No.511268 超次元ゲイムネプテューヌmk2+BlackFate その272012-11-23 01:47:29 投稿 / 全3ページ 総閲覧数:1156 閲覧ユーザー数:1040 |
~プラネテューヌ近郊 ギャザリング城 玉座の間~
「マジック・ザ・ハード…。」
「はい。復活したサーダナはそう名乗っているようです。…お願いします、サーダナを、姉を止めてください…。」
懇願するウラヌスを見て、ユニとネロの二人は呆れたようにため息をつく。
もしや断られるのでは、そういった不安の表情をウラヌスはしていた。
「止めるどころかぶっ倒すわよ。」
「マジェコンヌというのなら、遠慮する必要もない。マジェコンヌごと叩き潰せば済む話だ。」
了承と取れる返答を受け、ウラヌスは表情を一転させた。
ありがとう、と囁くように言葉を発しながら、祈るようなそぶりを見せていた。
「まぁ、マジェコンヌに関しては気にしなくてもよさそうね。やることは変わんないし。問題は…」
「う、ん……?」
ユニが首をかしげ始めた時、ネプテューヌから呻き声のようなものが聞こえた。
その声に驚いたかウラヌスは姿を消して隠れる。数秒後、ネプテューヌの目が開いた。
「あれ、ここは…」
「おはようございます、ネプねーさん。」
「守護女神とは思えない姿ね、ネプテューヌ【さん】?」
「あー……ちょっとまって、ねぷ子さんに状況説明、誰か三行で!」
「色々あって私達はラステイションから逃げてきました。
道中ネプねーさんを発見したので回収しました。
ここはプラネテューヌ近郊の城、現在の仮拠点です。」
「ああうん、ありがとうねネロちゃん。」
まさか本当に申請通りに三行で説明されるとは思わなかったのかネプテューヌは若干同様しながらネロに礼を言った。
すぐにふむ、と納得した素振りを見せる辺りなんだかんだで考えているのかもしれない。
「ネプねーさん、一体何があったのですか…?」
「少なくともあんな姿は初めて見たわ。相当なことが起こったと思うけど。」
「う……痛いところ突くね…。」
ネプテューヌに明らかに明るさがない。
基本的に自分のペースを決して崩さないネプテューヌがこの様子。相当なことが起こったんだ、と予感していた。
「…わたしのお姉ちゃん、キャストリームが現れたんだ。もう、死んでるはずなのに…。」
ネプテューヌが暗い表情のまま口を開いた。
キャストリーム。ネロが知らない表情だ、と呟いた。
「わたしね。こんなだったからずっとお姉ちゃんに叱られてたんだ。不真面目だ、女神にふさわしくないって。今でも鮮明に覚えてて、すごく怖くなって、逃げ出したんだ…。」
「…ネプテューヌさん、グリスって名前、聞いたことある?」
「グリス?…確か、ノワールのお姉ちゃんだったはずだけど…。」
「ビンゴ。」
ネプテューヌの返答を聞いてユニはにやりと笑いながら指を鳴らした。
いまだ良くわかっていないネロが頭上に?を浮かべている。
「今、四国では恐らく前代の守護女神が出現しているわ。少なくともラステイションとプラネテューヌはね。後二国も例外じゃないと思う。そして、目的は…【国の乗っ取り】。」
ユニの出した結論にネロとネプテューヌが目を丸くする。
そのままユニは考えを続けた。
「姉さんとケイは洗脳されたか知らないけど現れたグリスの言いなり、プラネテューヌはこうして現女神が追い出されてる。ルウィーに至ってはまだ女神が行方不明。…この考えで間違いないとは思う。」
「じゃあ、どうするんです…?」
「決まってんでしょ。その現れた連中を、できるだけ早く墓場に送り返すのよ。本来ならもう死んでる連中にかき回されるのは我慢ならないわ。でしょ、ネプテューヌさん?」
「あ、え、わたしにふっちゃうかなーそこ?」
話の矛先を向けられて戸惑うネプテューヌ。
トラウマの対象を殺す、という提案に少なからず混乱を隠せない様子。
「ネロ、あんたはどうすんの?やんないんならあたし一人でやるけど。」
「……いいえ、わたしも行きます。…大丈夫です。大丈夫…。」
ネロもユニについていくという意思はあるもののまだ不安が勝っている様子。
しょうがない、と再度ため息をついた。
「ネロ。あいつらはもうとっくに死んでるやつらなの。だから元いる場所に送り返す、OK?」
「あ、はい…。」
「ネプテューヌさんも、いいわね!?」
「ノワールの妹もノワールみたいです、ねぷ子です…。」
半ば無理やり二人を纏めたユニ。
何故か女神候補生であるユニがまとめ役になっているが、誰も疑問を持っていない。不思議である。
「とりあえず向かうのは…一番近いプラネテューヌ。イストワールに話も聞きたいし、あわよくばネプギアも引き込むわ。これだけいればそのキャストリームって奴も何とかなるでしょ。異論はないわね!?」
「ありません。」
「ないでーす。」
「ちょっと長い休憩だったけど、出発!」
ユニを戦闘に、三人は部屋を出て行った。
その後、ウラヌスが再度姿を現すも既にだれもおらず寂しく玉座に座ることにしていた。
~プラネテューヌ教会 謁見の間~
いつもと変わらない謁見の間。
しかしネプギアにとっては全く違う光景に見えた。
全てが違う、全てが敵。そう感じ取れていた。
「ネプギアさんですか。彼女らとの対談はどうでしたか?」
「…知っているんですね。」
ネプギアに背を向けたまま声をかけるイストワール。ネプギアの主観もあるかもしれないが、その声色はいつもよりも冷たかった。
それに、イストワールが知っていることにネプギアは驚いていた。それに、【彼女ら】と言っている辺りサーダナの存在まで見破られていると思っていた。
「…聞きたいことがあります。」
「片手間の返答でよければ。」
全てを見透かしているようなイストワールの雰囲気に物怖じしながらもネプギアは意を決したように言葉を発した。
「…サーダナ、あの人を知っているんですか?」
「はい。百年単位の昔ですがプラネテューヌの女神だった方です。」
「何故彼女が存在しているのか、知っているんですか?」
「いいえ。大方の検討は付きますが知っているわけではありません。」
「私を、破棄しようとしているというのは本当ですか?」
「……」
ネプギアの質問に続けて即答していたイストワールが言葉を噤んだ。
その沈黙を肯定と受け取ったネプギアはサーダナに渡された鎌を出し、イストワールに向けた。
「私を破棄、するのですね……」
「決定事項ではありません。私は常に国を未来に導くことを念頭に置いています。そのために不要なもの、邪魔なものを破棄することに躊躇いはありませんよ。」
「…私は、不要と判断されたのですか」
「決定事項ではありません。ですが女神を裏切り脅威になりえると判断された場合は処分を考えなければなりませんね。」
イストワールがネプギアに向かって振り向いた。ネプギアの記憶にあるなんだかんだ言いながらも優しげな瞳からは既に感情と呼べるものが消え去っていた。
その瞳は見定めるかのようにじっとネプギアを見つめて外れなかった。
「ネプギアさん。あなたはどのような途を選びますか?」
「私、は……」
言葉を失い、俯くネプギア。
その様を見てイストワールは呆れたようにため息をついた。
「…あなたは優秀ですが優柔不断な節がありました。今までは多少美徳ともいえましたが今回はそうもいえません。あなたが【何】として生きるか、あなたが【どういう存在】として死ぬか。…ある意味、分かれ道ともいえますね。」
「私は…死にません!!」
叫びながら女神化し、姿を変えるネプギア。
MPBLをイストワールに向け、決意に似た表情を浮かべた。
「私は、お姉ちゃん達を救うまで死ねません…!」
「救うの定義にもよりますが…事実上四女神は既に奪還されています。まだ、救われていないというのですか?そして救うというのであれば…だれから救うのですか?」
「…人間から。いーすんさん、あなたからです……!」
「……私から、ですか?」
ネプギアの言葉にイストワールの表情が一瞬変わった。
動揺した、と受け取ったネプギアがさらに続ける。
「サーダナ、彼女は言っていました。私達女神はシェアクリスタルから生成される。それは人間が女神という存在をコントロールするためだと……!本当なのですか、いーすんさん!!」
今度はイストワールが俯いた。
やはり、そうなのかとネプギアが思った途端、イストワールが返答を発した。
「だから、なんだというのですか?」
「…!?」
今まで聞いたことのないような低い声。恐怖を誘わせる威圧するような声にネプギアは一瞬身を引いた。
「確かに、初代以降の女神、現四女神及び候補生全てはシェアクリスタルにより生成されます。そしてシェアクリスタルの生成権限は教祖にあります。そして、【女神へのシェア供給権限】も教祖にあります。」
「彼女が言っていたのは、本当だったんですね…女神がシェアを、国を纏めるための道具だって…!」
「道具…確かに間違ってはいませんね。女神という存在は国を維持し、より発展させるための偶像。言い様によっては道具とも取れるでしょう。」
イストワールの表情には一切の戸惑いがなかった。
そうであって当然、さもそう言いたげな顔をしていた。
だからこそ、ネプギアの怒りは沸々と湧き上がっていた。
「何で、そんなことを…!」
「私は所謂母、初代プラネテューヌ女神よりプラネテューヌを任されました。故に私には私の命続く限りプラネテューヌを維持、繁栄させる義務があります。この知恵は、初代より託されたものです。」
「道具として使われていった女神達は…!」
「彼女らは幸せでしたよ。自らの定めは知らないほうがよかったのですから。自らを救世主だと思い込んでいる彼女らはある種滑稽でしたよ。ただの偶像に過ぎないというのに…。」
「私は…!」
ネプギアが剣の引き金を引いた。
剣先から伸びるレーザーはイストワールのすぐ横を通り過ぎ、背後の壁で爆発を起こした。
「女神という存在を…世界からの、人間からの呪縛から解放します…!!」
「…ネプギアさん、あなたの性格からしてそう来るとは思っていました。ですが、一つ忠告しておきましょう。【人の話は一字一句漏らさず聞いておくことです。】」
イストワールが端末を操作するそぶりを見せ、その後指を鳴らす。直後ネプギアがの女神化が突然解除され、元の姿に戻った。
「なっ…!?」
「先ほど言ったでしょう?【教祖には女神のシェア供給権限がある】と。ただ生成するだけでコントロールできるとは思っていませんよ。親を殺す子なんて腐るほどいますからね。」
イストワールが続けるなか、ネプギアの体から力が抜けて行く。
既に立つほどの力もなくなり、へたりと力なく座り込んでいた。
「あなたへのシェア供給を遮断しました。あなたに残っているシェアエネルギーが枯渇したその瞬間。あなたは消滅します。」
「…!?」
「プラネテューヌ教祖イストワールの名に置いて、パープルシスターネプギア。あなたを破棄します。」
イストワールの周囲に多数の魔法陣が展開されていく。
次に自分にまっているのは死、そう感じたネプギアだが身動ぎもできなくなっていた。ネプギアにできたのはイストワールを睨みつけることだけ。
「さようならネプギアさん。次のあなたとは仲良くできるといいですね。」
全ての魔法陣が光り輝いた。ネプギアが光に飲まれ姿を消して行き、数秒後光が収まった時には既にネプギアの姿は跡形もなく消えていた。
「あとはネプテューヌさんを引きずり戻さないといけませんね…。キャストさんに頼めないでしょうか…。」
もう終わったかのようにイストワールは端末に向きなおし、ネプギアを消したことを当然のようにまた作業を再開した。
~プラネテューヌ-ラステイション-リーンボックス航路上空~
「……。」
三国の三角航路の中、サーダナはどこへと飛んでいた。
あちらこちらを何かを探すように見渡している。
ふと、サーダナの視界に不自然な光が入った。
太陽とは違う、紫色の光。少しした後光が納まると、ネプギアが現れ、海へ向かい落下し始めた。
「見つけた…。と。」
あわててネプギアを受け止めるサーダナ。意識も消えているネプギアを見てサーダナはかすかに笑った。
「イストワールが感情的な奴で助かったよ。…それにしても気をつけろといった矢先にこれだ。最近の女神は直情的だな。」
まぁいいか。と零しながら中央山脈の方向に向きなおし、イストワールのゲートに似た光を出した。
「我らの悲願はより近づいた…。安心しろよ紫天使、貴様はまもなく我と同類になる…。」
堪えきれなかったのかク、ク、と笑いを微かに浮かべながらネプギアを抱き、サーダナは光に突っ込んだ。
サーダナが入った直後に光もパリンと割れるように消え、海上は元々の静けさを取り戻した。
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