No.513755

ソードアート・オンライン ロスト・オブ・ライトニング 第五話 スイルベーンとすずらん亭

やぎすけさん

スイルベーンに到着

2012-11-30 23:06:24 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:2339   閲覧ユーザー数:2230

先頭をリーファとして、キリトとデュオがそれぞれ左右斜め後ろに着き、同じ速度で飛行する。

ちなみにユイは3人のスピードについて来れなくなってしまい、キリトの胸ポケットの中に入ってしまった。

やがて前方に、緑色に淡く光る巨大な尖塔群が見え始めた。

 

デュオ「お、見えてきたな。」

 

キリト「あれが・・・」

 

リーファ「うん!中央の塔の根元に着陸するよ。・・・って・・・」

 

そこまで言って、リーファはふと気づいたように飛びながらキリトとデュオの方を見る。

 

リーファ「君達、着陸(ランディング)の仕方、分かる?」

 

キリト「解りません・・・」

 

デュオ「そういえば、俺も知らないや・・・」

 

そうこう言っている間に、すでに3人の視界の半分近くは塔に占められていた。

 

リーファ「ごめん。もう遅いや。二人とも、健闘を祈るよ」

 

えへへ。と笑ったリーファが自身の翅を大きく広げ、一気に減速してキリトたちの視界から消えた。

 

キリト「そ、そんな馬鹿なあああぁぁぁ!!」

 

デュオ「ぎぃやあああぁぁぁぁぁ・・・!!」

 

キリトとデュオは叫びながら飛んでいき、そのまま塔に大の字で張りついた。

 

デュオ「下に参りま~す・・・」

 

2人の体は塔の壁から剥がれるようにして離れると、仮想の重力によって落下していった。

 

 

キリト「うっうっ、ひどいよリーファ・・・飛行恐怖症になるよ・・・」

 

ユイ「目がまわりました~」

 

風の塔の根元に落ちたキリトは、その場に倒れ込んだまま顔を上げてると、

降りてきたリーファを見た。

ユイもフラフラになっている。

 

デュオ「どうでもいいから、早く退け・・・」

 

デュオはキリトの下敷きになっており、今度は石の床に大の字に貼り付けられている。

 

キリト「あっ、悪い・・・!?」

 

キリトが退くと、デュオは体を起こしてその場に座り込んだ。

 

デュオ「危うく紙切れになるところだった・・・」

 

リーファ「まあまあ、回復してあげるから。」

 

宥めるようにリーファが声を出すと、回復スペルを唱える。

すると、ライトグリーンの光が2人を包み、HPが回復していく。

 

キリト「お、すごい。これが魔法か」

 

デュオ「どこの世界でも、魔法って言うのは便利に出来てるな。」

 

リーファ「高位の治癒魔法はウンディーネじゃないとなかなか使えないんだけどね。必須スペルだから君たちも覚えたほうがいいよ。」

 

キリト「へえ、種族によって魔法の得手不得手があるのか。スプリガンてのは何が得意なの?」

 

リーファ「トレジャーハント関連と幻惑魔法かな。どっちも戦闘には不向きなんで不人気種族ナンバーワンなんだよね。」

 

キリト「うへ、やっぱり下調べは大事だな。」

 

デュオ「だな。まあどこかで役に立つさ。」

 

キリト「どこかって・・・」

 

キリトは落ち込んで呟いてから立ち上がると、街を見渡して口を開いた。

 

キリト「ここがスイルベーンか。」

 

デュオ「結構、綺麗な街だな。」

 

リーファ「でしょ!」

 

リーファは、自分のことのように胸を張る。

すると、横から声が聞こえた

 

?「リーファちゃ~ん!!無事だったの!!」

 

声が聞こえた方に顔を向けると、黄緑色の髪の少年をぶんぶん振って走ってきていた。

 

リーファ「あ、レコン。うん、どうにかね。」

 

レコン「すごいや、アレだけの人数から逃げ延びるなんてさすがリーファちゃん・・・って・・・」

 

レコンと呼ばれた少年は、目をキラキラさせてリーファを見ていたが、キリトとデュオの姿を見ると目の色を変える。

 

レコン「な・・・スプリガン・・・!?それにインプも・・・!?なんで・・・!?」

 

レコンは飛び退き、腰のダガーに手を掛ける。

 

リーファ「あ、いいのよレコン。この人たちが助けてくれたの。」

 

レコン「へっ・・・?」

 

レコンが再びフリーズすると、リーファは2人にレコンを紹介する。

 

リーファ「こいつはレコン。あたしの仲間なんだけど、君たちと出会うちょっと前にサラマンダーにやられちゃったんだ。」

 

キリト「そりゃすまなかったな。よろしく、俺はキリトだ。」

 

デュオ「俺はデュオ。悪かったな助けられなくて。」

 

レコン「あっ、どもども。」

 

キリト、俺の順番で握手をし、ペコリと頭を下げてからまた飛び退る。

 

デュオ「コントかよ・・・」

 

レコン「大丈夫なのリーファちゃん!?スパイとかじゃないの!?」

 

リーファ「あたしも最初は疑ったんだけどね。デュオ君はともかくキリト君はスパイにしてはちょっと天然ボケ入りすぎてるしね。」

 

キリト「あっ、ひでえ!!」

 

レコンは2人のやりとりを見た後、咳払いをして言った。

 

レコン「リーファちゃん、シグルドたちは先に【水仙館】で席取ってるから、分配はそこでやろうって。」

 

リーファ「あ、そっか。うーん・・・」

 

リーファはしばらく考えると、口を開いた。

 

リーファ「あたし、今日の分配はいいわ。スキルに合ったアイテムもなかったしね。あんたに預けるから四人で分けて。」

 

レコン「へ・・・?リーファちゃんは来ないの?」

 

リーファ「うん。お礼にこの2人に一杯おごる約束をしてるんだ」

 

レコン「・・・」

 

先ほどとは多少異なる警戒心を滲ませるレコン。

 

リーファ「ちょ、ちょっと、妙な勘繰りはしないでよね。」

 

リーファは顔を真っ赤にして言う。

 

リーファ「次の狩りの時間とか決まったらメールしといて。行けそうだったら参加するからさ、じゃあ、おつかれ!」

 

レコン「あ、リーファちゃん・・・」

 

アイテムを送信したリーファは、キリトとデュオの手を引いて強引に引いて、レコンから逃げるように歩きだした 。

リーファに案内された二人は少し小道を入った先にある、【すずらん亭】と言う小さな酒場兼宿屋の店に辿り着く。

スイングドアを押し開けて中に入ると、時間が時間なのか店内にはプレイヤーは一人もいなかった。

 

リーファ「それじゃ、ここはあたしが持つから、好きに食べていいわよ。」

 

キリト「いいのか?」

 

デュオ「言っとくけど、俺は遠慮しないぞ。」

 

リーファ「いいわよ。でも、あんまりこっちで食べ過ぎるとログアウトしてから辛いからね。」

 

デュオ「それじゃお言葉に甘えて。」

 

メニューを眺めて、それぞれの選んだ品を注文する。

リーファはフルーツババロア、キリトは木の実のタルト、デュオはパフェ、ユイはチーズクッキーを頼んだ。

飲み物に香草ワインのボトルを注文した。

ちなみにユイがチーズクッキーにすると言った時は、リーファが目を丸くして驚いていた。

 

リーファ「それじゃあ、改めて、助けてくれてありがと」

 

3人は緑色のワインを注いだグラス(デュオはボトルそのもの)を持ち、乾杯すると一気に飲み干す。

 

キリト「いやまあ、成り行きだったし・・・」

 

デュオ「キリトの飛行が下手だったのに感謝だな。」

 

キリト「それ、喜んでいいのか・・・?」

 

キリトとデュオのやり取りを見て、リーファとユイがクスクスと笑った。

 

キリト「それにしても、えらい好戦的な連中だったな。ああいう集団PKってよくあるの?」

 

リーファ「もともとサラマンダーとシルフは仲悪いんだ。でもああいう組織的なPKが出るようになったのは最近だよ。きっと・・・近いうちに世界樹攻略を狙ってるんじゃないかな・・・」

 

キリト「それだ、その世界樹について教えて欲しいんだ。」

 

リーファ「いいけど、なんで?」

 

キリト「世界樹の上に行きたいんだよ。」

 

キリトがそう言うと、リーファは一瞬難しい顔をしてから答えた。

 

リーファ「それはきっと、全プレイヤーがそう思ってるよ。っていうか、それがこのゲームのグランド・クエストだもん。」

 

デュオ「と言うと?」

 

リーファ「滞空制限があるのは知ってるでしょ?どんな種族でも、連続して飛べるのはせいぜい十分が限界なの。でも、世界樹の上にある空中都市に最初に到達して、【妖精王オベイロン】に謁見した種族は全員、【アルフ】っていう高位種族に生まれ変われる。そうなれば、滞空制限はなくなって、いつまでも自由に空を飛ぶことができるようになるの。」

 

デュオ「須郷がそんなことをねえ・・・」

 

リーファ「えっ・・・?何か言った?」

 

デュオ「いや、なんでもない。それより、世界樹の上に行く方法って知ってるか?」

 

リーファ「世界樹の内側、根元のところは大きなドームになってるの。その頂上に入り口があって、そこから内部を登るんだけど、そのドームを守ってるNPCのガーディアンが凄い強さなのよ。今まで色んな種族が何度も挑んでるんだけどみんなあっけなく全滅。サラマンダーは今最大勢力だからね、なりふり構わずお金を貯めて、装備とアイテム整えて、次こそはって思ってるんじゃないかな。」

 

デュオ「そうか。」

 

リーファ「今では無理っていう意見が一般的ね。まあ、クエストは他にもいっぱいあるし、生産スキルを上げるとかの楽しみ方も色々あるけど・・・でも、諦めきれないよね、いったん飛ぶことの楽しさを知っちゃうとね・・・たとえ何年かかっても、きっと・・・」

 

キリト「それじゃ遅すぎるんだ!!」

 

不意にキリトは押し殺した声で叫ぶ。

キリトの様子に、リーファはビクッとする。

口元が震えるほど歯を食い縛っている。

 

デュオ「キリト・・・」

 

ユイ「パパ・・・」

 

デュオとユイも食事をやめて、キリトのことを心配そうに見る。

少ししてキリトは、申し訳なさそうに項垂れる。

その目には、深い悲しみと絶望の色が宿っていた。

 

キリト「ごめん・・・でも俺たち、どうしても世界樹の上に行かなきゃいけないんだ」

 

リーファ「何で、そこまで・・・?」

 

キリト「人を・・・探してるんだ」

 

デュオ「詳しくは説明できないんだけど、俺たちがこの世界に来たのもそれが理由なんだ。」

 

2人の言葉を聞いたリーファの瞳には、疑問の色が浮かんでいた。

 

キリト「・・・ありがとうリーファ、色々教えてもらって助かったよ。ご馳走様、ここで君に会えてよかった。」

 

デュオ「じゃあな、リーファ。またその内。」

 

キリトとデュオはそう言って立ち上がろうとした。

 

リーファ「ちょ、ちょっと待ってよ。世界樹に・・・行く気なの?」

 

だが、リーファは2人のの腕を掴んで引き止めようとする。

 

キリト「ああ。この眼で確かめないと・・・」

 

キリトはリーファの問いに肯定した

 

リーファ「無茶だよ、そんな・・・ものすごく遠いし、途中で強いモンスターもいっぱい出るし、そりゃ君たちも強いけど・・・」

 

リーファは言葉を切る。

 

リーファ「じゃあ、あたしが連れていってあげる」

 

キリト「え・・・?」

 

デュオ「はい・・・?」

 

キリトもデュオも、一瞬戸惑ってから返す。

 

キリト「いや、でも、会ったばかりの人にそこまで世話になる訳には・・・」

 

リーファ「いいの!!もう私がそう決めたの!!」

 

断固とした口調で言い放つと、リーファは2人に背を向ける。

 

リーファ「あの、明日も入れる?」

 

キリト「あ、う、うん」

 

デュオ「別にいいけど・・・」」

 

リーファ「じゃあ午後三時にここでね。あたし、もう落ちなきゃいけないから、あの、ログアウトには上の宿屋を使ってね。じゃあ、また明日!!」

 

リーファは早口でそう言うと、ウインドウ画面を開く。

 

キリト「待って・・・!!」

 

メニュー画面を見ていたリーファはキリトの呼び掛けに顔を上げた

 

キリト「ありがとう・・・」

 

デュオ「俺からも礼を言うよ。サンキュー。」

 

2人の言葉を聞くと、頬を赤くした笑顔をとともに一つ頷いてから、リーファは光りに包まれて消えた。

 

キリト「どうしたんだろう、彼女・・・」

 

リーファが消えてしばらく、リーファが座っていた椅子を呆然と見ていたキリトがそう呟いた。

 

ユイ「さあ・・・今のわたしにはメンタルモニター機能はありませんから・・・」

 

デュオ「まあ、道案内してくれるってのは有り難いな。」

 

ユイ「マップならわたしにもわかりますけど、確かに戦力は多いほうがいいですね。」

 

キリト「そうだな。さて、今日はもう落ちようか。」

 

キリトはユイをテーブルから摘み上げると、自分の肩に乗せて立ち上がる。

キリトに続いてデュオも立ち上がると、チェックインを済ませて二階へ上がる。

そして、2人はそれぞれの部屋に入って、眠りについた。

 

あとがき

話が全く進みません・・・(泣)


 
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