(ボカロ界ロビー)
海斗、ミク、ルカ、メイコの4人は、次の卯年の扉の前に立っていた。
ミク:次は、卯年の宝玉の守護者ミク
ルカ:卯年って事は、兎さんですね
メイコ:ダーリン、一緒にいこ?
海斗:は、はいです
こうして一行は、3:00の位置にある“兎の扉”を開けて中に入った。
カタッ
メイコ:おらー! バニー! さっさと出てこいや!・・・・・・って、な、なにここ
メイコは驚くのもムリのないことであった。そこに“広がっていた光景”は、なんと丘1つと平原の広場がスッポリ入っている、かなり広い世界だった。
その広場の向こうから、凄いスピードで走ってくるバニーガールの女性が一人いたのだった。
ミク:あ、彼女がここの守護者の“めぐみ”さんミク
キキー! ピタ!
めぐみ:そうピョン! 私が、3:00の兎の宝玉の守護者、めぐみピョン! なんでここの担当になったかというと、私が人参好きだったからピョン!
海斗:それでウサギに合わせたから、バニーガールの姿なんですか?
メイコ:ダーリン! 見つめるな!
グキッ!
海斗:うごふっ!
メイコは海斗の首を無理矢理メイコの方へ向け直した。
海斗:いたたた・・・、すんません
めぐみ:そうピョン! でもそれだけじゃないピョン! ここの対戦形式に理想的なコスチュームだからピョン!
ミク:そういえば、バニーなのに、ピンヒールじゃなくて、“ジョギングシューズ”ミクね
めぐみ:ここの対戦形式は、童話“兎と亀”のマラソン大会をモチーフにした、でっかいスゴロクだピョン! スタート地点からスタートして、あの丘の上にある旗が立っているゴールがある所まで、先に到着すれば勝ちピョン。お前達が勝てば、兎の宝玉をあげるピョン!
ルカ:あの、ここでは変身するんですか?
めぐみ:自由ピョン。変身して有利なら、変身してもいいピョン
メイコ:あー、私はやめとくわ。あの姿、歩いたりする作業には向いてないからね
ルカ:私はたこ変身だから、最初からその気無しです
ミク:私もやめておくミク。スゴロクだからね
海斗:俺は変身できないから、このままか・・・・。まぁスゴロクだからいいか
めぐみ:ほんじゃま、始めるピョン。皆さん、いいピョンか?
海斗、ミク、ルカ、メイコ:OK!
めぐみ:んじゃ、“兎と亀スゴロク”、スタートピョン!!!!
ゴロン!
その声に呼応したかのように、空から大きめの“サイコロ”が1個、落ちてきた。
めぐみ:まずは順番を決めるピョン! 数字が大きい方が先に振るピョン。同じだったらジャンケンで決めるピョン。お手本として私から振るピョン!
めぐみは慣れた手つきでサイコロを持ち上げて、回転させて地面に転がした。
ゴロゴロゴロ・・・ピタッ
「3」
めぐみ:うーん、微妙な数字ピョンね。じゃあ、レディファーストということで、女性陣が、次に振るピョン
ミク:おりゃ!
ミクは控えめに、地面にサイコロを軽く転がした。
ゴロゴロゴロ・・・ピタッ
「6」
ミク:ミク~! 「ミク=39」、9-3=6だったミク!
ルカ:行きますわ!
ルカは静かに、地面に軽く2,3回転がる程度にサイコロを転がした。
コロコロ・・・ピタッ
「5」
ルカ:私は5だから暫定2番目ですね
メイコ:うぉおおおおおおおりゃああああああ!!!!
メイコは全身のバネを使って、サイコロを抱えてから、空中高くサイコロをぶん投げた!
ビューーーーーーーーーン・・・・・・・・・・・・・ズカン! ゴロンゴロンゴロン・・・・・ピタッ
「4」
メイコ:うーん、まぁ、こんなもんか。さぁ、次はダーリンの番よ。
メイコは優しく、先ほどの投擲で半壊してしまったサイコロを海斗に手渡した。
海斗:ははは、ほとんど壊れてるね・・・。まぁいいや、ホィ!
海斗は両手で軽く地面にサイコロを転がした。サイコロは角がほとんど壊れていたので、予想以上にコロコロ転がった。
コロコロコロコロコロコロコロ・・・ピタッ
「1」
海斗:なんてついてないんだ・・・・
めぐみ:うんじゃま、順番は決まったピョン。ミク、ルカ、メイコ、私、海斗の順ピョンね。それとサイコロが壊れちゃったから、新しいのに変えるピョン
ヒューーーーン、ズダン!
ミク:よっし! じゃあ、ミクから!
コロコロ・・・「2」
めぐみ:あ、当然だけど、地面に書いてある升目、ちゃんと歩いて進むピョンよ。ゲーム進行が滞るから、テキパキ進むピョン
海斗:な、なるほど、それで、ピンヒールじゃなくて、ジョギングシューズなのか・・・
ミク:ミクミク! えっと、升目の指示は・・・・ミク? 「焼きネギ10本を2分以内で食べ終えること。成功なら6マス進めて、出来なければ1回休み」??
バサッ
上から焼きネギ10本の束が新聞紙にくるまれて落ちてきた。
海斗:こら! めぐみ! これスゴロクだろ! なんで“余興“が書かれているんだ!
めぐみ:なにも書いてない所もあるピョン! ミクが止まったところは“チャレンジング”の升目ピョン。成功なら6個も進めるピョン! じゃあ、始めるピョン
カチッ
めぐみはストップウォッチのボタンを押して、2分からカウントダウンした。
ミク:ふふふ。2分も必要ないミク!!!!
ガツガツガツガツ!!!!!
ミク:・・・・フゥ
カチッ
めぐみ:さ、30秒・・・・。せ、成功ピョン・・・。6個進んで升目の指示は無視でいいピョン
ミク:はいミク。あー、美味しかったミク
海斗:すげぇ。焼きネギの束、一瞬で消えたぞ・・・・
メイコ:ミクさん、もしかしたら、ダークホースだったのかも・・・・
ルカ:次は私ですね。ほぃ!
コロコロ・・・「4」
ルカは4つ升目を進んだ。そこにはこう書かれてあった。
「半径85cmで囲んでいる丸太を3分以内で全部割ること。成功なら6個進めて、失敗なら1回休み」
ガンガンガンガン・・・・・
空から丸太がルカを半径85cmで丸く囲むように飛んできて地面に刺さった。
めぐみ:じゃあ、始めるピョン
カチッ
めぐみは先ほどと同様に3分のカウントダウンに入った。
ルカ:・・・めぐみ、変身してもいいの?
めぐみ:任せるピョン
ルカ:じゃあ、変身! たこルカ!
ギューーーン!!!!
ルカ:ミャオー! 必殺! ダブルラリアット!!!!
スパンスパンスパン!!!!!・・・・・バラバラバラバラ・・・・
カチッ
めぐみ:さ・・・・30秒・・・・せ、せ、成功ピョン・・・・
ルカ:ミャオー!!!! 変身解除!
ドロン!
ルカ:じゃあ、6個進ませて頂きますわ
トテトテトテトエト
ルカは6+4=10個も先の升目まで進んでいた。
メイコ:次は私ね
めぐみ:すみませんが、予算もあるので、軽く投げて下さいピョン
メイコ:ちぇっ。まぁいいわ。ほぃ
コロコロ・・・「6」
メイコは6升目にテクテクと進んでいった。
メイコ:えー、何々?・・・・「酒が旨い。無条件で6個進む」。ラッキー!
ゴロン!
上から酒瓶が1本落ちてきた。
めぐみ:一応、升目に書かれた内容は、忠実に再現されるピョン。その酒は戦利品ピョン
メイコ:あっら~! めぐみちゃん、話がわかるじゃないの! じゃあ、6個先で酒盛りしてるわ!
ビューーーン!
メイコは凄い勢いで12個目の升目に進み、あぐらをかいて、酒瓶を開けてラッパ飲みしていた。
正直、めぐみは動揺していた。“絶対に自分が勝てるように、難しい指示を升目に書いて置いた”はずなのに、3連続で突破され、先の升目に行かれてしまったのだ・・・・。
めぐみ:な、なんなの、あんた達・・・・。こんな簡単に進む挑戦者、初めてピョン・・・
海斗:一応訊くけど、このスゴロク作ったの、お前だろ?
めぐみ:そうピョン! 難問ばかり書いて置いたはずなのに、なんでこうもサクサクと進むピョン!
海斗:俺・・・お前から、俺と同じ臭いを感じるわ。残ったこの二人、絶対、“足の引っ張り合い”になるな
めぐみ:お前だけは絶対に進ませないピョン! 次は私ね!
めぐみは荒々しくサイコロを振った。
ゴロゴロ・・・「5」
めぐみ:(ニヤリ)お先に行くピョン! えっと、ここは確か・・・
「人参10本を2分以内に食べ終えれば6個進める。失敗なら1回休み」
ヒューーーン、ゴロン!
空から人参が10本降ってきた。
めぐみ:よし、楽勝ピョン! ストップウォッチカウントダウンスタート!
カチッ
カリカリカリ・・・・
海斗:(やばいな、これは自分用に書いて置いたな・・・。抜け目無いヤツ。なら、これならどうだ!)
海斗は前の虎の部屋の戸棚でかすめて置いた“ウルトラ激辛ソース”(フードファイトを予想して盗んで置いた)を、自分の足下にあった人参にたっぷり塗って置いた。赤とオレンジで保護色になっていたためか、目立たなかった。
めぐみ:ふふふ! これで9本完食ピョン! 残りは一番遠かった、海斗の足下の人参だけピョン! 時間はあと30秒!
ザッ!
めぐみ:頂いていくピョン!
海斗:どうぞどうぞ。
めぐみ:んじゃ、いったっだっきまーす! パクッ・・・・・・・・・・
めぐみの顔は、汗を吹きだし、真っ赤になった後、真っ青に変わっていった。
ポトッ
あまりの事にストップウォッチも落としてしまったのだった。
海斗:あれ? どうしました? 顔色悪いですよ? えっと、あと5秒、4,3,2,1,0
ピピピ!
海斗:はい、失敗ですね。水でも飲んで1回休んでいたらどうですか?
めぐみ:か・・・か・・・か・・・辛ーーーーーーーーーーー
めぐみは大量の汗と涙を吹きだしながら、真っ青の顔をしながら、近くに水飲み場で、蛇口に口を突っ込んで、水を飲み、口をたらこ唇にして、海斗を睨んでいた。
めぐみ:ひ・・・ひひゃま(きさま)・・・ひょん(ピョン)・・・ひひゃなひひょ!(汚いぞ!)
海斗:さぁー、何のことだか。あ、次、俺ね。ホィ
コロコロ・・・「1」
海斗:No・・・・・!!!!
めぐみはヒーヒーしながらも、ニヤリと微笑んだ。どうやらめぐみは、このサイコロにも“細工”をしているようだった。
めぐみ:(お前なんぞ、誰が進ませるかピョン!)
海斗:えっと・・・・え?
「ついてない。1回休み」
海斗:な、なんで・・・。おい! めぐみ! このスゴロクの内容! ゲームになってないぞ!
めぐみ:「1」なんて出さなければいいピョン!
海斗:それにしたって、最初の6マスでこんな濃い内容! なんとかならなかったのか!
めぐみ:アフターカーニバルピョン!
海斗:ぬぬぬ・・・・
こうして、スゴロクは進められていった。めぐみと海斗は、毎回、海斗は小道具を巧みに使い、めぐみは海斗が絶対1回休みになるコマへ止まるようにサイコロをコントロールして、足の引っ張り合いをしていた。
ところで、ミク、ルカ、メイコの3人だが、この3人の時も、めぐみはサイコロをコントロールしていたのだが、毎回“1回休み”、“戻る”だとさすがに怪しまれるので、かなりの頻度で“チャレンジング升目”に止まらせていた。先の方の升目に書かれている条件は厳しく、失敗すると10個くらい戻されるのもあった。しかし3人は、止まった升目の難題を難なくクリアーしてしまったので、戻る&1回休みの効果があっても、どんどん進んでいってしまったのだった。
ミク:ミク~! 「ネギ振り1万回、5分チャレンジ」成功! 10個進むミク!
ルカ:ミャオ~! 「半径250cm周囲の丸太100本割チャレンジ」成功ミャオ~! 10個進むミャオ~!
メイコ:らくしょうなのだ! 「一升瓶の日本酒10本、5分飲み干しチャレンジ」せいこうなのだ! 10こすすむなのだ!
快進撃の3人と比較して、残り二人は一応サイコロの升目分は進んでいるのだが・・・・・
「人参10本、2分以内で包丁で輪切りチャレンジ」
ガチン!!
めぐみ:ごふぉ! なんでこんな所に鉄の芯入り人参があるピョン!
“失敗”
「アイス10個早食い、1分以内チャレンジ」
海斗:楽勝楽勝!
パクパクパク・・コロン・・・・ギュルルルルルルル・・・・・
海斗:ト・・・・トイレ!!!!!!!!
ビューーーーーン!!!・・・バタン!!!!
海斗は常設されているトイレに駆け込んでしまった。
“失敗“
めぐみ:ふふふ。スーパー下剤入りアイスは美味しかったかしら?
そんなこんなで、ゲームは進んでいき、前の3人はあと1回サイコロを振り、ミクが6、ルカが4、メイコが5を出せば、海斗チームの勝利になるところだった。しかし、めぐみはサイコロをコントロールしていた。その策は最後にきちんと“挑戦者をはじき飛ばすシステム”になっていた。
ミク:ミク~、あのゴールの1つ手前コマだけは、止まりたくないミク~
コロコロ・・・「5」
ミク:ミクーーーーー!!!!!!!
「人生をやり直す。スタートに戻る」
ミクは問答無用でスタート地点まで飛ばされてしまった。
ルカ:ミクの弔い合戦ミャオ!
コロコロ・・・「2」
ルカ:ミャオーーー!!!!!!
「絶対零度。一億回休む」
ピキン!
ルカの行動は止まってしまった。
メイコ:わ、私だけでもゴールするわ!
コロコロ・・・「2」
メイコ:キャアアアアアア!!!!!
「酒断ちをする。スタートに戻る」
メイコもミクと同じく、スタート地点まで飛ばされてしまった。
海斗:めぐみ!!!!! 汚いぞ!
めぐみ:じゃあ、証拠見せるピョン!
海斗:グググググ・・・・
めぐみ:それと、残念だけど、ここから6出せば、更に6進めて、無条件にゴールなのだピョン!。さーて、振るピョン!
海斗:(畜生、サイコロの出目はアイツの思うがまま・・・・だったら、振った後に加工すればいいのか!)
めぐみ:ほーい! さよならねー!
コロコロコロ・・・
海斗:これでも喰らえ!
海斗は纏っていた青いマフラーを外し、高速回転をして風を起こし、サイコロを風で転がそうとした!
めぐみ:無駄無駄無駄無駄! そんな風じゃ、サイコロはびくとも・・・・・・・は、は、は、は、ハックシュン!!!!!!!!!
コロ・・・「5」
めぐみ:あーーーーーーー!!!!!!
海斗の起こした風で、めぐみは大きなくしゃみをしてしまったのだった! あまりの大きさに地面が揺れて、サイコロが予定していた出目から1回、ランダムに回転してしまって、出目が「5」となってしまった!
めぐみ:汚いピョン!
海斗:お互い様だ! それより升目の指示に従ったらどうだ?
めぐみ:言われなくても・・・ここはなんだったかピョン?
「1個後ろの人をゴールまで投げ飛ばす。ゲームエンド」
めぐみ:なにーーーー!!!!!!
海斗:なんかいやなコマだけど、とりあえず勝ったから、投げ飛ばしてくれ
めぐみ:ぬぬぬぬ・・・・・おりゃあああああああ!!!!!
めぐみは海斗を抱えると、思いっきり反動を付けて、旗が立っているゴールまで投げ飛ばした!
ヒューーーーーーーン、ゴン!!!!
海斗は思いっきり旗に命中して、ズルズルっと落ちてきて、そしてゴールのコマで倒れていた。
海斗:ご・・・・ゴール・・・したぞ・・・・
(スタート地点)
めぐみ:はい! これが、兎の宝玉ピョン!!
めぐみは荒っぽく、海斗の手に宝玉を手渡した。
めぐみ:それと! 納得行かないから、私もあんた方に付いて行くピョン!
海斗:え゛?
めぐみ:お前がどういう負け方をするのか、この目で見ないと、気が収まらないピョン! まぁ私は負けたから手助けはするけど
海斗:まぁ宜しく頼むよ
ミク:次は4:00の辰(龍)の宝玉の双子の守護者ミクね。今度は双子の二人ミクよ
海斗:え゛? 一人ずつでないの?
ミク:そういうルールはないミク。宝玉の化身でないから、守護者が複数いるケースは多いミク
海斗:とほほ・・・・
メイコ:まぁ、頑張ろうよ!
海斗:そだね
こうして、めぐみを加えた一行は、ボカロ界ロビーに戻ることにした。
(続く)
CAST
工藤海斗:KAITO
0:00の子の宝玉の守護者&案内天使・ミク(ミクアペンド):初音ミク
1:00の丑(牛)の宝玉の守護者・ルカ(たこルカ):巡音ルカ
2:00の寅(虎)の宝玉の守護者・メイコ(め~こマスク):MEIKO
3:00のうさぎ(兎)の宝玉の守護者・めぐみ(バニー姿):GUMI
その他:エキストラの皆さん
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☆皆さんご無沙汰してました。2,3週間ほど、体調不全で療養してました。今も本調子ではないですが、とりあえず復活させますね。宜しくお願いいたします。
○ボーカロイド小説シリーズ第11作目の” 十二支・幻想奇譚 ボカロ界からの脱出!“シリーズの第3話です。
○私の小説シリーズでは、“KAITOにーさん”が初の“主役”を勝ち取った作品です。
○内容は、まぁ、にーさんの代表曲のように、卑怯というか、何というか…。久々に脱出物です。
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