No.542145

機動戦士ガンダムSEED白式 19

トモヒロさん

19話…とその前に言い訳

2013-02-09 19:40:34 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:3509   閲覧ユーザー数:3278

作者からのお詫びという名の言い訳。

 

はい、作者のトモヒロです。9月の投稿で「箒、サーペントテール登場。オリ展開!」ってぶち開けといて、その約半年でいったいどんな面して投稿すればいいのか分かりません。ちまちま書いた挙句戦闘すら入ってないし、文字数少ないよ、何やってんの。

ここスランプとかテストとか、言い訳すればいいってもんじゃないよ本当ぉ。

そんな訳で「機動戦士ガンダムSEED白式」。何とも言えない面引っさげて投稿しますんで、みてください。

 

再会と不安

 

箒と再会してから、一夏は喜びとともに、不安もあった。これから自分達はどう生きて行くのか、おそらくそれが今後の一番の課題である。一夏と箒は言わずもがな、本来はこの世界に存在しなかった人物であり、箒に至っては戸籍すら、ないのだ。(かく言う一夏も戸籍の書類はアークエンジェルの艦内に忘れてきた)箒がコッチにきれくれた事は一夏は多いに喜んだが、また面倒事が増え落胆する。

 

(だけど、俺も男だ。せめて箒だけでも幸せにするぐらいの甲斐性は見せてやる!)

 

別に他意はない。箒に知れ渡れば間違いなく顔を真っ赤にして竹刀を振り回すだろうが、一夏にそっちの甲斐性があるかは不明なところだ。

 

「一夏…少し、いいか?」

「ん?どうしたんだ箒?」

 

一夏が今後の事に悩み老けていると、箒が何やら浮かない表情でいつもの彼女らしからぬ感じだった。手首に巻いてある赤椿の待機携帯をさすりながら、一夏には箒が何か不安を抱いているのではないかと感じた。

 

 

「え、赤椿が展開できない?」

「あ、あぁ。この世界に来てから、いくら念じてもできないんだ。一夏の白式はどうだ?」

そこで何と言えばいいのか、一夏はどう言葉にしていいのか困る。何故なら、今の白式はMSと同党のサイズで、それこそ世界を越える以上に常識から外れているのだ。そして、一夏がその事を言わない理由はもう一つ、それは一夏がそのMSと化した白式で何人もの人の命を奪ってきたからだ。仕方がなかったからと言って、そうやすやすと話せる内容のものでも、まして胸を張って威張れることでも無い。だから、白式の事を話す事は、一夏が人殺しをした事も話さなければならない。一夏はその事を知った箒が、自分を避けるのではないかと恐れているのだ。

 

「……お、俺の白式も…そんな感じだ」

 

情けない。一夏は自分にそう思った。こんな嘘を着いて、一夏はただ、その事実から箒を遠ざける…いや、自分自身から逃げている事に自覚しているのだ。

 

「やはりそうか、原因はいったい何なのだろうな?」

「……」

 

一夏はその問に応えず、無言に俯く。

 

しばらくすると、トレーラーのエンジン音が止まる。少し休憩をとるようだ。

 

「そう言えば、そろそろ昼時だな。何か作ろう」

「そうか!箒の料理、久々だもんなぁ、頼む」

「ふふ、任せておけ」

 

一夏と箒は、食堂へと赴く。だがそこに、レトルトのカレーをトレイに乗せ運ぶ劾の姿があった。その皿の隣にはソースのボトルが置いてある。

 

「ん?なんだ、お前達もこれからか?」

「はい、箒が久しぶりに何か作ってくれるので。箒って料理、結構上手いんですよ」

「お、おい一夏?!」

「む…箒は何か作れるのか?」

「え?!…は、はい。以前、一夏に弁当を作ってました」

 

すると劾の視線が一瞬、自分のトレイに移る。

サーペントテールと言えど、結局は人の集まった団体だ。食に関して言えば、やはり美味しい物が食べたい。

 

「ふむ、俺としたことが…コレは判断を誤ったな…」

「で、でも!料理の腕は一夏の方が上です!」

 

…女として悔しいが。っと最後にボソっと誰も聞こえない様な声で箒は呟いた。実際、一夏は前の世界では私生活が壊滅的な姉の代わりに家事全般を請け負っていたのだ。確かに箒も料理はなかなかのものだが、一夏の方が場数を踏んでいるのだ。

 

「そうか、ならば一夏。オーブへ着くまで、ここの厨房を任せてもらえないか?」

「え?!でも…」

「ここの殆どが、整備や依頼やらでまともに料理なぞできない」

一瞬、一夏は迷ったがよくよく考えればコレはサーペントテールでの自分の立場ができるのではないかと考えた。

そもそも、さっきまで一夏はこの先どう生きて行くか考えていたところだった。

取り敢えずオーブへ行くまでの事は決まった。

 

「分かりました」

「そうか、頼んだぞ」

 

 

一夏がサーペントテールのコック(?)になって暫く、トレーラーのエンジンが再稼働し、その後、一時間半でとある街に到着し、すると部屋の扉が開き、そこに劾が何かを持ってきた。

「一夏、これに着替えておけ」

「えっと、コレは?」

 

渡されたのはいたって普通の服だった。白い半袖のジャケット、青いインナーとズボン。

 

「ここはザフトの勢力圏内だ。連合の制服を着て撃たれても文句は言えんぞ?」

「そ、そうか…分かった」

 

一夏は『ザフト』と言う言葉を聞いて、一瞬、身をこわばらせる。何せ、一夏にとってザフトとは既に何度も戦闘の経験がある。

故に一夏は命の危険性がある所へ行こうというのだ。気を引き締めなければ…。

だが、その一夏の心配は別の事で当たる。

 

 

「一夏!」

 

一夏が街へ赴こうと、劾の乗るバギーの助手席に座った時、制服から着替えた箒がきた。

 

「私も一緒に行っていいか?」

 

一夏は一瞬、劾の目を伺うがその目は至ってノープロブレムと言っているようだった。

 

「おう、いいぜ!大勢の方が楽しいし!」

「ついて来るのはいいが、羽目を外しすぎるなよ?二人共」

「「はい!」」

「よし、出すぞ!」

 

 

アークエンジェルはあれからザフトの追撃を逃れ、砂漠の上を飛んでいた。

ベットに一人横たわるフレイは、とある少年の顔を思い出す。

織村 一夏。彼が行方不明になって一日が過ぎていた。

 

(嘘つき…)

 

フレイはついさっきまで、MSハンガーにいたのだ。アークエンジェルの地球降下後、フレイは二人の少年の帰りを待った。

ゲートから高熱を帯びたストライクを見た時、彼女の胸にチクリと何かが刺すような感じが走った。

ストライクからはグッタリとしたキラが担ぎ出され、命に別条がないと知った時には、ホッとしたが、それもつかの間。問題はもう一人の少年が乗ったMSが帰ってこなかった事。

それは、一夏が白式ごとそのまま大気圏へ突っ込んだ事を意味する。

例えMSのスペックが大気圏に耐えられるようになっていたとしても、コックピット内の温度は並の人間が耐えられるようなものではない。

艦内の空気は重かった。

 

「フレイ…」

 

部屋のドアが開く。

サイが食事を持ってきてくれたようだ。そう言えば自分は暫く食べ物を口にしてなかったと思う。しかし、やはり食欲はわかないし、とてもそんな気分にはなれなかった。

フレイはサイの言葉を無視し、体を丸めうずくまる。

 

「……いい加減、何か食べなよ。それじゃぁ君の体がもたないだろ?」

 

返事はない、あくまでも彼女は一人閉じこもる。

 

「…ここに置いとくから、ちゃんと食べてよ?」

 

サイは持ってきたトレイを部屋の前に置き、立ち去る。

そもそも、フレイは食べる気はない。そのまま誰かが食べてくれるだろう。

そっと涙ぐんだ目を閉じ、フレイの意識は、いつの間にか落ちていった。

 


 
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