～　第７４話 †黄天の世から英雄達の飛翔・呉†　～

軽く曹操（そうそう）と雑談していたら

「曹操？いるんでしょ入るわよ」

「孫策さん！？確認まだとれてませんよ！？」

天幕の中にこっちの断りも無く孫策（そんさく）と劉備（りゅうび）が入ってきた

それを笑顔で口元がヒクヒクと震わせながら

「あら？私はまだ入っていいと言った覚えはないけれど？」

こめかみ辺りに青筋を立てながら曹操が対応した

俺と曹操の姿を見た二人は驚いてるようだ

「えーっと・・・お邪魔だったみたい・・・ね？」

「あはは・・・曹操さんごめんなさい」

「いいわ、別に問題ないから・・・それで何か用かしら？

　い・ま・す・ご・くい・そ・が・し・い・の・だ・け・れ・ど？」

「そこの仮面の男と逢瀬を楽しみたいからなの？」

「ちょっと孫策さん！？そんなこといったら！？」

空気がピシリと凍りつくのが分かった

「ふふふ・・・面白い事言うのね孫策」

「そうでしょ？よくそういって褒められるわ」

「あわわわわわ・・・二人とも落ち着いてください」

だまってそれを見ていた俺だが流石に埒があかないので先に進めよう

曹操の頭に手をやりながら一歩前に出る

「孫策殿、ただの別れを言いにきただけならからかってやるな

　曹操もこの程度で狼狽してちゃこの先身が持たんぞ

　それと、劉備殿久しいな公孫賛（こうそんさん）殿は元気か？」

俺の言葉に３人が３人とも色んな顔を見せた

「あら？貴方は全く引っかかってくれないのね残念♪」

「くっ・・・そうねまだまだ未熟だったわ」

「もしかして白（はく）さんですか！？お久しぶりです！！」

劉備の言葉に孫策が顔をしかめて反応した

「貴方・・・厳白虎（げんはくこ）かしら？」

「いかにも、俺が厳白虎だが？」

「ねぇ、曹操」

「何かしら孫策」

「この男、借りていい？」

「「え？」」

孫策の言葉に曹操と劉備がポカーンとしている

「美人のお誘いなら受けないわけにはいかんな」

まっ多分俺の事に感づいたみたいだから話したいんだろうな

そこで我に返った曹操が吠えた

「ちょ、ちょっと！？いきなりきて何言ってるの！

　っていうか白！貴方も何を言ってるのかしら！？」

「落ち着け曹操、お前さんも美人だから・・・

　ああ、劉備お前さんは可愛いだから、そんな泣きそうな目を・・・

　ああ！くそったれ、用事があるならさっさと終わらせるぞ孫策！！」

居た堪れなくなった俺はさっさと天幕を出て行く

その後ろから声がかかる

「白！旅立つ前にまた顔を出しなさいよ！」

「白さん、孫策さんの用事終わったらこちらにも顔を出して下さいね！」

それに手をあげて応えて、孫策の陣へと向かった

「ちょっとぉ！私をおいていかないでよ～！」

「あはははは！どうしたのかしら！少しは反撃をしたらどうかし・・・ら！」

斜めからの袈裟斬りを半身ずらして避ける

「そんな実力で母様を殺したなんて、許さないわよ！！」

横の凪ぐ攻撃を一歩後ろに下がって避ける

「なん、で！なんで私達の前から居なくなって！！

　母様を殺してしまったのよ！答えなさい白！！」

泣きじゃくりながらそれでも攻撃をしてくる孫策

孫策の率いる軍の陣に着き、話をしている時に孫策が突然斬りかかってきたのだ

「それで・・・呉の将が勢ぞろいで俺を囲んでどうなさるおつもりで？」

いまにも斬りかからない勢いを醸し出す呉の将達

孫策・周秦（しゅうたい）・甘寧（かんねい）・黄蓋（こうがい）・周瑜（しゅうゆ）・孫権（そんけん）

その内、一人だけ黄蓋が他の連中よりちょっと離れて舌を出してスマンのと言っている

というか絶対楽しんでやがるなあの人は

俺が考え事していると、孫策が笑顔で俺に近づいてくる

しかし、この世界の人間って笑顔だけど目が笑ってないっていう芸当得意すぎるだろ

「【まだ】何もする気はないわよ？返答次第だけどね？」

「そうかい、それで俺に聞きたい事ってのは？」

「貴方は昔、私と周瑜に会ったことあるかしら？」

「ないね」

「昔、白の狩人とか言われてた時期は？」

「周りがそう勝手に言ってた事はあったな・・・」

「孫堅（そんけん）は貴方が殺した？」

「ああ、俺がころし・・・」

最後まで言い終わる前に、孫策が手にした南海覇王で俺の首を狙った

後ろに飛んで俺はそれを回避するが

さらに、追撃してくる

「はああああああああ！」

他の将達はそれをじっと見ているだけだった

さて、どう対応したもんかね

考え事をしている間にも孫策は攻撃を止めない

それどころかだんだん苛烈になってくる

避けるだけじゃ追いつかなくなってくる

手甲に気を流しながら何とか捌く

「なんで反撃しないの！反撃位してみせなさいよっ！」

俺が何もしない事に激昂し、周りの将も攻撃しようと武器に手をつけ始める

それでも俺からは何もしない

これは俺がやる事の為に受け入れなければいけないものだから

しかし、一つだけ攻撃を見誤った俺は仮面を斬られてしまう

仮面を斬られた俺は咄嗟に孫策の武器を持つ手を捻り、武器を落とさせた

仮面が無くなったことで俺の視界は真っ暗となる

そこに、孫策が抵抗した為に俺と孫策は倒れこんだ

俺が下に、孫策が馬乗りになる形になった

俺に殴りかかろうとしていたが、俺の素顔を見た孫策は力無く俺の胸を叩き

「華陀（かだ）から聞いたんだから、素直に認めなさいよばか・・・」

「そうか、俺の事バレてたんだな雪蓮（しぇれん）ごめんな」

「そうよ、さっさと認めなさい・・・母様を斬ったというのも嘘なんでしょ？」

「いや・・・それは本当だ。祭さんもそれは確認してるよ」

「それも嘘だと言ってほしかった・・・でも、貴方にはそれをする権利あったわね」

「孫堅さんを斬った事は謝らない、どうしても俺に必要な事だったから」

「そう・・・分かったわ、この感情が貴方が昔味わったモノなのね

　母様を殺した憎い男、だけどそれ以上に貴方に会いたかったわ白・・・」

そういって孫策は俺の胸に顔をうずめて泣き始めた

それを俺は気が済むまで頭を撫でてやった

その様子を、孫権（そんけん）が憎憎しい視線で見ていたが

ふん・・・とそっぽ向くと甘寧と周秦と一緒に離れていった

残った周瑜と黄蓋は近づいてきて

「全く、私も会いたかったぞ白・・・それと病の事ありがとう」

周瑜は俺の顔を撫でながらお礼を言って

「うむ、良い見世物じゃった。今夜の酒は美味いじゃろう」

と快活に笑う黄蓋

とりあえず、なんとか切り抜けられた・・・かな？

後で話を聞いたところによると

華陀が周瑜の診療に来た際に俺の事を話したようだ

それにより厳白虎が俺という事を知る事になって、今まで探していたようだ

孫策達の陣を離れるまで、孫策がずっと腕にまとわりついてきたのは

きっとご褒美なんだろうと思い劉備の待つ天幕へ向かっていった

あとがきっぽいもの～

今回は呉での天幕での話です

どうやら自分の作品だと皆デレ気ばっかな気がする・・・

後ちょろっとだけ仮面の秘密を出してますが気づいてもらえるか心配です

次は蜀編ですが、種馬君と絡ませる予定です。

上手く絡むといいなぁ・・・嫉妬神に斬られないか心配です

春になりつつあって眠気満載で更新が遅い駄文ですが次回もよろしくお願いしますm(_ _)m