No.567809

超次元ゲイム ネプテューヌmk2 ~Blue Wind~(~YOUZYO!~)

こたさん

うっへへへ、幼女ぺろぺry
ブラック「くたばれ(ズシャアアッ」
ぎゃああああッ!!!!

…てなわけで疲れ気味です。

2013-04-19 22:11:41 投稿 / 全8ページ    総閲覧数:1933   閲覧ユーザー数:1904

 

リンダが逃げ込んだのは街から大分離れた場所にある森の中。

木の葉に雪が積もり自然が作り出した神秘的な光景を一望できる場所であった。

だが、今ここに足を踏み入れた者達にとってその光景を楽しむ余裕はなかった。

 

「はぁ……はぁ……ッ!」

 

両脇にぐったりとしたロムとラムを抱え走るリンダ。

 

「…………ッ……!!」

 

そんなリンダを追いかけ続けるパープルシスターと仲間達。

とうとうスタミナが切れてきたらしいリンダのスピードが徐々に遅くなり次第に止まった。ぜぇぜぇと息を切らしながらパープルシスター達を振り返る。パープルシスター達も動きを止めた。

 

「いい加減二人を返しなさいッ!」

「ハッ、誰がてめぇ等の言うことなんか聞くかよッ!」

 

リンダは息を切らしながらも両脇のロムとラムに一瞥を投げた。

 

「これ以上追っかけてくるなら――――」

 

リンダが口を開いた刹那――

 

ギュンッ!ガッ!

 

「おぁッ!?」

 

突如何かに腕を掴まれる。リンダはそのままバランスを崩し尻もちをついた。すぐさま立ち上がるも両脇にロムとラムがいないことに気づくと愕然とした。

 

「二人は返してもらったぜ!」

 

聞こえた声にリンダは顔を上げた。パープルシスターの前にロムとラムを抱えたソニックが立っていた。

 

「…………」

 

しかし、リンダは少しも怯む様子はない。それどころか口の端を吊り上げた。

 

バチュンッ!!

 

「ぐぁッ!?」

 

突如漏電のような音が鳴りソニックが悲鳴をあげた。同じタイミングにソニックの体が宙を飛び離れた場所に吹っ飛ばされる。

 

「ソニックッ!」

 

パープルシスターがその名を呼ぶが――

 

「ネプギアッ!」

「ッ!!」

 

アイエフの声に彼女は前に向き直る。そして、目を見開いた。

 

「ッ――――」

 

ロムとラムの光り輝くステッキの先端がパープルシスターの鼻先に向けられていたのだ。

虚ろな瞳――そして、これまでに見たこともないほどの険しい表情で……

 

「……ぁ……ッ……」

 

パープルシスターは手の力が抜けガシャンとM.P.B.Lを落とした。

彼女の頬を再び涙が伝った。

 

 

 

――――私は、再び大切な人を助けることができなかった……

 

 

 

「ハッハッハッハァッ!勝負あったなぁ!これでてめぇの最期だ!」

 

リンダが奥で高笑いをあげる中、ステッキの光はどんどん強くなっていった。

アイエフが自分の声を叫ぶように呼んでいるのが微かに聞こえた。

どんどんまぶしくなっていく視界。

 

パープルシスターは己の最期を覚悟し涙を流したまま目を閉じた。

 

 

 

 

 

 

 

――――スチャッ…………

 

 

 

何かが地面に落ちる音がした。

パープルシスターはそっと目を開く。

 

 

 

―――光が、晴れた。

 

 

 

 

 

「……ッ……!!」

 

目を開いたパープルシスターの視界に真っ先に入ったのは頭を抱えて蹲るロムとラムの姿。

パープルシスターはそんな二人に咄嗟に手を伸ばす。

 

―――コロッ……

 

「……ッ……?」

 

手を伸ばした際、手から何かが落ちた。

青色に光る、固形物――――シェアクリスタルだった。

 

「どうしてこれが……!?」

 

ソニックが持ってるはずなのに……――――パープルシスターは離れた場所のソニックに視線を向ける。

 

「……ヘヘッ……!」

 

吹っ飛ばされたソニックは離れた場所でうつ伏せ状態になりながら笑顔を浮かべ親指を立てた。きっと先程下っ端からロムとラムを連れ去る前に彼女の手に持たせていたのだろう。

 

バッ!

 

パープルシスターはすぐさまシェアクリスタルを拾い上げるとロムとラムの体を強く抱きしめた。

 

「ひぁっ……!」

 

ロムとラムの表情が歪んでいる。

パープルシスターは二人を抱き続けた。

 

「お願い二人共……帰ってきて……!」

 

シェアクリスタルの輝きが増す。

三人は光に包まれた。光の強さに周りの者達は目を覆った。

 

「なッ!?」

 

下っ端も目を腕で覆いながらも愕然としていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――聞こえる?

 

 

 

――――帰ろうよ…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――お願い、帰ってきて……!――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぁ…………」

 

光の中でロムとラムの何も映らない瞳から涙が流れ落ちた。

 

「…………―――」

 

そして、ゆっくりと瞼を閉じた。

同時に、光が収まる。

 

「………………」

 

パープルシスターは二人を抱いたままだった。

そんなパープルシスターの腕の中でロムとラムが静かに寝息をたてていた。

 

「…………ふぅ…………」

 

パープルシスターはゆっくり息を吐く。

離れた場所でソニックが小さく笑っていた。

 

「な……ッ!?」

 

そして、状況的に最も最悪な立場となってしまったリンダは思わず後ずさる。

離れた場所で日本一がバキバキと拳を鳴らしていた。

 

「さて……次はあいつですの。」

 

がすとの笑顔が黒い。

 

「よくもルウィーを滅茶苦茶にしてくれたわね……覚悟は出来てるかしら?」

 

アイエフは怒りに顔を歪めカタールを構える。

 

「…………くそ……ッ!」

 

じりじりとリンダは後ずさる。

一方でアイエフ達はどんどんリンダへと距離を詰めていった。

だらだらとリンダの顔面に汗が流れる。

 

「……やべぇ……!!このままじゃ……『あの方』に殺される……ッ!?」

 

リンダの言葉にアイエフ達は足を止めた。

 

「『あの方』?」

 

その時だった。

 

ズガァァァァァァッ!!

 

リンダとアイエフ達の少し離れた間隔に巨大な『何か』が落下してくる。

 

『ッ!!?』

 

アイエフ達は肩を揺らしつつ武器を構えた。

大きな衝撃に周りの大木がバキバキ音を鳴らし倒れていく。倒れた大木からは夥しい数の鳥がギャアギャアと鳴きながらどこかへ飛び去っていった。

砂埃が視界を遮りその『何か』を確認することができない。

 

「アクククククク……」

 

砂埃の中から不気味な笑い声が聞こえる。

砂埃が徐々に晴れてゆき、姿が顕になり始めた。

黄色くまんまるい巨体。まるで太りすぎて立つことができなくなった座りっぱなしの人間を彷彿させるようなロボットのような姿。口には鋭い歯が並び、目が緑色に光り輝いている。だが、どこか間の抜けた顔だった。

 

「リンダよ、ワガハイの幼女達はどこだ?」

「と、トリック・ザ・ハード様……ッ!」

 

姿――トリックはリンダへと顔を向ける。

トリックは何故か常時はぁはぁと息を漏らしていた。

 

「あ……あそこです……」

 

リンダは戸惑いながらパープルシスターを指差す。

 

「ん~?」

 

トリックの視線がパープルシスターの腕の中で眠るロムとラムに向けられる。

 

「おぉ!ワガハイの幼女!あんなところにいたのか!」

「な、何よコイツ……」

 

アイエフ達の頬を汗が伝った。

 

「ぬ?なんだこやつらは?」

「あ……えっとまぁ……」

 

何故か先程からリンダの様子がおかしい。というよりなんか引いてる。

リンダらしくない様子にアイエフは小さく首を傾げる。

 

「幼女以外に用はなしッ!ワガハイの幼女を返してもらおうかッ!」

 

トリックが座ったままの状態でズズズズとパープルシスターの方へと動き出す。だが、スピードはハッキリ言って遅かった。

物理法則を無視したその動き方にアイエフ達は当惑する。

 

「な、何か来るよー!?」

 

5pbが叫ぶ。

 

「ここはがすとに任せるですの。」

 

そんな中一同の先頭にがすとが躍り出る。

 

「が、がすとさん!何をするですか!?」

「こっちに向かって突進してくる敵に使うお決まりアイテムを使うですの。」

 

がすとはトリックの眼前に何かを投げた。円盤型の機械であった。

 

「スイッチONですの!」

 

がすとは手中のボタンを押した。

 

バババババババババババババッ!!

 

「ぬぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉッ!!!!????」

 

円盤型の機械から電流が放たれトリックの動きが止まる。

 

「が、がすとさん……あれは!?」

「シビ●罠ですの!」

 

がすとがにかっと笑い親指を立てる。

 

「ぐおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉッ!?」

 

トリックが叫び声をあげる。

 

「さて、今のうちに捕獲用麻●玉を――」

「いや捕獲してどうすんのよ。」

「食べるですの。」

「食うなよッ!」

「グググググググググググ…………ッ!!」

 

トリックは歯を食いしばる。

 

「―――幼女ぉぉぉぉぉぉぉッ!!」

 

ドガァァッ!!

 

トリックが叫ぶとシビレ罠が爆発した。

 

「ッ!?」

 

がすとは目を見開く。

 

「……そういえば●ビレ罠は相手をある程度弱らせておかないと意味なかったで――」

「いやその分析今いらないし。てか元から捕獲する気ないし。」

 

アイエフのツッコミが炸裂する中、トリックは再びリンダに視線を向ける。

 

「リンダ、何故あの幼女達はご主人が現れたにも関わらずあのBBA軍団の中にいる?」

「それが……洗脳が解けたみたいで……」

「なぬぅッ!?ワガハイの洗脳が解けたのだと!?」

 

『ピクッ!』

 

一同の肩が揺れる。

 

「あ、あの人がロムちゃんとラムちゃんを……!?」

 

パープルシスターがロムとラムを守るように強く抱きしめる。

だが、そんな彼女の目の前では本来見えるはずのない怒りの炎がメラメラと燃え盛っていた。

 

『――――BBA……ですって……?』

 

怒りの炎がますます大きくなる。

パープルシスターは目を丸くしビクッとなった。

離れた場所でソニックが口笛を吹いていた。

 

「ぬぉぉッ!?よく見たらあのBBA軍団の中にも幼女が一人いるではないか!?」

 

トリックはがすとの姿を見つけるとフンハッ!と鼻息を荒くする。

 

「――――がすと。」

「なんですの?」

「…………あの銃、今回だけは使っていいわよ。」

「ですけど、前に二度と使うなって――」

「……いいから……早く使いなさい。」

「おっけーですの♪」

 

がすとは笑顔でいつぞやの銃器を取り出す。

 

「げッ!?」

 

白いうさぎのような形をしたレーザー砲――あれを目にした瞬間リンダはギョッとなった。

 

「はぁ、はぁ……幼女最高ぉぉぉぉぉぉッ!!!」

 

トリックはそれさえも見えていないのか一心不乱にロムとラムの方へと鈍いスピードで進んでいく。

 

「変態は女の子の敵ですの。兎に代わっておしおきですの!新兵器レーザー砲『D・S・N』!」

 

ちゅどーんッ!!

 

レーザー砲の先端に光が集まり一気に放出された。トリックに向かって一直線に飛んでいく。

 

「うわッ!やっべぇ!」

 

リンダは叫ぶも動けない。

レーザーとトリックの距離が瞬時にして狭まる。

 

ドォォォォォォォッ!!!

 

二つがぶつかり大爆発を起こす。

 

「おわぁぁぁぁぁぁぁッ!?」

 

爆風でリンダが吹っ飛ぶ。

アイエフ達も吹っ飛ばされそうになるも踏ん張りなんとか耐え切った。

 

爆発で生じた巨大な煙が再び視界を遮る。

その影響でトリックがどうなったのか確認することができない。

 

シュウゥゥゥゥゥゥ…………

 

煙が晴れていく。

 

『…………ッ!?』

 

一同は目を疑った。

煙の中から現れたトリックの姿に傷一つついていなかったのだ。

 

「…………………」

 

だが、トリックの様子がおかしい。煙が晴れてもなお俯いた状態であった。

 

「と、トリック様……?」

 

吹っ飛ばされて仰向け状態になったリンダがその名を呼ぶ。

 

「…………ぅおおおおおおおおおおッ!!!!」

 

ポォォォーーーーーーーッ!!!

 

突如トリックが駄々っ子のように泣き出し頭から汽笛音と共に煙を噴出し暴れだした。

 

「トリック様!?どうしたんっすか!?」

「ぅおおおおおおおおッ!!幼女に攻撃されたぁぁぁぁぁッ!!」

 

トリックが更に暴れだし、次々周りの木々を薙ぎ倒し始めた。

 

「ちょ、ちょっと!?」

「わぁぁ、森が滅茶苦茶にされるよー!?」

「と、トリック様落ち着いてくださいッ!」

 

日本一に続いてリンダが叫ぶ。流石にトリックのこの行動は予想外だったのだろう。

 

シュゥゥゥゥゥゥ……

 

トリックが動きを止め一度落ち着きを取り戻したかのように見えたが……――

 

「こうなったら最初の幼女二人だけでも奪還してやるぅぅッ!!」

 

トリックの口からカメレオンのように長い舌が飛び出し、パープルシスターめがけて凄まじいスピードで飛んでいく。

 

「キャァァッ!?」

 

トリックの舌がロムとラムを抱きかかえたパープルシスターごと舌で巻きつけた。

 

「ネプギアッ!?」

 

アイエフが叫ぶも、あっという間にトリックの眼前にまでパープルシスターの姿が舌ごと引き付けられる。

 

「ぬぅ?何だお前は?」

 

トリックがパープルシスターの姿をまじまじと見つめながら言う。

パープルシスターは体をガッチリと固定され全く動くことができない。なんとか抜け出そうともがきだした。

 

「ろ……ロムちゃんとラムちゃんは渡しません……ッ!!」

 

パープルシスターはもがきながらトリックの目を睨みハッキリと告げた。

 

「お前に用はない。ワガハイの幼女を返してもらおうか。」

「嫌です!」

「アククククク……その心意気だけは認めてやろう。」

 

トリックがパープルシスターに向かってゆっくりと手を伸ばす。

パープルシスターはギュッとロムとラムを強く抱きしめ固く目を閉じた。

 

ザシュッ!!

 

「グェァァァッ!!?」

 

鈍い音に続き耳に響くトリックの叫び声。

 

「わッ……!?」

 

そして――――落下していくパープルシスター達の体。

 

ギュンッ!!

 

だが刹那、彼女達の体が強く引かれ地に着地する。

 

「お待たせ♪」

「ソニック!?」

 

笑顔を浮かべたソニックが片手にブルーウィンドを握りパープルシスター達を抱きかかえていた。ソニックがそっとパープルシスターの体から手を離しトリックを睨む。

 

「ぬぉぉぉぉぉぉぉ……ッ!!」

 

トリックの舌が切断されていた。ソニックが切り落としたのだろう。

切断された箇所からだらだらと紫色の血液が痛々しく流れ出ている。

 

「ぬぐぅぅぅ……仕方あるまい。今回ばかりは見逃すが……必ずあの幼女達を我が物にしてやる……アククククク……」

 

グォォォッ!!

 

トリックは大きく跳躍し、そのままどこかへと飛び去っていった。

残されたリンダはしばしボーッとしていたがすぐさま我に返り走り去っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………う…………にゅ…………」

 

ロムはゆっくり体を起こした。しばしばする両目を軽く擦り、ぼんやりとする視界のまま周りを見回す。見覚えのある部屋にいた。そう、ここは自分達の――ロムとラムの部屋であった。

 

「…………!」

 

そして、自分の隣にラムが眠っていた。

 

「ラム……ちゃん……起きて……!」

 

ロムはラムの体を揺さぶり始める。

 

「うー…………」

 

ラムも体を起こした。二人はパジャマ姿だったが、それはどうでもいいことであったのだろう。ラムはロム同様眠そうに目を擦り周りを見回した。

 

「あれ……ロムちゃん?」

「ラムちゃん……」

 

ロムは目に涙を浮かべるとラムに抱きついた。

 

「わっ、ろ……ロムちゃん……?」

「……うにゅ……(ぎぅぅ」

「ロムちゃんってばー……?」

「……ずっと……こうしたかった…………気がするの…………(ぎぅ」

「うぅ…………」

 

無我夢中で抱き着くロムに反面、ラムはまだ眠そうに瞼を擦っている。

 

「……ミナちゃんは?」

 

眠そうにしたままラムが言う。ようやくロムはラムから離れ、ふるふると首を横に振る。

 

「……私も……今起きたから……」

「そっかぁ……」

 

ラムはそう告げると再びベッドにぽすんと上体を横にした。

 

「ふぇ……ラムちゃん……?」

「うぅー……眠いよぉ……」

 

ラムが再び寝息をたて始める。

 

「ラムちゃん…………」

 

ロムは再びラムの体を揺さぶり始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うにゅう…………」

 

未だに眠そうにしているラムの手を繋ぎ、ロムはルウィーの教会内の廊下をとてとて歩いていた。二人が未だにパジャマ姿なのは言うまでもない。

 

「あぅ……にゃぁぁ…………」

 

歩きながらラムは何度もあくびをしている。よほど眠いのだろう。

 

「…………」

 

しかし、ロムはそれにも関わらずにどんどん足を進めていった。

長い廊下を歩き続け、二人はミナがいるはずの教祖室へと辿り着いていた。

ロムはそっとドアを開け、中を覗き込んだ。

 

 

 

 

 

 

「それでその……これからというのは……?」

 

ミナが不安気に一同に尋ねる。

 

「まずはルウィーの都市を元に戻すのが先ね。」

「けど、どうやって……」

「それなら心配ないさ!コル達に頼んでこの国を元通りに修復してもらうのさ!あいつらならあっという間に元に戻してくれるはずだぜ?」

「そ、それはありがたいのですが……その……」

 

ミナは言いにくそうに口籠った。

 

「その……図々しいかもしれないのですが、シェアの方は……」

「問題はそこですの。いくらプラネテューヌ側から事情を説明されたとしても、事実ルウィーの国民達は女神から攻撃されて少なからず信頼性が落ちているに違いないですの……」

 

ふぅむ……とがすとは唸る。

 

「……そのことなんだけど……」

 

ずっと黙っていた5pbが口を開き始める。

 

「その、復興したら……ボクがこの国で暫くライブを行うっていうのは……どうかな?」

「ふぇ?」

「確かに……5pbさんがライブを行えばルウィーに再び活気が戻るかもしれないですね。」

「上手く行くかはわからないけど……多少なりのシェアは回復できると思うんだ。」

「じゃあ、シェアもそれでどうにかなるね!」

「なら、この国のことはほぼ問題はないな!コル達に連絡したら今度こそ女神達の救出に向かうか?」

「えぇ、一晩休んで体力を回復してからね。」

 

バタンッ!

 

『!?』

 

アイエフが言うと、教祖室の扉が勢い良く開いた。

バッと室内にいた全員の視線が扉へと向けられる。

 

「………………(ふるふる)」

 

そこに立っていたのは、眠そうにしているラムの手を繋いだロムだった。

だが何故か震えている。

 

「ロムちゃん……!?」

 

ネプギアが驚いたようにその名を呼ぶ。

 

「二人共、起きていたのですか……!?」

「もう体の方は大丈夫なんですか……?」

 

ミナとコンパが立て続けに言う中、ロムはラムの手を離しネプギアへと一直線に走っていった。

 

ぎゅっ!

 

そのままロムはネプギアの背中に手を回し彼女のお腹へと顔を埋めた。

 

「ロム……ちゃん……?」

 

ネプギアはぽかーんとしていたがロムが抱きついてきた途端我に返った。

 

「ネプギアちゃん……(もぞもぞ)」

「な、なぁに?」

 

「――お願い……私達も……連れてって欲しいの…………(ぎぅぅ)」

 

ネプギア――室内の全員が動きを止めた。

 

「………………」

「……わかってたの……ネプギアちゃんが私達を助けてくれたのは…………『私達がまだ助けられてる』のは…………(ふるふる)」

 

言葉を発せないネプギアにロムは言葉を続けた。

 

「…………今度は……私達がみんなを助けたいの…………あの人達に捕まってるお姉ちゃんも……ネプギアちゃんも…………」

 

そっと、ロムは濡れた顔を上げネプギアを見上げる。

 

「……ダメ、かな…………」

「……………………………」

 

ネプギアは答えなかった。

 

「……………………」

「うにゅ…………」

 

答える代わりに、ネプギアはそっとロムの頭に手を置いた。

人工的に作られたものではないかと思わず疑いたくなるほどのさらさら感ではあったが、そんなこと言ってる場合ではない。

 

「……これから危ない所へ行くんだよ?」

「…………うん。(こくり)」

「とっても怖い所に行くんだよ?」

「……うん……。(こくり)」

「…………もしかしたら……――――」

 

 

ネプギアは一拍置き、告げた。

 

 

「―――もしかしたら、もう二度と帰ってこれないかもしれないんだよ?」

 

 

ロムは答えなかった。

再びネプギアのお腹へと顔をうずめる。ネプギアはどこかほっとした面持ちでロムの頭を撫でた。

 

「……………………」

 

ロムが顔をあげた。

 

「――――へい、き…………!」

 

ネプギアの顔をしっかりと見つめロムは答えた。

 

「……私が……ネプギアちゃんも……ラムちゃんも……お姉ちゃんも…………みんなを守るから…………」

 

ネプギアの頬を何かが伝った。

 

ガバッ!

 

ネプギアは地に膝をつくとロムの体を強く抱きしめた。

 

「…………ありがとう、ロムちゃん…………」

「…………ひっく…………うりゅう…………(ぐしぐし)」

 

仲間達は二人を温かい目で見守っていた。

アイエフがそっとミナへ顔を向けると、ミナは今にも泣きだしそうであったが無理矢理笑顔を作り小さく頷いた。

 

――唯一、離れた場所にいたソニックは部屋の入り口で眠っているラムを抱き上げ静かに部屋を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「では、お願いしますねコルさん!」

「うん、あとは僕達に任せてよ!」

 

コルがトン、と自信満々に自分の胸を叩く。

変わり果てた場所となってしまったルウィーの街中に何十台もの紫色の大型トラックが入ってきている。

 

「プラネテューヌに避難している国民達には僕達の方から連絡しておくから君達は何も気にしなくて大丈夫だよ!」

「Thanks!あ、そうだ5pb!」

「ふぇ?」

「なんだったら今から避難してるやつらに歌を聞かせてやったらどうだ?復興するまで少しは時間かかるだろ?その間に少しでもお前の歌を聴かせてやったらどうだ?」

「……うん、じゃあそうしようかな。」

「後で俺が迎えに行くからそれまで頑張れよ!」

 

ソニックが親指を立てている後ろで、ネプギアがミナと話していた。

 

「……本当に、あなた方には助けてもらってばかりで……」

「で、ですからミナさん!一々土下座しないでください!」

 

ミナが膝をついた瞬間ネプギアは悟り制止するが意味がなくミナは平身低頭となり地に頭をつけた。ちなみに現在地には砂利が散らばっている。一度地に頭を付けるとミナはすぐさま立ち上がった。

 

「…………お二人のこと、お願いいたしますね。」

 

ミナが若干不安そうな表情に変わる。

 

「ミナちゃん!行ってくるねー!」

「…………行って……きます……!(ビシッ)」

 

ネプギアの左右隣でロムとラムがそれぞれ小さなカバンをぶら下げ何故かミナに敬礼していた。二人はいつもの――赤と青のコートを羽織った普段通りの格好をしていた。

 

「……う……ッ……!」

 

ミナが突如ぶあっと涙を出す。

 

「み、ミナさん?」

「……いえ……その、何というか……嫁に出て行く娘を見送る母親ってこんな感じの心情なのでしょうか……」

「い、いや……何も結婚するわけじゃないですよ……ていうより無理ですよ……」

 

苦笑するネプギアの目の前でミナはハンカチを取り出し眼鏡を外すと静かに目を拭いた。

ズッ、とミナは鼻を啜った。

 

「いえ……それでも保護者としては二人は娘達も同然なので……昨晩はずっと我慢してたんですけどね……いざこの時が来るとどうしても……」

 

ミナは眼鏡をかけ直すと無理矢理笑顔を作った。

 

「もー、ミナちゃんだらしないなー!」

「……ミナちゃん……変な顔……(くすくす)」

 

ロムとラムがミナの足元へ近づくとそのままミナに抱きついた。

 

「二人共……」

「ふぇ?」

「ふにゅ……?」

 

ミナは二人を抱き上げ、笑顔を作ると小さく告げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

――――行ってらっしゃい。

 

 

 

 

 


 
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