まえがき コメントありがとうございます。今回は虎牢関での決戦です。登場人物は予想できる方もいるかと思いますが、自分の頭の中では出てくる人物は予想外の方ばかりですのでなかなか楽しめましたwそれではゆっくりしていってください。
俺たちは月の安否と反董卓連合への対応に向けて洛陽へと足を向けた。平原を出て五日で到着した。予想より早く着いたな。というか、結構急ぎ足だったから当然だろう。
「北郷!」
「詠、ここで待っててくれてたんだ。」
「到着する日にちを教えてもらったから早く顔を会わせたかったのよ。」
俺たちはとりあえず謁見の間まで行ってこれからの対応について話し合うことにした。謁見の間についても月の姿が見えない当たりまだ戻ってきていないのだろう。月・・・酷いことをされていないだろうか・・・。
「そっちにも報告は行っていると思うけど、袁紹が反董卓連合とかいうふざけたものを立ち上げて他の諸侯を味方につけてしまった。つまり、ボクたちは一気に狙いの的になってしまったの。」
「うん、報告は届いてるよ。」
「そこで、一つお願いしたい。北郷、桃香、ボクたちに力を貸してくれない?」
「いいよ。」
「勿論。」
そう答えると詠が唖然とした表情を浮かべた。そんなに驚かなくても・・・。
「あんたたち・・・了承してもらえるのは嬉しいけど、そんなにあっさり安請け合いして良いの?頼んでおいてこう言うのも何だけど、はっきり言って勝てる見込みは薄い。恋や霞、華雄はいるけど、向こうには江東の孫堅、孫策、陳留の曹操、袁家の袁紹に袁術、西涼の馬超がいると報告を受けているから、武将の数で圧倒的に差が出ているし・・・。」
「だから俺たちが手を貸すんだよ。うちには俺に愛紗、鈴々、星、清羅、流琉。貂蝉に卑弥呼もいるんだ。これだけいれば連合にも引きを取らないと思う。」
「軍師には朱里ちゃんと雛里ちゃんもいるよ。華佗さんは負傷兵の治療も出来るしね。私はそのお手伝いすればいいし。」
そう、俺たちは諸侯たちに比べれば数は少なくとも質はこっちの方が上のはずだ。
「分かった。それで、問題は月のことなんだけど・・・。」
「ご~主人様~!!」
「遅くなった!!」
月のことについて話そうとしたら突然扉から入ってきた漢女二人。俺たちは突然のことに驚いて唖然としてしまった。
「もう少しゆっくり扉を開けて!ビックリしたじゃない!!」
「すまんな。急を要していたもので、つい。」
「お疲れさま。それで、何か収穫はあった?」
「勿論。はい、お土産よん。」
貂蝉が抱えていた大荷物から出てきたのは・・・月!?
「へぅ~、目が回りました。」
「ゆ・・・。」
「月!!」
「きゃ!」
一刀さんが私を抱きしめてきました。突然のことに少々驚いてしまいましたが、一刀さんが少し震えていることに気付いて驚きもどこかに言ってしまいました。
「何かされてない?怪我してない?」
「はい。大丈夫です。ご心配かけて申し訳ありません。」
「ううん。勝手に心配しちゃっただけだから謝らなくていいよ。それにしても、無事で良かった。」
「はい。霊帝が崩御されてすぐ貂蝉さんと卑弥呼さんが私を逃がしてくださったので。」
逃がしてくれたのは分かったがこの二人なら嫌でも目立つんじゃ・・・。不審者として捕まるレベルで。
「お二人とも変装されていたのですが、すぐにお二人だと分かりませんでした。」
「漢女には秘密が多いのよん♪」
「変装なぞしなくても良いと思ったのじゃが、貂蝉がどうしてもと煩くてな。」
「・・・。」
詳しくは聞かないでおこう。変にツッコむと藪から蛇どころか猛獣が出てきそうだから・・・。
「?どうしたのですか、皆さん。こちらをじーっと見て。」
「北郷、心配するのはいいとして抱きつくのはあまり良くないと思うわよ。」
「ご主人様は口より体が先に出るお人ですから。もう慣れました。」
「とかいって、愛紗こそ主に抱きしめられたら心底嬉しそうな顔をするくせに、どの口が言っている?」
「せ、星!!」
「愛紗ちゃん、そんなに顔を赤くしていたら説得力ないよ~♪」
「桃香様まで・・・。」
「まぁまぁ、愛紗ちゃんがご主人様のことを大好きってことで落ち着きましょう。」
「~~~~~~~~//////」
あーあ、愛紗の顔が可愛そうなほど真っ赤になっちゃった。とりあえず、愛紗が落ち着くのを待ってから朝廷の方で何があったのか聞いてみることにした。
「卑弥呼、朝廷の方で何が起きたのか聞いても良いか?」
「ああ、良いぞ。」
聞いた話ではこうだ。霊帝が崩御されてから皇位継承権の問題が発生。劉弁と劉協、霊帝の実子のどちらが皇帝の後を引き継ぐのか。何進が劉弁を擁立していたが、何進を邪魔に思った十常侍が彼を暗殺した。その騒動から出来た隙を見て月を連れて戻ってきたらしい。話を聞いていると劉弁と劉協、残された二人が心配になったが、とりあえず月が戻ってきてくれただけ良しとしよう。
「月、休んでいなくていい?」
「はい、もう大丈夫です。」
「じゃあ連合への対策を立てようと思うんだけど、・・・月と詠以外の人たちの様子が見えないんだけど?」
「あ~、それなら・・・。」
「失礼します!」
対策を練ろうとした矢先、一人の董卓軍の兵が謁見の間に入ってきた。
「どうした!」
「汜水関で守衛をしていた華雄様が張遼様の静止を聞かず、敵の挑発に痺れを切らし華雄兵を引き連れて突撃していきました!」
「はあ!?」
「張遼様は呂布様が守衛をされている虎牢関へと兵を連れて引きました。」
「あの猪が・・・ってぼやいても始まらないわね。北郷、あんたたちで虎牢関に向かってもらえない?恋と霞も実力はかなりのものだけど、どうしても数が圧倒的に足りないのよ。」
「分かった。皆、着いて早々だけど虎牢関に向かう。準備できてる?」
皆が頷いたのを確認すると役割をそれぞれに言い渡した。
「俺、愛紗、星、貂蝉、流琉で前線を攻める。華佗、清羅、鈴々、桃香、卑弥呼は虎牢関で負傷兵の治療とその手伝い。朱里は前線側、雛里は虎牢関側で作戦と伝令の橋渡しをお願い。」
「お兄ちゃん!鈴々も前線で敵をぶっ飛ばしたいのだ!」
「儂はダーリンの側にいられれば文句はないぞ。」
やっぱり鈴々は性格上こう言ってくるだろうなー。卑弥呼がいるから鈴々も前線に出てもいいとは思うけど、万が一を考えて関に二人は戦力を残しておきたい。
「鈴々はもしも関に敵兵が流れ込んだ時の門番っていうか、そうだね。切り札だよ。皆の危機を救う切り札。」
「はぁ~、かっくいいのだ~。」
少し強引だったかもしれないけど仕方ないと自分に言い聞かせよう。鈴々もなんか目をキラキラさせてるし。
「分かったのだ!お留守番しとくのだ。」
「いや、留守番じゃないんだけど・・・まぁいいや。」
「ふふっ、ご主人様も鈴々を良い包めるのが上手くなりましたね。」
愛紗が俺の耳元でこっそりそう言ってきた。良い包めたか・・・そう思われても仕方ないね。
「鈴々の兄貴分だからね。暴走しないように手綱は持っておかないと。」
「うう、姉のはずなのにご主人様の方が鈴々のことをよく見ていらっしゃる。」
「愛紗は鈴々のこと、俺以上に見ていると思うよ?もちろん愛紗のことも見てるからね。愛紗は俺の妹・・・っぽくはないなー。俺よりしっかりしてるし、お姉ちゃんみたいな感じ。愛紗お姉ちゃん。」
「お、お姉ちゃん//。」
は、恥ずかしい//。鈴々には何度か言われたことがあったがご主人様に言われると、ついつい頭を撫でたくなるのはなんでだ?
「愛紗、なんで俺、頭撫でられてるの?」
「はっ!つい・・・。」
ついで頭を撫でられる俺って・・・。ん?俺もそんな感じで撫でてるから愛紗に言えたことではないような・・・。けどこれって・・・予想以上に恥ずかしい!可愛がられてるっていうか、言葉にできないんだけど・・・。
「あ、愛紗、そろそろ恥ずかしいから手を離してくれると助かる//。」
「す、すみません!すぐ離します!」
私が手を離すとご主人様は恥ずかしそうに顔を真っ赤にして俯いてしまった。は~、恋と同じような可愛さを感じる。これは癖になりそうに・・・っていかんいかん!ご主人様だぞ!いやしかし・・・。
「うわ~、ご主人様可愛い~♪というか、私もご主人様にお姉ちゃんって言われてみたい!ご主人様、私にもお姉ちゃんって呼んでみて。清羅お姉ちゃんって。ね?」
「清羅、素になってるよ・・・。というか勘弁してくれ。恥ずかしさで死にそうだ。」
「ふむ、主が弟か。兄はいたが弟はいなかったからそういうのもいいな。主、今度私にもお願いしますぞ。」
「兄様は兄様ですね。」
「わ、私はお兄さんの方が良いです。か、一刀お兄ちゃん//。へぅ//。」
「月まで北郷に毒されてる・・・。」
なんか連合の話からいつの間にか俺は兄がいいか弟が良いかという話題で盛り上がっている。恥ずかしいから話題を逸らしたい・・・というか虎牢関に行くはずなんだけど俺の処遇で華を咲かせているので口も挟めない状況に・・・。俺は早く終われと祈るばかりだった。
・・・
なんとか話を終わらせることに成功した。なんかどっと疲れた。それから俺たちは恋たちに加勢するために虎牢関を目指した。
・・・
「来る。」
「なんや?まだ敵の姿はまだ見えんで?」
「(ふるふる)来る。」
「分からんなー。けど、恋の勘はよう当たるから、注意しとった方がええな。」
せやけど、敵の姿見えへんのによう分かるな。獣の勘っちゅうやつか?うちには真似できひんわ。ん?後方からなんか来とる・・・。一刀!?なんで一刀たちがこっちに来とるんや!?
「恋、霞、助っ人に来たよ。」
「来た。」
「なんや、一刀たちのことだったんか。てっきり敵が来とるんかと思うたわ。」
「(ふるふる)敵も来てる。」
「それじゃあ久しぶりの挨拶もしたいけど、今は眼前の連合軍への対処を考えよう。今、こっちに向かって来てる連合軍に誰がいるか分かる?」
「せやな・・・誰か向こうさんにどいつがおるか知っとるか?」
「大物は建業の孫堅文台、孫策伯符。陳留の曹操孟徳。西涼の馬超孟起。幽州の公孫賛。それと荊州の袁術に豫州の袁紹です。」
うへー、この陣営だと三国志の有名武将勢揃いだ。そしてそれは歴戦の猛者ぞろいという意味に繋がる。これはうかうかしてるとあっという間にあの世逝きになるな。改めて気を引き締めよう。
・・・
「水蓮様、虎牢関が見えました。」
「よし、全軍兵を整え次第抜刀!目標は虎牢関!見的必殺!孫呉の宿願のために戦え!お前たちの命、私が預かった!」
「うぉぉぉぉおおおおお!」
「水蓮母様、今日は張り切ってるわね。」
「雪蓮も人のこと言えないだろう?」
「まぁね♪」
ふふ、母様も良い感じでノッテきてるわね♪私も体が疼いて来たわ。さて、南海覇王で血を吸いましょうかね♪
「はぁ、あの親あってこの子ありね・・・。仕方ない、私が手綱を持って置かなくてわな。」
「冥琳も大変ね。私の人のこと言えないけど・・・。」
「愛璃様も大変ですね。お互いに補佐に回りましょう。」
「えぇ。けど・・・私も突撃しちゃうかも♪」
「それだけは勘弁してください・・・。」
・・・
「汜水関はすんなり行けたけど、虎牢関にはあの呂布と張遼がいるわね。あの二人は一筋縄ではいかない。桂花、この状況をどう見る?」
「まず、張遼には春蘭と秋蘭で当たらせるべきでしょう。春蘭だけでも恐らく大丈夫でしょうが、万が一を想定して二人を配置します。呂布には他の諸侯に任せるべきでしょう。張遼にあの二人を割く以上、こちらの面々では荷が重いでしょうから。」
「そうね、分かったわ。春蘭、秋蘭、張遼は可能であれば生け捕りにしてこちらに身柄を拘束しなさい。あの神速の張遼であればこちらの戦力の増強が出来るわ。」
「御意!」
それにしてもあの天の御使いたち、結局姿を現さなかったわね。この手の連合なら率先して参加すると踏んでおいたのだけど…まぁ良いわ。今は眼前の虎牢関を落とすことが先決ね。
・・・
「オーッホッホッホ!この調子で虎牢関も華麗に進軍して落とし、ついに洛陽は私の物。」
「麗羽様~、流石にそれは気が早いと思いますよ~?」
「そうです。もう少し気を引き締めておいた方が良いと思います。」
「何をおっしゃっているのですか、文醜さん、顔良さん。こういう時は正面から華麗に突撃すればいいに決まってますわ!」
「やっぱりそうですよね!流石は麗羽様!」
「そうですわよ!もっと言っても良いのですのよ!オーッホッホッホ!」
「はぁ~。」
私、この二人を止められる自信がありません・・・。
・・・
虎牢関の目と鼻の先であんな指令がくるなんて思わなかった。あの袁家の馬鹿だからある程度は想定していたけど、まさか本当に正面から華麗に突撃なんてものがくるなんて。
「はぁ~。」
「冥琳、そんなに溜め息をつかなくてもいいじゃない。母様なんて声を上げて笑っているわよ?」
「水蓮様と雪蓮は突撃していくだけだから特に問題はないだろう。しかし、私や愛璃様の考えた策をあの馬鹿のせいで水の泡にされては溜まったものじゃない。」
水蓮様が腹を押さえて笑っているのを余所目に愛璃様へと視線を移すと彼女は静かに微笑んでいた。しかしあれは嬉しさで微笑んでいるのではない。経験で分かる。そしてあの笑みを浮かべた後は・・・。
「冥琳、ごめん。私、キレちゃった♪今すぐ袁紹の首を落としたいけど、今は董卓軍の相手をすることで憂さ晴らししましょう♪」
「あ、愛璃、もう少し抑えて。」
「私が何もしないで怒りを収められるとお思いですか?」
「・・・そうね、後は母様に任せるわ。」
「蓮華様、面倒事は水蓮様に押し付けましたね。」
「し、思春!変なことを言うな!」
「あはは!予想はしていたけど愛璃はやっぱりこうでないと私も張り合いがないってものよ!」
「母様、私を忘れたら駄目よ?私だってひと暴れしてやるんだから♪」
愛璃様まで・・・。
「仕方ない。明命、先に虎牢関まで向かって偵察を頼む。」
「御意!」
後は私がしっかりしておかねば・・・。
・・・
「こうやって一刀と肩並べて戦えるなんて夢にも思わんかったわ。」
俺たちは桃香たちを虎牢関に残して霞、恋と共に戦線へ出た。俺と霞が中央、恋と愛紗が右翼、星と流琉が左翼。後衛に貂蝉だ。取りこぼしは鈴々がどうにかしてくれるだろうしね。
「俺も霞と一緒に戦えるとは思わなかったよ。霞がいてくれれば百人力だ。俺の背中、霞に預けた。」
「一刀は嬉しいこと言うてくれるなぁ。一刀となら百人力どころか千人力や!こんなに安心出来るんは恋以来や。うちの背中も一刀に預けたる。」
「うん。じゃあ、行こうか!」
「合点承知や!張遼隊、突撃するでーー!」
「おおおーーー!!!」
「北郷隊、張遼隊に続けーー!!」
「おおおーーー!!!」
・・・
「ご主人様たちが動いた!恋、私たちも行くぞ!」
「(こく)月を狙う敵、殺す。」「良い殺気だ。関羽隊、呂布隊、行くぞ!」
「おおおーーー!!!」
「行く・・・。」
・・・
「愛紗たちが動いたな。流琉、準備は出来ているな?」
「はい!いつでも行けます!それにしても、連合側の兵は凄い数ですね。はっきり言って、予想以上です。」
「まぁ、私達以外の諸侯が連合に集まっているのだからな。なんだ?怖じ気づいたか?」
「少し前まで足が震えてましたが、そんなこと言ってられませんので気合いで止めました。だから、兄様や月さんのため、敵を薙ぎ倒します!」
「うむ。では、張遼隊の精鋭たちよ!敵は愚かにも誤報を信じ、董卓の首を狙う諸侯ども!私達はそれを許すわけにはいかない!!向かってくる敵の血で大地を染め上げ落陽を、董卓を守るぞ!」
「おおおーーー!!!」
「お前たちの命、私が預かった!」
「行きます!」
・・・
「後衛も暇ね~。空から誰か降ってこないかしら?ご主人様とか。それかご主人様。妥協してご主人様でも良いわね。ぐふふ♪」
まぁ、ご主人様の大事なお顔に傷を付けようものなら私直々にあの世逝きにさせてあげるけど。・・・この外史のご主人様なら問題なさそうね。なんせ影刀と美桜の孫だもの。
・・・
「桂花、向こうの守衛は呂布で汜水関から退いた張遼。武将はその二人だけのはずよね?」
「はい。というか、それだけしかいないはずです。華雄を退けた今、残っているのは洛陽諸侯、董卓。その軍師、賈駆。飛将軍呂布。その軍事、陳宮。それと神速の張遼。その五名です。」
けど華琳様の言うとおりだわ。向こうの士気が異常なほど高い。汜水関が破られた今、死に物狂いで気力を出しているのかしら?
これはちょっとやそっとで出る勢いではないわ。うちの精鋭部隊でもここまではでないでしょう。何かそれを引き起こした要因があるはずだわ。
「も、申し上げます!」
「何だ!」
「前線部隊からの報告です!張遼、呂布以外に、劉備軍の者たちが加勢しているとのこと!ただ今夏候惇将軍、夏侯淵将軍に加え建業の孫策、孫堅、程普、甘寧が前線で戦っておりますが、劣勢で応援を要求されております!」
「!?しかし、あちらにそれほどの戦力はいなかったはず!」
「前線にはあの天の御使いに関羽、それに趙雲までは黄巾党討伐時にいた戦力なのですが、異様なほどの怪力の少女が一人加わったようなのですが、・・・後衛に控えているバケモノが問題らしいのです。」
「バ、バケモノ?」
「おおよそ九尺の背丈を持ち筋骨隆々、色黒で怪しげな装飾を身に纏っている変態大男です!」
「・・・凪、沙和、真桜、いるかしら?」
「なんでしょうか?」
「なんや、嫌な予感しかせえへんで?」
「沙和もなのー・・・。」
「あなたたち三人とその三部隊でその変態の首を獲ってきなさい。」
「御意!」
「凪、ほんまに正気か?今の話聞いとったやろ?」
「華琳様の命令だ。それに、バケモノ一人に何を怖気づいている?」
「沙和、出来れば行きたくないのー・・・。」
「ごちゃごちゃ言うな!華琳様、行ってまいります。」
「ええ。」
・・・あの三人に任せて良かったのかしら?真桜と沙和は凪に引きずられているし。・・・後で加勢を送りましょう。
・・・
「あなた、可愛い顔して結構えげつないところばかりついてくるわね。」
「その言葉、そっくりそのままあなたに返しますよ。」
「あら、それは私が可愛いと受け取っても良いのかしら?」
「ふふっ、ありがとう。」
こんな会話をしながらも今は対峙している真っ最中。正直言って手強い。霞も少し離れたところでもう一人と対峙している。っと、他のことを考えてる暇はなかった。
「男の子で私とここまで張り合えるのはあなたが初めてよ。褒めてあげるわ。」
「ありがとうございます。蛇矛を使っているのが仲間にいますので見慣れているだけですよ。」
とは言っても鈴々の丈八蛇矛とはリーチも形状も違う。リーチが短くても一撃のスピードが異様に早い。たまにフェイントを掛けてくるあたり相当の曲者だ。そんなことを考えていると相手のお姉さんは一度俺と距離を取ってきた。
「ねぇあなた、まだ何か隠してない?」
「・・・いつから気付いてきました?」
「あなたの受け流し方を見ていて攻めがこれだけのはずがないと踏んだだけよ。」
「うーん、なかなか気付く人っていないんですけどね・・・。分かりました、俺の技を一つお見せしましょう。」
やはりね。しかし、私の読みが当たったということは彼の実力が相当なもの。恐らく私よりも強い。けど、ふふっ、この状況を楽しんでいる私がいる。私より強い人なんて知っている中では水蓮様と雪蓮様、それに祭くらいだもの。
眼前の彼女は笑っている。笑っていながらも隙を見せてくれない。まぁ、隙を見せないなら作らせるだけ。良い具合に高まってきたしね。泣かぬなら鳴かせてみせようホトトギス作戦。
「北郷一刀流、旋風!」
「!?」
な、何!?突然台風の中に放り込まれたような。足に力を入れていないと立っていたれない。砂も舞っていて視界も悪いし・・・。しかし、辛うじて見えるあの子は平然と立っているあたり、私だけこの風の影響を受けていると考えるべき。やばいわ・・・。
「どうしますか?降参します?」
「あ、あまり私を舐めないでほしいわね。このくらいなんてことないわ。」
あれを受けて立っているのも辛いはずなのに・・・。はぁ、仕方ない。とりあえず風が収まるのを待とう。
・・・
やっと風が収まった。まったく、髪がくしゃくしゃになってしまったわ。さて、あの子は・・・いない!?ど、どこ・・・きゃ!
俺は風が舞っている間に彼女の後方に回り、ちょっと足を弾いてやった。意識を俺を探すのに向けていた彼女は隙だらけ。倒れこみそうになったところを抱きかかえて聖桜を抜き、彼女の眼前に向ける。
「降参してくれますね?」
「はぁ、私もここまでね。一思いに殺しなさい。」
「いえ。」
俺は聖桜を鞘に納めた。
「舐めているの?」
「俺は気に行った人は手に掛けません。戦っている間の少しの会話でしたが、あなたの人の良さが見て取れました。だから、解放したら元の陣営に戻ってください。」
「面白い子ね。それでこれほど強いのが不思議だわ。」
「出会いは大切に。うちの家族の家訓ですから。出来ればあなたとも機会があれば仲良くしていきたいですしね。こんな敵同士でなければもっと良好な出会いが出来たはずなんですけど。」
俺は彼女を解放すると彼女は一息ついて俺の方を振り返った。
「出会いは大切に、ね。私も見習ってみようかしら。」
「はい。是非実践してみてください♪」
この子、完全に私が敵だってこと忘れているわよね。けど・・・嫌いじゃないわ。
「じゃあ私はあなたの言うとおり本陣に戻るわ。」
「分かりました。」
「じゃあね。」
私が踵を翻し本陣に戻ろうとしたとき、
「あ、もう一ついいですか?」
呼び止められた。良い感じに締められたと思ったのに・・・。
「お互い、自己紹介してませんでした。」
「・・・ぷっ。くくっ、あははははは!」
「な、何で笑うんですか!」
「ごめんなさい。たった今戦っていた敵に自己紹介してませんでした。なんて・・・あ、あははは!」
それもそうだ。・・・あれ?清羅のときもこんな場面だったような・・・。
「はぁ~。久しぶりにこんなに笑ったわ。」
「いきなり笑われては何事かと驚きますよ・・・。」
「ごめんごめん。自己紹介ね。私は孫堅軍所属、程普。程普徳謀よ。」
「程普さんですね。俺は劉備軍所属、北郷一刀です。天の御使いなんてものもやってます。」」「北郷一刀、一刀ね。覚えたわ。じゃあ今度こそ、じゃあね。」
「はい。」
今度こそ程普さんは陣営へと戻っていった。さて、武将を一人は退けたけどまだまだ開戦したばかりだ。罵声や怒声が飛び交う戦線の真っただ中へ俺は突き進んだ。
あとがき 読んでいただきありがとうございます。今回は虎牢関での開戦ということでたくさんの諸侯に出てきてもらいました。さて、今回出てきた人物紹介、程普徳謀。真名:愛璃。背丈は雪蓮と同じくらい。スリーサイズ、86、58、84。髪は銀髪ウェーブのロング、瞳の色はライトブルーです。武器は鉄脊蛇矛をし使用して軍師も兼任してます。むしろ軍師が本職ですね。それでは次回、第四節:ご主人様のために、華琳様のために! でお会いしましょう。
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何でもござれの一刀が蜀√から桃香たちと共に大陸の平和に向けて頑張っていく笑いあり涙あり、恋もバトルもあるよSSです。