清隆たちはデンライナーに乗り、芽衣たちのいる時代に到着。
幸太郎に未来の初音島を任せ、現在アジトとなる古びた店舗に来ていた。
バー・マーチ
ここがセリスたちの拠点となるアジト。
ずっと使われていなかったのか埃が溜まっていた。
軽く掃除をしているとシャルロットが未開封のウイスキーを発見。
「・・ねえ、セリス。これ封が空いてないから大丈夫だと思うけどどうかな?」
「あら、良いものじゃない。封が空いてないならたぶん大丈夫でしょ。それで乾杯しましょうか。」
「わかったよ。マドカ、グラス取って。」
シャルロットはウイスキーを開け、大人組にウイスキーの入ったグラスを回す。
「タカくん、私たちも♪」
「はいはい、ルル姉。グラス出すくらいしてくれよ。」
「兄さん、手伝います。」
未成年の清隆たちはここに来る前に買っておいたジュースの入ったグラスを回す。
「それじゃみんなで頑張りましょう、乾杯!」
「「「乾杯!」」
セリスの音頭でグラスの音が響き渡る。
大人組のテーブル
一夏とセリスはロック、シャルロットとマドカは水割りで飲んでいた。
「くぅ~、美味いな。」
「お酒なんて久しぶりね。特にこうしてみんなで飲むってことは本当に久しぶりよ。」
「確かに。みんな忙しかったからね。」
「ああ、やはりこういう場で飲む酒は美味いな。」
時間が取れず、こうして飲むのは久しぶりらしい。
仕事等に忙しく、なかなか時間が取れなくなった影響で集まる機会が減った。
なのでこういう場で飲む酒は本当に美味しかった。
公式新聞部のテーブル
清隆たちは簡単ではあるがこの時代についての話をする。
「この時代の情勢はどうなのかな?」
「俺たちがいた未来はBSAAを始めとしたいろんな人が頑張ってくれたおかげで男女平等になりました。この時代はまだ女性が偉いと思っている人がかなりいると思います。」
「・・そうですね、さっきも見ましたが男女が言い争っていると近くを通った女性警官に男の人が問答無用で連行されてました。」
「そういう意味ではタカくんは少し警戒した方がいいかもしれないよ。」
現在の実情を見て、心を痛めていた。
未来で何があったかまだ言えないが委員会は壊滅、男女平等の世の中になっている。
(ルル姉や立夏さんたちにも気を配らないといけないな。)
清隆は公式新聞部の面々のルックスはかなり高いと思っているので何をされるかわからない事に不安を感じていた。
少ししてセリスが切り出す。
「とりあえず役割決めないと。一夏とシャル、マドカはこの時代にいるから偽名を使った方がいいわね。」
「確かにね、織斑一夏やシャルロット・デュノアが二人いたら混乱するだろうし。」
セリスの言葉にシャルロットが同意。
サジタリウスとの最後の戦いから十年経ち、少年少女から大人になっているとはいえ、織斑一夏が二人いれば混乱すること間違いなしだ。
「なら俺は刹那・F・セイエイと名乗る。」
「私はマリー・パーファシーと名乗るよ。」
「なら私はアニュー・リターナーと名乗るか。」
「じゃああたしは久しぶりにロックオン・ストラトスで行こうかな。さて、どう動くか決めないとね。」
各々がコードネームを決めた所で役割を決める話に移行。
「それならセリスさん、俺たち公式新聞部は手分けして情報収集します。」
「そうね、ならだれがどこへ行くかはそっちで話しておいてね。あとこれからはあたしの事をロックオンって呼んで。一夏たちの名前もコードネームみたいなものだから。」
「わかりました。」
公式新聞部の面々は話し合いを始める。
「ティアはIS委員会や各世界政府にハッキング、この世界のIS事情や世界情勢を調べて。」
「オッケー、任せて♪この世界のIS委員会の連中に束さん直伝のハッキングを披露するよ♪」
セリスたちの世界のIS事情は束の目指した宇宙開発へと路線を戻し、アイルランドは頃合いを見てIS委員会が作り出し、無毒化した疑似太陽炉製作技術を全世界に公開。
さらに束にしか作れなかったISコア製作技術もフォーゼの最後の戦いの後に目を覚ました束が技術を公表、現在は千冬と共に白騎士事件の重要参考人として拘束されているが人とふれ合い、人見知りが改善されつつある。
コアを製造するには様々な検査をクリア、さらに製造施設の見取り図や使用する機械等細かい規定をクリアしないと製造方法を教えてもらえず、もし悪用するものならその施設を徹底的に破壊するという規定が制定されている。
人類は男女分け隔てなく手を取り合い、星が煌めく未開の宇宙へと飛び立った。
それでも反抗勢力は存在するもので千冬やISの狂信者たちや前世論派がISを用いて歪みの元凶・・IS委員会の後に発足した宇宙開発委員会に襲撃をかけようとしたが一夏・・刹那たちが立て籠っているアジトを襲撃したりして事前に防いでいる。
「さて、この世界の一夏はどんな人間かしらね?」
そう言ったセリス・・ロックオンの顔は少し楽しそうだった。
翌日
清隆たちは情報集めと過去の情勢を知るために別れて行動、少しして落ち合う約束をした。
行動資金はロックオンが出してくれた。
ある程度情報が集まった所で近くの店に向かう。
「時間もちょうどいいしお昼ご飯はここで食べましょう。」
「では兄さんたちにメールしておきますね。」
立夏たちが入ったのはレストラン・タチバナだった。
「いらっしゃ~い♪」
「あとで三人来ますけど大丈夫ですか?」
「大丈夫ですよ、ではこちらへどうぞ♪」
雪の案内で席に着く立夏たち。
隣のテーブルには話を聞くためにやって来た昴たちがいた。
「あややまだかな?」
「こら真帆、今お客さんもいるから抜けられないでしょ。」
「そういえばテスターでもあるんですよね。今回新作のケーキができたから意見が聞きたいとか。」
「お~、楽しみ~。」
昴たちがこんな話をしている間に清隆たちが合流、立夏たちの席に着く。
少しして雪が伝票を持ってやって来た。
「失礼します、ご注文はお決まりですか?」
「今日のおすすめはなんですか?」
「自家製厚切りベーコンのグリルとハンバーグかオムライスのセットになります。どちらもサラダと本日のスープが付きます。ハンバーグの方なら自家製パンまたはライスが付きます。ちなみに本日のスープはミネストローネです。」
「へぇ、美味しそう♪」
六人いるので三人ずつおすすめを注文することに。
「確認します、おすすめでハンバーグの自家製パンセットとオムライスがそれぞれ三人前ずつ。以上でよろしいでしょうか?」
「はい。」
注文を書いた紙を持って厨房に向かう雪。
「おじさん、あやや!おすすめ六つ!ハンバーグはパンでオムライス三つずつね!」
「オッケー♪」
「了解!雪、表の看板下ろしといてくれ!」
「はいはい。」
雪は表の看板を下ろしてcloseにする。
清隆たちがランチタイム最後のお客だったようだ。
各々が得た情報を交換する。
「ふう、みんな成果はどうだった?」
「セリスさん・・ロックオンさんがいた世界とこの時代は結構違いますね。」
「世界各地でバイオテロが起こってる。そしてそれを治めるためにBSAAが動いてます。」
「IS委員会とBSAAは対立寸前みたいです。この前学園祭で襲撃があったのに警備は全く動かず、仮面ライダーやBSAAが率先して動いたみたいです。その事で委員会は会見で最重要任務の途中だったからそれに人数を割けないと言ってました。」
「その襲撃した集団もガナードと呼ばれる物を投入、ガナードを操っていた人もISを纏っていました。その混乱を突いて別の集団も襲撃してきましたが何もしなかったそうです。」
「・・さらに仮面ライダーは捕獲対象でその為なら人質や殺人も許されるみたいです。」
「そんな・・。」
委員会は全く動かなかった理由を最重要任務と言うことで誤魔化した。
さらに仮面ライダーを捕獲するためなら人質や殺人をも許されるという事実にシャルルたちは絶句。
立夏たちはこの時代に存在しない未来人・・特に清隆は仮面ライダーアクアだと知られてしまえば狙われる可能性がある。
だがこの事でIS委員会に対して疑問が浮上してきた。
人命を無視してまで行う最重要任務とは何なのか、そして人命を軽く見ているのではないのかと。
こんな話をしていると料理が運ばれてくる。
「お待たせしました、本日のおすすめです。」
「ごゆっくり♪」
「料理も来たから一旦切り上げましょ。」
「立夏さん・・。そうですね。」
「わぁ美味しそう♪いただきまーす♪」
パンは焼きたての香ばしい匂いが食欲をそそり、ハンバーグは肉汁があふれ、オムライスはチキンライスの上にトロトロオムレツが乗っていてそれを割ると見事な半熟でチキンライスを覆った。
また自家製ベーコンも食べ答えが充分で六人の胃袋は大満足だ。
食事を済ませ、満足した六人。
会計をしようと立ち上がったその時、テーブルに六人分の紅茶とメニューにないケーキが運ばれてくる。
「あの、これは?注文してないんですが・・。」
「あなたたちさっき仮面ライダーの話をしていたでしょ?隣にいる子たちもそうなんだよ。一緒にお話しない?ちなみにこれは試作のロールケーキでお代はいらないから・・ね♪」
「君も仮面ライダーでしょ、だから聞いてほしいの。」
「・・わかりました。テーブル寄せますね。」
というわけで清隆たちはテーブルを寄せて昴たちと話をすることに。
まずは自己紹介から。
「俺は長谷川昴。この子たち女バスのコーチで魔法使い・・仮面ライダーウィザードだ。」
「ふんふん、今を生きる魔法使いライダー!最初からいいネタだわ!」
立夏は目を輝かせてメモに取っていた。
ゆくゆくはこの時代の仮面ライダーと接触したいと思っていた。
それがこんなに早く実現するとは思っていなかったようだ。
「私は橘綾。このお店の見習いシェフで魔法使い・・仮面ライダービーストだよ。今日はあとで新作のロールケーキの感想聞かせてね♪」
「俺は芳乃清隆。仮面ライダーアクアです。未来から来ました。」
未来の仮面ライダーと魔法使いが話をしている頃・・。
「(まさか箒がガタックなんてね。世界が違うと装着者も変わるってわかってたつもりだけどこれは予想外だわ。)あたしはあの人を助けただけなのに襲って来るなんてどういうつもりかしら?」
「バ、バカな・・!クロックアップが通用しない・・!?しかも女だと・・!?朔田流星ではないのか!?情報ではそう書いてあったはず・・!」
「悪いわね。あたしは十年以上メテオをやってるし、クロックアップの対応も熟知してるの。(朔田流星・・この世界のメテオ。ということはフォーゼは如月弦太郎で間違いないわね。)」
ロックオンはメテオとなって襲われていた男性を救出、ドーパントを撃破したあと箒が現れ変身、襲いかかって来た。
「あたしはあんたみたいに一朝一夕の遊び半分で仮面ライダーごっこをやってるわけじゃないわ。」
「仮面ライダーごっこだと・・!」
ガタックはメテオを睨むがメテオは怯むことなく腰に手を当てている。
箒はガタックの本来の適合者ではなく、財団Xの手によって無理やり従わせているにすぎない。
対するロックオンは学園時代からメテオとして戦っていて首領のサジタリウスを始めとしたホロスコープスや宇宙鉄人キョーダイン、セリスの世界のウィザード・・操真晴人やフォーゼであるシャルロットらと共闘したこともあり、かなりの数の修羅場を潜り抜けてきた。
ロックオン自身の高い身体能力と空間認識能力が相まってメテオの力を最大限に引き出していて、サバーニャ操者引退後も前世論派等と戦い続けた経験が彼女をさらに強くしている。
「あんたはクロックアップに頼りすぎ。確かに超高速移動ができるのはいいわよ。だけどね、それに対応できるライダーや敵もいるわけ。・・たぶんあんたは強い敵と戦った事がない、もっと言えば自分の命を懸けた戦いを全くやった事がない。違わないかしら?」
「・・・。」
メテオの推測にガタックは黙るしか出来なかった。
それもそうだ、今まで戦ったのは訓練用に作られた怪人たちのみ。
己の命を懸けた事などなかった。
メテオは己の感覚を強化してクロックアップやファイズアクセルを見切り、引きずり出す事が可能。
他にカブト・ハイパーフォームはクロックアップを越え、時空をも越えられるハイパークロックアップが使えるし、オーズ・スーパータトバコンボは時間を止められるのでいかに早く動けても時を止めてしまえば関係ない。
先程もメテオギャラクシーの技の一つ・ジュピターハンマーをタイミングよく当てて引きずり出した。
「ま、自分に足りないものが何なのか少し頭を冷やして考えるといいわ。それがわかったとき、また戦って上げる。」
メテオはガタックに背を向けて歩き出す。
それに屈辱を感じたガタックは力を振り絞って立ち上がる。
「なめるな・・!私は負けるわけにはいかないんだ!一夏を手にいれるために!凰や天海たちを殺すその日まで!」
ガタックは両肩のカリバーを手に取りクロスさせる。
「・・ライダーカッティング!」
(ライダーカッティング!)
カリバーにエネルギーが行き渡り、メテオを挟み込もうと走り出す。
「死ね!」
「・・はぁ。(結局一夏絡みか・・。)」
(ファイヤー・オン・レディ?)
メテオはため息を吐きつつマリーから借りているファイヤーとメテオを交換しながら宙返りをしてガタックのライダーカッティングを回避。
「何だと!?」
「・・呆れるわね。」
メテオはそのまま話始め、ガタックは後ろを向いたまま避けたメテオに恐怖する。
「・・勧告を無視してあたしに必殺技を仕掛けたという事は・・倒される覚悟はできてる証拠と判断、排除する。」
「あ、ああ・・。」
メテオはプレッシャーを放ちながらドライブユニットを回転させる。
(ファイヤー・リミットブレイク!)
「・・ホアタァ!」
「ぐはっ・・!」
ガタックに炎を纏った飛び蹴りの必殺技・ファイヤーストライクを叩き込む。
ガタックは吹き飛び、変身が解ける。
「あんたはガタックの10%の力も引き出してない。・・三岸みたいなのはともかく、無理やり従わせても力を引き出せる訳ないわ。言っとくけど、あたしは10・・いや5%しか力を出してない。あんたみたいなのに本気モードや呪縛を使うのはもったいない。・・もう行くわ。あんたと話をしている時間もムダだし。」
メテオは近くのビルに向かって高く跳躍、あっという間に姿が消える。
「くそぉ!仮面ライダーメテオ!貴様とオーズは必ず私が倒す!」
箒は涙を流しながら打倒メテオたちを誓う。
レストラン・タチバナ
「・・これが私の戦う理由かな。」
「そうですか・・。」
「・・綾さんはスゴいです。雪さんの両親を見つけるために自分の命を賭けるなんて・・。」
綾がビーストの力を身に付けたのは久しぶりに山を登り、足を滑らせて転落した先が遺跡。
そこへグールが現れ応戦するも歯が立たず絶体絶命のピンチの時にドライバーから声が聞こえ、導かれるままに装着。
ビーストキマイラから力を貸す変わりに魔力を摂取しないと死ぬ事を伝えられる。
そこで始めてビーストとなり戦った。
「私は思ったんだ。キマイラがビーストの力を与えてくれたのは意味があることなのかもしれないって。この力があればゆきりんの両親が見つけられるかもしれないっていう希望ができたから。ゆきりんにはい~っぱい助けてもらったから恩返しの意味も込めて戦う。これが私の戦う理由。」
そう言った綾は笑顔だった。
外から男女の悲鳴が聞こえてきた。
「悲鳴!?」
「行こっ!長谷川くん!お父さん、行ってきます!」
「はいっ!」
昴たちが勢いよく立ち上がって店を出る。
一番最後に出た智花とコヨミに今時の若い男性が話し掛ける。
「やあ、可愛らしいお嬢さんたち。」
「あなたは・・。この感じ・・ファントム!?」
「え!?」
目の前の男性はファントムらしい。
コヨミと智花が警戒心を強めるが男性は笑いながらあるものを取り出す。
「ああ、そんなに警戒しなくてもいいよ。これを魔法使いに渡して欲しくてね。」
「これって・・魔法石!?」
「え!?これがそうなんですか!?」
受け取ったのは黄色の魔法石で二人は驚きの声を上げる。
「確かに渡したよ。じゃあね♪」
男性は人間では考えられない跳躍であっという間に姿を消す。
「どうしてファントムが魔法石を・・?」
「コヨミさん、とにかく今は葵さんにそれを届けましょう!」
「・・そうね、智花の言うとおり葵の所へ渡しに行きましょう。」
智花は紗季たちにメールして葵の家に行くと伝えてコヨミと共に葵の家へ魔法石を届けに行く。
メテオがガタックを圧倒。
メテオは己の感覚を研ぎ澄ませる事でクロックアップやファイズアクセルを引きずり出せます。
ガタックが本気に対してメテオは余裕綽々でした。
やはり経験の差がメテオの強さを生み出しています。
綾が戦う理由は雪の為。
次は戦い。
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公式新聞部の情報収集。
綾の戦う理由。
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