「羨ましいよ」
と。
人を信じられなくなり。
本音を言えなくなっている僕は。
この言葉で。
恐らく。
本音を。
言った。
僕を除く三人がそれぞれ驚いている。
アホ毛の女の子は、俯いている顔を上げ。
一刀君は、何を言ってるのかわからない、といった様子で僕を見る。
人質なっている女の子は、もう何がなんだか、といった様子だ。
「何が、何が羨ましいんだ……。お前に。お前なんかにあの子が持つ『力』
が、どれだけ彼女を傷つけてられてきたかも「うん。知らない」!?」
遮るように言う。
「そんなこと知らないよ。だって、僕は彼女じゃない。だから彼女の過去に何があったのかなんて、
サッパリわからない。まぁ、だいたい想像はつくけどね。
でもね、これだけは言えるよ。
彼女は。
人の幸せを願い。
人の不幸を悲しむことのできる優しい人だ」
「……」
「……」
「……」
三人ともすごく驚いている様子だ。まぁ、僕みたいな人間が、こんなことを言うとは誰も
思わなかったんだろう。
僕の言葉を聞いた一刀君は、僕の言葉に衝撃を受けたのかは分からないが、僕の胸ぐらから
手を離した。
言葉を重ねる。
「ふぅ、やっと離してくれたね。じゃあ質問だ。どうして、僕が彼女に
『羨ましいよ』って言ったのか分かる?」
と、質問をぶつけてみる。
「……」
分からないと、一刀君は首を横に振る。
「それはね、君がいるからだよ。一刀君」
「え?」
思ってもみなかった、という様子だ。
「まぁ、単純な理由なのさ。彼女が悲しんだことで、君は僕に怒った。それは彼女の
ことを、君が心から考えている、大切にしている、ってことだろう?」
「ああ、もちろん」
「だからさ。彼女は僕とは違うんだなって、こんなに彼女のことを大切に思ってくれる
人がいるんだなって思ったから、僕は、『羨ましいよ』って、言ったんだ」
だって。
僕にはいないから。
一人も。
僕が傷つけられて。
悲しんでくれる人も。
怒ってくれる人も。
皆。
僕から。
離れていってしまうから。
こんなにも望んでいるのに。
「ど、どうした?高順」
ああ、いけない。
思い出しちゃったかな。
しまった、しまった。
「まぁとりあえず。よかったね、アホ毛のお嬢ちゃん」
と、アホ毛のお嬢ちゃんに呼びかけてみる。
お嬢ちゃんの視線は、こっちに釘付けだ。
「いや、その呼び方はどうかと……」
と、一刀君がツッコむ。
だって名前知らないし、と、心の中で返しておく。
「僕もね。君と同じで、痛みだらけの人生を送ってきてるんだ。
そして、僕はそれに屈した。自分の不幸に。痛みに」
「……」
アホ毛のお嬢ちゃんは黙って聞いている。
でも、と言葉を続ける。
「君は、違うんだから。
それを吹き飛ばせるような。
『力』があるんだから。
なにより。
君には、君のことを心配して、信頼してくれる人がいるんだから」
と、言う。
なんか、ガラじゃないこと言ってるな、僕。
でも。
僕と、同じような。
裏切られ。
人を信じられなくなったような人間は。
二人もいらない。
いちゃ、いけないんだから。
カッコつけるわけじゃないけど。
これが。
僕の。
本音なんだから。
この作品を読んでくださっている皆さん。
いつもありがとうございます。
いろいろなコメントがありましたが、それらをすべて背負って、
これからも頑張っていきたいと思います。
いやいきなり何の話だよって思うかもしれない皆さん。
ごもっともです。
いや、この作品についてキツいコメントがありまして、それを見た作者の友人が
「コイツが素人で、一生懸命無い文才絞って書いてるのに、スゲェこと言ってる奴がいるな」
と憤慨していたので、今回のあとがきでそれについて書かせていただきました。
いや、嬉しいんですよ?だって批判もOKだと思ってるから、匿名でのコメントOKしたんですし。
友人には、「大丈夫。この作品には、批判するだけの価値があるって認めてもらえたんだから、
俺は大丈夫だよ」
って、返しました。
いい友人を持ったな、って思いました。
ですが、本当に批判OKですからね?
気にしてない、ってわけじゃないですが、そういうのも全部背負うことに、意味があるんですから。
ガキの戯言だと、笑っても構いません。
どうかこれからも、「真・恋姫†無双~不信の御遣い~」をよろしくお願いします。
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第十三話です。