No.510207

超次元ゲイムネプテューヌmk2+ BlackFateその26

更新が滞っております、暫くお待ちください……。
あ、あとやっとあの人の正体判明。イマサラダヨネー

2012-11-19 23:59:02 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:948   閲覧ユーザー数:886

~プラネテューヌ近郊 ギャザリング城 城内~

「…ここがいいかもね。」

 

プラネテューヌの近くにある廃城、通称ギャザリング城。

いつからあるとも知れぬこの城に、二つ…いや、三つの人の姿があった。

一つは、ラステイション女神候補生、ブラックシスターことユニ。

一つは、未来から来たというラステイション女神候補生、シュバルツシスターことネロ。

そしてもう一つ。ネロに背負われた少女。それはまさしくプラネテューヌ現代女神、パープルハートことネプテューヌだった。

 

何故、ラステイションの女神である二人が、ネプテューヌを持ってここにいる理由。

それは数時間前にさかのぼる。

~ユニ達がラステイションを抜け出してすぐ ラステイション~プラネテューヌ海域上空~

突然のノワールの姉グリスの出現。そしてそれに何一つ疑問を持たないノワールと教祖ケイ。

何にせよネロを殺害しようとしたのをユニは見ていた。それだけであれが敵であるという理由には十分だった。

 

ラステイションからネロを連れ脱出したユニは、何のあてもないままプラネテューヌ-ラステイション-リーンボックス間の海上空を彷徨っていた。

 

「…どうすれば……」

 

ネロは未だ目覚めない。

恐らく、ネロ共々自分も指名手配か何かされているであろうと考えたユニは、未だどの国にも向かえずにいた。

女神化はしている間は飛行能力も備わり、全ての能力が向上しているようなものである。が、その時に受けたダメージや女神化している時間に比例して女神化解除後の状態に変化が起こる。

長時間の女神化は解除後、とてつもない疲労が襲う。一種の筋肉痛かと思うほどにだ。一回二回の戦闘ではそうはいかない。事実まだ一時間程度だ。

が、問題は長時間の飛行にある。

女神化した女神は反重力や飛行能力を持ち、常に若干浮いている。が、飛翔、上空飛行となると別にエネルギーを使う。長時間の飛行は超長時間の女神化に値するほどのエネルギー消費があるのだ。

 

あまり長くこの状態が続くと後々がやばい。そうユニは焦っている。

もし疲労で動けない間に追っ手が来てしまったら?そういう焦りがさらにユニから冷静さを奪っていた。

 

「ん………!?」

 

突然、ユニではない声がユニの耳に入った。

ユニが背負っているネロが目を覚ましたようだ。一瞬の硬直の後、意味がわからないと言いたげに「ね、ねーさん…?」とユニを呼んだ。

 

「ああ、起きたみたいね。悪いけど、今は状況説明する余裕がないわ。…一応、プラネテューヌ辺りに下りましょう…。」

 

そういいユニは一番近かったプラネテューヌに降り立った。

 

 

 

降り立った場所はプラネテューヌ東部の海岸だった。

ネロをおろした後女神化を解除したユニは汗が噴出し、片膝をついた。

 

「ねーさん…!?」

「大丈夫よ、女神化の反動が来ただけ…。事情は歩きながら説明するわ。とにかく、歩きましょう。」

「…はい。」

 

見るからに疲労しているユニが歩き出し、納得しきれない様子のネロもユニについていくように歩き出した。

女神二人の逃避行はこうして始まった。

~その後、プラネテューヌ近郊 中央山脈麓~

ユニはネロに事情を話しながら、何のあてもなくただ歩いていた。

指名手配されていると考えているユニにとってゲイムギョウ界に安全な場所というのは存在しない。なら移動し続けるしかない。本当に逃避行ね、と内心嘲笑していた。

 

「グリス……。少なくとも、わたしは聴いたことはないですが…。」

「となれば答えは一つ。ネロ、あんたが私達の妹ならあいつはその逆。私達の姉よ。姉さんより前のね。」

「私や、ねーさんの…?」

「推測よ。でも姉さんと知り合いっぽかったし間違っては居ないと思う。問題は出所だけど…まぁ、マジェコンヌでしょうね…。」

「わたしが習ったマジェコンヌ事変とは…大体違いますね…。」

「必ずしもネロのいた未来と整合が取れるわけじゃない、と。…ん?ネロ。200m前方。」

 

突然ユニが前方に向けて指を刺す。

ネロは目を凝らしてみると、遠くの木のそばに、微かに何かがある、程度に見えた。

 

「人影よ。紫色だしネプギアか何かかしら。」

「……何かある程度にしか見えません。」

「まぁ、ネプギアなら話は早いわ。何か動かないし行ってみましょ。」

 

二人は走り出し、徐々に人影に近づいて行く。

ネロの目にも人影が何かわかるほどの距離になった時、ネロは思わず声をあげた。

 

「あれ…ネプねーさん!?」

 

人影の正体、それはプラネテューヌの女神、ネプテューヌだった。

だが、その状態はいつもの無駄に明るい状態とはかけ離れたものだった。

木に背を預け座り込む姿はまるで人形かと思うほど生気が感じられず、涙と鼻水で顔もぐしょぐしょにぬれていた。

 

「ネプテューヌ…?何でこんな…?」

「ネプねーさんが…とにかくこのままにしておくわけにもいきません!」

 

あわててネロはネプテューヌを背負った。

だらんと一切動くことのないネプテューヌを背負い続けるのはそこまで難しくはなく、腕力に秀でたネロなら軽々とこなすだろう。とユニは思った。

 

「とりあえずそれ持ってくんだったら休める場所がほしいわね。何で現代守護女神がこんなとこで倒れんのか話も聞きたいし。」

「……はい。」

「…?」

 

妙にネロのテンションが下がっているのを不思議がったユニ。まぁどうでもいいかと思いすぐに歩き出し、ネロもそれに続いた。山脈のふもとの森を行き先もわからないまま歩き続いた。

十数分後、湖とその近くにそびえる城を見つけ、二人はそこを拠点にすることにした。

~で、冒頭に戻る~

「ネロ、とりあえず安全に休める箇所を探すわよ。モンスターは多少駆逐すればいいでしょうし。」

「プラネテューヌ近郊の城…聞いたことあったような…」

 

アサルトライフルを持ち、やる気を出しているユニの後ろでネプテューヌを背負うネロは頭をひねっていた。

ゲイムギョウ界には城と呼べる建物は一つしかない。廃城、ギャザリング城だけだ。

三次元時代の遺物の一つだとも言われているが、未だ詳細は不明とされている。

 

「未来ではどんな扱いされてるのやらね、この城…よし、行くわよ!」

「…了解。」

 

銃弾をばら撒きながら走り出したユニを追いかけるようにネロも走り出した。

城に入ってからずっと感じている嫌な予感を、ネロが言い出すことはなかった、が。

 

 

―――――――――――――――

 

暫く突っ走った結果、いつの間にか城の深部、玉座の間らしき場所に到着していた。

二つの玉座の間に刺さっている剣の所為か、モンスターの気配は微塵も感じられなかった。

 

「ここは…安全そうね。ネロ。」

 

ユニの声と同時にネロがネプテューヌを玉座に座らせた。

多少落ち着いたのか、今となっては安らかに寝息を立てている。

 

「…さて。正直休んでる暇なんて一切ないし、作戦会議よ。」

「あの、ネプねーさんは」「ほっときなさい。」

 

しょぼんとした表情のネロを無視してユニは端末から地図を出し、床に大きく表示させる。

恐らく現在位置であるだろう城の様な場所に黒い点のような印がある。青などわかりやすいものではなくわざわざ黒な辺りラステイションの女神の地味なプライドが見える。

 

「まず、ラステイションは真っ黒。イメージカラー以上に真っ黒。ケイも姉さんも完全に落ちてる。」

「ノワねーさんならまだしもケイまで…?」

「グリスの出現に何一つ疑問持たない時点でアウトよ。できればプラネテューヌの内情も知りたいし、ネプギア辺りがこの辺うろついてくれるとありがたいんだけど…」

「あの、ネプねーさん」「発見時の様子からしてまともな精神状態だと思えないしほっときなさい。」

 

しょぼんとするネロをガン無視してユニは地図を映し出す端末を操作し、地図に点々と赤いマークが付けられていった。

 

「……?」

「今のところ発見されている汚染異常種の出現ポイントよ。姉さん達が戻ってきてから発見されたのが大半よ。」

 

赤い点の2割ほどが小さく表示される。といってもその小さく表示された部分は各国首都から遠い小島ばかりだった。

なお、そのことにネロは気づいていない。

 

「姉さん達が帰ってきてから首都付近に汚染異常種の発見が多い。グリスが関係あるかはわからないけど少なくとも姉さんに関係があるとは踏んでるわ。ただ捕まってただけなんて思えないし。」

「じゃあ、やっぱりネプねーさんが目覚めないことには…。」

「何一つ始まらないわ。叩き起こしてやろうかしら。」「やめてください。」

 

会議が膠着し、遠くでモンスターが動く音だけが二人の耳に入ってくる。

そういった環境音だけの中、二人は一つの違和感を覚えた。

部屋にある二つの玉座、の間に刺さった明らかに怪しい剣。サイズ的には片手剣だ。

この剣からユニは同じような、つまり女神のような感覚を感じていた。色々あってスルーしていたが。

 

「……。」

 

なんとなく手をかけ、引き抜こうと軽く力を入れるもビクともしない。

少し力を込めて抜こうとするもやはりビクともしない。

若干むきになったか呻き声をあげながら引き抜こうとし始めた。最早出っ張った岩を引っ張っているようにしか見えない。

 

「…ユニねーさん?」

「ぬぐぐぐぐぐぐ……!」

「ユニねーさーん?」

「ぬぐぐぐ…!っぶは!無理!」

 

力みすぎたか手が離れ、しりもちをつくユニ。後ろでネロは何をしているのかと疑問の眼差しを向けていた。

 

「ねーさーん、大丈夫ですか?」

「あたた…。駄目、この剣抜けないわ。」

「…わたし達剣使いませんよね?」

「そこはどうでもいいのよ!ネプギア辺りに使わせようと思ってたし!」

「そ、そうですか…。」

 

必死に引き抜こうとしていたものの、剣は刺さっていたところから1mmたりとも抜けておらず、妙な禍々しさを放ち続けている。流石にネロも妙だと思い始めていた。

 

「…しかし何なんでしょうね、この剣。刺さっている場所といい変としか言い様がありませんね。」

『変で悪かったですね。』

「まぁ、だれが刺したかも知らないものだし……ん?」

「ん?」

『ん?』

 

二人は明らかな疑問を持った。声が一つ多い。

ネプテューヌは今だ目を覚まさない、つまりいるのはユニとネロだけ。なのにそれ以外の声が聞こえたのだ。

 

「…ねぇ、ネロ?幽霊って、信じる?」

「データの残留物じゃないんですか?」

『つっまらない解答ですね。』

「まぁあたしも信じてるわけじゃあ……ん?」

 

今度は二人とも聞き逃さなかった。刺さった剣、正確にはその近くから声がした。

じっと見続けていると、ネプテューヌの後ろにうっすらと女性のような姿が浮かんでいた。

女性はユニとネロを交互に見ると、見つかったと言いたげに息を吐いた(実際に吐いているわけではないようだが)。

 

『どうも、こんにちは。』

「……誰だ?」

「幽霊ってやっぱ実在するのね。」

 

特に動じない二人につまらないと言いたげの表情を向ける女性。既に緊張感もあったものではなくなっていた。

 

『見つかってしまいましたし、まずは自己紹介から。私はウラヌス、しがない自縛霊です。』

(自分で自縛霊って言うんだ)

「自縛霊…ってことはここに長くいそうね。聞きたいんだけど、その剣について何か知ってる?」

 

刺さった剣を指差してユニがたずねる。ウラヌスと名乗る女性は『それについて話したかったのに。』と若干不満げながらも説明を始めた。

 

『…この剣の名は、【ゲハバーン】。女神を殺すという概念を持った女神にのみ扱える剣です。かつて、マジェコンヌが生まれた際に使われかけた魔剣です。』

「使われかけた(・・・)…?」

『はい。マジェコンヌが生まれた時、封印されていたその剣を手に取り、使おうとした女神がいたのです。…マジェコンヌもシェアによって存在しているため女神と本質はあまり変わりませんしね。』

「……。」

 

ウラヌスの話をじっと聞く二人。

【女神を殺す魔剣】。その力の使いようを考えながら聞いていた。

 

『しかしその力に目がくらんだかマジェコンヌに魅入られたか。一人、この剣を取りマジェコンヌに寝返った女神がいたんです。詳しいことは省略しますが、結果その女神はマジェコンヌごと封印されました。たった一人だけ、犠牲者を出してですが。』

「犠牲者…?」

『…私です。リーラシスター、ウラヌス。女神候補生だった私は、この剣によって命を落としました。…いいえ、吸われたが正しいでしょう。』

「自縛霊…その剣に縛られてるってわけ。」

「…その、裏切り者というのは?」

 

ネロの問いかけにウラヌスは言葉を止めた。

言うべきかどうか悩むようにも見えたその様子、少し考えた後再度ウラヌスは口を開いた。

 

『…その女神は、マジェコンヌが生まれた時のプラネテューヌの女神。リーラハート、人での名をサーダナ。今の名を…』

 

 

 

『マジック・ザ・ハード。』


 
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