのようにアリシアちゃんがもたれかかっている大砲から砲撃が放たれる。

 ちなみにラッキー・スターの砲撃機能はレイジングハートと私のデータが元になっているらしいけど・・・。

 

 私のスターライト・ブレイカーって、こんなに怖いの?

 碧の鎧がまるで削り取られていくかのように砲撃に飲み込まれていったんだけど…。非殺傷設定だよね?

 

 「…あ、悪魔め」

 

 投降を持ちかけて砲撃。確かに悪魔の所業だ。相手も武装を解除してなかった。というか、解除する時間すら与えていなかったけど…。

 碧の鎧がそう呟いたのが、砲撃の時に生じた爆音に紛れて聞こえた。

 アリシアちゃんの砲撃でその後ろにいただろうガジェット群も跡形もなく吹き飛んでいった。

 その光景を見ながらアリシアちゃんは滅茶苦茶綺麗な顔で微笑んだ。

 

 「…悪魔でいいよ」と、

 

 何でだろう?

 私はまたアイデンティティを奪われた気がした。

 そして、彼女の想い人高志君が不憫に思えてきた。

 彼女の機嫌を損ねたら彼は…。

 

 これ以上は何も考えない方がいいのかもしれない。

 

 

 高志視点

 

 ぞくぅっ!

 

 「どうしたんですか高志さん?」

 

 現場に向かう途中でスバルとスバルに連れられて遊び行っていたギンガと合流した俺は思わず背筋を伸ばす。

 はやてからの連絡を受けて地下に侵入したガジェットを退治していたら急に悪寒を感じてしまった。

 …こう、体を削り取っていくかのような何かを。

 

 「いや、何でもない。それよりも先に進もう。かなりの数のガジェットが入り込んでいるんだよな?」

 

 スバルにそう言いながら一番装甲をもつ俺が先頭に地下道を走りだす。

 

 「ええ。そのようです。まだまだ地下にいるみたいです。気を引き締めていきましょう」

 

 最後の一体を叩き潰したギンガがに続いて進んでいく。その後ろからエリオ。キャロと続いていく。

 

 「僕もまだいけます!まだやれます!」

 

 「…エリオ君が、エリオ君がぁああああ」

 

 熱いエリオはお嫌いですかキャロさん?

 …今度、ブラスタでマクロスの『愛を覚えていますか?』『アイモ』『エンジェル・ボイス』のCDを作って渡しておこう。

 俺の気を落ち着かせるベスト3だからきっとエリオにも効果はあるだろう。

 感受性が高いからきっと落ち着いてくれるはずだ。

 ファイヤー・ボンバー全曲を入れたら駄目ですか?

 …駄目ですね?テンションあがっちゃうもの。

 

 ふと、Dエクストラクターを使うゼクシスメンバーに本家バサラが歌を聴かせたらどうなるんだろうと考えようとして、…やめた。

 

 

 

 マクロスキャノンを連射しているとある母娘が思い浮かんだから。

 

 


 
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