(ここまで・・・・か・・・・・・)
一夏が諦めかけた瞬間、声が聞こえてくる。
『諦めるな。まだ限界じゃない!』
(・・・・アスカさん。)
『君はまだ戦える!』
『こんな所で立ち止まるな!』
(我無さん、藤宮さん・・・)
『あなたもウルトラマンなら最後まで諦めないで下さい!』
(ミライさん・・・)
『己の弱さを知るからこそ強くなってきたのだろ。前に進め!』
(ゲンさん・・・・)
『君は生きるんだ。生きてその先に行きなさい!』
(矢的さん・・・)
『人々の命を守れ、ウルトラマンとして!』
(北斗さん・・・)
『その力は守るためにある。立ち上がれ!』
(郷さん・・・・)
『何度だって立ち上がり、その度に強くなってきたんだろ。』
(ダンさん・・・)
『君は勝って生きるんだ!』
(早田さん・・・)
『『『『『『『『『進め!そして未来を掴め!!』』』』』』』』』
ネクサスはその言葉に励まされるかのように右手を握りながら立ち上がる。
(光は・・・・・希望・・・)
「ハアア・・・・」
(俺は・・・・・・・生きる!)
「シュア」
(生きて、未来を掴む!)
「ギュィィィォォォォ」
ネクサスは右手を胸にかざす。右腕には光の剣と矢が交わりし物が形成される。ネクサスはイズマエルに向かい走り出し、両足でジャンプする。イズマエルは光線・火球攻撃をするがネクサスはそれ以上に空を飛ぶ。
「ギュィィィ」
「シュアアアアア・・・・・フェア」
ネクサスはジュネッスブルー最強の技・オーバーアローレイ・シュトロームを放つ。
「キィィィィィ」
オーバーアローレイ・シュトロームはそのままイズマエルに向かい飛び、そして命中する。ネクサスが片膝を突いて着地すると同時にイズマエルは倒れ、そして爆発した。
「ハアアアア・・・・・シュア」
ネクサスはよたよたしながら立ち上がり腕をクロスさせその場から姿を消す。
「・・・・・・終わった?」
「そのようだな・・・・・」
イズマエルとの戦いが終わったことに今だ現実を受け入れられない一同。真っ先に我に返ったのは箒であった。
「・・・・・・はっ!一夏、一夏はどうなったのだ!?」
「そういえばそうですわ。」
「早くここから出ないと!」
「でも・・・・・」
外に出ようにもパスワードがわからなくては意味がなかった。一同知恵を絞るが一向に答えが出てこない。
(一夏はどんな意味をこめてこれを作ったんだ?私達は仲間じゃないのか!)
その時箒の脳裏に引っかかる言葉が出た。
(仲間・・・・・・)
『皆を死なせたくないんだ。』
(・・・・・そうか。そういうことか。)
箒はキーボードに手を掛ける。
「・・・・箒ちゃん?」
箒は一夏が最も大事にしたいものを打つ。その瞬間ウイルスが解除された。
「っ!解けたの!」
「答えは、答えは何でしたの!」
「・・・・これだ。」
『friend』
「friend・・・・友達?」
「いや。仲間だ。」
「・・・・・・だから織斑君はこれを選んだんですね。」
一夏が一番失いたくない物。それはいままでここで過ごしてきた仲間。それを知って居たのに何故自分達は気づけなかったのだろうか?箒達はそう思った。
「急ごう。一夏が心配だ。」
箒の言葉に皆頷く。扉が開き箒達は外へと掛け出る。
森の中、一夏は仰向けに倒れていた。
「結構・・・・・・ヤバイな・・・・ぐっ!」
「一夏―!」
「いーちかー!」
「返事して~!」
箒達は森の中で一夏を探していた。だがいくら呼んでも一夏は返事をしない。
(一夏、お前は一体何処にいるんだ!)
箒は焦る気持ちを抑えながらも懸命に一夏を探していた。その時森の中に白い袖が目に入った。
(まさか!)
箒は急いで駆け寄る。そこには眼を閉じ、倒れている一夏の姿があった。
「一夏!」
箒は一夏に駆け寄り一夏に声を掛ける。
「一夏!しっかりしろ一夏!」
箒は一夏の揺さぶりながら声を掛けるが全く反応が無い。
「い・・・・一夏・・・・・」
箒の瞳から涙が自然とこぼれる。
「そんな・・・あ・・・・」
一夏の左手を箒は両手で握る。他の皆も一夏の元へ来る。
「一夏、私はお前に言いたいことがある。・・・・・・・・・私は・・・・お前が好きだ!お前に始めて助けてもらったときから私はお前に惚れた。ずっと言えなかった。」
セシリアも一夏に近づき一夏の左手を握る。
「私も一夏さんのことが好きですわ。あの日、一夏さんと始めて模擬戦をして私が負けた後一夏さんのことが頭から離れなくなりましたわ。」
鈴の一夏の左手を握る。
「あたしもアンタのことが好き。転校してまだ間もない頃に助けてもらった頃から好き。」
シャルロットも一夏の左手を握る。
「僕も一夏のことが好きだよ。僕がここを去ろうとしたときに一夏が助けてくれた。」
ラウラも一夏の左手を握る。
「私はあの日、お前にVTシステムから助けられた時に惚れた。私も一夏が好きだ。」
楯無も一夏の左手を握る。
「私は君と接しているうちに次第に芽生えてきたわ。私は求めていたのかもしれないわ。あなたのような人を。」
簪も一夏の左手を握る。
「わ、私も。あなたは私のヒーローのような存在。そこに惚れたのかもしれない。」
「一夏、私達はお前が好きだ。・・・・・・・・・だから・・・・・・眼を開けてくれ・・・・」
皆の瞳から涙が溢れる。
「・・・・・・・参ったな。俺って・・・・・どんだけ鈍感なんだよ。」
『!!』
一夏は精一杯の力を振り絞って話す。
「皆・・・・・・・ゴメンな。気付いて・・・・やれなくて。・・・・・・あの時、閉じ込めて。皆を・・・・・巻き込みたくないから・・・・・・あんなこちしちまったんだ・・・・」
「ああ、わかっている。あのパスワードからも読み取れる。」
「あれ・・・・・・解いたのか?戦いが終わったら・・・・・自動的に解除されるように設定されてたんだけどな・・・・・・ぐっ!」
『一夏(君)!!』
一夏の体に痛みが走る。その時であった。一夏の元へ誰かが駆けつけてくる。
「一夏!」
「織斑君!」
「憐さん・・・・・・吉良沢さん・・・・・」
そこに駆けつけてきたのは大きなかばんを持った憐と簡易タンカを持っている吉良沢であった。
「どうしてここにいるんですか?」
「それよりあの人って昨日・・・・・」
「話は後です。」
憐と吉良沢は一夏に近づく。憐はかばんを開けゴムの紐を取り出し一夏の右腕に巻きつけ閉める。一夏の腕に血管が浮き上がる。
「優!」
「ああ!」
吉良沢は点滴用の針を取り出し静脈に刺す。吉良沢はそのまま点滴に針を刺し中心静脈カテーテルに繋ぐ。一夏の体に点滴が流れ込む。
「それは・・・・・」
「プロメテの子たちが作ったアポトーシス用の特効薬です。」
「でもそれが一夏に合うかどうか・・・・」
「大丈夫です。昨日彼のDNAを採取して作ったのでこれは一夏君専用の特効薬です。」
吉良沢の言葉を聞いて一同喜びの声と涙が止まらなくなった。
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諦めかけている一夏。そんな時彼に声をかけてくる人々の声が!失いかけた希望を照らせるのか。