No.543636 超次元ゲイムネプテューヌmk2 希望と絶望のウロボロス燐さん 2013-02-13 13:00:44 投稿 / 全3ページ 総閲覧数:1357 閲覧ユーザー数:1273 |
暗い空間をひたすらに降下している。
どれほど落ちているのか、そんなことを考えたら間違いなく地面という概念がここにあれば俺は潰れたトマトの様な惨状に成り果てるだろう。
しかし、そんなことはどうでもいい。
先ほどの会話で俺は全てを知った。
なぜ、ティシフォネがあれほど俺を嫌悪するのか
なぜ、レイスは敵でもある俺を殺せるのに殺さなかったか。
まあ、あとは空から色々聞きたいことがあるが……とりあえず一発、殴った後だ。
これからの選択肢を考える。
最初なら俺の精神が死んでしまえばその抜け殻にレイスが憑依してディスペア・ザ・ハードを倒す。
ぶっちゃければ、それがベストなのにレイスはそれを実行しようとしなかった。
自身の命より大切に想っている空亡やティシフォネを考えればそれが一番の選択肢なのにそれを選ばなかった。
あいつは、懸けたんだ。
俺に全てを、
俺がディスペア・ザ・ハードを倒す未来を信じたんだ。
勿論、その選択肢は同時にレイスを殺すことになるけど、あいつは理屈なく俺を選んだのはきっと意味があるはずだ。
だから、俺は歩む。
どんな絶望でも希望があると願って、俺は進む。
それこそが、俺しか出来ないことだ。
「…………」
永遠の奈落の底へ俺は体を向ける。
きっと、どうにかなるーーーネプテューヌのような楽観的思考が頭に過る。
良く考えれば、俺の今までの生きてきた道は、誰かの手の中に合った。不快だけどな
空は全てを管理することで世界を守ろうとした。
まあ、それはそれこそ可能性すら操るような行為であり、支配や洗脳と言っても変わりないんだけどな。
俺達は空を倒して未知の未来を選んだ。
その先に何があるかは、空でさえも分からない。
「みんなが笑えるハッピーエンドを…!」
深淵の奥底に光が見えた。
俺はそれに手を伸ばした所でーーー意識が反転する。
「んっ………」
最初に俺が目にしたのは、ドアップのベールの顔だった。
息が掛かるほどの距離で、それでも満足していないのかベールは俺の顔を覆う隠す様にーーー目が合った。
「おはようございますわ」
「あっ、おはよう」
懐かしい微笑を見せたベールは
気のせいか、顔が物凄く赤い様な気がするが風邪か?と思った所でベールの後ろから黒いオーラが見えるが……
「お・兄・様・?」
「チっ、チカ……?」
可笑しいなんで妹分であるチカが鬼神の如き覇気を放っているか全く分からん。
この突如として襲ってきたチカの異変に救いを求める為、ベールにサインを送るが、彼女は頬を膨らませて「もう少しでしたのに…」とか呟いて全く俺に気づいていない!
「えっと……なんで、そんなに怒っているんだ?」
「別にベールお姉様とジャンケンで負けてお兄様を起こす役を逃して怒っている訳ではありませんわ!」
俺を起こす……?
なぜ、そんなことに二人が争わなければならないんだ?
もしかして夢か……?
「ふふっ、チカは嫉妬しているのですわ」
「お姉様!」
なにに嫉妬を?
起きばかりの思考は、俺の意思とは比例しておらず、うまく動いてくれない。
「……俺、どのくらい寝ていたんだ?」
「昼から夕方になるまでですわ」
確かプラネテューヌに到着したのが昼ごろだったのは記憶している。
外を見るとそこには、嵐から抜けた時に見た頭上の太陽は既に沈みかけていて、空は夜に染まっていた。
「ネプギア達は?」
「別の部屋で無事に再会した姉妹の溝だったところを埋めていますわ。さきほど他国の女神候補生と教祖も集合して感動の再会したところですわ」
「……そうか」
それは、良かった。
ユニやロムちゃんラムちゃんの女神候補生に、教祖たちも来ているの。
今は再会できた姉妹同士で仲良くしているだろう。俺としても、良かった。
それぞれあるが、
「あ」
手を叩く。
この場所にはベールがいるし、ちょうどチカもいる。
本当は会った時に言おうとした言葉だが、それは捕まるベールが、俺と一緒に掛けようと提案していたことだった。
「どうしましたの?」
「えっ……ベールちょっと耳を貸してくれ」
手招きでベールを呼ぶ。
そして、詳細を伝えると笑顔で頷いた。
「? お兄様?お姉様?」
四年前ーーーベールの背中を追っていたお前は教祖になった。
今覚え出してみれば、それはとても懐かしいが、お前にとって努力と挫折の繰り返しだったんだろう。
だから、俺は、先に進んで俺達は、静かに手を伸ばして
『教祖に出世、おめでとうーーーチカ』
俺とベールの言葉に、チカは聞こえていないように暫く唖然とした表情をしていたが、徐々に理解してきたのか、その瞳から大粒の雫が溢れだした。
「おにぃぃざまぁぁ!!!おねぇぇざまぁぁぁ!!!」
今はそれでいい。
ただ、明日からとても忙しくなるんだ。
チカは俺達に腹に抱き着き、洗い流すように泣き声を上げる。
俺とベールは目を合わせて、微笑んだ。
常夜 空亡side
場違いだと思う。
いきなりだと思うかもしれないが、私は模擬戦を仕掛けてきた空さんをフルボッコして、寝かせているが、ここは客室であり、ただいま女神と女神候補生、教祖が再開の喜びを分かち合っている。(女神はともかく候補生は空さんに気が付いていない様子だ)
「お、お姉ちゃん……体とか大丈夫?」
「心配ご無用よ。たかが数年捕まった程度で体も心も折れる程、ラステイションの女神は脆くないわ」
「やれやれ、君は相変わらず妹の前だと強がるね」
「ケイは黙って!」
私の心境は複雑……少しだけ、羨ましいかもしれない。
『お姉ちゃん!』
「ロム、ラム……心配かけてごめんなさい…」
「ブラン様、ご無事で何より……!」
「ミナも、私がいない間、ありがとう…」
「はい!」
空は既に夕闇に染まっている。
………父様は、どうしているんだろうか?。悪の組織『マジェコンヌ』の中で何を考えているだろう。
きっと、世界を助ける術を見つけて、敵さんの考えを丸めているだろうか……。
あの人は、とても優しいから……きっと、
「ねぇねぇ、どうだった!?」
「えっと……お姉ちゃん…?」
「こぅちゃんと一緒に大陸中回ったんでしょ?。さぁ、どんなイベントが合ったか吐け吐け!!」
「そっ、それは……あうぅぅ…」
むぅ………。
私も父様と触れ合いたい……。
「…………」
いつの間にか起きていた空さんが半眼でこちらを見てきた。
呼吸器官が断てられているので、喋ることすら出来ないだが、何か言いたげな顔だ。
私は『神殺しの頂点』だが、さすがに神の思考を読むことは出来ない。
私が空さんに掛けた封印を解けば、父様が空さんの体に刻んだ断切の概念を破壊できるまで回復できるだろうが……出来ない。
まだ、私は空さんに怒っているのだから。家族をバラバラにさせた張本人をまだ許せないんだ。
「…………」
私を見た空さんは、悟ったように再び目を瞑った。
私より圧倒的に歳を取っている空さんは私の目を見ただけで気持ちを悟ったようだ。
経験の差……、という物だろう。
私は神に対して絶対的優位を約束されているが、空さんに一撃入れるのはかなり難しい。
空さんの目で追っていけないほどの速さで動いても、空さんは”勘”で私の位置を把握して防御するからだ。……回避不能の超広範囲は涙目で受けているけど
「…………」
空さんは、空を見ている。
私もそれに釣られて空を見る。
害悪が降ってきそうな、不気味な夜空が広がっていた。
レイス side
目を閉じれば忌々しい異色の怪獣が闇色の太陽をバックに立ち止まっていた。
そいつは、全体的に人型の体型をしており、槍の様な鋭い手甲、両肩から2本ずつ計4本生えている伸縮自在の触手を不気味に回し、災いを呼ぶように部分的に発光する胴体、背面の四枚の翼状の突起、頭部で光る単眼ーーー。その全ては、正に絶望を体現させたような怪物だった。
「ディスペア・ザ・ハード……」
笑っているのか。
泣いているのか。
怒っているのか。
悲しんでいるのか。
怪物に感情はない。
あるとすれば、一方的な、暴虐的な、無差別な、破滅意識だけだろう。
ゲイムギョウ界という概念が生まれ、生物という存在が生まれた時からこれは生まれ世界の負を無意識に喰らっていた。
世界と言うのは常に対極の存在が生まれ続けるが、ゲイムギョウ界にはそれがない。
故の存在がこいつなんだろう。
人々から恐怖され、絶望させ、殺戮するための意思の塊。
生まれたばかりの赤子のような存在だが、それは世界を壊す災禍の種。
故に、これは活動する。
無意識に世界を破滅するために、生まれた理由に忠実に従う。
空やレイさんが封印していても、これはその時から変わらず負を喰いつくしその力を増していくばかり、既にこの世界の基準を超越した存在へとなっており、レイさんの力は既に打ち砕けられているだろう。
空も、あいつは元より破壊神であり、封印術などはぶっちゃけ不得意だと言ってもいいだろう。なのに、ここまで持ったのはあいつの実力だろう。
「悪は、英雄か正義によって裁かれる……」
円環の理を呟く。今更のことだと笑ってしまう。
「種は既に満開した。俺は……いや、俺達は散華される番だろうな」
怪物は何も言わない。
ただ、いつの間にか喰らった者に制御を奪われて、それを取り戻そうと暴れているだけ。
「……親らしいこと、あまり出来なかったなぁ」
もう、時間は残されていない。
もうすぐで、俺は折れて、この絶望の化物は、世界を食いつぶす。
「奇跡」
ぼそっ、と口から零れた言葉。
あいつは、それを起こす者だと言った。
分かっている。分かっているさ、だから俺は自分だけで出来ることを精一杯した、俺にできることはもうない。
ーーー恋しき愛しき、ご主人様。
「っ………」
従者の言葉に世界が反転する。
目が映すのは、広大な紅い大地だ。
「ご主人様……体調がよろしくありません」
「……時間が迫っているんだろう」
背中に甘えるように寄り添う従者ティシフォネ。
愛しい物で壊れやすい物を扱うように、優しく彼女は両手を握ってくれた。
「私にはご主人様しかいりません。私にはご主人様しか認めません。私にはご主人様だけが私の世界です」
「……お前は、本当に変わらないな」
「私はあなたを愛していますから」
相変わらずそんな恥ずかしいことを汚さず真面目に言う奴だ。
握ってくれた両手は、負そのものと言ってもいい、俺の体に温かさをくれる。
『へぇへぇ、相変わらずお熱いことで』
「黙れ、トカゲもどき、殺されたいか?」
頭に体重が伸し掛かる。
本来なら50mはある巨体を縮め、俺の頭に乗るくらいまで小さくなった俺の使い魔であるデペアはクスクスと笑っている。
『恐いねェー。それにしてもキャプテン。本当に死ぬ気なの?』
「まだ死ぬとは確定できないが……まぁ、概ねそうだ。俺が助かる確率はほぼ0だからな」
「遅くはありません。あの如何物の魂魄を抜き取り、罪遺物をあなたが取り戻せば、あなたは救われるのです!」
幾度もなく提案してきた選択。
紅夜を殺しその中身を取り戻す……そんな、簡単なことで全ては解決する。
この世界の負を管理するブラッディハードだが、そんなものはいくらでも”変わり”がいるんだろう。
少なくても、あいつはそこら辺のことには徹底している。恐らく、ブラッディハードになれる素質を持つ人間のデータを持っているだろうな。
『それは残念だなァー。どうしようかなーー』
「出来れば、くうちゃんと使い魔契約をしてほしい……」
『イヤだよー。あの娘っ子には既に神滅龍が付いているんだよ?』
「………ガンバレ」
『イヤだぁぁ………』
禍々しく輝く九つ目と気持ち悪い粘着質な触手を翼から生やしている外形は邪悪そのものと言ってもいいドラゴンが涙声で訴えている。
しかし、こいつのことだから、従っていると確信している。ーーー問題は
「…………」
いつでもどこでも、俺のことを案じてくれている従者の鏡と言ってもいい……ティシフォネだ。
強く、強く、強く。手が潰れそうなほど強い握力で、離すまいと俺の手を握っている。
「ティシフォネ……」
「なぜ、あなたは雑種如きに手を指し伸ばすのですか……」
泣きそうな声だった。
「それが俺だからな。分かっているだろう?」
「理解しません。したくありません」
「認識はしているんだな。結構」
バキッ、と手が潰された。
「……痛いぞ」
「私だけです。あなたに喜びを、悲しみを、苦しみを、楽しみを、憎しみを、痛みを、愛をーーー私だけですっ!」
………デペア。
『ヤー』
俺の思考を呼んで、デペアが触手を伸ばしてティシフォネは捕縛する。
「っ! 離せぇ!!トカゲっぇ!!」
『むぅ、これでもちゃんと名前を貰っているんだよ?デペアって』
俺は潰された手を再生しながら、歩く。
そろそろ、マジェコンヌが来るはずだ。
「ご主人様ぁ! ご主人様ぁぁぁぁ!!!!」
「…………」
偽の情報で四天王を対女神決戦兵器『
マジェコンヌは、既に器を支配しており、その意思は女神破滅ーーーいや、世界破滅に動いている。
空も気づいてないだろうが、あれはもう死んでいる。
俺の様に死んだ魂をディスペア・ザ・ハードが喰らいそれを元に造った憎しみだけを取った残留思念のようなものだ。
「…………ティシフォネ」
狙うのは、女神が集まっているプラネテューヌだ。
そこが決戦の場。俺とマジェコンヌの死に場所になるかもしれない地獄の門。
「好きに生きろ」
最後のあいさつを済ませて、俺はギョウカイ墓場の奥地へ足を踏み入れた。
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要約更新だぁぁ!。
クライマックスまでもう少しだ!!
速く戦闘を書きたいぃぃぃ………(作者は検定試験を控えているのでまた遅くなります)