No.573321

KVP:7匹目

何とか今日中に投稿する事が出来ました。
さて今回は華琳達の視点から始まります。
解は現れず問が増えていくばかりでありますが、そこも楽しんでもらえればと思います。
さてそれでは、どうぞ

2013-05-05 20:45:08 投稿 / 全2ページ    総閲覧数:592   閲覧ユーザー数:570

:森

 「こちらになります」

 「これは・・・」

 「・・・・・・」 

 華琳と春蘭は兵に連れられ、盗賊が残したと思われる痕跡を発見した現場へと来ていた。

 その場へと到着すると、わずかに生臭さが鼻に付き、そして集まっていた兵達が割れ、華琳に道を

作るとそれが目に入った。

 馬から降りた春蘭が、それを手にとってみる。

 「華琳様、これはもしや・・・」

 確認するように春蘭は華琳を振り向くと、華琳は懐から出した人相書きを確かめて、首と見比べて

いる。

 「どうやら、それは賊の一人で間違いなさそうね」

 「なら、他の者は一体どこに・・・」

 「曹操様!」

 すると、そこへ一人の兵士が駆け込んできた。

 「どうしたの?」

 「夏侯淵様よりご報告です!前方100メートル先より不自然に森が拓けている模様。斥候の話の

よりますと、巨大な穴ありとの事です」

 「巨大な、穴?」

 そこで突然、前方に進んでいた兵士達のどよめきが聞こえてきた。

 「春蘭、行くわよ!」

 「は!」

 華琳はそれに素早く反応し、春蘭に命令すると同時に馬へまたがり、そのまま前線へと駆け出し、

春蘭も首を周りの兵に預け、それに続く。

 

 駆け出して10秒もしない内に、前線の兵に追いついた。

 「なっ・・・・・・!?」

 「・・・・・・」

 その光景に春蘭は言葉を失い、さすがの華琳も驚きの表情を隠せないでいた。

 曹操軍の全員が目撃したのは、小山が丸々一つ入ってしまうかという程の深い穴であった。

 穴はすり鉢状、表面はなだらかで、巨大な蓮華で抉られた様でもある。

 周囲の木々は穴から外へと統一された方向に倒れていて、それが爆発の凄さを物語っていた。

 しかし不思議な事に火災は全く無く、どうやら山火事の心配はなさそうだ。

 「華琳様」

 「ッ!しゅ、秋蘭」

 そこへ秋蘭がやって来た。

 華琳は、目の前の光景に完全に気をとられていたらしく、驚いたように秋蘭に振り向いた。

 「これは一体・・・」

 「分からないわ。ただ、これほどの穴が発生したなんて報告は、貴女が送った兵の他には入ってい

なかった。とすれば、先程の突風と関連があると考えるのが妥当でしょう」

 「まさか・・・」

 と、そこでずっと黙りっきりで話を聞いていた春蘭が口を開いた。

 「姉者?」

 「どうしたの春蘭、まさか何か分かったの?」

 「はい!」

 春蘭はそして自信満々に答えた。が、秋蘭は一抹の不安を隠せないでいた。

 だが春蘭はそんな妹の心中など知らずに語りだす。

 「流れ星が落ちたのですよ!」

 「「・・・・・・」」

 思わずあっけにとられる二人だったが、春蘭の言い切ってやったという表情を見ると、さらに何も

言う気が無くなった。

 「一応、何故そう思ったのか聞いておきましょうか?」

 だが華琳は、いくらなんでも突発的に春蘭がそんな事をいったとも思えなかったので、質問をして

みる。

 「えっと、華琳様確か街を出発する前に流れ星を見た、と仰っていましたよね?」

 「?ええ、確かそんな事を言ったわね。で?」

 「で、とは?」

 「その他は?」

 「え~と、それだけです」

 「・・・はあ」

 「・・・・・・」

 「で、ですが華琳様!これほどの事が、人に出来ますでしょうか!?」

 「ふむ、まあいいわ。それよりこれからのことを話しましょう?」

 「か、華琳様ー」と春蘭が泣き寄ってくるが、華琳が「ふふふっ。春蘭、食料はどのくらい残って

る?」と質問を振ると、ぐずりながらも思考を切り替えた。

 「ぐずっ。兵糧は2食分あります」

 「設営道具は?」

 「元々、半日探して見つからなければ引き上げる予定でしたのでありません」

 「そう、なら200人ほど残して帰るわよ。秋蘭」

 「は!」

 「撤収の準備を始めなさい。それと周辺の村や町にここら一体に近づかないように通達を。春蘭は

、残る200人を決めて穴の周りに等間隔に配置し、商人などが迷って落ちたりしないよう見張りを

させなさい」

 「「はっ!」」

 華琳が命令を出し終わると、二人はそれぞれ散って行く。

 (流れ星は不吉の始まり、ね)

 「ふんっ」

 華琳は詰まらなさそうに鼻で笑った。

 

 その頃、カズトはどうしていたかというと―――

 

:森

 「くそっ!」

 (いきなり方向転換するなんて、まさか気付いたのか?)

 カズトはフェイスハガーの予想外の行動に、苛立ちを隠せないでいた。

 フェイスハガーは蛇行を繰り返しつつも、一定の方向に逃げていた。しかし、カズトが第三者達を

察知したところで急にその方向を変えたのだ。

 ここで一度、カズト達の現在位置をはっきりさせておこう。

 穴を中心として、アニキ達は北東、カズトは西南にそれぞれ向かっていた。しかし、東南から何者

か達の足音をカズトが感知、するとフェイスハガーもそれを感じたのか、いきなり方向転換をしたの

だ。そしてカズトはその跡を追っているのである。

 さすがにカズトの足が、フェイスハガーよりも劣るという事はなく、フェイスハガーが残していく

痕跡はだんだん新しいものへとなっていく。

 しかし、フェイスハガーが、足音の主達に辿り着くまでに追いつけるかは微妙であった。

 あちらに被害がでないよう、ただただ祈るだけだ。

 「だっ!」ダンッ!

 カズトはさらにスピードを上げた。

 何故ハンターであるカズトが、こんなにもこんなにも必死になって被害が出る事を防ごうとしてい

るのか、それはカズトの師匠から受け継いだ地球人愛によるものだ。

 初期に記した通り、カズトの師匠は地球人が大好きである。

 それは任務に支障が出るほどで、その師匠に育てられたカズトも、当然それを受け継いでいる。

 それは自制はある程度が利くにしろ、なるべく地球がらみの任務は受けないようにしている。

 もしカズトが誤って地球人を殺してしまった場合、その自責の念はカズト自身を殺してしまうだろ

う、それほどのものだった。

 その地球人が直接ではないにしろ、自分の誤りで被害にあいかけている。

 だからカズトの行動は当然のものであった。

 だからカズトはさらに加速し、愛する地球人の下へ向かうのだった。


 
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