No.572129

超次元ゲイムネプテューヌ 未知なる魔神 ラステイション編

さん

その11

2013-05-02 17:18:47 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:558   閲覧ユーザー数:542

「『アヴニール』……ねぇ」

 

何だかがラステイションに出張で来たとんでもない多忙な日々を送っている俺は、宿の自室で朝の朝食を食べながら新聞を見ている。

記事の内容は、どこも見ても『アヴニール』という会社の話ばかりだ。

俺もそれについては聞いたことがある。確か、ラステイションだけではなく他の大陸まで進出している大企業だとか、だがその会社の思想は独占的で中小規模の企業から仕事をどんどん奪って大きくなっているとのことだ。

 

「…………」

 

他国の現状に首を突っ込む気はないが、『アヴニール』の影響で失業し、路頭に迷う人が増えているのは事実だ。

なんとかしたいーーーそう思うが、俺に出来ることは、モンスターを駆除することぐらいだ。

複雑な想いの中で、ラステイションから依頼書を確認する。

勿論のことだが、書いている内容はそれぞれ違うが、モンスターを退治してほしい点は同じだ。

 

俺は基本、依頼を受ける時は報酬基準に考えるのではなく、その依頼された内容が直ぐに状況を悪化しそうな、緊急を要する依頼を最優先に受けるようにしている。

ぶっちゃけ、一年前から働いてきたお金をうまく使えば当分ニート生活を送れるから、お金が必要じゃないとは言え切れないが、少なくても困っている訳じゃない。俺がしたいのは人助けなんだから。

 

「とりあえず」

 

俺の第一にすることは謝罪にしに行くこと、昨日のことを思い出すだけで鼻から熱い物が流れそうになる。

女神だとか、そんなことは関係なく相手が女性として俺が牢獄行き出来事をしてしまった。

アポも取っていないので、協会に入ったとしても、会えるかどうか分からないが、それでも行く理由が俺にはある。

 

『はぁ……どうせ、空振りすると僕は思うけど?』

 

お前は黙ってろ!

俺にとっては、重要なことなんだ!

 

『はいはい、分かりました、分かりましたよ。あと昨日影響で鎧の稼働時間が二倍……一分は顕現できるようになったよ』

「……素直に喜べない」

 

あれで、パワーアップとか嫌だ。

 

『いい加減に認めろよ。---おっぱいのパワーと可能性を!!!』

 

あー、あー、何も聞こえないー。

頭の中で悪魔が何か言っているけど、耳を貸したらダメだよねー。

 

 

『ふっ、君も分かる時が来るさ……おっぱいの偉大さを!』

 

フラグ発言をありがとうございます。

しかし、一生立つことは、ないので意味ないですね。はい

 

「……あっ、そういえば、ネプテューヌ達は?」

『さっき君が朝食している間に外に出かけていたよ?『鍵の欠片』とかいうアイテムを探しにいったんじゃない?』

 

先日の鬼のようなモンスター……結局、何もドロップしなかったよな。

勝ったことには喜べたけど、あんなに苦労したのに収穫なしとか、みんなで嘆いたもだな。

まぁ、報酬はたんまりもらえたので、ネプテューヌ達と山分け(四分の三はあげた)したのでお互いの財布が重たくなったのは、いいことだが

 

『とりあえず今日は教会に行くの?』

「そうだな……でも俺、教院と国政院になんか目を付けられているみたいだから、あんまり長くはよくないもしれないかな」

 

因みに、教院とは女神に仕えて布教人達で、国政院は女神に仕えて政を行う人達だ。

どっちも俺がリーンボックスの教会に仕える人物なので、自分たちの縄張りにうろうろされているみたいで落ち着かないし、鬱陶しいだろうな。……ぶっちゃけ、企業から直接の依頼なら分かるが、教院から直接依頼が来るなんて、あの頭硬い連中がするなんて思わないんだけどな。

 

『あー、それは、全部あの破壊神が手を回したと思うよ』

「……はっ?」

『目的は多分、君が本当に零崎 紅夜であるかを調べるため』

 

 

……あいつ、ラステイションの教会に口を出せる程、偉い手だったのか?

 

 

『違うね。君も可笑しいと思っていただろう?死んだと聞かされた人物が生きていて、あの鬼のようなモンスターの近くで誰も喰われず、ラステイションの軍隊が全員気絶されられていたのかを』

 

 

確かに、モンスターは人を襲う怪物だ。

先日、俺達が戦った鬼のようなモンスターを相手にしたラステイションの軍隊の体には抗戦した傷跡があった。ということは、誰か死んでも可笑しくない状況が合ったということだが、誰も喰われていない。

俺が最初に聞いた話では、生き延びた一名が瀕死状態で教会に逃げ込み、発狂しながら死んだとか聞いたが実際は足を骨折した程度で済んでいた。

俺にわざわざ嘘をつく必要はあるのか?それに寄りにもよって、あの神宮寺教祖が嘘をつくことなんて信じられない。

確認を取らなかった俺も俺だが……デペアの言うとおり、何かが…可笑しい。

 

 

 

ーーー僕はゲイムギョウ界の味方(・・・・・・・・・・)だし。

 

 

あいつが何気なく言った言葉。

それが、俺の脳裏に離れない。

 

「しかし、あいつはモンスターを召喚していたということは噂の……」

『それは他人だろうね』

 

……なんでそう言い切れる。

 

『あいつはゲームで例えるなら、裏ボスだ。そんな奴がーーー』

 

 

その時のデペアの声は、背筋が凍る様な冷たさが込められていた。

 

 

 

 

『噂になるほどの要因を残すわけがない。なぜなら、あいつは破壊神なのだから』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「真に申し訳ありません。身元を確認できても、女神さまと直接お合いとなると……」

「あはは、すいません」

 

はい、やっぱり無理でした。

 

ーーー君は、バカかい?

 

教会に向かった俺は受付係に女神さまに会ってみたいと相談したが、丁寧にお辞儀されダメだと言われた。

 

 

ーーーその無計画と無駄な行動力はあの紫ッ子に影響されたかい?

 

 

………反論できないことが悔しい。

それにしても、困った。

どうもノワールは俺の仕事着を持ったまま、帰ってしまったらしく俺の手元にあの漆黒のコートがない。

あれは、特殊な能力があり、勿論予備なんてない。だから、返してもらう為にここに来たのだが……やっぱりそれなりに特別な扱いを受けている俺でも所詮は一般市民と同じくらいなので、女神に会うことは無理か……

せめて、用件でも伝えれれば……

 

「あの、零崎 紅夜様?」

「あっ、はい」

 

受付の人に呼ばれて、振り向いた。

 

「神宮寺教祖があなたと是非会いたいと連絡が来ていますが……」

 

……あいつが?ふと疑問に思ったが、お願いすれば女神に一言ぐらいは伝えてくれるかもしれないと思い俺は、お願いしますと受付の人に頼んだ。

直ぐに案内人が小走りにやってきて、俺は別の部屋へ招待された。

俺はとりあえず、席に座って特にすることがなかったのでぼけっーとしていること数分、扉が突然に開き、俺に用事があるという神宮寺教祖が入室してきた。

 

「神宮寺教祖……」

「やぁ、先日ぶりだね」

 

神宮寺教祖の手には、俺の漆黒のコートが握られていた。

 

「ああ、やっぱりこれが用事だったんだね」

 

そう言って、神宮寺教祖は俺にコートを差し出してくれた。

俺は席を立ち、お礼を言ってコートを受け取る。

 

「えっと……ブラックハートは?」

「ん?ノワールなら、依頼を受けにもう出かけたよ」

 

そっ、そうか……。

俺は、神宮寺教祖にどんな伝言を頼もうかと考えようとしたとき、神宮寺教祖が口を開いた。

 

「ところでノワールとなにが合ったんだい?昨日、顔を真っ赤にして帰ってきて部屋に閉じこもったおかげで昨日の予定が全部崩れるようなことになったんだけど」

「………えっと」

 

貴方の女神に胸を触った。……とか真正面から言える訳もなく、どうやって伝えようかと思考をフル回転させると神宮寺は深くため息を付いた。

 

「その様子だと女神と人間の間での問題ではなく、女性と男性の間での問題みたいだね」

「……なんで、分かった?」

「あの常にぼっちのノワールが羞恥に顔を染めることを考えれば、それくらいしか思いつかない、君の反応も合わせて確信を持てたよ」

 

ぼっち……って、確かに女神って人の交流に境界線が合って、一定の距離感のまま動くことはないよ?けど教祖ぐらいには心を開いてもいいんじゃないかな……?

因みにウチの教祖は、暇さえあれば教会の庭を掃除している小学学校の校長先生のような人です。

優しくて性格ですが、ベールのゲーム脳にいつも頭を抱えています。

 

「そういえば、昨日街はずれの廃棄工場で巨大なモンスターが出現したと聞いているけど、それも君が?」

「ああ、俺とノワールで倒した」

 

ノワールがいなかったら確実に俺はドラゴンの胃袋か、灰となっていたからな。

 

「なるほど……まぁ、ボクが口を出せるような問題じゃないみたいだし、もし君とノワールがそんな関係になれば、その時はノワールだけではなく、ラステイションの問題として検討させてもらうよ。ボクはノワールに必要な物は協調性だと思っているからね」

 

女神とは言え、たった一つの存在だから限界はあるしね。と神宮寺教祖は呟いた。

この人も何だかんだノワールのことを心配しているんだな。……あと関係って……どんな関係なんだ?

 

 

ーーー合法的にイヤーン♪なことやダメー♪とか出来る関係のことだよ。

 

一瞬だけ、魅力的だと思った。

今すぐリーンボックスに帰って三か月くらい寝込みたい。

 

 

ーーーキャプテンも何だかんだ、変態だったから君もいずれそうなるさ!!

 

 

過去も同じだったからといって、未来まで同じとは限らないぞデペア!

 

 

ーーー過去に抗うか!?若造!!

 

 

やるさ、俺の力で、俺だけの未来を切り開いてやる!!

 

 

「……何だか、ものすごい表情になっているけど大丈夫かい?」

「大丈夫だ。問題ない」

 

ただ、知りたくない事実を知ったまでだ。

俺のSAN値は、まだ許容範囲だ。

 

「まだ聞きたいことはあるかい?」

「アヴニールことなんだが……」

 

そのキーワードを出した瞬間、神宮寺の瞳が鋭くなり、俺に向かって手を広げた。

 

「……まさか、君がその話題を持ちかけてくるとはね」

 

真剣な表情となった神宮寺教祖は何か書かれた紙を取り出し、それを一部破って俺に渡してきた。

 

「ボクは仕事に戻るとするよ」

 

そう言って、何事もなかったように神宮寺教祖は部屋を出た。

俺は、その変わりように暫く唖然としたが、気を取り戻し、協会から出て人気のない場所で神宮寺教祖から渡された紙を開き、それに羅列された文章に目を通した。

 

『これは、まぁ……厄介ごとだね』

「……ああ、そうだな」

 

読み終えたところで、デペアがため息混じりに呟いた。

その内容は、アヴニールと国政院の癒着関係なこと、本来ならそれに口を出す教院の連中は辺境に追い詰められていること、自分はいま動けないことなど……。

ラステイションは確かに急速に発展しているが、ラステイションの中小企業はどんどん減っている。

勿論、朝見た記事に乗っているあのアヴニールの所為である。

 

「………はぁ」

 

ノワールは別のことで頭が回っていないとのことだ、大方あの夜天 空が原因だろう。

 

『どうする…?』

「……決まっているだろう?」

 

こんなに事態が深刻化しているんだ。

見て見ぬフリは、出来ないだろう。

 

 

「いつだって、俺は自分の出来ることをするだけさ」

 

 

空を仰いで、俺は呟いた。

 

 


 
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