No.526855

学園の守護者~白騎士事件編~第二話

BarrettM82さん

本編より十年前に起きISを一躍に有名にさせた事件、それが『白騎士事件』だった。日本に向け発射されたミサイル、その数は二千三百発以上。
この世界の日本の国の国防を担う『国防軍』やその他の組織の最前線で戦う男達、そしてこの国最後の男性首相直井慎三を中心に描いた作品。

2013-01-02 21:25:46 投稿 / 全2ページ    総閲覧数:1221   閲覧ユーザー数:1093

第二話 接触

 

二機のF-4A『疾風』は空軍長官直々の命令で“未確認飛行物体”が飛行している秋田県沖に向かっていた。

室伏大尉はAWACSの指示を受けながら二機編隊で飛行していると多機能レーダーに一個の光点が現れた。

 

「こちらイーグル3、目標を捕捉した。これから追跡を開始する。」

 

《こちらアスター1、了解。くれぐれも注意して接近せよ。》

 

「了解。」

 

操縦桿を傾け左旋回しつつ少し上昇して未確認飛行物体と同高度を維持して、後方から接近する。

雲を抜けレーダーが探知した方向に顔を向けると目を見開いた。

そこには人型の機体が高速で飛行していた。

 

「なんだあれは?」

 

《もしかしてあれは・・・・IS!》

 

すると後方を飛んでいる部下のパイロットが言った。

 

「IS?なんだそれ。」

 

《まえに読んだ航空雑誌に載っていたのですが『宇宙空間での活動を想定し、開発されたマルチフォーム・スーツ』だと紹介されていました。ですがたった1ページ分の記事であまり詳しい事は分かりません。》

 

「とにかく報告しなければな。こちらイーグル3、未確認飛行物体をISと認める。」

 

《IS?・・・とにかく防空司令部に報告する。引き続き追跡せよ。》

 

「了解・・・な!」

 

すると突然ISが急上昇した。

すぐに室伏大尉と部下は操縦桿を引き、二機のF-4A『疾風』も急上昇を行う。

だがISは既存の戦闘機を越える速さで上昇して行く。

エンジン出力を最大にして追跡するが、機体は徐々に推力を失っていき高度一五〇〇mmを越えた時失速した。

室伏大尉は機体を必死に制御して失速から抜け出して水平飛行に移ると空が光った。

見上げると空が点滅しているのに気付いた。

 

「こちらイーグル3、ISは我が機の実用上昇限度を越えた遥か上空に上がりました。」

 

《こちらアスター1、追跡を中止して帰還せよ。ISは接近している弾道誘導弾を迎撃している、邪魔はよそう。》

 

「そうだな、イーグル3、4はRTB(基地へ帰還する)する。」

 

その頃、報告を聞いた直井首相は文部科学省の研究開発局の担当者からテレビ電話を介して説明を受けていた。

担当者は緊張した面持ちで首相に説明を行った。

 

《IS『インフィニット・ストラトス』は篠ノ之束博士が開発したマルチフォーム・スーツと呼ばれるものです。これは宇宙空間での活動を目的とした機体であり、シールドなるものが有害な宇宙線をカットするそうです。》

 

「それで終わりか?」

 

《すみません、内容が突拍子もないことだったので無名の研究者が金集めの為のパフォーマンスだと思い調査はしていませんでした。》

 

「説明御苦労。国防大臣、現状は?」

 

テレビ電話を切ると国防大臣に現状を聞くと、立ち上がって報告を行った。

 

「現在大韓帝国並びに中国から飛来した巡航誘導弾はすべて迎撃して、弾道誘導弾の迎撃に全力を注いでいます。」

 

「それで被害状況は、総務大臣。」

 

「はい、消防庁が確認したところでは全国で百人が死亡二千人が重軽傷を負い各地の病院に搬送されました。」

 

「想定より少ないな、これもISのお陰か。」

 

するとスピーカーから放送が流れた。

 

《午前九時四十五分、全誘導弾の撃墜を確認しました。》

 

すると会議室には安堵のため息と喜びの声が上がった。

そんな中空軍長官は士官から一枚の紙を受け取った。

 

「首相、ISについて続報があります。」

 

「なんだ?」

 

「ISは高度百万mの熱圏で国防海軍の艦艇と共同で弾道誘導弾を迎撃したあと、対馬沖でレーダーからロストしました。」

 

「ISというのはそんな空間でも戦える物なのか・・・これは新たな迎撃システムのひとつに組み込めば鉄壁の防空が出来るのか?」

 

「はい、単機で半数の弾道誘導弾は迎撃しました。あと全国の自治体が被害確認中です。」

 

「わかった。ISの開発者篠ノ之博士を探し出して、ISについて詳細を聞き出して欲しい。」

 

「よし、すぐに会見を開き終息宣言をしよう。」

 

直井首相は国防省内にある会議室にマスコミ各社を集めて会見を開いた。

全世界から二千三百発以上の誘導弾が発射されたこと、そしてそれらをすべて迎撃したことを伝えた後に被害情報を伝えた後、終息宣言を出した。

全国で警報が解除されて核シェルターや地下鉄の構内などに閉じ篭っていた人々は自宅へ帰ることができた。

マスコミは日本の高度な迎撃力を有している事を一斉に報道して、報道番組に出た専門家らは日本の弾道誘導弾迎撃システムを見直したことを伝える発言が放送された。

この時直井首相はISの存在については公表せずに会見を終了した。

直井首相の考えではこのISという“新兵器”を知った世界がそれを巡って日本に対してなにか要求や軍事行動を行うことを危惧した。

その前に開発者を拘束して自分の手元に置き、この国の迎撃システムのひとつに組み込もうと日本の諜報機関を総動員したが、その努力は報われなかった。

翌日に篠ノ之束が突然現れてマスコミを集めると、今回の事件でIS『白騎士』が半数の弾道誘導弾を迎撃したと公表した。

証拠としてISに搭載されたカメラが録画した戦闘シーンやいつの間にかに盗まれた米海軍と日本国防軍のレーダー画面、そしてレーダーサイト並びにAWACSや追跡した戦闘機の間の通信と最初に探知した米海軍の混乱した通信内容が公表されてISが迎撃した事が信じられた。

その十二時間後に首相はすぐに会見を開き事実を述べた。

 

「よくもまあやってくれたな。」

 

会見が終わると首相は総理官邸の執務室に戻ると、ホットラインがなった。

このホットラインは同盟国であるアメリカの大統領官邸、通称『ホワイトハウス』と繋がっていた。

 

「大統領、ISの件ですか?」

 

「そうです、直井首相。率直に聞いてあれは貴国の新兵器ですか?」

 

「いいえ、一人の女性研究者が作った宇宙服らしいです。正直驚かされましたよ、あの人型の機体で戦闘機を越える速度を宇宙空間で飛行して千発以上の弾道ミサイルを迎撃したことには、それに搭乗者は女性であることも。」

 

「我々も驚かされましたよ。あんな“兵器”が日本にあることが、それで日本政府は関係ないと?」

 

「そうですが大統領、それがなにか?」

 

「現在我が国は太平洋艦隊の全戦力を日本近海に送りました。我々は日米安保に基づいて“テロリスト”を貴国の軍隊『国防軍』と共同で排除しようと思います。」

 

「ど、どういうことですか!」

 

「先ほど国連の安保理を開き全会一致で『大量破壊兵器ISの破壊措置』が可決されました。それで貴国にも日米安保に基づいて国連軍の元で一緒に共同作戦を行いたいと思います。国連軍には常任理事国の他にアジア諸国やEU諸国も参戦することが分かりました。」

 

「・・・もしそれを断った場合は?」

 

直井首相は恐る恐る聞くとアメリカ大統領は明るく答えた。

 

「日本政府には関係はないはずですが?一応我が国では“テロ支援国家”に認定いたします。」

 

テロ支援国家になれば、数々の経済制裁最悪国際戦争になるかもしれなかった。

 

「少し時間をください。」

 

「いいでしょう、一ヶ月上げますので。」

 

受話器を置くと机に頭をぶつけた。

 

「アメリカを信じた俺がバカだった。」

 

首相は即断出来ず、時間を貰うと閣僚会議を開いて会議を行った。

この会議では閣僚が徹底抗戦派と和解・参戦派に分かれて会議が数日間続き、さらに国会でも論争になり国民の間でも議論になった。

それから三週間後、篠ノ之束は再びマスコミの前に出て決戦場所を一ヵ月後の東シナ海とした。

その頃には閣僚全員がISより国の保護の考えに回って参戦を決意して国連に宣言した。

国民からは非難され支持を落としたが、直井首相は国民の保護を優先したことを伝えて説得した。

この頃首相の指示で国防省は海軍の赤城級空母二隻を長期修理という名目でドックに入れ、他の艦艇もドック入りさせて国連軍に出せる艦艇を少なく報告して、戦艦『信濃』を含む特別編成の艦隊を国連軍の指揮下に入れた。

艦隊は戦艦『信濃』を旗艦として防空駆逐艦が三隻と汎用駆逐艦五隻、そして補給艦一隻の編成で東シナ海に送り出すことに決定した。

【後書き】

 

少し量は少なめですが次話はIS『白騎士』VS国連軍艦隊です。

楽しみにして欲しいですが、この冬休みに中か最大でも二年生の内に終わらせて受験体勢に入りたいと思います。

それまでにどこまで書けるかはわかりませんが、頑張ります。


 
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