「分かった……。お前さんの覚悟がそこまでなら、儂はもう何も言わんよ」
諦めたように、ゼウスさんが言う。
「ありがとうございます」
「変な奴じゃな。儂に恨みが有りはせんのか?」
「別に。これでやっと、本当に死ねるんですから。」
恨みなどない。
そんなもの。
後悔した者がもつ感情だ。
「そこから、飛び降りればいいんじゃ」
ゼウスさんが指差したそこは、どす黒い大きな穴があった。
「なるほど。あれが「地獄」の入口ですか。」
言いながら頷く。
「本当にいいんじゃな?あそこに入ったら、二度と戻って来れんぞ?」
「ええ」
僕は頷いて。
その穴の淵に立ち。
ここに来た時と同じように。
全くの後悔もなく。
一切の躊躇もなく。
飛び込んだ。
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第六話です。