No.505875 魔法少女リリカルなのは DevilStrikerS ーダンテの記憶…エピソード20ー2012-11-08 22:44:09 投稿 / 全1ページ 総閲覧数:4418 閲覧ユーザー数:4339 |
「「Jack pot!!」」
二人の兄弟によって、巨大なる欲望は倒された。 そして二人の兄弟は己の信念の為、刃を交える…
ダンテとバージル、二人の間に父スパーダの剣… [フォースエッジ]が舞い落ちる。ダンテもフォースエッジを取ろうと手を伸ばすが、バージルの方が速かった。
「それを渡せ」
そしてダンテの持つアミュレットをよこすように促す。
「嫌だね。自分のがあるだろう?」
ダンテはそれを拒否する。バージルはフォースエッジを構えながら
「二つ揃わなくては意味はない」
と言う。だがダンテは怪訝に問う。
「そんなに力が欲しいのか? 力だけ手に入れたところで、父さんのようにはなれない…」
「…貴様は黙ってろ!!」
バージルはフォースエッジをダンテに振り下ろす。
今までポーカーフェイスをしていたバージルが表情を大きく歪ませた。それは憤怒のようであり、 悲しみでもあった。
バージルは己の過去を思い出していた……
母とダンテと過ごした、楽しかったあの頃の生活。毎日のようにダンテと競い合ったこと。そして…己の無力故に悪魔から母を守れなかったこと。
ダンテはバージルのフォースエッジを掴みながらこう言った。
「俺達がスパーダの息子なら…受け継ぐべきなのは、力なんかじゃない…それは[誇り高き魂]だ!!」
「………!」
そしてお互いの距離を離した。バージルはダンテの言葉を黙って聞いた。
「その魂が叫んでる…あんたを[止めろ]ってな!!」
バージルはダンテの叫びに対し、
「はははは…!悪いが俺の魂はこう言っている…[もっと力を]!!」
バージルの言葉にダンテは悲しそうで、そして諦めたかのような表情を浮かべた。
「双子だってのにな」
「ああ、そうだな」
そう言って二人は互いの信念を貫くため、剣を構えた。
―――数十分後……
ダンテとバージルの戦いは凄まじく、二人が戦っていた所の周りの木々はなぎ倒され、又は真っ二つになっていた。
「ぐっ…!!俺が、負けるのか」
バージルは膝を川の水面につけた。
「どうした。それで終わりか?立てよ!あんたの力はこんなもんじゃない…」
ダンテはバージルに立つように促す。バージルは苦悶の表情を浮かべながらも立ち上がる。
――ゴゴゴゴゴ…!!――
その時、空間が大きく揺れた。ダンテはこれに少し驚くが、バージルは納得したかのような顔をする。
「どうやら魔界と人間界を繋ぐ扉が閉じようとしている…アミュレットが別れたせいか」
時間が無いと悟ったダンテは決着をつけることを決意する。
「終わりにしようバージル。……たとえ、あんたを殺すことになっても」
そう言うとバージルはフォースエッジを構え、駆け出した。ダンテもまたリベリオンを下段に構え、駆ける。
「「うおおおおおおおおおおおお!!」」
そして己の今出せる最大の一撃を放った。
「ぐはっ!!」
バージルがフォースエッジを持つ力が緩み、アミュレットと一緒に落とした。アミュレットを落としたとき、バージルは眼の色を変えてアミュレットを拾い上げる。
「これは誰にも渡さない。これは俺のだ。スパーダの真の継承者が持つべきもの…」
そう言ってバージルは滝の方へと下がっていく。 嫌な予感がしたのかダンテはバージルに近寄ろうとするが、バージルが閻魔刀をダンテの首筋へやって動きを止める。
「お前は行け…魔界に呑み込まれたくはあるまい。俺は此処でいい…この、親父の故郷で………」
そうしてバージルは墜ちていった。ダンテは必死に手を伸ばすが、バージルの閻魔刀によって阻まれた。ダンテはその時斬られた手を握りしめ、
「バージル……」
と涙を流しながら、魔界に呑み込まれていった兄の名を呟いた。
「「「………………」」」
バルダ達はテメンニグルの件を見たあとも、その後のダンテの壮絶な過去に何も言えなかった。
「ダンテさんもいろんな事があったんやな…」
その場の皆を代表して、はやてがそう言った。
「父さんも辛かったんだな」
「ああ、たった一人で戦ってきたのだからな」
「バージルさん…最後の最後まで自分の信念を貫いてましたね」
スバルはバージルの信念の強さに感嘆する。
「悲しい人でしたね…」
「だが、悲しくも美しい奴だった」
フェイトとシグナムはバージルの人物像について述べていた。
「ダンテさんの家族ってどうなっているんでしょうか?何で兄弟で戦わなくてはいけないんでしょうか…」
キャロは二人の残酷な運命を悲しんでいた。
「こんな事は父さんのため言っちゃいけないと思いますけど………………父さん達がまだ幼い頃、自分達がいる街に悪魔が襲ってきて、その時に父さんを庇って父さんのお母さん…まあ祖母が悪魔に殺されたんだ」
「「「!!!!」」」
「バージルさんは最愛の母を目の前で殺された悲しみと、己の無力さに絶望し、力だけを求めるようになってしまい、目的のためなら手段を選ばない非情な人へと変貌してしまった…」
「……………」
「それを止めたのがあのテメンニグルの映像だよ……だけどあれには続きがある」
「続きって?」
なのはが気になって聞いた。
「ええ、魔界の底へと墜ちていったバージルさんは、魔帝ムンドゥスに戦いを挑んで負けたんです……そして………」
「…そして?」
「ムンドゥスによってを悪魔の体へと改造されたんです」
「「「!!?」」」
それに驚愕する一同。
「そんな……そんなのって……」
「悲しすぎるよ……」
そしてムンドゥスの悪行に怒るなのは達。
「許せない…!」
「うん、私もだよ…なのは」
「ホンマに極悪非道な奴やな…ムンドゥスは」
「あたしも久々にキレそうだ…リイン」
「はいです…ヴィータちゃん」
「お前たちもか…お前はどうだ、シャマル」
「ええ、命を何だと思ってるのかしらね、まったく」
「火に油を注ぐようだけど、バージルさんはその後名をネロアンジェロに変え、父さんと戦わされたそうだ」
ギルバーは怒り心頭のなのは達に圧されながら言った。
「ほう…ムンドゥス、どんだけ人を道具のように扱う気や…そんなんじゃ戦ったダンテさん辛いで…!!」
もうキレる寸前、いやもうキレてるのかはやての口調はどこまでも冷えていた。
「みんな、今湧いている怒りは戦う時までとっときぃ…だけど怒りに任せて無茶な事せんこと…ええな?」
「「「了解!!」」」
「まあこんな雰囲気はもうやめましょう。最も、原因は俺だけど」
バルダはこの話を締めくくる。
「そうやな…って気がついたらもう夜やないか!」
「ホントだ」
「時間がたつのってこんなにも早かったっけ?」
「ですねぇ」
「あっ、はやてさん!もうチェックインしたホテルへ戻る時間です!!」
ギルバーが慌てて言った。それに驚く一同。
「えぇ!?もうそんな時間!?」
「早くいかないと夕飯に間に合わないわよ!?」
「それは困ります!!」
「急いで戻らないと…」
慌てるフォワード陣。
「ふふ、ヴィヴィオまだ寝てるね」
「ホントだ。起こさないようにしないといけませんね」
「まるでお兄ちゃんみたいだね、バルダ」
「ホンマに兄妹みたいやしな」
「「確かに」」
「え?え!?」
何やら和やかな雰囲気の バルダ達。
「いっそのことなのはちゃんが引き取ったらええんちゃう?」
「ええ!?」
はやての言葉に戸惑うバルダ。なのははというと、
「う~ん…私としてはいいんだけど、バルダってフェイトちゃんが保護責任者でしょ?それだと何か悪いと思って…」
遠慮がちにそう言っていた。そこでフェイトが
「別にいいと思うよ。なのはがそう言うのなら私は」
と軽くOKな事を言った。
「それにバルダが少しでも幸せになれるならば尚更…ね?」
そしてフェイトはバルダに返事を求めるようにウインクした。
「お、俺は…その……」
返答に困るバルダ。それはもちろん嬉しいことである。でもそれで本当に良いのかと思ってしまう…拒まれるんじゃないかと不安になってしまう…そんな感じがした。
だがなのははバルダの考えなどお見通しのようにこう言った。
「大丈夫だよ…私はあなたの本当のお母さんじゃないけれどできる限り努力する。あなたを幸せにするように努力する。私もヴィヴィオも誰もあなたを拒んだりしない…それにバルダがいてくれたらヴィヴィオも喜ぶよ。だから…返事を聞かせて?」
優しく、包み込むように…それはバルダの母親であったマリアもそうだった。今のなのははその時のマリアと同じだとバルダは思った。そして決めた。
「わかりました。俺はあなたの養子になります。これからもよろしくお願いします。か、母さん///」
そう言った瞬間、なのはは満面の笑みを浮かべる
「うん!こちらこそよろしくね!!」
「はい。えっと…母さん」
どうもぎこちなさそうなバルダ。
「あの、すみませんが、そろそろ時間が…」
そこで横槍を入れるようにギルバーがそう言う。
「にゃああ!!そうだった!!」
「やっべー!!」
「み、みんな!急ぐよ!!」
「「「は、はい!!」」」
最後の最後でドタバタだった一同であった。
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三十話目です。