朝食を食べ終えた僕は、その足で、練闘場へと向かった。
理由はもちろん、賈駆ちゃんが出した条件を達成するためだ。
練闘場とは、董卓軍が使う訓練場のようなものだと、一刀君から説明された。
成程。ここなら思う存分、軍馬を手懐けることが出来るな。
広さも十分だし、これならいけるんじゃないかと僕は思う。
だが、武器である『無銘』は渡された。
武器なんか持ってたら、逆に刺激して手懐けられないんじゃないかと思ったが、
董卓ちゃんを含め、全員が無理に鬼気迫る表情で押し付けてきて、
しょうがなく持ってきた。
そして、練闘場の扉を開け、僕は、一歩を踏み出した。
入った瞬間、恐ろしい程の殺気を感じた。
問題の軍馬はまだいないというのに。
何だ、この殺気は?
そんなことを考えていると、賈駆ちゃんの声が練闘場に響く。
「いいかしら、高順?」
分かりきったことを、と思う。
「いつでも」
僕は答える。
「後始末が面倒くさいから、なるべく死なないように」
「詠、そんな事言うなって……」
一刀君が慌ててるのが分かる。
「じゃ、そういうことで」
「……はいはい」
さて、一丁。
「行ってみるか」
僕は呟き、いずれ僕の騎馬になる『軍馬』を、待った。
体をほぐしながら、賈駆ちゃんの言葉を待つ。
「……高順……」
「恋ちゃん?どうしたんだい?」
賈詡ちゃんではなく、恋ちゃんが僕に話しかけてきた。
「……準備が出来たみたい。すぐにでも、そっちに行くと思う……」
「そうか、ありがとう」
ようやくか。準備は万全だ。
「……ちなみに、今日は特別、機嫌が悪い……」
最悪だ、畜生。
「……約束を、忘れないで、高順。
恋は、高順を信じてるから……」
「さっきも言ったように、努力はしてみるよ」
その努力が報われるかは知らないけど。
「……うん……」
その言葉を断ち切るように、向こうの扉から問題の『軍馬』が、
ギィギィと軋む扉を進み、入ってきた。
ソレは、圧倒的だった。
まず、目を見張るのは、その大きさ。
僕が昨夜、恋ちゃんに案内してもらって見ていた軍馬達とは、明らかに違う。
錯覚かもしれないが、一回り大きいように感じる。
半端じゃないのだ。大きさが。
しかも、全体の色が黒ときてるから威圧感も半端じゃない。
ヤバイ。
ヤバイ。
これはヤバイ。
僕の頭が、危険信号を告げている。
董卓ちゃん達が必死に止めてきた理由を、今更になって理解した。
武器を持たせてくれた理由も。
コイツは、手懐けるとかそういうレベルじゃないぞ。
さぁ、どうするかな。
平成を装う、ように努力する。
その時。
空気が、割れた。
「ガァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ
ァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!」
野獣のような咆哮を上げ。
僕に向かって、跳躍してきた。
『死』が、僕に、迫ってきた。
なかなか投稿できず、待っていただいている皆さん。
本当にごめんなさい。
コメントや、応援メッセージをくださる皆さん、ありがとうございます。
これからもよろしくお願いします。
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第二十六話です。