拠点:闇那
「闇那のとある尾行」
「あ、一刀様」
それは闇那の休暇中の出来事。
(そういえば、一刀様何するんだろう? 王元姫様がおりませんが……)
隣に美華がいないのに外出というのは、実に珍しかったため、闇那にある衝動が起こる。
(気になりますね……後を付けちゃいましょう)
こうして闇那は一刀の尾行を始める。
(ふむふむ、あそこは饅頭屋ですね)
一刀はそこから複数の……いや、大量の饅頭を買ったようだ。
(あ、動きました)
闇那は引き続き尾行を開始する。
――彼が次に向かったのは井戸だった。
(ん? 竹筒に水を……それもまた大量ですか?)
饅頭はともかく、水入りの竹筒まで数本用意するというのはどういう事なのだろうか。
(また移動ですか)
疑問が出来ながらも彼女は尾行を続ける。
――次に彼が向かったのは蜂蜜屋であった。
(あ、結構な量の蜂蜜を買いましたね……ん?)
蜂蜜を買った後、一刀は水の入った竹筒に蜂蜜を入れた。
(蜂蜜水を作っているのですか)
大量の竹筒に均等に蜂蜜を入れた後、さらに歩きだす。
(? 本当にどう言うことなんでしょう?)
――しばらく歩き続けた一刀がついに立ち止まる。そしてその視線はある建物へと向かう。
(あれ? ここって……)
彼女には見覚えがあった。
(確か、一刀様が献策した孤児院でしたか?)
一刀はその孤児院に入っていった。
(ひょっとして、先ほどの饅頭と蜂蜜水は)
彼女は一刀のしたいことに予想がついた。そしてそれを確かめるために気配を消して建物の内部を除く。
(ああ、やっぱり……)
彼女の目に映っていたのは一刀が子供達に饅頭と蜂蜜水を振舞っている光景だった。
(ああ! やっぱり一刀様は素敵!)
だが彼女はその光景を微笑ましいと思うのではなく、その一刀の姿にうっとりしてしまう。
(素晴らしすぎます一刀様! ああ! 今すぐ貴方に全てを捧げたいです!)
何を想像しているのか惚けてしまうのであった。
(な!? あの子! 一刀様になでなでしてもらって……きぃー! 羨ましい!)
今度は服の袖を噛みながら嫉妬する彼女。
それから色々な光景に対し、色々な反応をする闇那であった。
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闇那の一刀観察。