第百三十四技 伝える想いと秘密のスキル
リズベットSide
想いを伝えようと決意したあたしだけど、どうやって話しかけようかを悩んでいる。
「リズベット、代金を払うよ」
ハクヤが代金のことを言ってきた。そうだ、代金のことをすっかり忘れていた。
でも、正直なところお金はどうでもいいと思っている。だからあたしはそれを伝えることにした。
「お金はいらないわ。良い武器を作らせてもらったもの」
職人冥利に尽きる、といえる。
「そのかわり……」
あたしは想いを伝えようとした。
だけど、この場にハクヤ以外に二人の人物、アスナとキリトがいるのを忘れていた。
その時、キリトと目が合った。
「そうだ、アスナ。実は今度の迷宮攻略のことで、二人きりで話したいことがあるんだ」
「え…ふ、二人きりで///?」
キリトは一瞬だけ、こっちに視線を向けて微笑を浮かべた。
「ああ。できれば食事でもしながら…」
「う、うん。そ、それじゃあ、リズ。わたしはキリト君と話し合いに行ってくるから//////」
「ハクヤ、また後でな」
「分かった」
キリトはもう一度あたしに視線を向けてから微かに頷き、アスナの手を引いて外に出ていった。
まさかアスナではなく、キリトに気を遣ってもらえるとは思わなかった。
どうやらアスナは、キリトとの食事(話し合い)に想いを馳せていてそれどころではなかったのかもしれない。
でもキリトのお陰で話を進められることになった。
「えっと、それで…?」
「あ、うん…その、ね…。あたしを…ハクヤの専属
「それって…」
あたしには今の言葉をハクヤがどう捉えたのかは分からない。
だけど自分の心のまま、想いを伝えようと思う。
「フィールドから戻ったらあたしに装備のメンテをさせてほしいの! これから、毎日ずっと//////!」
あたしは自分の顔が紅くなるのが分かる。それでも自分の想いを伝えた。
「……っ、リズベット…//////」
ハクヤもあたしの言葉の意味に気付いたみたい。彼も頬を紅くさせている。もう、後戻りはできない。
「ハクヤ、あたし……貴方のことが好き…/////////」
「え、っと…その…/////////」
伝えた……自分の全ての想いを。ハクヤは顔全体を紅潮させている。
多分、いや絶対にあたしも顔を真っ赤にしているはず。あとは、答えを聞くだけ。
少しの間、沈黙が流れる。そして、ハクヤが沈黙を破った。
「その答え……待ってもらうのは駄目かな///?」
「理由、聞いてもいい///?」
「別にリズベットの事が嫌いなわけじゃないんだ。
ただ、こういうことは今までなくて…。もちろん、気持ちは凄く嬉しい///」
ハクヤの思わぬカミングアウトに、あたしは赤くなった顔がさらに紅潮するのが分かってしまう。
つまりそれなりの好感は持たれているのね///
「俺は攻略組であると同時に、ビーターでもある。当然だけど、恨みとかも多い。
だから、いつ命を亡くしてもおかしくはない状態なんだ。
もちろん、リズベットがそれを踏まえたうえで、想いを伝えてくれたのは分かるつもりだ。
だけど……情けない話し、俺自身の決心がつかないんだ…。やっぱり、不安の方が大きい」
ハクヤの考えを聞いて分かった。彼が不安に思っているのは自分の事ではなく、あたしのことだ。
ハクヤが死んだとき、果たしてあたしは正気でいられるのか?
もちろん不可能だと思う。好きな人が死んで、正気を保つなんてあたしには無理に決まっている。
そしてハクヤ自身にもそれは当てはまること。
あたしは……自分の我が儘でハクヤを困らせているのかな?そう不安に思った。
「だけど、もしも……」
ハクヤが言葉を紡いだ。
「もしも、俺が決心した時、リズベットが俺の事を好きでいてくれているのなら…その時に俺と、付き合ってほしい…」
「っ……ええ、待ってる///」
ハクヤの言葉を聞いたあたしは信じて待つことにした。
それなら、その時がくるまで女を磨いてやるわ。
でも、あたしを待たせるんだから……これくらいはいいわよね。あたしはハクヤに近づいて、
―――チュッ
ハクヤの唇を奪った。
「な…/////////」
「あたしを待たせるんだから、これくらいはいいでしょ/////////?」
あたしは満面の笑みを浮かべてそう言った。
「「……………」」
き、気まずい。さすがにキスはやりすぎたかしら?
せめて頬にしておけば……いや、でも他の人に先を越されるかもしれないし…うぅ~//////
さらにしばらく時間が経過した時、あたしはハクヤが戦っていたときに使った謎のスキルについて聞くことにした。
「そういえば、ハクヤがあのゴーレムと戦っていた時に秘密だって言ったスキルがあるじゃない? あれって、なんなの?」
「リズベット「リズでいいわよ、アスナもそう呼ぶし」分かったよ、リズ。
それで、あのスキルなんだけど、あれはエクストラスキル《斬撃》だ。
まぁ、ユニークスキルって言った方がいいかな」
ユニークスキル……それなら納得だわ。
でも、アスナのところのヒースクリフに続いて新しいユニークスキルがあるだなんて、思いもしなかった。
「このこと、キリト達は知ってるの?」
「黒衣衆は全員知ってる」
そう尋ねると答えてくれたハクヤ。
つまり信頼できる人には知らせているってことね……あれ?
ということはあたしも信頼されているのよね。
嬉しいな~//////……って、これじゃあアスナと同じね(苦笑)。
「なら秘密にしておくわね」
「ありがとう、リズ…」
「っ~///////// そ、そろそろいい時間だし、あたし達もご飯食べにいきましょ///!」
「ああ、そうしよう」
このあとあたし達は街に食事を取りにいった。
これがあたし、リズベットがハクヤの事を好きになった経緯だ。
リズベットSide Out
To be continued……
後書きです。
今回で「心の温度編」は終了です。
こんな感じで良かったのかと不安に思いますが、まぁ良しとしておきます。
次回からはオリジナルストーリー、「76層編」になります。
すこしばかり事件が・・・。
それでは・・・。
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第百三十四話です。
リズの告白回ですよ~w
どうぞ・・・。