第百五十六技 影を追え
シャインSide
昨日、キリト達と一緒に『始まりの街』に行き、
今日はティアと二人でジョニー・ブラックが今までPKを行ってきた場所とPKをしたと噂される場所、
あいつが現れたことがある場所へ行ってみることになり、既にいくつかの場所に行ってきた。
結果は全部ハズレだ。
「ホントに出てくんのかねぇ、あいつは…」
「そうですね……でも、こればかりはやってみるしか分かりませんよ?」
「だよなぁ…。とりあえず、メシにするか」
「そうしましょう」
俺達は『アルゲード』のある『思ひ出亭』に向かった。店の中に入ると、マスターが迎えてくれた。
「いらっしゃい、シャイン君、ティアさん」
「ども、ここで食べさせてもらっていいですか?」
「どうぞ。いまは外で食べるのは控えた方がいいですからね」
「ありがとうございます」
マスターが快諾してくれたので俺達はカウンター席に座った。
ティアはウインドウを開き、アイテムストレージからバスケットを取り出し、
中から包み紙で包んだ食べ物を手渡してきた。
「アスナさんからレシピを教えてもらったんです。マスターさんもよろしければ…」
「では、お言葉に甘えて…」
俺とマスターは包み紙を剥がしてみた。中身はバゲットサンドだった。
早速かぶりついて食べてみると、美味いのなんの。マスターも驚いているのが分かる。
三人で談笑を加えながら食事をし、食べ終えた。
そこで俺は
「んで、ジョニーがPKをした場所で最近目撃情報があった場所ってわかります?」
「勿論です。ただ、目撃情報があった場所よりも、
私が予測した次に現れるかもしれないところへ行ってみては如何ですか?」
その言葉に俺とティアは目を見開いた。まさか、奴の行動を予測できるとは思わなかった。
「まぁ、彼らが公表したこの前の公開処刑さながらの写真。PoHはいつもの謳い文句を述べていました。
それを読んで攻略組は当然ながら彼らを野放しにはしないでしょう。
それならばあとは簡単、再び討伐戦が行われても過言ではない。
そしてジョニーの癖を考えると彼は現れるでしょう……前回討伐戦が行われた場所に…」
「っ、そうか…なら奴は!」
「ええ、間違いなく…」
マスターの予測した場所、それは『ラフコフ討伐戦』が行われた場所。俺もティアも確信を得た。
俺達はマスターに礼を告げると、一応喫茶店の使用料を払い(遠慮したが無理矢理渡した)、
討伐戦が行われた層へと向かった。
シャインSide Out
ティアSide
討伐戦が行われた層に着いた私とシャインは、すぐさま圏外へと出ました。
すぐ近くにある廃墟の陰に隠れ、念の為に《隠蔽》スキルを行使しながら、
アイテムストレージから≪ペルソナ≫と漆黒のフード付きローブを取り出し、装備しました。
「ティア、《隠者》があるっていっても気を抜くなよ。危なくなったらすぐに逃げろ」
「はい、了解です。シャインもお気を付けて…」
少しばかり心配性な彼が私に言葉を掛けてくれる。
それが嬉しいと思うのは、愛しているが故ということでしょうね。
かくいうシャインも、囮を演じるべく別ルートから向かうのですけど。
「それじゃあ……頼むぞ、『
「ご武運を祈ります、『
私はシャインから離れ、ここから少し離れた廃墟広場へと向かいました。
周囲を警戒しながら移動した結果、十分ほどして廃墟広場に辿り着きました。
しかし、広場には誰もおらず、《索敵》を使用しても反応がありません。
広場や廃墟群の中をしばらく調べていると……反応がありました。
「はぁ~、ヘッドってば、いつになったら始めんのかな~。殺し足りないんだけどなぁ」
相変わらずの子供のような喋り口調のジョニー・ブラックが現れました。
いま来たところという感じですね。奴の後を追いかけてみることにしましょう。
それにしても《隠者》は便利ですね……移動中でも《隠蔽》の力を上昇させるだけではなく、
移動中の《隠蔽》の効果適用もできるのですから。
と、そんなことよりも、奴はどこに向かっているのでしょうか?
そのまま後をつけてみると、ある場所で止まりました。物陰に隠れながら様子を窺いましょう。
「んん~~~。やっぱいいねぇ、ここは。あの斬った感触を思い出せる!」
奴が止まった場所は、討伐戦の中心部だったところでした。
それにしても、趣味が悪いです……人を斬ったところにきて、それを思いだし、悦に浸るなんて…。
その時でした。
「さ~てぇ、いつまで隠れてんのさ?でてきなよ」
「!?」
まさか、気付かれている!? ですが、そんなはずは!?
「そこに居るのは、分かってんだよ!」
「………」
奴が指差した方向は……私がいるところと正反対の方向でした。
思わずツッコミを入れたくなりますね…。
「というのは冗談で~……こっちだ!」
今度は私がいるところに向けて指差しました。今度こそバレましたか!?しかし…、
「じゃなくて、こっち!………いや、やっぱこっちか?」
どうやら適当にやっているだけみたいですね、心配して損しました。が、その時。
「ふざけんのもこんくらいにしてぇ~……こっこだよな!」
「!?」
奴は身を翻し、私がいるところも含めて縦横無尽に麻痺毒の塗ってあるダガーを振り回し始めました。
突然の行動に、思わずバランスを崩してしまい、その結果、
「おうおうおう、ど~もども……『暗殺者』さん♪」
見つかってしまいました。
ティアSide Out
To be continued……
後書きです。
ついにジョニー・ブラックと遭遇、ティアは一体どうするのか・・・。
何故《隠蔽》に加えて《隠者》まで発動しているティアがバレたのかは、次回で明かします。
それでは・・・・・・。
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第百五十六話です。
今回の話しは、前回の話しで得た情報から、行動を起こします。
では、どうぞ・・・。