姓:司馬 名:昭 性別:男
字:子上
真名:一刀(カズト)
北郷一刀が転生した者。
姓:司馬 名:懿 性別:女
字:仲達
真名:理鎖(リサ)
一刀と瑠理の偉大なる母。第三章で死亡した。
姓:司馬 名:師 性別:女
字:子元
真名:瑠理(ルリ)
母を目標にする一刀の姉。一刀を異性として愛す。
姓:張 名:春華 性別:男
真名:解刀(カイト)
一刀と瑠理の父にして、一刀の師。第四章前編で死亡した。
姓:王 名:元姫 性別:女
真名:美華(ミカ)
一刀に異常なまでに執着する一刀の妻。
姓:鄧 名:艾 性別:女
字:士載
真名:江里香(エリカ)
後の司馬家軍の宿将。司馬家に対して恩を感じている。
姓:賈 名:充 性別:女
字:公閭
真名:闇那(アンナ)
司馬家の隠密。一刀のために働くことを生きがいとする。
姓:王 名:濬 性別:女
字:士治
真名:澪羅(レイラ)
後の司馬家の水軍の将。一刀を気に入り、司馬家のために戦う。
姓:司馬 名:望 性別:女
字:子初
真名:理奈(リナ)
一刀達親戚で、一刀と瑠理とっては義姉という立場。
姓:杜 名:預 性別:女
字:元凱
真名:綺羅(キラ)
一刀とは同期。親同士の仲は良くないが、当人達の仲は良い。
第二十二話
「想いの暴走④」
美華は包丁で瑠理を刺し殺そうとする。しかし多少なりとも解刀から武を教えられた瑠理はそれを表情を変えることなくかわす。
「! アァァァァァァ!」
美華は怯むことなく即座に方向を変えて、再度、瑠理に向かっていく。
「!」
先ほどとは違い、速度が上がっていたのに多少驚きながら、瑠理は美華の包丁を持った腕を掴み刺されるのを防ぐ。
「ヨクモ! ヨクモォォォォォォ!」
美華は力ずくで押し、そのまま刺そうとする。だがそれ以上包丁が進むことは無かった。単純に二人の腕力では瑠理のほうが上だっ
たのだ。
そしてついに美華は逆に身体ごと瑠理に押されてしまい。
「!」
その衝撃で包丁を手放してしまう。
今度は瑠理が美華に近づき、美華の頬に平手打ちする。
「私は! お前が羨ましかった! そして殺したいほど憎かった!」
瑠理は何度も美華を平手打ちを続ける。
「いつも一刀に想いを隠さずに、傍に寄り添えるお前が! お前が!」
その直後、美華は瑠理のその手を掴んで平手打ちを止めさせた後、今度は美華が平手打ちをかます。
「ナニヨ……何よ! それの何処が悪いって言うのよ! 司馬懿様が決めた事だし、私達は両思いなのよ! 何が悪いのよ!」
美華もまた、瑠理に何度も平手打ちを続ける。
「それに悪いのはあんたの方じゃない! 姉弟でそんな関係になるなんて何考えてるのよ! おかしいわよ!」
瑠璃は美華の腹部に蹴りを入れて言葉を止める。
「おかしいのはこの国! あの日から……私を助けてくれたあの日から一刀を想っているのに! お前よりずっと一緒に居て、お前よ
り一刀を見守っているのに、この想いは報われてはいけないなんて! 私には一刀しかしないのに! だから私は国を変える! 私の
想いを正当化させるために!」
「狂ってるわ……狂っているわよ!」
「お前に言われたくない!」
この後、両者は何度も平手打ちをしながら言葉を放ち、それを止めてはやり返すのというのが繰り替えされる。
――それがしばらく続き、最後には瑠理は立っていて、美華が倒れていた。
瑠理は落ちていた包丁を手に取り、それを服に仕舞う。
「……」
そしてそのまま立ち去ろうとする。
「ま、待ちなさいよ……」
美華のそのかすれた声に反応し、立ち止まる。
「あんた……さっき私を殺したいほど憎いって言ったじゃない……なんでそれで殺さないの……?」
美華は信じられなかった。自分だったら間違いなく殺そうとする。というより先ほどそうしようとしたばかりだ。
「どうして……?」
「一刀が悲しむから」
「!?」
美華は驚く。先ほどの状況で瑠理が一刀を気遣える余裕が、一刀の事を考えることが出来たという事に。
「確かにそうだけど……でも、そうすれば一君を独占できるのよ、なのに……」
「私は一刀を自分だけの物にするつもりは無い」
「!?」
「そしてお前が一刀の妻であることを無かった事にするつもりも無い……正妻の座については考えるかもしれないけど、それは必要な
らばという話……私はただこの想いを天下に認めて貰いたいだけ……」
「……」
「それに……」
瑠理は美華に振り返る。
「やっぱり、一刀にはあの笑顔が良い。今は私が曇らせてしまっているけど、いつかは取り戻すつもり」
瑠理は彼女に対して静かに微笑み、部屋から出て行った。
(何よ、何よ……)
美華と瑠理はほぼ同じだった。一刀しか愛せないという事も。違うのは姉と幼馴染という点のみ。
だが美華は、自分以外の女性を認めず、一刀の隣は自分だけで良い。一方瑠理は、ただ想いを受け入れてくれれば良いと言う。一刀
が望めば他の女性を……嫌いな自分すら彼の隣に居ても良いと言う。
ほぼ同じの二人でこの考え方の違いを比べるとまるで……。
(これじゃあ私、あの女に劣っているみたいじゃない……)
ついに彼女は涙を流す。
「ぐす……うえぇぇぇぇぇぇぇ……」
敗北から出るような悔し涙を……彼女は初めて流した。同時に女として始めての敗北を自覚した。
この後、皆が二人の姿に驚き何があったのかを聞くが二人とも何も無かったと言い続けた。何かがあったのはすぐに分かったが、結
局二人はそういい続けていた。
それからしばらくして、ついに時代は動く。
伝令から一刀達にある報告が上がる。
劉備、孫権に不穏な動きがあり、と。
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ついに修羅場に。その結末は……