No.540818 いきなりパチュンした俺は傷だらけの獅子に転生したたかBさん 2013-02-06 20:53:41 投稿 / 全3ページ 総閲覧数:4963 閲覧ユーザー数:4529 |
第百四話 もう戻れないんだ。あの頃に…。
すずか視点。
三月十四日。ホワイトデー。
私、月村すずかは親友のなのはちゃんやアリサちゃん達と一緒にある温泉宿の前にいた。
それは去年までは一緒だったが、今年は違う。
「お~、これはでっかい温泉宿やな~」
「温泉卵ってここで作られているのか?」
「ヴィータちゃん。温泉卵っていうのは間欠泉で作られる物が主流で人が入れるような物じゃないはずよ」
「…料理は下手なのに詳しいな。シャマル」
「はうっ!」
「…ああ、これが本当の日本文化というものなのね。混浴というものもあるのかしら?」
「本当にね~、クロノ君。背中流してあげようか?」
「ば、バカなことを言うなエイミィ!」
はやてちゃんの家族やフェイトちゃんを一時的に預かっているハラオウンの皆さん。
そして…。
「楽しみだねフェイト!」
「ちょ、お姉ちゃん。荷物。荷物忘れているよ」
「二人とも慌てないの。温泉は逃げないわよ」
フェイトちゃんのお姉ちゃんのアリシアちゃんにプレシアさん。
仲がよさそうなのに別々に暮らしているみたいだけど…。何か訳有りなのかな?
「…本当ならこんな事をしている場合ではないのですが」
「まあまあ。細かい事は言いっこなしよ、お姉ちゃん。戦闘続きで疲れているんだから、一度リフレッシュしないと」
なにやら複雑そうな顔をしながら宿の敷居をくぐっていくお姉さん二人。
「そうですね。万全を期してエルトリアに向かった方がいいですし、あちらに行ってから異常が発生したら大変です」
「…すいません。私の所為で皆さんを留まらせてしまって」
「ユーリが悪いわけでは無いぞ!一応、小烏達の船で検査はしたが異常無し。と、出たのだ。うむっ。だが、万全を期したほうが帰る時に何か不祥事があってはいけないからな」
「待っていろ温泉!僕が今行くぞ!」
続いてなのはちゃんやはやてちゃん。フェイトちゃんによく似た女の子達が入っていく。
なんでも昨日、皆が学校を休んでいた頃の事件で知り合ったらしい。
世の中、自分に似ている人は三人はいるというけれど、ここまで似ているのは凄い事だと思う。
後で聞いてみた所、魔法関係だったらしい。
「温泉か~、なのはマ…。じゃなくて、またなのはさん達と入れるなんて、なんか、ついこの間みたいだよ~」
「そうですね」
「あれ?二人は前にもなのはちゃん達と温泉に行ったことがあるの?」
「「っ!そ、それは…」」
私は二人の会話を聞いてふと思った疑問について質問すると二人は焦り始めた。が、それに答える第三者の人がいた。
「昨日の事件現場が温泉みたいなところで二人を保護したのがなのはだったんだ。だから、この二人にとっては昨日ぶりになる」(…という訳だ。なのは。後で聞かれてもそう答えろよ)
(にゃ、にゃあっ。が、頑張るの。でも、出来るかな)
(お前の未来の娘が招いた失態だ。責任とれ親)
(ごめんね。なのはママ)
(い、いや。ヴィヴィオちゃんが悪いわけじゃないから…)
高志君はポリポリと頭を掻きながら温泉の効能が書かれた掲示板を見る。
「へぇ、そんな世界もあるのね。さすが、魔法世界。私も行ってみたいわ」
「リンディさんと相談してみればいいんじゃないか?」
アリサちゃんも高志君の傍で靴を履きかえてスリッパにする。
「ほう。前は気付かなかったが、ここの温泉は打ち身にもいいのか」
「疲労回復の効果もあるらしいな」
「あ、それは僕も嬉しいな。ずっと、クロノの手伝いをやらされていたから肩が凝って仕方がないんだよね」
「うん。ここの湯は切り傷にも良いからね。ゆっくりできると思うよ」
恭也さんに士郎さん。肌黒の男性ザフィーラさんやユーノ君もいた。
「トーマ、トーマ。大変だよ。私のパンツが一枚足りない。何か知らない?」
「知らないよ。俺がそれを知っていたら知っていたで、大変だと思うんだけど…」
恭也さんよりも少し年下の感じがするトーマさんとリリィさんも遅れてやってくる。最初は恋人さんかなとは思ったけど…。
かなり大所帯になったけど、本当はこれ…。高志君が企画したバレンタインのお返しだったんだよねー。
回想。
高志視点。
思い出したくない。
今日起きたことなんて…。
という訳にもいかない。
「…っ。あれ、今日何日だっけ?」
布団団子の中で枕を涙でべちょべちょにしながらも、ふと何かを思い出した。
確か、バレンタインデーにお返しとして、すずかとアリサ。八神ファミリー。そしてフェイトとアリシアを温泉に連れて行く約束をしていたんだった。
もちろん子供だけでは駄目なので引率者としてプレシアと大人版アルフ。そして、すずかのお姉さんの忍さんと恭也さんにもついてきてもらう約束をしていたんだった。
待機状態のガンレオンを見ると時刻は三月十三日の午後六時。
もちろん、『砕け得ぬ闇』事件のことなど知る由もなかった俺はスクランブルを受けて出動したので何の準備もしていなかった。
「あああああああ!やっべぇええええええ!やっべえええええよぉおおおお!」
今からすぐに準備しないと間に合わない!
皆が気を遣って、誰もいなくなった部屋の中で跳ね起きた俺はプレシアが持ってきてくれた私服に着替える。
背中には『清廉潔白』の文字が書き込まれている。
…俺はこの服を着てもいいのだろうか。
「…くっ」
もう戻れないんだ。綺麗だったあの頃に…。
それから指令室で待機していた八神ファミリーとテスタロッサ一家に約束していた温泉のことを話すと…。
「私も行きたい」
と、なのはを皮切りに…。
「僕も行きたい!」
偶然そこに居合わせたマテリアル達。彼女達の代表レヴィ。
「マテリアルの皆が行くなら私達もよねー」
「スフィアが無くなったとはいえ、何かあったら大変ですからね。念のためあの強大な回復の力を持つ『傷だらけの獅子』には傍にいてもらわないと…」
「皆が行くなら私も行きたい。ね、アインハルトさん」
「え、えーと…」
「トーマ、温泉楽しみだね」
「まぁ、確かに今回のことで疲れたからさっぱりしたいけど…」
あれ、いつの間にか大人数に?
俺、そんなにお金ないよ?
管理局が激務。とはいってもこの地球がある世界周辺の調査やアースラの修理で結構なお金を貰っているけどこれだけの大人数は無理。
それを感じ取ったのかクロノとリンディさんが祝勝会と評して他のメンバーの分を出してくれることになった。
アリサ視点。
結構な人数になったけどまた皆で温泉に来れたのは正直嬉しい。
それに…。
初めて好きになった男の子との旅行は嬉しいし…。
だけど、その男の子は…。
「…ふぅううう。心の傷にも効くのかな、ここの温泉」
目の前にいる彼は誰よりも癒しを求めていた。
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