No.548880

IS−インフィニット・ストラトス−黒獅子と駆ける者−

トラックに轢かれそうになった女の子を助けて俺はお陀仏になった・・・。・・・って!それが本来の死じゃなくて、神様のミスで!?呆れている俺に、その神様がお詫びとして他の世界に転生させてくれると言うことらしい・・・。そして俺は『インフィニットストラトス』の世界に転生し、黒獅子と呼ばれるISと共にその世界で戦うぜ!

2013-02-26 13:40:29 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:769   閲覧ユーザー数:747

 

 

 

 

episode124 生きる意味

 

 

 

 

 

「兄さん!」

 

と、颯は隼人に飛びついた。

 

「颯・・・」

 

隼人はとっさに受け止めた。

 

「良かった・・・兄さんが無事で・・・」

 

颯は隼人の胸の中で涙を流す。

 

「すまなかったな。心配を掛けて」

 

隼人は颯の髪を優しく撫でる。

 

 

 

『隼人・・・』

 

リインフォースは申し訳なさそうに隼人に話し掛ける。

 

「リインも無事だったか」

 

『え、えぇ』

 

 

 

「みんなの事を気にしているのか」

 

『はい・・・。その・・・なんと言えば良いのか・・・』

 

リインフォースは言葉を探るも見つからなかった。

 

『悔やんでも仕方が無いだろ』

 

「・・・・」

 

「俺だって悔しいさ。傍に居られなくて、守ってやる事ができなかった自分にな」

 

『隼人・・・』

 

「悔やんでも何も変わらない。今は一夏達を救う事を考えろ」

 

『・・・はい』

 

 

 

 

 

 

 

「ゼロ」

 

と、三人の元にシノンがやって来た。

 

「来たか、シノン」

 

 

 

「・・・・?」

 

颯は不思議そうな表情でシノンを見る。

 

何せ自分や隼人の顔と瓜二つの顔をしているからだ。

 

「兄さん・・・この人って?」

 

「あぁそうだった。颯、彼女の名前はシノン。お前と同じ戦闘機人だ」

 

「え?戦闘機人・・・?」

 

「あぁ。本当の名前は№00ロスト」

 

「私より先に作られた・・・?」

 

颯は驚愕の表情を浮かべる。

 

 

 

「あなたは・・・№02ベータですね」

 

「・・・今は神風颯です」

 

以前の名前を言われて颯はムッとする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『そういえば、隼人と共に居た女性二人は・・・』

 

そうして颯とシノンが話している間にリインフォースが隼人に聞いた。

 

それはユニコーンとバンシィの事だ。

 

「ある程度は気付いているのだろ」

 

『・・・私と同じ・・・存在ですね』

 

「正確にはISの意思が実体化した姿ってところだ」

 

『ISの意思が実体化した・・・』

 

「多少違うが、根本はISだな。人の姿をした」

 

『・・・・』

 

 

 

 

「しかし、こいつは酷いな」

 

隼人はリインフォースと共にIS学園の敷地内を歩き回ってその状態を確認した。

 

校舎には被害は無いものも、アリーナやグラウンドなどに戦闘の爪痕が残っていた。

 

「リイン。襲撃時のデータは残っているか」

 

『もちろん』

 

リインフォースは隼人の前に投影型モニターを出してデータを表示した。

 

『襲撃されたのは昨日の正午十五分。何の前触れも無く突然バインドが襲撃してきました』

 

モニターには多数のバインドが侵攻してくる様子が映っていた。

 

(今までのバインドと違う。これは・・・『レギナ』か?)

 

そこに映っていたのは黒いボディーにパープルのツートンカラーの機体であった。

 

『Gジェネレーションワールド』に登場した量産型のオリジナルMSだ。

 

『敵は新型を投入した上に一段と強い個体が一緒でした』

 

リインフォースは別のモニターを開いて表示させると、そこには二体のバインドが写っていた。

 

(トルネードに・・・こいつは『ハルファスベーゼ』か)

 

 

『専用機持ちはGモードで対抗しましたが、新たに現れたバインドによって状況は急変しました』

 

そしてある画像をモニターに出す。

 

「これは・・・」

 

隼人は表情を険しくする。

 

そこには孔雀の羽のようなウイングを持つ蒼いバインドが居た。

 

(バルバトス・ミラージュ・・・)

 

その機体の恐ろしさを知っているからこそ、隼人は息を呑む。

 

『このバインドが放った攻撃で専用機持ちは全滅。それによって颯を除いた専用機持ちが連れ去られました』

 

「・・・・」

 

『そして今に至ると言う事です』

 

リインフォースはモニターを収納する。

 

「なるほどな。しかしこんな事になるとは・・・」

 

隼人は拳を広げるとすぐに握り締める。

 

「いいや。悔やんだところで何かが変わるわけじゃない」

 

隼人はすぐに考え直す。

 

『隼人・・・』

 

 

 

 

 

 

 

「そうね。後悔しても自体が変わるわけじゃない」

 

と、隼人とリインフォースに一人の女子が近付いてきた。

 

「シャーリー・・・」

 

そこには大怪我を負って一時帰国していたシャーリーの姿があった。

 

「久しぶりね、隼人、リインフォース」

 

「あぁ。そうだな・・・」

 

隼人は表情に出さなかったが、少し驚いていた。

 

「まぁ驚くわよね。久しぶりの再会で、私がこんな状態じゃね」

 

シャーリーの外見は以前より変わっていた。

 

左足だけに白いニーソを履いていたが、先ほど左足が動く度にモーターの作動音がしていた。恐らく義足を隠すためなのだろう。左目は以前と変わらない感じだったが、よく見たら何かが違う。顔の中央に斜めに傷痕があった。

 

「義足なのか?」

 

「勘が鋭いわね」

 

「なぜ左足が?そこまで怪我をしてなかったはずじゃ・・・」

 

「・・その様子じゃやっぱり隠されていたのね」

 

「どういうことだ?」

 

「確かに重傷を負ったけど、本当の所はそれ以上の怪我を負ったのよ」

 

「・・・・」

 

「あの時バインドに襲われて、左足がひしゃげて切断を余儀なくされ、左目も失明寸前までになった」

 

「・・・・」

 

「アメリカに帰国したのもこんな身体になるためよ」

 

「・・・・」

 

「左足は太股の真ん中から下は義足。左目はヴォーダン・オージェを移植されたの。今は起動してないから元の色なんだけどね」

 

シャーリーは左目を指す。

 

「余計な心配をさせないために、か」

 

「そういうこと」

 

「・・・・」

 

「まぁでも、心配ないわよ。以前と変わらないポテンシャルを発揮させるから」

 

「そういう問題じゃないがな」

 

「細かい事は気にしない」

 

「・・・・」

 

 

 

 

 

 

『神風』

 

すると千冬の声がISの通信機を通じて出てきた。

 

「織斑先生ですか。どうされました?」

 

『今すぐ第二格納庫に来い。馬鹿がうるさいのでな』

 

「あぁなるほど。分かりました」

 

隼人は誰なのかはすぐに察した。

 

「じゃぁまたな」

 

「えぇ」

 

『はい』

 

そうして隼人は第二格納庫に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「無事に出られたようだな」

 

「・・・・?」

 

第二格納庫に向かう途中に、ある女子と出会う。

 

「マドカか」

 

木の陰にマドカが立っていた。

 

格好は代わりとなるIS学園の制服を着ていた。

 

「しかしあいつらからよく逃げ出せたものだな」

 

「かもな。しかし普通に出てていいのか?」

 

「監視付きだが、普通に出歩ける。今は協力者として活動しているからな」

 

「そうか」

 

「・・・しかし、まぁお前が無事であったのはよかったな」

 

マドカは少し言いづらそうに言う。

 

(何か千冬さんと被るなぁ。容姿が同じだと)

 

そう思い片方の眉毛を顰める。

 

「そういえばあの時気になる事を言っていたな」

 

「・・・?」

 

「『この命が続く限り』って」

 

「・・・・」

 

「お前・・・まさか――――」

 

 

 

 

「勘が鋭いな。いや、姉さんが認める程の男だ。このくらいの事は分かるか」

 

「・・・・」

 

「私の命は・・・そう長くは無いのだ」

 

「やはり・・・」

 

「細胞の促進が通常の人間よりかなり早い」

 

「・・・・」

 

「長くても・・・後三年しか生きられない」

 

「・・・・」

 

「所詮私は姉さんを排除するために作られた劣化コピーでしかないのだ。言わば使い捨ての駒だ」

 

「・・・・」

 

「だが、それだけが生きる道ではないと、分かったからな」

 

「・・・・」

 

「限りある命の中でこそ、本当に生きる意味があると、お前から教わったからな」

 

「ふっ」

 

「共に戦うさ。この命が続く限り、な」

 

「心強いものだ」

 

「・・・・」

 

「次の戦闘の時になったら、期待しよう」

 

そうして隼人は第二格納庫に向かう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そうして第二格納庫に到着して中に入る。

 

「来たか、神風」

 

そこには千冬と束がいた。

 

「はぁぁぁぁぁぁぁぁくんっ!!」

 

と、束が隼人に飛びついてきたが、隼人は右手を前に出して束の顔を掴んで止めた。

 

「もう呆れるレベルですね。ここまで来ると」

 

「い、痛い痛い!!」

 

そのまま手に力を入れて束の顔にアイアンクローを入れる。

 

 

「ひ、酷いよ、はっくん!無事でいたのが嬉しいからハグしようと思っただけなのに!」

 

アイアンクローから解放されて駄々っ子のように言う束に隼人は「はぁ」とため息を付く。

 

「それで、束さんがどうしてここに?まぁある程度は分かりますが・・・」

 

「勘が鋭いね。さすがだね」

 

(急に喋り方が変わると何かなぁ)

 

いきなり真面目に喋る束に少し戸惑う。

 

「それで、俺に何の用ですか?」

 

「それはもちろんはっくんの協力要請♪」

 

「俺に?」

 

「はっくんの独創的な発想や技術があれば強力なISを作れるんだよ。現にはっくんがくれたデータで強力なISを作れたんだから」

 

(プロヴィデンスやクロスボーンX1やX2か)

 

「それにちーちゃんの新しいISの製作も手伝って欲しいし」

 

「千冬さんの?」

 

「そう。ちーちゃんの動きに付いて来れる最高のISをね」

 

「・・・・」

 

「まぁお前の発想がどんなものかは別として、それなりな出来のあるISが必要でな」

 

「なるほど」

 

「それと少しでも戦力増強の為にISを作っておくよ」

 

「それは頼もしいですね」

 

「後、はっくんが連れ去られた際に置いていった武器も直しておいたよ」

 

「ありがとうございます」

 

と、隼人は近くの壁に立てかけてあったグラディウスを見る。

 

まるで新品同様に輝いており、破損していた箇所も完全に直っていた。

 

隼人はバンシィ・ノルンを展開してグラディウスを持つとすぐに量子変換して収納した。

 

「おや?以前とバンシィが違うね」

 

バンシィの違いに束が気付く。

 

「そうですか?」

 

「だって背中にそんなパーツ無かったし、細部も若干違う」

 

「・・・・」

 

「何があったの?」

 

「特に何も無かったですよ」

 

「そうかな?」

 

「・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

ビィィィィィィィィィィ!!!

 

 

 

 

 

 

「っ!」

 

すると警報が格納庫内で鳴り響いた。

 

『緊急事態発生!!バインドが多数接近中!!戦闘員は直ちに出撃してください!』

 

山田先生がアナウンスで呼びかけた。

 

「ちっ。こんな時に!」

 

「・・・・」

 

「神風!すぐに出撃だ!」

 

「了解。と言うわけですから、手伝うのは後で」

 

隼人は左腕にアームドアーマーDEを装備したシールドを展開して歩いていくと格納庫の扉を開けてスラスターを噴射して飛び出した。

 

 

 

 

 

 

 

 


 
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