第百五十五技 蠢く悪意
キリトSide
「ラフコフ討伐戦以来だな………ザザ…」
俺が奴の名を呼ぶと、顔を上げ、俺に対して明確な殺意をぶつけてきた。
相も変わらず仮面を着けている。
「久しぶり、だな、キリト。俺に、なにかよう、か?」
そして相変わらずの擦過音が混じった声で喋ってくる。
「なぁに、PoHとジョニー・ブラックが祭りを起こそうとしているみたいなんでな。
捕まっているとはいえ、お前にも情報が来てるんじゃないかと考えたんだ」
「そういえば、昨日来た奴も、そんなことを、言っていたな」
一応シンカーの話しは聞いていたみたいだな。
だが、その時にリアクションを起こしていないということは何も知らないのだろう。
「生憎と、俺は何も知らない」
「そうか、それな「ただ…」なんだ?」
「ヘッドはともかく、ジョニーなら、一度誰かを殺した場所に、いくかもな」
「随分と口が軽いな。なんか企んでるのか?」
そんな情報を言ってくるザザ。
こいつが何を考えているのか分からない以上、言う通りにするのは信用ならないな。
「信じる、信じないは、お前の勝手だ。俺は、捕まってくれた方が、都合がいい」
「都合がいい、だと…?」
「ここにいれば、死ぬ事はない。あとは、お前らがクリアして、くれれば、リアルに帰れる。そこで、ハジメを殺す」
まさか、ここまでの執念とはな…。
「そのためには、PoHやジョニーが必要、と?」
俺の問いにザザは気味の悪い笑みを放った。
とにかくこれ以上の手掛かりは望めないだろうな。俺は身を翻して扉に手を掛ける、そこで、
「精々、生き延びるん、だな…」
奴はそう言った。俺はそのまま扉を開き、部屋の外に出た。
扉を閉めた俺にアスナが歩み寄った。
「キリトくん、大丈夫だった?」
「ああ、大丈夫だよ」
俺の身を案じるアスナに優しく返答しておく。
「んで、なにか掴めたか?」
「さすがにここで話すわけにはいかない。シンカーさん…」
「うん、俺の執務室で聞きましょう」
訊ねてくるシャインに俺は言葉を濁し、シンカーさんに視線を向け彼の案に頼ることにした。
扉の鍵を厳重に掛け直し、俺達は『黒鉄宮』の外に出た。
そのままシンカーさんの執務室に入り、用意された椅子に座る。
「それで、どうでしたか?」
「正直なところ、あいつの執念深さを知りましたよ」
「執念、ですか…?」
ティアさんの問いに率直な感想を言うと、ユリエールさんは疑問に思ったようだ。
「ええ、実は……………ということです」
俺が中でのことを話し終えると、みな沈黙した。
特にアスナとユリエールさんは呆然としており、シンカーさんとティアさんは困惑している。
唯一シャインだけが笑っている。
「ハジメの奴、妙なのに目を付けられたな」
「まったくだ。しかもハジメの場合は返り討ちにしかねないからなぁ…」
「そ、そんなこと言ってる場合じゃないよ~」
普通に会話をする俺とシャインに対してアスナがツッコミを入れる。
「と、とりあえず、奴からの情報だけど、信じられると思いますか?」
「俺は信用出来ると思いますよ」
「その根拠は?」
シンカーさんの問いに答えた俺に対して、ユリエールさんが訊ねる。
「簡単ですよ。奴自身は参加しなくても、場を掻き乱そうとしているのが伝わってきましたから」
「掻き乱す?」
俺の言葉に首を傾げるアスナ。俺はそれに答える。
「そう、あいつにとっては別に他のラフコフ残党が死のうが関係ないんだよ。
それはPoHとジョニーにとっても同じだ。
捕まった方が都合がいいとは言ったが、別に死んでもいいんだろうな」
俺とシャイン以外の四人は動揺している。けれど奴らはそういう思考の持ち主達だ。
当然といえば当然だろうな。とにかくこれで少しだけ情報が掴めた。
「シンカーさん、ありがとうございます。少しですが手掛かりが掴めました」
「いや、こちらこそ。みなさんも十分に気を付けてください」
俺達は頷き、『MTD』をあとにした。
『コラル』に戻った俺達はシャインとティアさんの家で話し合っている。
「ティア、俺とお前でジョニーが殺ったって場所に当たるぞ。《隠者》があれば問題無いだろ?」
「はい、貴方とならどこまででも…」
「なんか最初から決めていたみたいだけど、まぁ頼んだ」
「お二人とも気を付けて…」
「任せなって」
「お任せくださいませ」
というわけで、ジョニーが今までPKを行ったとされる場所、
そういう噂が立っている場所へはシャインとティアさんがいくことになった。
今日はこのまま終わりとなった。功を急くと仕損じることもあるからな。
俺とアスナは自宅へと帰った。
キリトSide Out
???Side
さて、残党が十五人、信者も十五人というところか…。いい感じに集まってきやがったな。
ザザがいねぇのが残念だが、特に問題はないな。
「大将、アニキがどっか行っちまったみたいなんすけど…」
「ほっとけ。どうせすぐに戻ってくる」
あいつは放浪癖があるからな。
しかも自分が殺った奴の死に場所に出向くもんだから、へまをみせなけりゃいいんだが…。
まぁ、そうなったところでどうでもいいがな。俺は楽しめればそれで構わないからな。
「俺はいつ、出向いたらいいんだ?」
「お前には祭り本番に十分暴れてもらうさ」
「ちっ、わぁったよ…」
「とにかく楽しみで仕方が無いぜ……そうだろ? キリトよぉ…」
なぁ、It’s show timeといこうぜ。
???Side Out
To be continued……
後書きです。
今回はこんな感じになりました。
オリジナルの設定として、ジョニーには一度殺しを行った場所に度々現れるというものを加えました。
そして最後の??1は皆さんご存知のラフコフ代表さんですw
さらに??2はオリキャラで、黒衣衆のある人物に関わりを持っています。
まぁ・・・噛ませ犬なんですけどねwww
それでは・・・・・・。
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第百五十五話です。
ザザと話すキリト、その内容とは・・・。
どうぞ・・・。