No.541767

いきなりパチュンした俺は傷だらけの獅子に転生した

たかBさん

第百六話 桶・ファランクスシフト

2013-02-08 22:40:54 投稿 / 全5ページ    総閲覧数:5514   閲覧ユーザー数:4899

 第百六話 桶・ファランクスシフト

 

 

 

 湯気が立ち込めるその空間に、年若い若者達。その体は同年代の者達が嫉妬しそうになるくらいに胸。膨らみ。無駄のない体つきに髪の毛の艶まで誰もが羨む光景が広がっていた。

 

 「という訳なんですよ!まるで世界が俺を嫌っているかのように何もかも俺の思惑とは真逆に進んでいるんだよ!」

 

 

 

 残念俺だよ。高志視点。

 

 目の前にいる恭也さんに士郎さん。ザフィーラは大()筋がムキムキ。

 特にザフィーラは腕周りの膨らみ(太さ)は同じ近接戦闘を主にする俺にとって、とても羨ましい。

 最後にトーマとユーノとクロノ。髪の毛艶々しすぎだよ!

 特にユーノ!お前、本当にインドアの仕事をしていたのか!めっちゃきらきら日の光を弾いているぞ!

 

 「…何、タカシ?僕の方を見て?」

 

 「…妬ましい。口惜しいぃ」

 

 今は美少年でお姉さんにもってもて。将来は滅茶苦茶美形になりそうで、老後は人当たりのよさそうな好々爺になりそうで…。

 

 「本当に何!?僕何かした!?」

 

 「うるせー!何もしてないからムカついているんだよ!」

 

 「本当になんなの?!」

 

 イケメンは俺の敵だ!

 …畜生!この温泉にいる男は皆、(イケメン)だ!

 

 

 「あー、タカシ。そうは言うがお前は主達には好意を持たれていると思うのだが…」

 

 「俺は胸無し・くびれ無し・お尻無し(スカ・スカ・ペッタン)に興味はない!」

 

 ザフィーラのフォローともいえる発言にセクハラともいえる俺の答え。

 そして飛来してくる桶の雨。

 気がつけば俺以外の皆は湯船の中に身を沈めていた。

 

 ドゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ!!

 

 「ぎゃああああ!」

 

 多い多い!桶が多い!

 桶・ファランクスシフトですか?!

 

 避来してくる桶の雨に打たれた俺はプカプカとその湯船に我が身を浮かべていた。

 盾の守護獣(ザフィーラ)…。助けてくれてもいいじゃないか…。

 

 それからクロノは執務官の仕事が複雑かつ大量で大変だとか…。スフィア関係もあるから他人事じゃない。

 

 ユーノはその手伝いをさせられて大変。しかもクロノの師匠のリーゼ姉妹に貞操を狙われたとか…。

 そういや、キリエさんに半ズボン取られたっけ?

 

 ザフィーラは今まで丼で食事を済ませてきたのだが、最近はやてがよくペットショップで大型犬用の器を手に取ったところを見てしまった。と…。

 家康!いい加減にしないと本能寺されるぞ!

 

 トーマ。「なのはさん、ヴィータ師匠の訓練がががががががががが…」

 トォオオオオオマァアアアアッ!帰って来おおおっい!

 

 バグったトーマにビンタをしてこっち側に戻して互いの愚痴の言いあいを再開する。が、残るはリア充組ではなく高町父兄。

 

 「僕は…。そうだね。なのはがどんどん自分の道を突き進んでいくことが嬉しくもあり寂しくもあるかな。あとは桃子が傍にいればそれだけで幸せだよ」

 

 士郎さん!末永くお幸せに!

 いいお父さんだこの人!

 

 「この間、忍とデートに行ったんだが『まったく雰囲気を読めない男ね』と言われて…」

 

 「沈めぇええええ!リア充ぅううううううう!」

 

 あんな美人とデート出来ただけでも超過の幸せだという事をわかれぇえええええええ!

 

 「ぬおおおおおお?!子どもとは思えない膂力!これが魔力か!?」

 

 俺と恭也さんをお湯の中に沈めようと恭也さんの方を抑え込むが、恭也さんはそうはさせるかとお湯の中で取っ組み合いをする。

 

 「落ち着け!タカシ!」

 

 「こんなところで魔力を使わないでよ!」

 

 「逮捕するぞ!」

 

 「すぐ傍にフェイトさんやなのはさん達みたいな綺麗な人達がいるじゃないですか!」

 

 ザフィーラ・ユーノ・クロノ・トーマの順番で俺を取り押さえる。が、すぐさま反論する俺だったが…。

 

 「トーマ!俺はさっきも言っただろう!スカ・スカ・ペッタンに興味はないとっ!て、ぎゃああああああああ!!」

 

 ドゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ!!

 

 先程よりも桶が増量した。桶・ファランクス・セカンドシフトが始動した。

 

 

 はやて視点。

 

 「まったく失礼するわ、高志君!私達だってそのうち大きくなるわ!」

 

 「本当にね!」

 

 「風呂から出たらアイゼンでぶっ潰してやる!」

 

 「ペッタンにだって需要あるもん!需要先は決まっているけど!」

 

 「ペッタン(アリシア)は誰にも渡さないわ!」

 

 「母さん?!何か変なイントネーションがあったよ!」

 

 私とアリサちゃん。主に小学生組の女性陣総出で桶を投げつけた私達は手元にあった手桶を投げ終えて肩で息をしていた。

 プレシアさんは違う意味で息を荒げていたけど…。

 

 「………」

 

 が、リインフォースだけはそんなに桶を投げていなかったな。

 …くっ。胸有り・くびれ有り・お尻有り(ボン・キュ・ボン)や!

 

 「…はっ!主、な、なんですか?!」

 

 「リインフォースはええもんなぁあ。ええもん持っとるからなぁああ」

 

 「あ、主?目が怖いです…」

 

 おのれぇええ、人々を惑わす魔性の渓谷(ちち)めぇえええ。引きずり落とす谷(くびれ)めぇええ。触りたくなる山(しり)めぇええええ。

 思わず登頂したくなる体をしとるしなぁあああ!

 

 「しょ、将!?助けてくれ!」

 

 「こら!リインフォース!私を巻き込むな!シャマル!」

 

 「こっちにまで飛び火させないでぇええええ!」

 

 …ふ、ふははははは。まさか身内に敵がいたとは。

 ボン・キュ・ボンの三連星め!

 

 「ヴィータ!アリサちゃん!私達であのジェットストリームアタックを攻略するで!」

 

 「おう!」

 

 「どれほどのものか確かめてあげるわ!」

 

 こっちもジェットストリームアタックやぁあああああ!!

 

 

 アミタ視点。

 

 はやてさんが融合騎と守護騎士達と戯れている間に私達とマテリアルの皆は再びお湯に身を沈めた。

 はぁあああああ、今までの疲れが吹き飛びますねェえええ。

 

 「まったくドスケベの獅子め。女は乳や尻ではない」

 

 「え?それじゃあ足?」

 

 「………」

 

 「いたっ、痛いよシュテルん!何で怒るの?」

 

 「………やっぱり、胸が大きい方がいいんでしょうか?」

 

 「大丈夫よ、ユーリ。おっぱいなくてもユーリのふわふわな髪の毛はとても魅力的よ」

 

 「本当でっ、す、…か」

 

 「どったの?ユーリ?」

 

 キリエの髪もふわふわしていますよねぇ。そして何よりユーリの目の前にはキリエのプカプカと浮かぶ胸があったから…。

 心中をお察ししますユーリ。

 

 「…それにしても本当に、どうして、こうなったのかなぁあああ」

 

 ユーリを求めて妹が過去の世界に来て、それを追って私が来て、未来の皆さんも巻き込んで、アサキムや暴走したユーリというスフィアという巨大な力とも戦った末でこの温泉でワイワイとやっている。

 それはとても幸せでまるで『嘘』のようにも感じたけれど、嘘じゃなくて…。

 

 「…少しだけ。少しだけ寄り道させてください博士。必ずユーリとマテリアルの皆を連れてエルトリアに帰ります。だけど、少しだけ待っていてください」

 

 この黄金よりも価値のある時間を堪能させてください。

 

 

 アインハルト視点。

 

 私は過去のヴィヴィオさんのお母様。小さい頃のなのはさんとそのご家族とお話していました。

 

 「本当にお強いんですねヴィヴィオさんのお、ううん。知っているなのはさんは」

 

 「およ、なのはと戦ったことあるの?」

 

 「はい。空の上でですが…。近づくことが出来なくて滅多撃ちにされました」

 

 「私とトーマもそうでした」

 

 「…なのは。暴力はダメよ?」

 

 「にゃ、で、でもお話をしようとしても逃げようとしたりパンチしてくるんだもん」

 

 「なのはマ、じゃなくて、なのはさんに距離を取られたら私達に勝ち目はないんだけど…」

 

 「まあ、確かに銃火器を持った凶悪犯に近付くには大変だし。犯人側として近づいてほしくないもんね」

 

 「お姉ちゃん?!それじゃあ、なのはが砲撃魔みたいなの!」

 

 「え?違うの?なのはの戦っているビデオを見てるとそう思うんだけど…」

 

 「お母さん?!」

 

 なのはさんのお姉様とお母様がそれぞれに意見を出すたんびに狼狽するなのはさんはとても可愛らしかった。

 この人が未来のエースオブエース。そして、歴戦の戦士達もこの温泉の中にいる。だが…。

 その未来に『傷だらけの獅子』の彼はいなかった。

 フェイトさんのお姉様アリシア。お母様のプレシアもいない。

 これが何を意味しているのかと考えていると…。

 

 「…砲撃」

 

 ヴィヴィオさんが顔を真っ青にしながら震え始めた。

 しまった!悪夢がフラッシュバックしている!

 

 「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい…」

 

 「ヴィヴィオさんしっかりしてぇええええ!」

 

 この温泉の一角で『聖王の器』ヴィヴィオは盛大にバグっていた。

 

 

 すずか視点。

 

 …高志君て、お姉ちゃんみたいな人が好きなのかなぁ?

 こうグラマーってやつ?

 わ、私もなれるかな…。

 そっと自分の胸を押してみるとささやかな反発を返すだけでお姉ちゃんやノエル、ファリンといった私の家にいる女性陣に比べるのもおこがましいレベルだった。

 

 「すーずか♪なーに、自分の胸を触っているの~?」

 

 「わひゃっ!お、お姉ちゃん。そ、そのぉ…」

 

 「大丈夫よ、すずかぁ。私もすずかの頃はそれくらいだったけど、中学生になる頃には高志君もあなたの胸元を見て、顔を上下に揺らすくらいに成長するわよ♪」

 

 「そんな高志君やだよ!」

 

 (…想像してみた)

 

 「ちょ、ちょっと可愛いなとか思っていないからね!」

 

 「ツンデレ乙♪」

 

 「お姉ちゃーん!」

 

 「あはははははは♪」

 

 「皆、元気ですねー。艦長」

 

 「そうね~、また、こうやってみんなで温泉に来たいわね~♪」

 

 私達姉妹が遊んでいる横でリンディさんとエイミィさんはのんびりと温泉から見える風景に心を和ませていた。

 

 


 
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