EP3 覇王として背負う
キリトSide
「オォォォォォッ!」
―――グオォォォォォッ!
確かに強い…SAOの時とは違う強力な斧とバックラー、そしてステータス。
これで俺のステータスが引き継ぎで無かったら1人ではやられていただろう。
動きに変わった様子はない、それ故に剣を弾いてバックラーの間を潜り抜ける事でそのまま斬りつける事ができる。
「神霆流歩法術《
俺を狙う斧とバックラーによる殴りつけの攻撃をステップで回避し、奴の懐に潜り込むと斬り上げることでダメージを与える。
さらに6連撃のソードスキル《スター・q・プロミネンス》を放ち、追加ダメージを加える。
すると奴は新たな攻撃を行ってきた。
―――ガアァァァァァッ!
「なっ!? チィッ!」
奴が行った攻撃は、爆炎のブレスだった。
俺は剣を回転させて攻撃を防ぐ防御スキル《
なるほど、ブレスとは面白い…だが今の攻撃で少しだけ距離を置いた俺に予想外の追撃がきた。
―――グルォォォォォッ!
「ちょっ、ぐぅっ!?」
その追撃とは魔法攻撃だった。巨大な火球が俺の目前に迫り、俺はそれを避ける。
しかし爆炎と爆風によりやはりダメージを受けてしまう。
転がってしまうがそのまま体勢を立て直して奴を見据える。
あぁ、やはり強くなった者は良い…例えそれが、ゲームの中の存在だったとしても。
今度は『覇王』の覇気を展開し、本気を出す。
そうだ、全てを振り払ってはいけない……振り払い、背負うためには…、
「コロス!」
楽しまなくてはな!
振り下ろされる斧、それをほんのギリギリで回避して接近。
続いてバックラーによる殴りつけも回避、さらに接近。斧で叩きつけてくるが剣で弾き返し、腕を斬りつける。
「神霆流歩法術《
今度は一瞬で奴の足元に移動してソードスキル《バーチカル・スクエア》を発動し、4連撃を叩き込む。
奴が僅かに怯んだ事で硬直時の攻撃を避ける事ができたが、
俺はそれで終わらせるような事はせず、4連撃スキル《ホリゾンタル・スクエア》を叩き込んだ。
次いで訪れた僅かな硬直に奴が攻撃を仕掛けてきたが、
「神霆流歩法術《
奴の武器と胴体の間を掻い潜る事で攻撃を避けながら背後に回り、
スキル《ファントム・レイブ》の6連撃をクリティカルポイントに叩き込んだ。
この一撃は大ダメージを超えてかなりの威力となった…その時。
―――グオォォォォォォォォォォンッ!
バーサークモードとなり斧とバックラーを投げ捨て、背中の巨大な刀を抜き放った。
どうやらHPバーが残り1本になったらしい。奴はソードスキルを放とうとしてきたが、
俺はスキルが発動してしまう前にソードスキル《ヴォーパル・ストライク》で相殺させた。
互いに少しだけ仰け反りそうになるが、すぐさま体勢を立て直して剣と刀をぶつけ合う。
弾いては俺が回避し、斬りつける……それを幾度となく繰り返す。
響き渡る音は俺と奴が己の得物をぶつけ合う音と咆哮だけ、おそらく周囲の戦闘は終わっているのだろう。
それなら、待たせるわけにはいかない…。
「神霆流闘技《
剣の一点に力を集中させ、クリティカルポイントに当たる箇所に強力な突きを行う。さらに…、
「神霆流闘技《
本来ならば急所を的確に最速で突く技だが、今回はとにかく攻撃の手を増やす為に連続の突きを繰り出す。
そして止めとばかりに俺は最速の十字を斬る。
「神霆流闘技《
1本の剣で十字斬りを一度だけ行ったようにみえるこの技は名の通り、
『奥義《
その一撃が決まった事で、奴のHPは0になり消滅した……長く感じた戦いが終わった。
それを理解した瞬間、俺は体の力が抜けて倒れ……………、
「(ぎゅっ)お疲れ様、キリトくん…」
「……ありがとう、アスナ…」
る事はなかった。愛しい
「おっつ~、キリト」
「……相も変わらずの強さだった」
地面に座り込む俺にシャインとハジメがそう声をかけてきた。
他のみんなも賞賛の言葉を掛けてくれる。
ふと領主達を見てみれば、そこはなんともまぁポカーンと口を開けて固まっている。
だが意識を取り戻せば拍手やら口笛の嵐となった。
「本当にここまでの力だとは……正直、思っていなかった…」
「ウン、ウン! 凄かったヨ~!」
「ハクヤが言った一線を超えた存在というのが、良く分かった…」
サクヤ、アリシャ、将軍…さらには他の領主やギルドの面々からも声を掛けられた。
「俺の我が儘に付き合ってもらって、本当にありがとう…」
『礼に始まり、礼に終わる』というほどに綺麗ではないが、改めてみんなに礼の言葉を掛けた。
この後、今回の戦闘で手に入ったユルドを領主達とそのパーティー、それとギルドの面々に分配した。
ドロップアイテムとLAB(ラストアタックボーナス)は競りを行っていた。
ちなみに、俺の仲間達がユルドはいらないと言っていたのは、俺に気を遣ってくれたのだと思う…。
ボス戦終了後、俺とアスナとユイは『イグドラシル・シティ』、通称『イグ・シティ』に構えている自宅へと戻った。
あの日の家族3人での生活を思い出すかのように、俺達はイグ・シティの少し大き目な家を持っている。
ん、
SAOをクリアし、アスナを助けて須郷を倒し、
ALOを救ったという事の祝いでみんなからこの家をプレゼントされたというわけである。
そんな自宅へと戻った俺達3人なのだが、
「ふふ、ユイちゃん眠っちゃったね…」
「そうだな…」
寝室のベッドで眠るユイ。
現在は夜で愛娘は俺が1人で戦う事への心配やら緊張感やらで気疲れしてしまったのだろう、
ベッドの上ですやすやと眠っている。
俺とアスナはベッドから抜け出て、窓から夜景を眺める。
「少しだけど、肩の荷が下りた気がするんだ…」
「うん…」
「少しは、手向けになったかな…?」
「……守れなかったり、奪ってしまった命の分まで、わたし達は生きないといけない…。
だけど、ずっと俯いているのもダメだから…。だから、これで少しでも前を向けるのなら、彼らも喜んでくれると思うよ…」
「そう、だな……そうだと良いな…」
アスナの言葉を心に刻み込み、俺は彼女の肩を優しく抱いた。
艶やかな水色の髪がこの世界の星の光に照らされて映え渡る。
過去を打ち払い、戒めを背負う……仲間と友人、大切な家族に愛娘、そして最愛の女性を守る為にも…、
俺は強く在ろう。
キリトSide Out
To be continued……
後書きです。
キリトさん、二刀流を使わずに片手剣だけで戦っちゃいました~w
主に片手剣のソードスキルを用い、後半は『神霆流』の技で叩きのめしました。
二刀流を使わなかったのもケジメの1つだとご理解ください。
次回のお話しについてですが、今回と違って1話完結ですが少し長めです。
和人と明日奈の話しとなっており結構生々しい話しになりますね・・・。
それでは・・・。
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EP3です。
今回でボス戦は終了になります。
どぞ・・・。